仮想通貨 MicroMoney / AMM 機械学習×ブロックチェーンの少額融資プラットフォーム
Yuya
今、発展途上国を中心とする国々の約20億人ほどが銀行などの金融システムを利用できない状況で生活していると言われています。
このような人々は現金のみに頼るしかなく、緊急時の出費やビジネスの設立費用は家族や友人などから借りるといった方法しかないという状況になっています。
金融機関がこういった人々にクレジットを与えられない最大の理由は信用情報の欠如にあるとされています。
MicroMoney(マイクロマネー)は、スマートフォンなどから収集される個人データを機械学習で処理し、独自の信用情報システムを築き上げることでより多くの人が金融システムを利用できるようにするプロジェクトです。
本記事では、このプロジェクトの詳しい仕組みや、具体的な信用情報構築のプロセス、トークンの存在意義や現在の開発状況などを詳しく説明していいきたいと思います。
マイクロマネーの概要・仕組み
プロジェクト名 | MicroMoney(マイクロマネー) |
---|---|
創業者(CEO) | Sai Hnin Aung, Anton Dzyatkovskii |
主な提携先 | バッカー5社、技術提携4社、協力提携29社 |
特徴 | スマホデータと機械学習による少額融資向け信用情報の形成システム |
公式リンク | Webサイト |
Telegram | |
YouTube | |
github(ソースコード) |
マイクロマネーとはいったいどのようなサービスを展開するプロジェクトなのでしょうか?
ここでは、発展途上国・新興経済国での金融システムアクセスに関する問題を紹介し、この問題に対するマイクロマネーの解決案を解説します。
世界の20億人が金融システムへのアクセスがない
世界には基本的な金融システムにアクセスできない人が数多く存在します。この金融システムというのは、銀行口座の開設やローンの組立など先進国では当たり前のサービスを指します。
この問題を抱える人々はアフリカ諸国、インド、中東諸国、中国の一部や東南アジア諸国などの地域で合わせて20億人にものぼるとされています。
これらの人々は現金に依存しており、緊急時や起業の際の主要な資金調達先は家族や友人となっています。
原因は信用情報の欠如
上記のような人々がバンキングへのアクセスを得られない一番の理由は信用情報の欠如と言われています。銀行側も、借りる側が返済を行える見込みがないとローンを組むことはできないのです。
金融システムへのアクセスのない人々は一般的に、ホワイトカラー、ブルーカラー、企業の場合はSME(中小企業)と呼ばれ、一人当たり月々200~500ドル程度の収入があり、大半がスマートフォンを所有していると言われています。
マイクロマネーでは、このような人々がバンキングを利用できるようにするために、彼らの使用するスマートフォンで発生するデータを使用して信用情報を作り出すというプロジェクトを行なっています。
ブロックチェーンと機械学習でスマホから信用情報を構築
スマートフォンにはユーザーに関する膨大なデータが詰まっています。
このデータを機械学習(マシーンラーニング)に利用すると、一見関係ないようなデータからユーザーの性格や傾向といったものを推測できることから、近年ではこのビッグデータ(あらゆるデータの集合体)とAIの組み合わせが企業のマーケティング分野で重宝されています。
マイクロマネーも同様で、各ユーザーのスマートフォン使用データを機械学習で分析することで信用情報を作り出し、金融システムへのアクセスをより多くの人に与えようとするプロジェクトです。
同プロジェクトのホワイトペーパーには収集するデータの一部が例として公開されています。デバイスの情報など基本的なもの以外に、以下のような項目も存在しました。
- 個人情報入力の際、それぞれの項目の入力にどれくらい時間がかかったか
- 住所入力欄記入の際、何回ためらったか
- 音楽のプレイリスト
ローンを組みたいユーザーはこのようなスマホ情報を提供し、これらのデータは機械学習によって該当ユーザーの信用情報形成に使われるということになります。
機械学習では、AIが上記のような情報を読み込み、「該当ユーザーがローンを返済する(しない)確率」を計算します。
この計算の精度はデータの数が多ければ多いほど向上するため、サービスの展開が進むにつれ更に安全なものになっていくと考えられます(概算や成長予測値はホワイトペーパーに記載されています)。
ビッグデータの提供サービスも運営
マイクロマネーは2015年から東南アジアを中心に開発を進めており、すでにタイ、カンボジア、ミャンマーの三カ国でサービスを行なっています。
これらの国や今後追加される国々のユーザーから収集されるデータ、そしてそこから生み出される信用情報は膨大なものになります。
マイクロマネーでは、このビッグデータを銀行などのサードパーティに売却するサービスも行うとされています。
また、売却されたデータから得られる収益の一部は、持ち主のユーザー(提供者)にトークンとして還元されます。
AMMトークンとは?
マイクロマネーが発行するトークン、AMMトークンについて見ていきましょう。
通貨名 | AMMトークン / $AMM | |
---|---|---|
規格 | ERC20 | |
主な使い道 | データ提供・コミュニティ貢献に対する報酬 / ビッグデータの購入 / パートナーシップへのアクセス / 担保としての使用 | |
発行枚数 | 17,422,798 AMM | |
その他 | プレマイン型・ユーティリティートークン |
トークン発行の理由
プロジェクトのホワイトペーパーによると、ブロックチェーン導入・ICO実施の主な理由はサービスのグローバル展開のための資金調達とされています。
上記の通り、マイクロマネーはすでにタイ、カンボジア、ミャンマーの三ヶ国でサービスを開始しており、今後東南アジアを中心により多くのマーケットを獲得しようとしています。
ホワイトペーパーには、調達額に応じたビジネスプランも公開されています。
ビッグデータの購入
マイクロマネーが構築するユーザーデータはAMMトークンで購入することができます。
金融機関などは顧客の信用情報をより安く手に入れることができるというメリットがあります。また、こういった情報はeコマースなどの分野でも需要があります。
ユーザーへの報酬
ユーザー(お金を借りる側)は、自分のデータが上記のようなケースで購入された際、収益の一部をAMMトークンで報酬として受け取ることができます。
またその他にも、ローンを期日内に返済するとAMMトークンでボーナスを獲得することができます。
パートナーシップ・担保など
AMMトークンはプラットフォームの限定機能が使えるようになるパートナーシップサービスへの登録や、ローン組立の際の担保としても使うことができるとされています。
また、コミュニティへの貢献(バウンティ)などの報酬もAMMトークンとして配布されるもようです。
類似プロジェクトとの比較
マイクロマネーは銀行などの金融サービスを利用できない人向けに信用情報を創り出し、世界中の借り手を増やしていくというプロジェクトであり、このビジネスモデルはあまり他にないものであると言えるでしょう。
そこで今回は、マイクロレンディングという分野で有名なETHLend(イーサレンド)とマイクロマネーを比較し、これらのプロジェクトの大きな違いを解説したいと思います。
マイクロマネーはP2Pレンディングサービスではない
ETHLendはお金を貸したい人と借りたい人がP2P(個人間)でやり取りをし、ブロックチェーンやスマートコントラクトを使って取引の信用性・透明性を確保するというサービスです。
よって、ETHLendが提供しているのは、資金を提供したい人と借りたい人をマッチングするプラットフォームとなります。
一方で、マイクロマネーのコアとなるサービスは、スマートフォンで発生するデータを利用して信用情報を構築し、ユーザーがお金を借りることができるプラットフォームの提供となります。
資金を提供するのは銀行などの金融機関、またMicroMoneyのハーツローンとなります。
このプロジェクトのメリットは、信用情報の欠如を理由に今まで金融機関へのアクセスがなかった人々が簡単にお金を借りることができるようになる、という点です。
また、企業はAMMトークンと引き換えに信用情報を購入することができる、という利点もあります。
マイクロマネーのまとめポイント
ここまででは、マイクロマネーのプロジェクトの概要や特徴、類似プロジェクトとの違いを解説しました。
ここで、プロジェクトを精査する上でキーポイントとなる点をまとめてみます。
2015年からの業務実績・入念な市場調査・アプリもリリース済み
マイクロマネーは2015年からサービスを展開している上場済みの企業です。タイ、カンボジア、ミャンマーの三ヶ国ですでにサービスを始動しており、アンドロイドのアプリもリリースされています。
また、市場の調査を含めプロジェクトの情報を事細かに公開しており、ウェブサイトやGitHubなどではビジネスプランや業績報告などが全て載っています。
ターゲットとなる市場が広い
マイクロマネーは世界196ヶ国中100ヶ国が市場であると提言しています。
これらの発展途上国・新興経済国ではバンキングへのアクセスがない人々が数多く存在するため、マイクロマネーのビジネスチャンスというのはとても大きいものであると言えます。
マイクロマネーではハーツローンも提供している
類似プロジェクトとの比較の項目でも解説した通り、マイクロマネーは独自の信用情報の構築を通して既存の金融機関がより多くの人々にローンを発行できるようにするというプロジェクトです。
しかし、マイクロマネープロジェクト自体も銀行からお金を借りれないユーザーにハーツローンを提供しています。
ユーザーの信用情報はブロックチェーン上で管理
マイクロマネーのサービスにより構築されるビッグデータは、全てブロックチェーン上に保存されます。
個人の信用情報を偽装や改ざんのできないブロックチェーン上で管理することで、データを利用する銀行や保険会社からの信用を得られることが期待されます。
ロードマップ
最後に、プロジェクトのロードマップを確認しておきましょう。
時期 | 内容 |
---|---|
2018年 | ベトナム・マレーシア・シンガポールへの進出 / ユーザー数10万人 |
2019年 | 中国・香港・台湾・韓国・インドへの進出 / ユーザー数30万人 |
2020年 | アフリカ・南米への進出 / ユーザー数100万人 |
2021年 | 中東・ヨーロッパ・アメリカへの進出 / ユーザー数2500万人 |
2018年ー東南アジア
東南アジアでは、地域全体人口の27%だけが銀行口座を保有しているという研究結果があり、その数は4億人以上にものぼるとされています。
一方で、東南アジアでのインターネット経済は成長を続けており、2025年までにその経済効果は2兆ドルほどに及ぶとされています。
2019年ー中国
中国では7億人以上(人口の約50%)がインターネットへのアクセスがあるとされており、そのユーザーのうちの95%は携帯電話からのアクセスであるという研究が出ています。
また、中国では人口の約20%ほどが銀行へのアクセスがない状況になっています。
2020年ーアフリカ諸国
アフリカ諸国では全体人口の80%ほどが銀行口座を持っていないとされています。また、100人中63人は携帯電話を持っているという調査結果も出ています。
2021年ー中東
低い銀行口座保有率・高い携帯電話所持率という状況は中東でも同じとされています。
パキスタンではブロードバンドのユーザー数の成長率185%などを記録している中、1億人以上の人口が未だ銀行へのアクセスがない状況となっています。
まとめ
マイクロマネーは、タイ、カンボジア、ミャンマーの三ヶ国でサービスを展開した実績があるため、とても注目して良いプロジェクトと言えるでしょう。
GOLEMやuPort、OmiseGOなどの大手プロジェクトとの技術統合も目指しているとされており、今後このようなプロジェクトと戦略提携を結ぶかなどといったポイントも見るべきでしょう。
マイクロマネーに興味を持たれた方は、ぜひ公式Webサイトをチェックしてみてください!