DAO(分散型自律組織)とは?WEB3.0との関係や特徴などわかりやすく解説
Crypto Times 編集部
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationを略した言葉で、日本語では「分散型自律組織」と言います。
「スマホ1つで参加できるリーダーがいない会社のような組織」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
DAOは現在の日本では未だ浸透しておらず定義もあいまいですが、民主的な構造で情報の透明性が高いことから、今後は株式会社などと並ぶメジャーな組織の1つになるのではないかと期待されています。
本記事ではそんな「DAO」について、特徴やメリット・注意点などを詳しく解説していきます。
目次
DAOとは?特徴をわかりやすく解説!
DAOの特徴
- 一般的な会社とは違った組織の新しい形態
- 中央管理者がおらず個々が提案し発展させていく
- 最終的にはルールやポリシーをコーディングして組織自体が自律した状態になる
- ブロックチェーン上で取引や意思決定が行われるため不正がない
- 誰でも参加できる
- ガバナンストークンが報酬となり株式に近い効力を持つ
DAOとは日本語で「分散型自律組織」と言います。
会社のように上下関係がある組織ではありません。
参加者全員がフラットな関係にあり、全員の意思を集計して決定していく自律した組織です。
- 会社:役員が頂点にいるピラミッド式の組織
- DAO:全員がフラットで役員(リーダー)がいない組織
端的に言うなら「これまでの一般的な会社などとは違った新しい形態の組織」と考えれば問題ありません。
DAOについて詳しく理解するためにも、以下の特徴を確認して行きましょう。
中央管理者がおらずフラットな組織
DAOの最も大きな特徴が、中央管理者がおらずそれぞれがフラットな立ち位置にいるということです。
一般的な組織、例えば会社は社長・専務・常務といったようなリーダーが存在し、そこからピラミッドのような形で成り立っています。
そしてリーダーが会社に関するさまざまな決定をして、それを全体に指示して会社を大きくしていくというのが一般的です。
対してDAOは、ピラミッドのような形ではなく、分散した形でそれぞれがフラットな立ち位置にいます。簡単に言えばリーダーがいません。
リーダーがいないため指示を出す人はおらず、ひとりひとりが率先して動いて組織を発展させていきます。最終的には、ルールやポリシーをコーディングして組織自体が自律した状態となります。
参加者が組織のためになる仕事をし、それによって報酬が分配される仕組みとなっています。
- 注意点
- 現状のDAOでは、立ち上げ当初はシステム自体がうまく出来上っていないことがほとんどです。そのため、結局立ち上げをした人がさまざまな決定権を持ったり指示を出したりすることが多いのが現状です。
情報が公開されており誰でも参加可能
DAOは情報の透明性が高いため不正や改ざんなどは高確率で防止できます。
基本的な交流はDiscrodなどのオンラインサービス上で行われ、DAOの意思決定をする際の投票・分配、またプロジェクトそのものもブロックチェーン上に刻まれていきます。
ブロックチェーンとは、記録がチェーンのようにつながっている構造のことです。簡単に言えば、改ざんや不正などが非常に難しい状態でさまざまな記録が保存されているイメージとなります。
また、ほとんどのDAOは誰でも参加ができます。
そのため、誰もが自由に平等な立ち位置で不正の心配なく働ける組織であるといえます。
ガバナンストークンによって投票や分配が行われる
DAOを語るうえで欠かせないのが「ガバナンストークン」です。ガバナンストークンとは簡単に言えば、DAO内の仮想通貨のことです。
一般的な会社は働くとお金がもらえますが、DAOではガバナンストークンを受け取れます。
また、ガバナンストークンはDAO内でさまざまな効力を持ち、組織への提案ができたり、投票ができたりします。一般的な会社で言う株式に近いでしょう。
実際のDAOの事例を紹介!
DAOがどういったものなのかイメージしづらい方も多いかと思います。
そこで実際のDAOの事例を確認して、よりイメージを固めてみましょう。
ビットコイン
DAOの最も代表的な事例と言えばビットコインです。
ビットコインは非常に規模の大きいDAOということもあって、一般的なDAOとは異なる部分が多々あります。
いわゆるリーダーは不在でブロックチェーン上で決められたルールに従って運営されているのが基本です。
ガバナンストークンはないものの、マイニングした際に受け取れるビットコイン自体が報酬の役割を担っています。
ただし、ビットコイン自体にいわゆる株式のような効力はありません。また、ビットコインの運営にかかわっても報酬などはないので留意しておきましょう。
CityDAO
海外の有名なDAOとして「CityDAO」というプロジェクトがあり、ブロックチェーン上にデジタルで都市を作っていくことを目的としています。
デジタルの土地が現実世界の土地と紐づいているのが大きな特徴で、参加者はNFTを購入してブロックチェーン上に作られた土地の市民になることができます。
市民になることで、土地に関するさまざまな決定権を持てるようになり、投票などにも参加可能です。
新しい形の都市運営・都市開発として、一部で大きな関心がもたれています。
Roopt神楽坂DAO
「Roopt神楽坂DAO」は日本で初のDAOを活用したシェアハウスです。
Roopt神楽坂DAOが発行しているNFTを購入することで、RooptDAOの提案・投票ができるほか、Roopt神楽坂のコワーキングが利用できるようになります。
また、NFTを消費することでRoopt神楽坂に一定期間入居する権利を得ることも可能です。
日本で数少ないDAOというだけでなく、仕組みも簡潔で分かりやすいので「DAOの運営をしてみたい」「関わってみたい」と考えているなら参加を検討してみましょう。
MakerDAO
MakerDAOは仮想通貨DAIを発行する分散型プラットフォームです。
DAIは米ドルに連動したステーブルコインであり、安定性のある通貨として人気です。
DAIの発行や管理を行うのはMakerDAOですが、すでにMaker財団は解散しています。
MakerDAOの成長と共に分散型組織へ完全移行しました。
スマートコントラクトとトークンエコノミーが導入されており、MakerDAOの参加者の投票により意思決定しているDAOの成功事例です。
Makerプロトコルがガバナンスポリシーをアップデートを提案
DAOとWEB3.0の関係
DAOはWEB3.0と密接な関係にあります。
DAOに興味があるなら、今後「WEB3.0」というワードをたびたび目にすることになるので、この際に覚えておきましょう。
WEB3.0とは、簡単に言えば今後のインターネットの新しい形を指しています。
- WEB1.0:「ネット(サービス提供者)→ユーザー」という形で「情報を閲覧するもの」
- WEB2.0:「ネット(サービス提供者)⇔ユーザー」情報を閲覧するだけでなく発信できる
- WEB3.0:情報の流れが分散、ユーザーが主体となってサービスを管理し情報を交換する
これはまさにDAOそのもので、今後WEB3.0が発展していくかはDAOが発展していくかに大きく関わっていきます。
DAOというのはWEB3.0というインターネットの新しい形の根幹となり得るものと理解しておきましょう。
DAOに参加するメリット5選!
DAOの主なメリットをまとめると以下のとおりです。
各メリットをそれぞれ詳しく解説していきます。
新しい副業の1つとして利用できる
DAOではガバナンストークンを報酬として得られます。
そのため、DAOは考え方によっては副業の1つとして利用できます。
報酬が発生する条件や流れなどはDAOによって異なるものの、主な稼ぎ方としては以下のとおりです。
・プログラマやマネージャーとして運営に密に携わって報酬を受け取る
・報酬の値上がり
本来DAOにはトップや管理者はいないものなのですが、現状のDAOのほとんどは発展途上で、プログラマやマネージャーなどの管理する側の人間が必要となっています。
そのため、発展途上のDAOで仕事を請け負えば、それだけ報酬を受け取ることができます。
また、報酬はガバナンストークンとなるので価値は常に変動し、場合によっては値上がりによって大きな恩恵を受けられることもあるでしょう。
スマホ1つで参加できる
基本的にDAOはDiscordというコミュニケーションサービスを使ってやりとりをします。
分かりやすい例で言えば、DiscordはLINEのようなものでスマホでも利用できます。
そして、DiscordにはDAO専用のグループチャットのようなものがあります。DAOに参加したい場合はそのグループに加入するだけです。
ただし、投票するにはDAOのガバナンストークンを保有しないといけないので無料で意思表示できるわけではありません。
- 注意点
- ほとんどのDAOは誰でもDiscordに加入するだけで参加できますが、中には招待制で一般の人では参加できないDAOも存在します。
匿名でも参加可能
Discordは匿名でも登録できるため、同時にDAOも匿名で参加できます。
一部例外はあるかもしれませんが、DAOの利用に本人確認などはなく性別や年齢関係なく誰でも参加可能です。そのため、そもそも本名は必要ありません。
人目を気にすることなく副業のような形で報酬を得られる機会ができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
オフラインイベントで交流ができる
一部のDAOではオフラインイベントを開催することがあります。
そのため、オフラインイベントで交流をして人脈を広げたり、単純に会話や食事を楽しんだりできます。
例えば、NFTコレクションDAOを展開する「CryptoNinja」は2022年7月に新宿で大規模のオフラインイベントを開催しました。
ほかにも、アビスパ福岡のDAO交流イベントとして試合観戦しながらディスカッションするイベントが2023年6月に行われました。
CT Analysis 『CNPの成功事例分析とNinja DAO全体概要』レポートの販売開始
新しい知見が得られる
DAOはこれまでにない全く新しいスタイルの組織で、さらに現状日本ではDAOの認知度は低いといえます。
そのため、DAOに参加している人は探求心があり、知識が豊富でさまざまなスキルを有していることがほとんどです。
また、DAO自体も今までになかったプロジェクトを行っています。
DAOの参加者とさまざまな交流をすれば、新しい知見や発想が得られます。
- DAOで得られる経験
- 分散化された組織の成功・失敗が見られる
- 投票による他者大勢の意見がわかる
- 自由度と透明性の高さを実感できる
- 世界中のメンバーと交流できる
DAOに参加する際の注意点を3つ紹介!
非常に多くのメリットがあるDAOですが、注意点もいくつかあります。
注意点も正しく理解したうえでDAOに参加しましょう。
- DAOに参加する際の注意点
仮想通貨に関する知識が必要
DAOの報酬の受け渡しは基本的に仮想通貨を使います。そのため、仮想通貨に関するある程度の知識は必要です。
なお、DAOによってはNFTが報酬となる場合もあるため、NFTに関する知識も必要となります。
仮想通貨の保管方法、入金・送金方法、日本円換金方法など、基本的なことは事前に理解しないといけません。
以下記事でおすすめの取引所や入出金方法、NFTの使い方まで理解できるので目を通してください。
仮想通貨/ビットコインの購入にオススメな取引所を徹底比較
NFTマーケットプレイスOpenSeaの使い方、出品から購入、ミント方法までを完全解説
DAOで稼ぐにはスキルや知識を求められる
DAOの種類にもよりますが、基本的にDAOに貢献して報酬を受け取るには、貢献するだけのスキルや知識が必要です。
一般的なバイトや会社員などは上司などから指示を受けてその通りに仕事をするだけで給料として仕事をもらえますが、DAOでは自ら仕事を探して提案していく必要があります。
Discordに参加をしただけで「○○をしてください」と指示があるわけでは基本的にはありません。
DAOはただDiscordに参加するだけで稼げるようになるわけではないということは理解しておきましょう。
- DAOの稼ぎ方
- プログラミングやマーケティングの仕事を受注する
- DAO内の限定NFTを購入・転売する
- ガバナンストークンの値上がりに期待するなど
詐欺に遭う可能性もある
DAOの名を冠した詐欺や、DAOに関連するコミュニティを使った詐欺も中にはあるため注意が必要です。
例えば、DAOのDiscordグループで詐欺のリンクを貼り付けてアクセスさせたり、言葉巧みに仮想通貨のウォレットのパスワードを聞き出したりしてきます。
DAOは誰でも参加できるという特徴があるため、当然詐欺師もDAOに参加している可能性は考えられます。
また、管理者やリーダーとなる人がいないこともあって、詐欺師を排除するのも簡単ではありません。
そのため、ある程度のネットリテラシーを持っていない方は、安易にDAOに参加するべきではないと言えるでしょう。
DAOの始め方・参加方法
DAOを始める方法は非常にシンプルです。基本的には参加したいDAOを見つけて、そのDiscordに参加するだけです。
それぞれの手順を簡単に解説していきます。
STEP1.参加したいDAOを見つける
DAOと一言で言っても非常に多くの種類があるので、まずは参加したいDAOを見つけます。
前述したように、DAOは副業の1つとして稼ぐこともできますが、基本的に「お金が欲しいからDAOを始めたい」という安易な考えで参加しても成果を得るのは難しいです。
自分で率先してDAOに貢献していく必要があるため、DAOが掲げているプロジェクトに興味を持っている人や、DAOの報酬となる内容に魅力を感じている人でなければいけません。
お金目的ではなく自分が興味を持てる・魅力を感じるDAOに参加しましょう。
- 時価総額が高いDAO関連の仮想通貨
- Ape Coin「APE」
- Lido DAO「LDO」
- Internet Computer「ICP」
- Maker「MKR」
- Arbitrum「ARB」
- Aave「AAVE」
- Curve DAO Token「CRV」
STEP2.Discordを使ってDAOに参加する
参加したいDAOが見つかったらDiscordに参加しましょう。
基本的にDAOを紹介しているページにはDiscordのグループに参加するリンクが掲載されています。そちらからアクセスすることでDiscordのグループに参加できるようになります。
Discord自体はDAOとは別のLINEのようなコミュニケーションサービスなので、Discordの会員登録は事前に終わらせておきましょう。
STEP3.運営に携わる
Discordに参加したら、そこでのルールに従って運営に携わりましょう。
基本的に最初は挨拶をして、分からないことがあれば質問をし、プロジェクトの理解を深めていくことになります。
何にせよ率先して交流していかないと分からないままなので、どのように意思決定してDAOが活動しているのか内部から実際に見ていきます。
海外のDAOでもDiscordは日本語訳できるので以下記事を参考にしてください。
Discord(ディスコード)の英文チャットを翻訳するおすすめの方法を解説!
まとめ
DAOはWEB3.0の時代に大きく飛躍していく組織と考えられており、場合によっては株式会社などと並ぶほどメジャーなものになっていきます。
そのため、今のうちにDAOについて深く理解を深めておけば、新しい時代に乗り遅れずについて行けるようになります。
国内のDAOならオフラインイベントなどで交流を深めて、新しい知見で本業に活かせる可能性も出てきます。
ただし、DAOは詐欺に遭う可能性があるので、ある程度のネットリテラシーを身に着けたうえでは始めるようにしましょう。