中国の暗号資産マイニングに関する動向 – 内モンゴル自治区編
Crypto Times 編集部
中国の内モンゴル開発改革委員会は火曜日、暗号資産マイニングに関して違法とみなされる可能性のある8つの分野に係る措置を発表しました。
これは、中国国務院が最近の会議においてビットコイン取引とマイニング取締りの対象を提起した4日後に発表されたもので、具体的な内容が示されています。
当該措置の提案は現在、発効前の段階にあり、6月1日までに公的な協議プロセスを経る予定となっています。
この措置では、主に化石燃料を使用する地域の暗号資産マイニング施設だけでなく、そのような事業にエネルギーを供給する発電所も対象としており、暗号資産マイニングのためにコンピュータを使用されていた可能性のあるインターネットカフェも対象に含まれます。
さらに、この地域でのマネーロンダリングや募金活動に暗号資産を使用している企業や個人は、刑事責任を負う可能性があります。
公表された提案によると、暗号資産マイニングに従事している企業や個人は、中国のSocial Credit Dishonesty List(ブラックリストのようなもの)に掲載され、銀行口座開設、航空期または電車のチケットの予約などの社会活動ができなくなる可能性があります。
今回の措置は、内モンゴル政府が中国のカーボンニュートラル目標を達成させるための取組みを強化している中で起こりました。
3月、内モンゴル自治区ではすでに自治区内の暗号資産マイニングを停止する計画を発表していましたが、最新の提案は、これらの措置を遵守していない個人または企業に対する法的責任の追求を強めています。
この地域のマイニング事業者はすでに国内の別地域や海外への移転を開始しています。
暗号資産マイニングが行われている他の主要や地域、特に主なエネルギー源が水力発電である四川省と雲南省が、内モンゴルの措置を追従するかどうかはまだ分かりません。
8つの措置の概要
- 暗号資産マイニング事業者に土地と電力の支援を提供する工業団地、データセンター、発電所については、中国の省エネ法や電力法などの関連法に基づいて規制監督が強化されます。意図的にそのような活動を隠している、または時間内にシャットダウンしない、強固な承認プロセスを保持していない団体については、関連する規制および共産党の内規に基づいて責任を負います。
- 政府の監督機関は、暗号資産マイニングに関与するビッグデータセンターまたはクラウドコンピューティング企業の政策上の特典を取り消し、省エネ法に基づいて処分するものとします。
- 暗号資産マイニングに関わる通信会社またはインターネット企業について、政府の監督機関は、中国の電気通信に関する規制に基づいて通信事業のライセンスを取り消し、それに応じて処分するものとします。
- 暗号資産マイニングに関与するインターネットカフェについては、その監督機関は事業を中断させ、是正を促すものとします。
- 事前の承認なしに暗号資産マイニングにエネルギーを私的に供給する団体については、中国の刑法に基づく司法当局によって処分されるものとします。
- マネーローンダリングなどの違法行為に暗号資産を使用することに関与する団体または個人については、中国の刑法に基づいて司法当局によって処分されるものとします。
- 資金調達活動に暗号資産を使用することに関与する団体または個人については、違法基金の防止および措置に関する規制に基づいて、監督機関によって処分されるものとします。
- 暗号資産マイニングに携わる企業や関連職員は、中国の不正行為者リストに掲載されます。暗号資産マイニングの利便性や保護を提供するために自分の立場を使用した公務員は、共産党の下で関連する規律検査委員会によって処分されます。
注目すべき点
内モンゴルが中国共産党への服従の姿勢を強める発表をした一方、暗号資産マイニングが盛んな四川省や雲南省などが当該措置を追従するか否かはまだ分かりません。
また、上記5.については、事前の許可があれば暗号資産マイニングが全面的に禁止される訳ではないとも捉えられます。
内モンゴルの発表がいわゆるSDG s対策の一環で行われたものであれば、環境問題での国際的な非難をかわすための対外的なポーズの一つとも捉えられます。
また、マイニング事業者が地理的に分散すること自体は、リスク分散の観点から長期的にはプラス材料となり得るのではないでしょうか。
記事ソース:The Block