KILT Protocol / $KILT とは?プロジェクト概要を徹底解説!
さっちゃん
KILTは、セルフソブリン(自己主権型)で検証・取り消し可能なクレデンシャル情報を発行するブロックチェーンプロトコルです。
クレデンシャルとは、個人の認証に必要なIDやパスワードなどの情報です。
個人の情報をブロックチェーン上で自己管理することが可能で、しかも匿名性を持ちながら高いセキュリティでも守られています。
さらに、ネット上に広がる自分の情報を分散型ID(DID)として管理も可能です。
この記事では、KILTが実行するこれらのID検証サービスや資格情報発行の仕組みについて徹底解説します。
目次
KILTの公式リンクまとめ
Webサイト | https://www.kilt.io/ |
---|---|
プロダクト | – |
@Kiltprotocol | |
Medium | https://kilt-protocol.medium.com/ |
Discord | https://discord.com/invite/HztRqvzbhG |
Telegram | Chat/Announcement |
github | https://github.com/KILTprotocol |
フィッシングサイト/スキャムサイトに誘導されないためにも、公式リンクのブックマークやSNSアカウントのフォローをおすすめします。
KILTの特徴・注目ポイントを解説
KILTは、個人や企業などの重要な個人データを、高い検証技術や信頼性、匿名性などを有したまま分散型IDやクレデンシャル(認証に用いられる情報)として発行するプロトコルです。
PolkadotのKusamaネットワークにおけるパラチェーンオークションで、6番目にスロットを勝ち取りました。
海外取引所のMEXCを始め、KILTコインの上場も注目です。
ここでは、KILTがブロックチェーン技術とPolkadotネットワークで行う新しい分散型IDのビジネスモデルについて解説します。
- KILTの特徴
個人データの管理を所有者に戻す新しいビジネスモデルを目指すプロジェクト
KILTの目標は、個人や企業の資格情報・証明情報などのデータを、中央集権的な管理者ではなく、個人が自己的に管理できるようにサポートすることです。
Polkadot/Kusamaのパラチェーン接続を目指したのは、Poladotの相互運用性により信頼性の高いインフラストラクチャと繋がったり、セキュリティの高いPolkadotのブリッジを介して安全に外部チェーンとやり取りできるためです。
KILTがどのように目標を達成しようとしているのかというと、資格情報(パスポートや運転免許証などの情報)をブロックチェーン上で非公開のデータへ変換し保存、代わりにクレデンシャル・分散型IDを発行して所有権を確保するイメージです。
それらは、信頼できる証明者(Attester)によって確認し、検証可能でかつ取消可能な情報として保存します。
もう少しイメージしやすくするために、具体例を用いて解説します。
証明者 (Attester) | 「証明書情報が正しいことをブロックチェーン上に記録する者」です。証明者になるには信頼性が求められます。ここでは、「運転免許証情報の証明」を例に説明するので、例えば自動車メーカーのTOYOTAとしましょう。 |
---|---|
請求者 (Claimers) | 証明書を受け取る・利用する私たちユーザーです。(厳密には個人や組織だけでなく、人工知能を持つデータや券売機などのマシンも対象になりますが、ここでは理解しやすいように私たち個人と考えます。) |
検証者 (Verifiers) | 証明書の情報を利用したい対象です。例えば、年齢確認のためにユーザーの免許証を確認したいマッチングアプリの運営会社としておきましょう。 |
ここで、個人(私たち)がマッチングアプリを利用したいとなったとき、どのように個人プライバシーを保ったまま、身分証明を行うかを上手の流れに沿って解説します。
- ユーザー(請求者)はTOYOTA(証明者)に運転免許証を持っていることを主張する(ここでKILTコインを支払う)
- TOYOTA(証明者)は運転免許証を確認し、情報をブロックチェーン上にデータを変換して保存、クレデンシャル(KILTで使う証明書のようなもの)をユーザーに発行する
- ユーザー(請求者)はアプリ会社(検証者)にクレデンシャルを提出し、アプリ会社はクレデンシャルが正しいかをブロックチェーン上で確認する
これでユーザーはプライバシーが保たれたまま、身分証明書の情報を利用することができました。
ここで、大事なことが2つあります。「アプリ会社が照会したことはTOYOTAにはわからない」「アプリ会社は身分証の年齢部分のみを確認する」です。
まず、証明者(TOYOTA)は証明書の正しさを検証してクレデンシャルを管理するだけなので、それがどう使われているかを確認することができません。これによってユーザーのプライバシーが保護されているわけですね。
また、ユーザーがクレデンシャルを提供する際、検証される部分が「生年月日情報のみ」ということであれば、アプリ会社はその情報のみを検証します。そのため、住所や運転免許証ナンバーなどの公開したくない情報は保護されます。
- Attesterの信頼性について
- 証明者(Attester)が信頼に値する者でなければ、KILTの仕組みは成り立ちません。構造的にはKILTコインを受け取ることで、不正をはたらくインセンティブがなくなるように設計されているのではないかと考えます。
SocialKYCによる分散型ID検証導入で資格情報の管理・保存・提示が可能
KILTは、検証可能な資格情報を変換してブロックチェーンで管理するオープンソースのプロトコルです。
その資格情報は非公開のまま所有できる分散型IDとなります。
SocialKYCは、このような政府発行の資格情報だけでなく、デジタルIDが広く使われるソーシャルアカウントやメールアドレスなどを検証し、IDとして確認できる仕組みです。
例えば、TwitterやTikTok、Discord、Githubなどのアカウントです。
一企業と子会社間でこれらのID情報は頻繁に共有されていましたが、KILTのSocialKYCであれば非公開のまま多くの分散型ID情報だけを認証できます。
そのビジネスモデルは以下のように評価されています。
- Polkadex:取引所のKYCシステムを簡素化するためSocialKYCを導入
- GameDAO:SocialKYC導入によりコミュニティとの信頼や参加者増加という利点に注目
- DeBioNetwork:SocialKYCはユーザー主権の保証となる
このように、メリットとしてユーザーは資格情報やソーシャルアカウントの繋がりを、取引所やゲーム、メディアなど多くのサービスで自分の分散型ID情報として提示し証明が可能となります。
特にDeFiやゲーム業界で注目されそうですね。
KILTの分散型IDだけで、多くのサービスへ自分のID情報を安全・正確に提示できるようになると、様々な分野へのアクセスが容易になり、ユーザーの未来が広がります。
資金調達メカニズム「Polimec」でトークン発行により流動性を持たせる
KILTは、Polkadotエコシステムの資金調達メカニズムとして「Polimec」を構築しています。
Polimecでは、まだトークン販売の準備が整っていないプロジェクトでも、トークンの発行や送金が可能となり、流動性をもらたすことが可能です。
Ethereumでトークンを発行する規格であるERC-20に似ており、Polkadot版のERC-20ともいえます。
図のように、PolimecはKILTチェーンと別にあるオープンソースのブロックチェーンシステム(Polkadotのパラスレッド)ですが、開発者はKILTです。
Polimecでトークンを発行するとき、KILTの分散型IDシステムが組み込まれているので、適切に本人確認して資格情報の証明が可能です。
これは、詐欺まがいでトークンを発行するプロジェクトはPolimecを使用できないことを意味します。
信頼できるプロジェクトは、新トークンの発行やPolimecから他のパラチェーンへの転送、そしてプロジェクトの準備ができ次第全ての残高をメインネットに移行することができます。
Polkadotで展開する新しいプロジェクトにとって、Polimecは流動性をもたらし簡単に移行できるので広く必要とされそうですね。
Sporran Walletにより資格情報を追加してKILTのデジタルIDを発行できる
Sporran Walletは、KILTのIDプロトコルからKILTコイン残高を読み取り、表示させるための拡張機能です。
さらに、Sporranの機能でKILTのデジタルIDを作成できます。
つまり、個人ユーザーが簡単にKILTブロックチェーンのデジタルIDを発行したり、トランザクションに署名したり、KILTコインの管理もできるという機能です。
2021年11月時点ではウォレット機能のみ利用できる状態ですが、今後、KILTのデジタルID情報を保存し、管理・提示までできるようになります。
ウォレットアプリで送受金を操作するかのように、自分のID資格情報を操作して、呼び出しや提出できるとかなり便利ですね。
Stakeboardとの連携でKILTコインのステーキングが可能に
Stakeboardは、KILTブロックチェーン専用のステーキングアプリケーションです。
KILTブロックチェーンのコレーターにステーキングして、ブロック生成に成功すると報酬を獲得できます。
このアプリはSporran Walletを読み込むので、KILT残高を自動で認識します。
実際のStakeboardを見てみると、上のように多くのコレーターにKILTコインがステーキングされています。
ステーキングできる数量は、最低1,000KILTと手数料1KILTです。
KUSAMAパラチェーンオークションのクラウドローン報酬として、KILTコインを受取ったユーザーが一足先にステーキングして報酬に繋げていると考えられますね。
KILTコインは手数料支払いやガバナンス、ステーキングに使用できる
KILTのネイティブトークンKILTコインには、主に3つのユーティリティがあります。
今後さらに使い道が追加される予定ですが、現時点で決まっているユーティリティ(画像の1・2・3)は以下の通りです。
- 請求者がデジタルID証明のために支払う手数料
- オンチェーンで記録するための取引コストや、ガバナンス投票など
- ブロック報酬の受取のためのステーキング
オンチェーンガバナンスやステーキングはほとんどのプロジェクトで採用しています。
KILT独自であるのは、デジタルIDの証明や取消などに必要な手数料をKILTコインで支払うという点です。
- 2021年11月MEXC上場
- KILTコインが最初に上場したのはMEXCです。KILT/USDTのペアで2021年11月25日から取引開始となりました。
KILTのTokenomics
KILTはネイティブトークンとして「KILT」を発行しています。
開発者やコミュニティ、サポーターへの詳しい分布は公表されていませんが、鋳造されたKILTコインの権利確定については公式に発表されています。
ここでは、KILTコインの発行内訳やクラウドローンの報酬配布について解説するので参考にしてくださいね。
- KILTのTokenomics
TGEで1億5,000万枚のKILTコインがプレミントされ供給開始
KILTコインは、トークン発行する「トークンジェネレーションイベント(TGE)」で1億5,000万枚のKILTコインを発行しました。
1億枚はコミュニティ利用分、5,000万枚は開発チームであるBOTLabsへ、60か月間の直線的に権利確定されます。
コミュニティ分の1億枚の内訳について以下にまとめます。
- 2,700万枚:ロック期間なし
- 1,500万枚:6カ月のロックアップ
- 2,800万枚:6カ月の直線的権利確定
- 3,000万枚:12~24か月の直線的権利確定
上の画像でわかるように、このうち450万枚のKILTコインはクラウドローン用に準備され、すでに配布が終わっています。
そして、KILTコインは、コレーター・デリゲーター・トレジャリー部門に配布されますが、それらの内訳は公開されていません。
Kusamaクラウドローン報酬分は450万トークン
KILTはKusamaネットワークの第6回パラチェーンオークションで勝利し、スロットを獲得しました。
このクラウドローン報酬として450万枚を用意しており、参加者は1KSMあたり最低でも25KILTコインが付与されます。
配布されると、KILTコインの一部は6か月にわたり直線的な権利確定となりロック解除される流れです。
KILTのパートナー・提携情報まとめ
KILTと提携してエコシステムを盛り上げるパートナーや、BOTLabsが加入するプログラムを紹介します。
BOTLabsは、KILTを開発するドイツの有限会社です。
プロジェクトと開発会社それぞれが繋がりを持つ他のチームを知っておきましょう。
KILTの開発会社BOTLabsが加入する組織・プログラム
上の画像は、KILTの開発会社であるドイツのBOTLabsがメンバーとして加入する組織やプログラム一覧です。
ドイツ企業が多いので、それぞれ簡単に紹介します。
- INATBA:ヨーロッパを中心に活動するグローバルブロックチェーン協会
- BUNDESVERBAND:ドイツのブロックチェーンテクノロジーを推進するドイツ経営者連盟
- DIF:分散型IDのオープンエコシステム確立・相互運用確保の組織
- BerChain:ベルリンのブロックチェーンコミュニティ・ハブ
- parity:Substrateブロックチェーンフレームワーク(ビルダープログラムとして)
- ブロックチェーンforEU:ヨーロッパ向けのブロックチェーン技術推進組織
Substrateのビルダープログラム以外はすべてヨーロッパやドイツ系の組織です。
KILTは世界中にコミュニティが広がっていますが、基盤のBOTLabsは拠点をドイツとしているので、ドイツのコミュニティを特に重視していることが分かります。
KILTエコシステムに参加するプロジェクト
- エコシステム加入プロジェクト
- Finoa、Glacier、Web3 Identity Lab、Moonbeam、Polkadot、FRACTAL、DeBio、Acala、SUBSCAN、onfinality、SRLabs、Stakeboard、SPORRANなど
KILTのエコシステムに参加するパートナー一覧です。
デジタルID発行やステーキングでKILTに新機能をもたらすSPORRANとStakeboardについてはKILTの特徴でも紹介しました。
Polkadotのパラチェーンオークションで注目を浴びたAcalaとMoonbeamもパートナーです。
AcalaはPolkadot上のDeFiハブを目指しており、KILTはAcalaにトークンを移動することでKILTコインの様々な活用の幅を広げます。
Moonbeamは、KILTが作成するPolkadotの流動性メカニズム(Polimec)を統合しました。
Polkadot系のプロジェクトと横のつながりを持つことで、KILTの機能が利用されたり、またKILTの活動の幅が広がったりするのがわかりますね。
KILTの出資VCや資金調達元の情報まとめ
KILTの資金調達情報や出資するベンチャーキャピタルを解説します。
といっても、KILTは公に資金調達ラウンドを実施していません。
それでも十分な開発資金やクラウドローン貢献者への十分な配布が行われているので、資金源はしっかりしています。
分散型ネットワークとなりさらに変化するKILTの資金に関してまとめるので、ぜひ目を通してくださいね。
- KILTの資金調達元
資金調達ラウンドは実施せず自己資金がメイン
KILTはこれまで資金調達ラウンドを実施していません。
多くのプロジェクトがトークンイベントやシードラウンドなどで資金を得ていますが、KILTは行わず自己資金で運営・開発しています。
自己資金で賄える理由は、KILTのCEOであるIngoRübe氏が、ドイツの大手メディア兼VCでもある「Hubert Burda Media」のCTOを兼任していることが大きいです。
Hubert Burda Mediaは、ドイツ最大のメディア企業の一つで、世界中の400を超えるメディア印刷やデジタルブランドを担う実績があります。
数々の資金調達ラウンドをリードする資金力があり、2018年度は27億ドルの収益があることから、KILTのバックを支える大企業といえます。
具体的な資金提供などの情報はありませんが、KILTのこれまでの開発資金やクラウドローンでの自己投資は十分であり、資金調達を行う必要はなかったと考えられます。
- 完全分散化による変化
- KILTは2021年11月に完全に分散型ネットワークとなりました。そのため今後の資金はWeb3財団の助成金とトレジャリーからの支給となります。
Web3財団の助成金を2回受領
KILTはWeb3財団の助成金を2回受領しています。
2020年の第一四半期Wave5で、匿名性を確保しながら資格情報を提示したり、取り消したりする際の機能で採用されました。
同じく第三四半期のWave7では、Polkadotの資金調達メカニズム「Polimec」に関する開発助成金です。
どちらもKILTの重要で欠かせない機能であり、必要性を認められ助成金を得られました。
KILTのコアメンバーを紹介
KILTを立ち上げ、開発にあたるコアメンバーと有力なアドバイザーを紹介します。
大元である開発企業はドイツのBOTLabsです。
といってもチームは分散化しておりグローバルなメンバーが揃っているので、彼らの能力や経歴をぜひチェックしてくださいね。
- KILTのコアメンバー
創設者兼CEO INGO RÜBE氏
IngoRübe氏は、KILTの創設者であり、KILTの開発会社「BOTLabs」のCEOでもあります。
さらに、ドイツの大手出版社であるHubert BurdaMediaのCTO(最高技術責任者)を兼任しており、出版用の無料オープンソースコンテンツ「Thunder」を開始した実力者です。
ベルリン工科大学出身で、過去にはヨーロッパ大手のメディア企業「AxelSpringer」のITプロジェクトディレクターを6年以上務めていました。
デジタル戦略とコンテンツ管理に長けており、大手メディア業界での幅広い経験を持ってKILTを立ち上げたと分かります。
事業開発副社長 CHRISTINE MOHAN氏
CHRISTINE MOHAN氏は、ソフトウェアとデジタルメディアで25年の経験があり、ニューヨークの新興企業でブロックチェーンプラットフォーム立ち上げや戦略コンサルに携わってきました。
KILTでは事業開発担当の副社長として、エコシステム開発やマーケティングなどに従事しています。
過去にはWeb3財団のマーケティング責任者も務め、DOTトークンの販売を促進しました。
運営ディレクター MATTHIAS MÖLLER氏
MATTHIAS MÖLLER氏は、BOTLabsの運営ディレクターであり、メディア業界向けのデジタルサービスの開発で長く責任者をしています。
Hubert Burda Mediaでもプロジェクト管理や技術責任者の経験があり、ドイツのメディア業界に精通していることがわかります。
英語、ドイツ語、イタリア語の言語をマスターしており、グローバルなブロックチェーン業界でリーダーシップとなるには適任です。
Hubert BurdaMediaの理事会員 PHILIPP WELTE氏
KILTのアドバイザーにおいて、Hubert Burda Mediaの理事会メンバーであるPHILIPP WELTE氏の存在は大きいです。
1998年からHubert Burda Mediaの一員として子会社の創設やディレクターなどを務めました。
2009年から理事会メンバーとしてさまざまなプロジェクトのアドバイザーを兼任しています。
KILTのバックを支える、超強力な権力や莫大な資力を握る人物と考えられます。
KILTのロードマップ(2021年12月時点)を解説
KILTが達成してきた項目を確認するために、これまでのロードマップをまとめます。
公開されているのは2021年にテストネットを立ち上げてからのロードマップ(上図)です。
この内容に沿って解説するのでぜひ参考にしてくださいね。
- KILTのロードマップ
テストネット「Mashnet」の立ち上げ
2021年第一四半期、KILTはテストネットである「Mashnet」を立ち上げています。
Polkadotの公式ウォレットであるPolkadot{.js}にて、Mashnetを接続すれば操作できる仕様です。
KILTデモアプリやMashnet用のコイン(無価値)で操作のテストし、メインネットローンチ前に問題なく機能を確認できました。
PolkadotのテストネットROCOCOに接続
2021年3月、KILTはAcalaNetworkとAstarNetworkに次いで、3番目にROCOCOパラチェーンに接続しました。
ROCOCOはパラチェーン構築用のPolkadotのテストネットです。
パラチェーンと同じコードで実行されるROCOCOで、KILTは正常に稼働し始めたのでPolkadot・Kusamaのパラチェーンに接続する準備が整った証拠です。
Kusamaパラチェーンオークション勝利・メインネット立ち上げ
2021年9月、KILTはKusamaパラチェーンオークションで6番目に勝利してスロットを獲得しました。
パラチェーンに接続し、次の段階であるガバナンス・トレジャリーの導入やパラチェーンへKILT機能の追加を行います。
最終的に、KILTの権限でプログラムを実行する「sudoキー」を削除して、完全に分散化する予定であり、これは2か月後に達成されることになります。
KILTのメインネットはすぐに起動し、コレーターの強化やガバナンス開始、ステーキングの準備が始まりました。
2021年11月KILTメインネットにて監査完了
KILTが完全に分散化する最終段階として、セキュリティ監査を行う必要があり、2021年11月に完了しました。
サイバーセキュリティコンサルタントである「SRLabs」によって、KILTのブロックチェーンや開発キットSDK、SporranWalletについて監査が実施済みです。
SRLabsはPolkadot系のプロジェクトで多く監査を務めています。
監査の結果、8つの問題が指摘されましたが、KILT開発チームによるアップグレードで解決されました。
完全な分散型ネットワーク構築
2021年11月11日、KILTが完全に分散化されたネットワークに移行したと発表されました。
Sudoキーが完全に削除され、KILTのコミュニティにガバナンスシステムが移ることで、ネットワークへの変更がKILTコイン所有者で提案・実行できるようになります。
今後、KILTの開発会社BOTLabsは、コミュニティ全体でネットワークを管理するためのガイドを公開します。
例えば、KusamaからPolkadotパラチェーンへの移動提案も投票で行われると予想されており、さらなる進化に期待です。
- KILTの最終目標
- 最終的にはブロックチェーンプロジェクトの枠を超えて政府にデジタルIDを提供し、重要インフラの一環となり技術を構築することを目指します。
KILTの競合・類似プロジェクトと徹底比較
KILT | Litentry | Manta/Caramari | |
---|---|---|---|
コンセプト | 自己主権型で検証と取消可能な 匿名のクレデンシャル情報・DIDを発行 | 分散型ネットワークでユーザー識別の リンクを可能にするアグリゲーター | プライバシー保護の ブロックチェーンアプリケーションプラットフォーム |
仮想マシン | 未実装だがPolimecでMoonbeamと 統合によりスマコン機能提供可能 | 未実装だがPatractと 統合によりink!でスマコン開発 | 将来的にWASMやZKVMの スマコンプラットフォームを構築 |
トータル供給(Polkadot) | – | 1億枚 | 10億枚 |
トータル供給(Kusama) | 1.5億枚 | – | 100億枚 |
Web3助成金 | 2回受領 | 1回受領 | 1回受領 |
Backers | Web3Founderなど | Hypersphere、PAKA、 FBG CAPITAL、CANDAQ、NGCなど | PolychainCapital、MulticoinCapital、 LONGHASH、CoinFund、Hypersphereなど |
KILTの類似プロジェクトとして、LitentryとManta/Caramariを比較しています。
3つすべてが個人情報・プライバシー問題に焦点を当てており、ブロックチェーン上で分散して管理するプロジェクトです。
セキュリティ問題や速度・ガス代を考慮してPolkadotネットワークを選んでおり、スマートコントラクトは間接的・将来的に対応可能となります。
大きな違いは、Backersとしてプロジェクトに投資する企業がKILTのみ存在しません。
自己資金と助成金、トレジャリーでKILTを維持できる巨大な財力を持つとわかります。
KILTのまとめ
この記事では、KILTのプロジェクト概要やKILTコイン、出資元や開発メンバーなどについて徹底解説しました。
個人情報をブロックチェーン技術により自己主権的に管理することを、個人からビジネス、国レベルへ展開していくプロジェクトだと理解できたと思います。
もう一度KILTの重要ポイントを振り返りましょう。
- KILTのまとめ
- 個人の資格情報を検証可能・取消可能・匿名性を保ちながらクレデンシャル情報を発行する
- KILTの信頼できる証明者によって資格情報をブロックチェーン上に保存できる
- Kusamaパラチェーンで展開することで高い信頼性とセキュリティを持つ
- KILTコインは資格情報の請求やステーキング、ガバナンスで利用できる
- 完全な分散型ネットワークに移行済みなのでコミュニティ主権でKILTの方針が決まる
KILTはドイツのBOTLabsが開発企業ですが、サポートメンバーやコミュニティは世界的に分散しています。
また、KILTの完全分散型により、アップグレードや展開はコミュニティ全体で決めることになり、まさにWeb3の世界に移行しました。
KILTの考えや技術が世界的に広まることで、未来の本人確認手段は大きく変わるかもしれません。
従来までのリスクや手間がなくなり、KILTの分散型ID・クレデンシャル情報で自己を証明できる世界はそう遠くないでしょう。