仮想通貨を利用した信用補完措置が特徴のファクタリング仲介サービス・Versaraとは?

2018/07/05・

Yuya

仮想通貨を利用した信用補完措置が特徴のファクタリング仲介サービス・Versaraとは?

近頃は、仮想通貨を利用して金融商品取引を円滑化するプロジェクトがたくさん現れてきています。

今回はその中で、商品の売り手と買い手のやり取りにまつわるトレードファイナンスと呼ばれる分野で企業の現金調達を援助するプロジェクト・Versaraを紹介します。

Versaraでは、ファクタリングと呼ばれる企業に現金を融資する投機に、フィアットマネーまたは仮想通貨のどちらでも投資を行うことができます。

この記事では、Versaraのより詳しい仕組みやエコシステム、類似プロジェクトとの比較などを一からわかりやすく徹底的に解説していきます。

Versaraプロジェクトとは?

基本情報
プロジェクト名/ティッカーVersara(ヴァーサラ) / $VXR
創業者(CEO)Sean Liu
ベースとなるブロックチェーンStellar / $XLM
特徴ファクタリング仲介 / フィアットおよび仮想通貨での投資
公式リンクWebサイト
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Versaraは、企業が売掛金を割引価格で売却して現金を得るファクタリングというサービスを仲介するサービスです。

この現金を利子付きで提供するのがフィアット投資家で、更にデフォルト(売掛金の未払い)時に備えての担保を仮想通貨で提供するのが仮想通貨投資家の役割になります。

まずは、このそれぞれの役割やプロジェクトの仕組みについて詳しく見てみましょう。

売掛金を即座に現金に変えるファクタリング

プロジェクトの詳細に入る前に、売掛金ファクタリングとは何かをおさえておきましょう。

企業A(売り手)が企業B(買い手)に1機あたり10万円の機械を10機売ったと仮定しましょう。企業Aは機械の売却により100万円の売掛金(Accounts Receivable)を手に入れたことになります。

売掛金とは、契約で決められた支払日に企業Bから支払われるお金のことを指し、企業Aが現在手元に持っているお金ではありません

ここで、企業Aが新たなプロジェクトの開発運営のためにどうしても今現金が必要であるとします。

企業Aはここで、先ほど企業Bとの取引で得た売掛金を売却して現金を入手することができます。このように、売掛金を売却して現金を手に入れる方法をファクタリングと呼びます。

通常、この売却によって得られる資金は売掛金自体より低くなります。この割引率は、売掛金の支払者(企業B)の信用情報によって大きく左右されます。

売掛金の割引買取と引き換えに現金を企業に提供するサービスを行う会社のことをファクタリング会社と呼びます。Versaraもこのようなサービスを展開するプロジェクトです。

Versaraではフィアットでも仮想通貨でも投資ができる

Versaraのユニークなところは、ファクタリングサービスにフィアットと仮想通貨の両方の良さを加えているところです。

フィアットの貸付に仮想通貨の担保を加えることで、Versaraでは売掛金にまつわる商品の売り手・買い手だけでなく、フィアットや仮想通貨の投資家も利益を得ることができます。

フィアット投資家の役割

フィアット投資家(主に機関投資家)が投資したフィアットマネーはVersaraの資金プールに貯蓄されます。この資金が前例の企業Aなどに売掛金の買取と引き換えに提供されます。

売掛金は、Versaraに売却する際に商品の買い手(企業B)がその正当性を認証する必要があり、なおかつこの買い手も外部信用機関などを通して信用情報を精査されます。

期日になると商品の買い手からVersaraに売掛金が支払われ、Versaraはその資金を元にフィアット投資家に元本と利子を支払います

仮想通貨投資家の役割

もしも商品の買い手(企業B)が売掛金を支払うことができなかった場合、Versaraはフィアット投資家に元本や利子を支払えなくなってしまいます。

このような事態を防ぐために、買い取った売掛金の一部を仮想通貨で担保する役割を担うのが仮想通貨投資家です。

これにより、Versaraでは、商品の買い手が売掛金を支払えなかった時に、担保となっている仮想通貨をフィアットに変換してフィアット投資家に返済することができます。

もちろん仮想通貨投資家側にはこのリスクを取る代わりに、相応のリターンが支払われます

Versaraの信用補完措置は「二重の壁」

ここまででまとめると、現金を調達したい企業に対しフィアット投資家の資金を売掛金と引き換えに融資するという流れがVersaraのサービスの基軸となります。

しかし、この売掛金支払者(企業B)の中には支払不可(デフォルト)となる者が現れる可能性もあります。

Versaraではこのようなデフォルト時にもフィアット投資家に資金を返済できるように、信用補完措置として「二重の壁」を用意してあります。

プールごとの仮想通貨担保

前項でも解説した通り、Versaraでは仮想通貨を担保として提供することでリターンを得ることができます。

この仮想通貨はそれぞれのプール(売掛金のグループ)の10%から20%を担保すると決められており、売掛金支払者がデフォルトを起こした場合はこの担保がフィアット投資家に返済されるという仕組みになっています。

プラットフォーム全体のリザーブ

もし大型のデフォルトが発生して仮想通貨の担保が使い切られてしまった場合第二の壁として機能するのがこのプラットフォーム全体のリザーブです。

これは、売掛金の取引の際に徴収する手数料(VXRトークン)で構成された貯蓄であり、仮想通貨担保とは違い特定のプールと紐付けされるものではありません。

このように、Versaraではデフォルト時の対策を二段階に設定することでサービスの信用を強固にしています。

新興経済国の中小企業などもファクタリングができるように

Versaraによると、アジア圏を主とする新興経済国では銀行の規模が小さかったり多国籍ビジネスが盛んでなかったりすることから、特に中小企業などがファクタリングを行えない状況にあるといいます。

様々なフィアット・仮想通貨を取り扱う予定のVersaraは、サービスをグローバル展開することでこのような中小企業にもトレードファイナンスを行う機会を与えることができると見込まれています。

類似プロジェクトとの比較

Versaraは類似プロジェクトとしてWe.TradeMarco PoloFinacle Trade Connectなどを挙げています。

いずれもブロックチェーンを応用したトレードファイナンス系サービスを展開していますが、開発段階初期のものも多い状況になっています。

またどのプロジェクトも基本的には機関投資家向けのプロジェクトとなっています。

名前VersaraWe.TradeMarco PoloFinacle Trade Connect
概要ファクタリング仲介サービストレードファイナンス全般トレードファイナンス全般トレードファイナンス全般
特徴仮想通貨を利用した信用補完措置ヨーロッパの銀行9社との提携ブロックチェーンを利用した業界の統合B2C・B2B両トレードをカバー

公式にも提言している通り、Versaraのサービスは他社のものと比べ定の分野(ファクタリング仲介)のみにフォーカスしたものになっています。

ホワイトペーパーによると、Versaraのビジョンは「二重の壁」信用補完措置を他社にも利用してもらい、お互いに共存することとされています。

Versaraプロジェクトの注意点

ファクタリングサービスをグローバルに展開し、フィアットと仮想通貨どちらからも投資に参加することを可能にするVersaraプロジェクトですが、ここでいくつか注意すべき点をまとめておきます。

フィアット投資ができるのは基本的に機関投資家のみ

トレードファイナンスにおける投機というのは大口のものが多いため、基本的には金融機関などの大型投資家のみが投資できるものです。

これは、類似プロジェクト比較の項目で紹介した他のプロジェクトも同様です。

VXRトークンはセキュリティトークン

VXRトークン(ヴァーサラトークン)は仮想通貨投資家への保証料(リターン)商品の買い手(企業B)の売掛金認証への報酬として支払われるトークンです。

また、売掛金の売却時に発生する手数料の一部はVXRトークンに変換され、プラットフォームのリザーブに貯蓄されます。

VXRトークンはサービスの利用などに使用されるわけではなく、単純に価値貯蔵の側面や投資的な有用性を持つセキュリティトークンです。

また、VXRトークンはERCトークンではなくStellar(ステラ)ベースであるという点も知っておくべきでしょう。

外部信用機関についての提携情報等の記載は特になし

Versaraでは売掛金支払者のKYCやクレジットスコアリングを外部機関に委託するとしていますが、ここで具体的にパートナーシップを結んでいる機関の名前などは公開されていません。

ロードマップ

Versaraプロジェクトのロードマップも確認しておきましょう。

2017年10月Versaraの創設
2018年5月サービスのプロトタイプ公開
2018年7月ICOの実施
2019年第一四半期米国でのプラットフォームローンチ
2019年第二四半期アジア圏でのプラットフォームローンチ
2019年第三四半期ヨーロッパ圏でのプラットフォームローンチ

2018年5月: サービスのプロトタイプ公開

このプロトタイプでは、スマートコントラクトの発行や、キャッシュフロー・ロジスティクスの追跡機能に加え、売掛金の支払い受取などができるようになるとされています。

Versaraは6月に入ってから数々のプレゼンや取材などでこのサービスの紹介をしています。

2018年7月: ICO実施

トークンのパブリックセールは今年7月から開始とされています。

また、Versaraではエアドロップなども実施されています。

2019〜: プラットフォームローンチ

Versaraは、本拠地である米国からサービスを開始し、その後段々とアジア圏やヨーロッパ圏に進出していくもようです。

特にアジア圏にはファクタリングが行えない中小企業がたくさん存在するため、Versaraにとってはビジネスを拡大する大きなチャンスになると見られます。

まとめ

本記事では、ファクタリングサービスをグローバル展開し、新興国の中小企業にも資金調達の機会を与えるプロジェクト・Versaraを紹介しました。

フィアットでの投資だけでなく、仮想通貨を担保にした信用補完措置などは、とても目新しいものだと思います。

当プロジェクトに興味を持たれた方は、ぜひウェブサイト等をチェックしてみてください!

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