BRC-20とは?ビットコイン上で通貨の発行を可能にする技術を解説
airutosena
BRC-20は、ビットコインのブロックチェーン上に存在するトークンです。
実験的なトークンでありながら、関連トークンの時価総額は4億ドルを超えている状態です。
また、基盤となったOrdinalsのNFTについても注目が集まっています。
この記事では、そんなBRC-20やOrdinalsについて以下の観点から解説しています。
この記事のまとめ
・BRC-20はビットコイン上のトークン
・ビットコインのブロックチェーンに影響を与える勢い
・Ordinalsの仕組みを応用
・ERC-20とは大きく異なる
目次
BRC-20とは?ビットコインのトークン
BRC-20は、ビットコイン上のトークン規格です。
イーサリアムなどでは、ブロックチェーン上をさまざまなトークンが行き交うことが一般的です。
一方で、ビットコインのブロックチェーンには、BRC-20のようなトークン規格がこれまで存在せず、主な用途はBTCの送受信といったシンプルな用途に限られていました。
しかし、Ordinalsと呼ばれるプロトコルの登場により、ビットコイン上でBRC-20やNFTの発行が容易となり、昨今大きな注目を集めています。
2023年5月時点で、24,000件を超えるBRC-20トークンが確認でき、全体の時価総額は4億ドルを超えている状態です。
(引用元:brc-20.io)
また、BRC-20の基盤となっているOrdinalsのインスクリプション(inscriptions)も4月末あたりから大幅に伸びており、Ordinalsの利用についても拡大していることが分かるでしょう。
(引用元:Dune)
上記のような状況は、ビットコインのブロックチェーンへの影響も大きく、未承認のトランザクションが増加するといった現象も見られました。
BRC-20の特徴
これから、BRC-20が持つ基本的な特徴について、以下の2点から解説していきます。
・Ordinalsの仕組みを応用
・現在は実験段階
BRC-20のかんたんな特徴を把握して、大枠をチェックしていきましょう。
Ordinalsの仕組みを応用
BRC-20は、Ordinalsと呼ばれるプロトコルの仕組みを応用しています。
詳しくは後述しますが、Ordinalsについてかんたんにまとめると、ビットコインのサトシという細かな単位にデータを書き込んだり、追跡できたりするものです。
主に、ビットコイン上のNFTを発行できることなどから注目されていましたが、Ordinalsを応用してFTを発行する仕組みをdomo氏という開発者が実現しました。
Updated the gitbook to address common questions and my intentions for the experiment going forward.https://t.co/h6fksQ1oAe
— domo (@domodata) March 10, 2023
上記の流れの中で、登場したのがBRC-20です。
現在は実験段階
BRC-20は熱狂を生んでいますが、まだまだ実験段階の取り組みです。
というのも、BRC-20のドキュメントでも実験であることが何度も記載されています。さらに、今後新たな設計や改善が行われる可能性についても言及されています。
実際に、BRC-20の利用にはいくつか不便な点も見られ、注目されているトークンも主にミームコインや比較的大きな時価総額を持たないものも多いです。
他のトークン規格ほど成熟したものではなく、取引や利用には注意が必要です。
BRC-20とOrdinalの仕組み
BRC-20とその基盤となっているOrdinalsについて以下の観点から解説していきます。
・Ordinalsの概要
・Ordinalsにおけるインスクリプションについて
・BRC-20の仕組み
OrdinalsやBRC-20の仕組みをチェックしていきましょう。
Ordinalsの概要
Ordinalsは、ビットコインのサトシに対して、何らかのデータを添付できるプロトコルです。
サトシとはBTCの最小単位のことであり、1サトシは1億分の1にあたります。
Ordinalsでは、そのサトシに何らかのデータを書き込み、追跡したりすることを可能にします。
具体的には、Ordinalsを通して画像やテキストなどのデータをサトシに添付し、ビットコイン上にあるNFTといったものを可能にしています。
Ordinalsの利用に伴って、新たなソリューションやサイドチェーンは不要です。
そのため、Ordinalsを利用して行ったアクションは全てビットコインのブロックチェーンを通して完結します。
BRC-20が大きく注目されているOrdinalsですが、上記の仕組みを通じて発行されたNFTの取引量も増加傾向にあります。
(引用元:Crypto Slam!)
NFTのデータサイトCrypto Slam!によると、5月時点でのNFT売上ランキングでは、ビットコインが2位となっています。
直近1週間のデータを参考にすると、イーサリアムが約9,000万ドル、ビットコインが約4,400万ドルです。(ウォッシュ分を除く)
直近のデータのみを参考にすると、NFTをやり取りするブロックチェーンとして同じく人気の高いSolanaを上回るパフォーマンスを見せています。
上記のような点を参考にすると、ビットコイン上のOrdinalsは後述するBRC-20はもちろん、NFTにおいても高い注目を集めている可能性があるでしょう。
Ordinalsにおけるインスクリプション(Inscriptions)について
Ordinalsがデータをサトシに添付していく過程で、特に重要なのが「インスクリプション(Inscriptions)」です。
Ordinalsでは、サトシにデータを書き込むという点は解説しましたが、インスクリプションがその過程に当たります。
ビットコインは過去に、SegWit(Segregated Witness)とTaprootという2つのアップデートを経験しています。
両者とも、NFTなどを想定したアップデートではありませんでしたが、結果的にトランザクションに含められるデータ量、構造などに影響を与えました。
インスクリプションでは、上記のアップデートの恩恵で誕生した領域に、含めたいデータを書き込みます。
また、何らかのものがインスクリプションされたサトシであっても前述したとおり、扱い自体は通常のBTCと変わりません。
BRC-20の仕組み
BRC-20はOrdinalsを活用して、あくまで実験的にトークンとして扱えるようにしたものです。
BRC-20では、トークンとして機能させるために必要なルールのようなものを、前述したインスクリプションを活用して書き込み・機能させます。
そのため、インスクリプションする内容が異なるだけで、BRC-20を動かすための仕組み自体はOrdinalsを活用した他のNFTと大きな違いはありません。
Ordinalsの公式サイトでは直近のインスクリプションされたものを視覚的にチェック可能になっています。
BRC-20の人気が高まっているということもあって、直近のインスクリプションがBRC-20関連のものになっていることが分かるでしょう。
(引用元:Ordinals)
Ordinalsでは複数の情報をインスクリプションでき、NFTでは画像関連のデータが書き込まれることが一般的です。
一方で、BRC-20では「text/plain;charset=utf-8」というタイプのインスクリプションを行います。
(引用元:Dune)
上記を参考にすると、インスクリプションされたもののうち、ほとんどがBRC-20と同じテキストを用いています。
2つ目に多い画像のタイプとも大きな差が開いており、Ordinals全体を見てもBRC-20が人気の高いインスクリプションの対象であることが分かるでしょう。
BRC-20とERC-20などとの違い
ERC-20はイーサリアムに存在するトークンの規格で、BRC-20についてはビットコイン上に存在するトークンの規格です。
両者とも何らかのブロックチェーン上にあるという点は同じですが、その仕様・利便性は大きく異なります。
BRC-20はスマートコントラクトをサポートしていません。
そのため、BRC-20はERC-20のように複雑なことを行うことはできません。また、ERC-20はスマートコントラクトを利用した複雑なプロダクトはもちろんですが、さまざまなソリューションが完備されていて、一般的な方が利用しても利便性が高いです。
一方で、BRC-20も利便性が高くなるソリューションが日々出てきていますが、ERC-20ほどの利便性が高くありません。
BRC-20・ERC-20ともに名前が似通っていますが、その中身自体はほとんど異なるトークンです。
まとめ
この記事では、BRC-20について解説しました。
BRC-20のトークンが多数の登場しており話題に上がりがちですが、ERC-20と同じような意識で扱うことはできないため注意が必要です。
その一方で、BRC-20の話題の高まりから周辺の開発に関するニュースも度々登場しているため、今後も注視していきたいと言えるでしょう。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。