Matrix AI NetworkがCEOや技術リードによるAMAを実施
Yuya
先日、Matrixの大型アップデートが行われたタイミングで、YoutubeにてAMA (Ask Me Anything)が行われました。AMAにはCEOのOwen、主任AIサイエンティストのDeng、主任AIアーキテクトのLiuおよびマーケターのAlfredが参加しました。
こちらのリンクからAMAの録画をご覧できますので、参加できなかった方はご確認ください!本記事では40分のAMAからいくつかの質問を抜粋してご紹介したいと思います。
第一部
AMAの冒頭にはまず、OwenおよびLiuからMatrixのアップデートやMatrixの設計思想などについて簡単な紹介がありました。
今回のアップデートとしては主に三点、
- AIマイニングの実装
- データストレージの最適化
- マスターノード選出アルゴリズムの変更
が行われました。3点目の変更によって、ノードは3日に一度は選出を受けるよう変更がなされ、よりネットワークの分散性が増す変更になったと考えられます。
主任AIアーキテクトのLiuからは、Matrixの根本的な設計思想について説明がありました。
中央集権的な運営主体を排除しようと努める分散ネットワークの形成において、各ノードがコンセンサスを得るためにPoWを使用しています。具体的にノードが何をしているかというと、ノードはひたすらに実応用の聞かないハッシュを永遠に計算し続けているのです。
この計算力の無駄を活かすことができないのか?これがMatrixの根本にある思想です。
一方で、計算力を必要とする分野として機械学習が挙げられます。例として、画像分類ネットワークを考えてみましょう。これは152層および6000万のパラメーターによって構成されており、130万の画像によってトレーニングを行う必要があるものとします。
もし、このモデルを1つのGPUノードによってトレーニングする場合、19日を要します。永遠とハッシュを計算し続けるならば、その計算力をこれらの機械学習に応用できないでしょうか?
ブロックチェーンと機械学習、この2つの分野のギャップに橋を架ける存在になることがMatrix AI Networkが目指す姿です。
第二部
ここからがAMAとなります!第二部では事前にコミュニティから募集した質問への回答が行われました。(第三部では中継中にコメント欄で受け付けた質問への回答)
以下にいくつか抜粋してご紹介します。詳細は録画映像をご覧ください。
Q. AIサービスの提供という枠を超えて、新たな機能を提供するのはいつ頃になるでしょうか?
A. Matrix AI Networkは現在、分散化クラウドコンピューティングプラットフォームの開発を行っており、2020年には開発が終了する予定です。2020年の第2四半期にはPhase1を迎えられるのではないでしょうか。
Q.Matrixはどのように顧客にアピールしていくのか?
A. クラウドコンピューティングプラットフォームとして、現在Matrixはクラウドサービス会社と戦略的協定を結んでおり、今後もその数を増やしていく予定です。パブリックとしての側面では、現在Matrixは投資をしている段階だと認識していますが、分散コンピューティングプラットフォームというものは消費者にとって魅力的なものであると考えています。
また、直近ではMatrixはAIによる故障予測サービスに焦点を当てています。現在、機械のメンテナンスには年間6000億米ドルが消費されていると試算されており、適切に機械の状態を把握および予測することで、故障およびその防止に対して適切な行動をとることが可能となります。
これは非常に需要のあるサービスだと考えており、Matrixがアプローチすべき課題だと考えています。
Q. 一般的な話として、FPGAを用いたマイニングについてのご意見をお聞かせください。
A. FPGAは非常に便利なものではありますが、マイニングという観点では計算力が不足しており不適であると思われます。また、FPGAは実はGPUよりも高価であるため、この業界のソリューションには適していません。
Q. (Matrixに関連するものとして)AI分野における領域の中で、最も予想外の発展があったものはどういった技術ですか?
A. 私の知っている限りでは、音声ベースの機械学習でしょうか。ここで音声、というのは人間の言語ではなく、自然界における音声シグナルです。現在、ほとんどの研究は映像シグナルや英語の解析を対象としています。
しかしながら、視覚と同じくらい重要な情報を伝えるものとして我々は音声を忘れてはいけません。
例えば、とあるプロジェクトでは機械のエラーを検出するために音声シグナル分析を行っています。機械がエラーを起こす際、通常とは異なるノイズが発生しているのです。そこで、これらを解析することで不具合を発見し、また未来の問題を見つけることも可能になるかもしれません。
また、興味深い研究として、鳥のさえずりを解析することで空港上空での鳥の分布を解析するプロジェクトがあります。空港における機体への鳥の衝突は非常に大きな問題であることはご存知かと思いますが、このような解析手法を用いることで鳥が飛行する高度を推測し、このような事故の確率を低下させることができます。
こういった音声分析は将来的に非常に重要な分野であり、実際にユースケースを獲得する領域になうと思います。
Q. 技術面および規制面について、Matrixが直面するであろう最大の課題はなんですか?またそれをどのように解決していくのでしょうか?
A. まず開発についてですが、最大の課題は我々が開発しているプロダクトが全く新しいものであるという点です。他者から学んできた経験が少ない中で、新しいプロダクトを作るためには常にリサーチを行い、多くの論文を読み議論を重ねる必要があります。
一旦開発を終えても、作動確認や安全性の確認などを多くのテストを行う必要があり、これらが一番の課題となります。
規制面については、異なる業界や企業から協力を得るために最善を尽くしています。我々の技術をぜひ使用してもらい、彼らの技術やサービスをアップグレードしてほしいと思っています。現時点でブロックチェーン技術に対して、好意的な企業は増えてきており、これは非常に良いことだと思っています。
Q. Matrixウォレットに搭載されている物体認識機能のユースケースを教えてください
A. 例えば、想定される1つのユースケースはカロリー計算機能です。食事を取る前に食べ物にカメラを向けてみるとどの食べ物がカロリーをどれくらい持っているのかを表示することができます。またこれらはデータベース化することも可能です。
Q. マスターノードのROIを上げるための方策はありますか?
A. 分散クラウドコンピューティングプラットフォームが1つのキーポイントになると考えています。プラットフォームがローンチした後、マイナーはマスターノードに選ばれていない間はAI計算力が必要なユーザーに計算力を貸し出すことが可能になります。従って、プラットフォームの使用ユーザーが増えれば増えるほど、ROIの上昇が見込めます。
Q. Matrixプラットフォームとしての安定性を確保するためにどれくらいのノードまたは計算力が必要になると推定していますか?
A. 前もって定義した数字をありませんが、現時点では言語学習の応用に取り組んでおり、許容されるであろうユーザー体験を実現するためには最低でも200のCPUが必要だと考えています。
第三部
配信中に視聴者から集まった質問にライブで回答を行いました!以下、抜粋の回答になります。
Q. Matrixの開発チームの人数は?
A. およそ70人です。
Q. Matrixの専用マイニングマシーンの販売はいつ頃になりますか?また値段はどれくらいになるでしょうか?
A. パートナー企業が現在Matrix専用マシンのデザインを行っております。おそらく来月には販売方法や値段について彼らから一部アナウンスがあるのではないかと思います。
Q. 5年後のMatrixをどのように予想しますか?
A. 我々はまだ分散クラウドプラットフォームを構築しようと試みている段階であり、5年後に言及するのは非常に難しくありますが、まずこのシステムが大きく巣立ってほしいと願っています。そして、世界に最も低価格で計算力を提供できるようにしたいと考えています。
さらに、1–2年以内には自動機械学習類型検索 (auto-deep learning typological serch)を含むプラットフォームの完成を達成したいと思っています。
AMA要約は以上になります!
以前のAMAと比べると実装も格段に進んでおり、過去のAMAよりさらに充実したものになったのではないでしょうか。普段発表されない情報も多かったかと思います。
今後もAMAが開催される際はぜひご参加ください!