ブロックチェーンの本質は「国家の最小単位が再定義され互いに経済圏が繋がること」–Staked 渡辺創太 前編

ブロックチェーンの本質は「国家の最小単位が再定義され互いに経済圏が繋がること」–Staked 渡辺創太 前編

ブロックチェーン・スタートアップ Stakedの渡辺創太にインタビュー。サンフランシスコのChronicled(クロニクルド)でインターンをし、日本のブロックチェーンコミュニティで活躍する現役大学生・渡辺の視点と価値観に迫る。前編ではブロックチェーン領域に至るまでのキャリアを振り返ってもらった。

※ 今回のインタビュー記事は、CRYPTO TIMES の新井が協力の下、GRASSHOPPER編集部とインタビューを実施し、株式会社電通様が運営するWEBメディアGRASSHOPPERに掲載されたインタビューの転載となります。

後編 : ブロックチェーンを通し「資本主義や民主主義の新しい実験の場」をどう作るか–Staked 渡辺創太 後編

インド、中国でのNPO経験から、ブロックチェーンにたどり着く

–ブロックチェーンの若手コミュニティーの中心人物として有名な渡辺さんですが、国内だけではなく海外経験も豊富と聞いています。ブロックチェーン・スタートアップを立ち上げるまでの経緯を教えてください。

渡辺:元々海外に興味をもったきっかけは、東大受験に2回失敗したことです。私の父が山口県出身という縁で、今の大学に入学する前、受験の悔しさを胸に山口・萩の吉田松陰先生の松下村塾 を訪ね、衝撃を受けました。当時は藩の時代なのに、松陰先生は山口県から日本全体のことを考えていた、スケールの大きさに感銘を受けました。

これを現代に置き換えたら、日本に居ながら世界のことを考える、ということかと思い、AIESECという団体を通してインド、ロシア、中国にNPO活動に行きました。その後、日本、アメリカのIT企業で就労経験を積んだ後、スタートアップを立ち上げました。

–なぜNPO活動でそのような国々を選んだのですか?

渡辺:自分の持っている選択肢 で一番厳しそうなところ、それが当時はインドでした。自分の持ち手で一番厳しい選択をするのが自分の成長に直結すると思ったんです。

実際にNPO活動でインドに行ってみると、受験のことはとてもちっぽけに見えてきました。目の前にボロボロの服を着ながら裸足でお金を頂戴と言ってくる幼稚園児くらいの子供がいる現実を見て、生まれた場所が違うだけで毎日の生活に苦しんでいる人たちがいるという現実に、一種の怒りに近い違和感を覚えました。例えばもう一回生まれ直した時に、人口比を踏まえると、インド人として生まれる確率は日本人として生まれる確率の11倍なわけです。

であれば、社会課題の背景にある根本的なシステムを変えられないかと考え始めたんです。

— NPO活動から、ブロックチェーンへとシフトした過程を教えてください。

渡辺:NPO活動中、既存の資本主義社会の、いわゆる市場の失敗で生まれた社会課題に個別でアプローチしている人たちが多いと感じました。私は、これといって特定の分野に強い原体験はなかったので、そもそもこれらの問題を生む社会システムをアップデートすることに興味を持ち、ITに関心を持つに至りました。

なぜなら、資本主義がテクノロジーの発展と共に形作られたように、これからの経済思想もテクノロジーとは切っても切り離せないものになるという仮説があったからです。

最初はAI分野にいきましたが、基本的にデータがあるところが勝つ領域で、GAFAができないことで私にできることは少ないなと思いました。であれば、データの集まる構造自体を変えればいいのではと、ブロックチェーンにたどり着いたのが2016年末のことです。調べていくうちに、思想や設計の面白さ、可能性に惹かれ、この業界に入りました。

–ある程度不自由なく暮らせる日本で、なぜ既存の資本主義に対し「変えなければ」とまで考えたのでしょうか?

渡辺:冷戦後30年間ぐらい、資本主義、民主主義など基本的な社会の仕組みはあまりアップデートされていなくて、様々なところで歪みがでているように思います。一方で大きく変わったのはITとグローバル化だと考えています。

フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が著書「21世紀の資本」で言うように資本の収益性のほうが経済成長率よりもはるかに高いため、結局格差が開いていく。本来であれば再分配によって格差を縮めるべきですが、公共性、透明性が高い再分配の仕組みはまだ機能していないと思います。これはブロックチェーンを用いれば可能かもしれません。

また、IT化、グローバル化によって情報の非対称性がなくなりました。結果、アメリカで製造するよりも中国で製造したほうが得をするということに、資本家は気が付きます。労働者のレイオフが行われ、雇用を奪われた労働者が民主主義という仕組みをハックして、善意や公益性ではなく怒りによる意思決定がなされています。

これらを踏まえると、国家という単位が既存のシステムに最適化していないのではないかと思います。Stakedではブロックチェーンの本質を、国家の最小単位が再定義され互いに経済圏が繋がることと捉えています。今後20〜30年ぐらいでそのような仕組みがアップデートされる必要があると思います。

日本で生活しているとこのようには感じないのですが、海外に行って現地の人と話すと、このような考えが深まります。例えばアメリカ・サンフランシスコでは分散型金融(DeFi :Decentralized Finance)が盛り上がっていますし、ドイツではParity Technologies(パリティー・テクノロジーズ)という会社がブロックチェーンの開発を進めていますが、私たちを含め日本からは世界で戦えるプロダクトはまだ出ていません。日本は経済的にもブロックチェーン的にも一種ガラパゴス化してしまっているのかもしれません。

ブロックチェーン企業へのインターン、就職、そして起業

–Stakedを立ち上げに至る渡辺さんのブロックチェーンビジネスのキャリアを教えてください。

渡辺:2017年5月から2018年5月までサンフランシスコにいたのですが、その後半ではChronicled(クロニクルド)というブロックチェーン・スタートアップでインターンをしていました。Chronicledは2017年に世界のブロックチェーン・スタートアップ50社に選ばれており、私以外のインターンの方はかなりスペックが高く驚きました。一人が、Splunk(スプランク)という世界トップレベルのデータサイエンスの会社で働くMBA取得者で、もう一人もゴールドマン・サックス、Amazon本社内定のMBA取得者で正直ビビリましたね(笑)。

インターンを終え日本へ帰国する際に、Chronicledで社員にならないかと言われ、正社員になり2018年12月まで働いていました。日本にいる間は、若者によるブロックチェーンコミュニティであるCryptoAgeに参画しコミュニティー作りもしていました。その後、Stakedを立ち上げました。

後編 : ブロックチェーンを通し「資本主義や民主主義の新しい実験の場」をどう作るか–Staked 渡辺創太 後編

Interview & Text:西村真里子

協力:CRYPTO TIMES 新井進悟

転載元記事 : ブロックチェーンの本質は「国家の最小単位が再定義され互いに経済圏が繋がること」–Staked 渡辺創太 前編

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