TravelBlock(トラベルブロック) – 最適な旅行プランを提供するプロジェクト-
Shota
Crypto Timesは今回、舞浜で行われたd10eというカンファレンスに公式メディアパートナーとして参加させていただきました。
今回のカンファレンスは、Crypto Timesでも紹介させていただいたNYNJAなどを含め様々なプロジェクトが参加していました。
メッセージアプリケーション NYNJA(ニンジャ)にプロジェクトインタビュー – CRYPTO TIMES
その中でも、旅行代理店(Online Travel Agent : 以後OTA)の既存の仕組みを潰すと宣言していたTravelBlock(トラベルブロック)というプロジェクトが面白そうだったので紹介させていただきます。
従来のOTAの仕組みを軽く説明しながら、このプロジェクトの仕組みや特徴などを紹介していきます。
目次
従来の旅行代理店の仕組み
1996年にExpediaが設立されて以来、22年間の間、OTAはExpediaが提供する仕組みによって成立していました。
図を作ってみましたが、この場合一般のユーザーはExpediaが提示する$500未満の価格でホテルを予約できる可能性はほぼ皆無です。
一方で一般ユーザーと対比させてプレミアムユーザーと書きましたが、これらのユーザーはホテルに対して数千ドルを支払うことでこのPrivate価格で宿泊する権利を得るため、ごく一部の限られたユーザーのみにこの価格が提供される仕組みになっています。
TravelBlockは、トークンを発行して新たな経済を作り上げることで、一般のユーザーに対してもPrivate価格でホテルを提供することを可能にします。
TravelBlockが実現する新たな仕組み
さきほど、一般のユーザーが最安値として認識していたExpediaなどのOTAは、実は最安値ではなくExpediaがホテル側と契約した価格に過ぎなかった、というお話をしました。
しかしTravelBlockのウェブサイトを利用すると、すべてのユーザーはPrivate価格でホテルを予約し宿泊することが可能になります。
正確には、トークンを購入することがユーザーによるクローズドな消費者グループを形成することにつながり、TravelBlock側がホテルに対してより安価で契約を結ぶことを可能にします。
このシステムはトークンを発行しなければ、従来のOTAのモデルでは決して行うことができなかった仕組みであると考えています。
TravelBlockの特徴
旅行代理店としての基本的なサービス
従来のOTAと同様に、ホテルの予約から、航空券、レンタカーなど様々な旅に関連するサービスが提供されています。
ICOを行いトークンを発行するということで、ユーザーの獲得が難しそうにも見えますが、クレジットカードでの決済にも対応しているようです。
独自のプラットフォームなどではなくウェブサイト上で24時間365日、ホテルや航空券などの予約を行うことができます。
TravelBlock独自のサービス
クレジットカード決済と書きましたが、TravelBlockではクレジットカードでトークンを購入しホテルの予約を行います。
このトークンを保有することによってPrivate価格で通常より30~60%安い価格で予約をすることができます。
また予約の際には、TravelBlockが提示するPrivate価格とExpediaなどのOTA8社が提供するPublic価格の差が表示されるため、どの程度お得であるかを一目でチェックすることができます。
TravelBlockに対する考察
このプロジェクトは、見る視点によって評価が大きく異なると思うのでそれぞれの立場から考察していきたいと思います。
一般消費者
いままでExpediaで$500であったホテルが$300になるわけですから文句なしだと考えられるでしょう。
問題としては、予約のフローが『クレカ→仮想通貨→予約』となる点で、各国により異なる規制や税制に対してどう適応していくか、消費者の仮想通貨に対するイメージや印象をいかにうまく与えられるかという部分には注目しておきたいですね。
仮想通貨投資家
トークンにブロックチェーンを導入しているが、いまいち透明性や改竄ができないなどの特徴をうまく生かし切れていないのでは?と考える人がいてもおかしくないプロダクトです。
しかし、すでに動くプロダクトが完成していてユーザー数も多いので、大多数への普及を考えると早い段階で仕込んでおくのは悪くないかもしれないですね。
ビジネスサイド
経営側としてはトークンを発行した新たな経済モデルの上で、従来のExpediaでは価格を落とすことが(ROI的な意味で)できなかった問題を解決することのできるWIN-WINのモデルを創り上げることに成功しました。
消費者側・経営側にとって十分満足に値するサービスの提供ができている点だけを見れば、非常によく考え抜かれたモデルだと思います。
個人的な意見
ブロックチェーンを利用してトークンを発行する点において、イノベーションなどの大きな一点にこだわるのも一つの楽しみ方であり評価の基準であると思いますが、結局はより多くの人間が満足する大きなスケールでのWIN-WINを勝ち取れたものが生き残っていくのがビジネスだと思います。
そういう意味ではTravelBlockもトークンエコノミクスこそは他に劣る部分はありますが、より実用的なプロダクトとして名を馳せていくのではないかと考えています。
まとめ
d10eへ公式メディアパートナーとして参加した中で、少しイノベーションを盲目的に追うプロダクトとは別の、ビジネスというベクトルから考えられたTravelBlockを紹介させていただきました。
普段は技術やイノベーションについての話ばかり耳にしていたので、あれ?と思う部分もありましたが、全体的に消費者・ユーザー目線で考えられたプロダクトが多かったイメージです。
分散型で透明性があってトラストレスだから善であり、これらをフル活用できていないから悪であるという二元論的な考え方を修正するいい機会になったカンファレンスだったと思います。