Stacktical(スタックティカル) Parisミートアップレポート
Yuya
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Crypto Timesは、9月11日にフランス・パリにて開催されたStacktical(スタックティカル)のミートアップにメディアパートナーとして参加しました。
同イベントでは、近頃注目されているDevOps(デブオプス)とスマートコントラクト開発環境の関係性についてディスカッションが行われました。
DevOps(デブオプス)とは?
今回のプレゼンテーションの主題であるDevOps(デブオプス)とは、ソフトウェアの開発チーム(Development)と、サービスの監視・運営チーム(Operations)が円滑にフィードバックをし合うことで、不具合への迅速な対応や、質の高いサービス提供を実現する、という概念を指します。
開発の計画、コーディング、ソフトウェア構築、テスティングを開発部が行い、運営部がリリースされたソフトウェアを監視・開発部へフィードバックする、というのが大まかな流れとなっています。
同イベントでスピーカーを務めたStackticalのJean-Daniel Bussy氏は、DevOpsはDappsの開発環境にも適用できると言います。
「ブロックチェーン系サービスの開発でも、DevOpsならぬBlockOpsを意識することで、サービスの質を大きく向上させることができます」
と語ったBussy氏は、DevOpsの概念に当てはめたスマートコントラクト開発の手順を解説しました。
まず、開発の全てはプログラミングから始まり、続いてソフトウェアの入念なセキュリティチェックを行います。
自社でのセキュリティチェックが終わると、今度はソフトウェアを外部にリリースし、そこで更に脆弱性をチェックします。
その後、開発から運営への移り変わりとして、テストネットを公開し、運営チームは不具合等の監視、および開発チームへのフィードバックを行います。
不具合やフィードバックが開発チームに報告されると、振り出しに戻り、新たなアップデートのプログラミングに取り掛かります。
Bussy氏によれば、BlockOpsを意識することで、不具合やアップデートなどによるサービスの停止期間(ダウンタイム)を短縮でき、サービスの質の向上に繋がるといいます。
円滑なDevOpsを促進するプロジェクト・Stacktical
DApps開発環境におけるDevOpsの応用に関するディスカッションの後には、トークンメカニズムを応用してDevOpsを促進するプロジェクト、Stacktical(スタックティカル)が紹介されました。
開発・運営チーム間の連携がうまく取れると、不具合によるサービス停止期間(ダウンタイム)が短くなり、必然的にサービスへの信用が生まれます。
一方で、ダウンタイムをゼロにする、というのはほぼ不可能かつ膨大なコストを要するもので、サービス運営側にとって合理的な選択とは言えません。
そこで、サービス提供者にダウンタイム削減のインセンティブを与えつつ、ダウンタイム発生時にはサービス利用者に補償を行う、というシステムを開発しているのがStacktical(スタックティカル)です。
同システムは、サービスレベル規約(SLA)に見合ったサービス提供者にトークン報酬を与え、不具合などが発生した際にはSLAに応じてサービス利用者にトークンで補償が行われる仕組みになっています。
サービスレベル規約(Service Level Agreement)とは?ITサービス提供者と委託者の間で、サービスの一定の品質を保つための運営ルールや、それが実現できなかった時の対処などを明確にした規約のこと。
ダウンタイムの削減に際する報酬は、サービス提供者にとってDevOpsの連携を強化するインセンティブとなります。
また、サービスの利用者はSLAに基づいた補償をトークンで受け取ることができ、それをさらにプラットフォーム内で使用したり、ウォレットに送金したりできるとされています。
まとめ
今回のイベントには、ブロックチェーンについて学び始めたばかりの人から投資家・エンジニアまで、幅広い層の客が訪れました。
近頃話題に上がるソフトウェア開発手法「DevOps」とブロックチェーン技術に焦点を当てた同イベントは、他のミートアップとはまた違う面白みがありました。
スマートコントラクトを使用したサービスレベル規約施行システムを開発するStackticalは、今月25日~28日にかけて行われる金融庁・日経新聞共同主催のFIN/SUM 2018のスピーカーも務めています。