Celestiaとは?特徴や今後を解説|注目のモジュラー型ブロックチェーン

2023/11/01・

airutosena

Celestiaとは?特徴や今後を解説|注目のモジュラー型ブロックチェーン

Celestiaは、DA(データの可用性)レイヤーを担うモジュラー型のブロックチェーンです。

モジュラー型のブロックチェーンでは、ブロックチェーンに必要な要素をさまざまなブロックチェーンやソリューションによって担います。

複数のレイヤーが各レイヤーに特化した技術を提供することで、よりブロックチェーンをスケーリングさせていくことが可能になります。

Celestiaはそんな中でもDAレイヤーを担い、5,000万ドル以上を資金調達している注目したいプロジェクトの1つです。

この記事では、そんなCelestiaの概要や特徴、仕組みなどについて解説しています。

この記事のまとめ

・CelestiaはDAレイヤーを担う
・ロールアップや実行レイヤーの基盤となる
・低いコストでデータの可用性を向上させる
・DASやNMTといった主要な技術を持つ

Celestiaとは?DA(データの可用性)レイヤーを担うモジュラーブロックチェーン

Celestiaは、モジュラー型のブロックチェーンを志向し、その中で主にDA(データの可用性)のレイヤーを担うブロックチェーンです。

ブロックチェーンにおけるデータの可用性とは、すべての取引関連データが全てのネットワークユーザーにとって利用可能であるという考え方です。

モジュラー型のブロックチェーンにおいて、Celestiaはブロックチェーンの基盤となるコンセンサス・データの可用性を提供します。

これから、モジュラー型のブロックチェーンの概要とCelestiaの概要について解説していきます。

モジュラー型のブロックチェーンの概要

Celestiaについて触れる前に、モジュラー型の基本的な概要についてかんたんに解説していきます。

モジュラー型のブロックチェーンとは、ブロックチェーンに必要な要素を分割して、複数のブロックチェーン・ソリューションで構成するブロックチェーン。

前提として、ブロックチェーンに必要なものには、以下のようなものが挙げられます。

  • 実行
  • 決済、紛争解決
  • コンセンサス
  • データの可用性

シンプルなブロックチェーンでは、上記の全ての要素を単一のブロックチェーンで処理するのが一般的です。

一方で、モジュラー型のブロックチェーンでは、上記の要素を各ソリューションが、1つまたは複数担当します。

逆に、担当している以外の要素については別のレイヤーに渡して、分業に近い形でトランザクションを処理していきます。

モジュラー型のブロックチェーンでは、各要素において特化したソリューション・ブロックチェーンを活用することで柔軟性・分散性・スケーリングをより向上させます。

Celestiaの概要

Celestiaは、モジュラー型のブロックチェーンの中でも、コンセンサスとDA(データの可用性)を担うレイヤーのブロックチェーンです。

実行・決済といった要素を担わないため、CelestiaはコンセンサスとDAに特化しており、DAレイヤーにおけるスケーリング・最適化を行っています。

そのため、Celestiaは単体で動くL1ブロックチェーンというよりも、Celestiaの上でロールアップ・実行レイヤーのソリューションが動く基盤となるブロックチェーンです。

Celestiaは、過去に5,500万ドルの資金調達にも成功しており、モジュラー型のブロックチェーンを志向するプロジェクト代表格の1つです。

メインネットのローンチについても2023年内を予定しており、何かと直近で注目ポイントが多くなっています。

Celestiaの簡単な3つの特徴

これから、Celestiaの特徴について、以下の3つの特徴から解説していきます。

・ブロックチェーンの構築とセキュリティの確保
・さまざまな実行レイヤーの基盤となる
・DAレイヤーにおけるスケーリング

Celestiaの強みや、メリットなどをかんたんにチェックしていきましょう。

ブロックチェーンの構築と共有セキュリティの確保

Celestiaは、ブロックチェーンの構築とセキュリティの確保を容易にします。

現在、多数のブロックチェーンが運用されており、さまざまなブロックチェーンを運用することを前提としたプロジェクトも多数登場しています。アプリ固有のブロックチェーンを志向するプロジェクトやプラットフォームも出てきおり、今後もブロックチェーンの数は増加していく可能性が高いでしょう。

しかし、一般的なブロックチェーンは、各ブロックチェーンごとに独自のバリデーター群を用意する必要があります。

人気の高いプロジェクトは十分なバリデーターとセキュリティを確保できるかもしれませんが、全てのプロジェクト・人気の低いプロジェクトが確保するのは困難でしょう。バリデーター群が十分に確保できない場合、ブロックチェーンの安定性やセキュリティに大きな影響を与える可能性があります。

上記の問題に対する解決策の1つがモジュラー型のブロックチェーンであり、Celestiaもその選択肢の1つです。Celestiaを活用すれば、各ブロックチェーンがDAレイヤーにおけるバリデーターを初めから用意する必要がありません。

Celestiaは、必要に応じてブロックチェーンやソリューションを選択できるようにしロールアップや実行レイヤーに対して共有可能なセキュリティを提供します。

さまざまなレイヤーの基盤となる

モジュラー型のブロックチェーンでは、単一のブロックチェーン・レイヤーが全ての要素を提供しません。

実行レイヤー・決済レイヤー・DAレイヤーなど、複数のレイヤーが用途に応じて組み合わさり、ブロックチェーンとして機能します。

Celestiaが焦点を当てているDAレイヤーは、実行レイヤーや決済レイヤーの基盤となる存在です。

さまざまな実行レイヤー・決済レイヤーをCelestiaが提供するコンセンサス、データの可用性(DA)を元に動かすことができます。

DAレイヤーにおけるスケーリング

Celestiaは、DAレイヤーにおけるスケーリングを提供することを目的としたブロックチェーンです。

Celestiaは、スケーラビリティを「TPSをトランザクション検証するコストで割った数」として定義しています。

TPSを向上させる方法はいくつかありますが、その多くのケースで何らかのトレードオフを要求されることが多いです。

例えば、TPSが向上させると、トランザクションを処理する主体に求められる要件も厳しくなるケースが見られます。

要件が厳しくなってハードルが上がると分散性が損なわれ、ブロックチェーン自体も不安定になってしまう可能性も否定できません。

そのため、CelestiaではDAレイヤーをスケーリングするのはもちろん、後述するDAS・NMTといった技術によってコストの高騰を抑え、DAレイヤーとしての安定性も担保します。

Celestiaの仕組み

これから、Celestiaで採用されている主要な技術などについて解説していきます。

・データの可用性と諸問題について
・データの可用性サンプリング:DAS
・ネームスペースマークルツリー:NMT

Celestiaの仕組みのイメージをさらに掴んでいきましょう。

データの可用性と諸問題について

まず、はじめにCelestiaが担うDAレイヤーの主要トピックであるデータの可用性について解説していきます。

データの可用性とは、データが有効なものか(利用でき公開されているのか)を問うトピックです。

データの可用性が確保されていることで不正を検出したり、ブロックチェーンの状態を確認することが可能になります。

逆に、データの可用性が確保されていない場合、その中に不正なトランザクションが含まれる可能性などが出てきます。

例えば、イーサリアムのロールアップでは、何らかの方法で不正を検知する仕組みを実装した上でトランザクションを処理します。

ただし、その後処理した結果をイーサリアムに渡すことで、データの可用性はもちろん、実行レイヤー以外の要素についてはイーサリアムに依存する仕様です。

ロールアップは、イーサリアムでデータ可用性やその他の要素が補完されていることによりセキュリティを受け継いだ上で、利便性の高い環境を実現しています。

上記のようなデータの可用性を確保するには、フルノードで全てのデータをダウンロードする方法が有効です。

ただし、上記の手法ではノードへの負荷は高まります。そのため、代替案としてライトノード(ライトクライアント)というオプションもあります。

ライトノードは、ブロックの一部分のみ(ブロックヘッダーなど)を参考に、トランザクションの検証はしないノードです。

フルノードよりもノードに対する負荷は低くなりますが、ブロックの一部分のみしか参考にしないので、完璧なセキュリティを確保することは困難です。

一般的なブロックチェーンにおいて、ノードに対する負荷が強くなるとフルノードは減少する一方で、ライトノードが増加する可能性が高くなります。

ライトノードの増加とフルノードの減少は、上記のようなプロセスを担う主体を、より少ないフルノードに集中化させてしまう問題を発生させます。

データの可用性サンプリング:DAS

Celestiaは、データの可用性サンプリング:DAS(Data availability sampling)という独自のアプローチで、データの可用性を確認します。

具体的にはDASによって前述の「ライトノード」でデータの可用性を確保できるようにし、セキュリティを確保した上でDAレイヤーにおけるスケーリングを可能にします。

DASは、不正行為とデータの可用性を証明する技術。DASでは、ブロックの一部分のみをいくつか分割し、それをサンプリングします。

サンプリングを複数回行うことによって、ブロックのデータの有効・無効を判断します。(サンプリングを繰り返し、有効なデータが続けば、有効なものである可能性が非常に高い)

ブロックの1部分のみを参考にすれば良いので、全ての要素を確認する必要がなく、ノードに対する負荷も低くなります。

上記のような背景から、DASを利用するとノードへの負荷が軽減され、ライトノードでもブロックの有効・無効(データの可用性)を判断可能です。

前述した通り、通常データの可用性を確保するにはフルノードでブロックの全てを確認する必要があります。

ただし、ブロックが大きくなればなるほどノードに対する負荷は大きくなり、ノードへの負荷増は不安定な状況を生むことに繋がります。

TPSと検証するコストを考慮したCelestiaが定義するスケーリングにおいても、十分な結果が得られません。

一方で、DASを活用すればライトノードでも実行できる比較的負荷の少ない方法で、データの可用性を確保できます。

ネームスペースマークルツリー:NMT

もう一つ、Celestiaの仕組みの重要な特徴である「ネームスペースマークルツリー」を見ていきましょう。

ネームスペースマークルツリー:NMT(Namespaced Merkle Trees)は、識別子によってリーフが順序付けされたマークルツリー(データを要約・検証するためのデータ構造)です。

Celestiaでは、NMTを利用して特定のデータが完全に提供されていることを証明し、特定のデータのみを実行 or 決済レイヤーに渡します。

NMTが存在することで、Celestia上に構築されている各ロールアップ・実行レイヤーが、関連するデータのみを取得可能になります。

そのため、Celestiaに構築されたロールアップは、他のロールアップやソリューションのデータを取得する必要がありません。

模索されているCelestiaの使用例

上記のような仕組みで動いているCelestiaの使用例について、模索されているものをご紹介していきます。

まず、はじめに模索されているのが、ソブリンロールアップです。

ソブリンロールアップは、データの可用性・コンセンサスなどをCelestiaが担い、実行・決済を何らかのロールアップが担う方式のロールアップです。

イーサリアムの一般的なロールアップと異なるのは、実行・決済の主体はロールアップが担っている点です。(イーサリアムのロールアップでは実行のみ)

決済のレイヤーをロールアップが担っていることにより、ロールアップの権限をより強めることが可能になり、決済レイヤーの干渉を受けずにアップグレードが可能になるなどの特徴が見られます。

また、その他にもデータの可用性のみをCelestiaが担い、実行レイヤーにロールアップ、決済・コンセンサスレイヤーにイーサリアムを組み合わせたCelestiumなどが挙げられます。

Celestiaの今後

10月末にCelestiaのメインネットがローンチされました。

Celestiaの$TIAトークンもBinance、OKX、Kucoin等の取引所に上場しており、トレードが可能な状態となっています。

今後、Celestia以外のモジュラー型のブロックチェーンプロジェクトのローンチも予定されており、同分野のパイオニアとなったCelestiaの今後の動向には注目です。

Celestiaについてまとめ

この記事では、Celestiaについて解説しました。

Celestiaは、モジュラー型のブロックチェーンを志向し、今後DAレイヤーとして実行や決済レイヤーの基盤となる可能性があります。

さまざまな方法でブロックチェーンをスケーリングさせる方法が模索されていますが、その一つとしてモジュラー型のブロックチェーンやCelestiaについて注目していきたいと言えるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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