BINANCE(バイナンス)CEO Changpeng Zhao氏「ICOは必要不可欠」であるとコメント
Yuya
世界最大の仮想通貨取引所 バイナンス(Binance)のCEO、Changpeng Zhao氏がLinkedinに寄稿した記事で、「ICOはただ’良い’どころじゃない。スタートアップには必要不可欠だ。」と発言しています。
Zhao氏はICOの利便性をベンチャーキャピタルと比較し、更にスキャムの多さなどといったよく投げかけられる問題点に対する意見なども書いています。
ICOの良さを明快に解説している一方、ICOがベンチャーキャピタルの上位互換であるかのような記述も多く見られました。
ICOはVCより100倍簡単
「ICOではベンチャーキャピタルより100倍簡単に資金が集められる」と語るZhao氏は、ICOの利点を企業と投資家の二つの観点から解説しています。
ベンチャーキャピタル(VC)ではビジネスプランの説明に大量の時間を費やすことになるが、ICOではホワイトペーパーがその手間を担い、プロジェクトの開発により多くの時間を充てられるといいます。
また、Zhao氏は投資家の視点からみてもICOはVCより優位であると提言します。
VCでは投資にあたり投資家としての知名度が必要な上、有名な投資家に委託する場合も、フィーが発生する上に自分でプロジェクトが選べないなどといった欠点があります。
一方ICOでは、自分の興味のあるプロジェクトを細かく研究した上で投資するため、自由度が高いといえます。
Zhao氏は、ICOにはこういった自由度があるが、それでも投資家はプロジェクトを独自で精査しなければいけないともコメントしました。
プロ投資家はアマチュアよりすごい?
また、Zhao氏は「プロ投資家」への疑問点も投げかけています。
同氏は、VCに投資を行うプロ投資家(エンジェル投資家)は、プロジェクトに関連する業界・技術をきちんと理解していないことが多いと提言しています。
「VC投資家にはスタートアップ経験のないものや関連する技術への知識が全くない人が多いです。また、彼らは投資先のプロダクトを実際に利用することも少ないです。」
「(VC投資家は)多数の業界のプロジェクトに目をつけ、起業家との投資に関する交渉にほとんどの時間を費やしています。」
その一方で、ICOではブロックチェーン業界への熱意・理解の伴ったアマチュアから熟練までの投資家からのサポートが得られるという利点がある、としています。
スキャム・失敗するプロジェクト
ICOでよく問題となるのがスキャムの存在ですが、Zhao氏はこれについて
「(SMS上で銀行送金を促すスキャムがよくあるが)だからといってSMSや銀行の使用を止めるべきですか?既存の業界で行われているスキャム対策は新たな業界でも同じようになされるべきです。」
とコメントしています。
また、ICOの中にはVC同様、事後あまりうまく行かないプロジェクトも多々あります。
「失敗率は高いですが、それでも成功するICOの割合はVCの成功率よりも高いと信じています。」と語るZhao氏は、ICOがVCより成功しやすい3つの理由を挙げました。
「まず、ICOを行うチームは資金繰りにかける時間を短縮できるので、プロダクトの開発により多くの時間を割くことができます。」
「そして、ICOではよりたくさんの資金を集めることができるので、プロジェクトが抱える問題等をより簡単に解決することができます。」
「また、ICOでは資金収集と同時にユーザーベースも獲得できます。ユーザーがトークンを取引・利用することによってプロダクトがどんどん有名になっていきます。」
と語るZhao氏は、「大型機関はまだICOに参入しきっていない。だから、最初に動いたものがたくさんの利益をあげることができるでしょう。」とICOへの投資を推しています。
まとめーICOとVCは比較できるのか…?
以上がバイナンスCEO Zhao氏による記事のまとめとなります。ICOは幅広い投資家層から簡単に巨額の資金を挙げることができ、プロジェクト開発の時間を確保するのにうってつけだということでした。
しかし、同氏はICOをVCと比較し、「ICOは必要不可欠だ」とまで推していますが、これは本当に正しいことなのでしょうか?
2018年第一四半期だけで昨年総ICO数の60%に到達するなど、ICOブームにはいっそう熱が入っていますが、私はICOは必ずしもVCの上位互換ではないと考えています。
ICOではトークンを発行するわけですから、プロジェクトがブロックチェーンをうまく統合したものである必要があります。
しかし現状では、トークンの必要性に疑問点を覚えるプロジェクトが多数あります。ICOでは簡単に資金が集まるので、無理やりトークンを導入しているのでは、という印象を受けることが多々あります。
ですが、近頃はICOに適さないプロジェクトにも株式のように配当のあるトークンを発行するセキュリティ・トークン・オファリング(STO)などが少しずつ現れてきています。
Zhao氏が挙げたようなICOの利点をカバーしつつ、トークン導入の意義の有無に応じた資金収集法がこれからより有名になっていけば、と思います。