注目L1チェーン「Sui」とは?概要や特徴を解説
airutosena
400億円以上を調達したL1チェーンAptosの競合として挙げられる事が多いのが「Sui」です。
Suiは、a16zなどから50億円近い資金を調達しており、今後数ヶ月以内にメインネットのローンチも予定されています。
また、元Diemのメンバーが中心になって開発されているの加えて、Moveを採用するなど話題のAptosとの類似点も多く見られます。
本記事では、そんな注目のSuiについて以下のような内容を解説していきます。
記事内容まとめ
・元Diemメンバーにより開発されMoveを採用
・オブジェクトを中心とした設計
・12万TPSを記録する高い処理能力
・他チェーンのNFTを移植できるツールも
・年内にメインネットのローンチの可能性あり
目次
Sui = Moveを採用した新たなL1チェーン
Suiとは、Mysten Labsが開発しているL1チェーン(レイヤー1)や、プロジェクトの総称です。
ネイティブトークンはSUIであり、100億枚で供給がストップします。
Suiを開発しているMysten Labsには元Diemのメンバーが複数在籍しています。Diemとは、Meta社(旧Facebook)が主導していた仮想通貨関連のプロジェクトで、発表当初は注目が集まっていたものの、当局からの懸念などによって現在は開発が中止されています。
Mysten LabsのCEO・共同創業者であるEven Chengは、Apple社・Meta社に16年に渡り勤務しており、Diemの開発にも携わっていました。
その他のCTO・CPOなどの重役にも、元Meta社のメンバーが名を連ねています。
また、Mysten Labsはa16zが主導した資金調達で、2021年12月に3,600万ドル(約48億)の調達に成功しています。
We raised $36M in our first funding roundhttps://t.co/wATTZt3NYI
— Sui (@SuiNetwork) December 6, 2021
詳しくは後述しますが、数ヶ月以内にメインネットがローンチされる可能性もあり、注目が高まりつつあります。
Suiの3つの特徴
これから、Suiの特徴について以下の3つのポイントから解説していきます。
・プログラミング言語「Move」を採用
・利用者に優しい設計と技術
Suiの持つ強みやポテンシャルをチェックしていきましょう。
高い処理能力
Suiは、高い処理能力を持っており、その背景にはさまざまな技術的なアプローチが挙げられます。
Suiの発表によると、8コアのM1・Macbook Proを利用したバリデーターで「1秒あたり12万のトランザクション」を実行できたようです。
トランザクションの内容はトークンの転送という単純なものだったようですが、事実なら驚きの処理能力でしょう。
このような性能を実現している背景にはさまざまな技術・工夫が挙げられますが、コアとなる技術の1つに「トランザクションの種類による処理の分離」が挙げられます。
Suiでは、他の要素やアドレスに影響を与えないようなシンプルなトランザクションに対しては、一般的なブロックチェーンで利用されているような厳格なコンセンサスが不要です。
その代わりに、コンセンサスアルゴリズムよりも簡易的な別のアルゴリズムを使用します。
これにより、一般的な用途(トークンの作成や転送など)では、厳格なコンセンサスを通す必要がありません。
一方で、他の要素やアドレスに影響を与えるような複雑なトランザクションに対しては「Narwhal and Tusk」という技術をベースとしたコンセンサスアルゴリズムでの検証が必要です。
このように、一般的なユースケースと複雑なトランザクションを処理する際の流れを別けることにより、効率的にトランザクションが処理されるようになっています。
上記はあくまで簡略化したもので、Suiはオブジェクトを中心に設計されていることから、トランザクションが影響を与えるオブジェクトの種類によって一連の過程は異なります。(各オブジェクトの種類などについては、コチラをご覧ください。)
プログラミング言語「Move」を採用
Suiでは、開発を行う際のプログラミング言語にMoveを採用しています。
イーサリアムにおける「Solidity」にあたる存在です。
Moveは、Diemのプロジェクトで開発されたプログラミング言語で、同じく元Diemメンバーによって開発されているAptosなどでも採用例があります。
Suiのドキュメントでは、安全性や拡張性の観点からMoveはSolidityを上回るとしています。
Moveを採用していることにより、SuiはEVMとの互換性を持ちません。
また、Suiが採用しているMoveには若干の改良が加えられており、Suiに関連するドキュメントなどでは「Sui Move」とも呼称されています。
ただし、ベースはMoveとなっているため、一部を除いて他のシステムでも利用されていたMove用コードはSuiでも実行可能で、大まかな仕様・特徴は通常のMoveと変わりません。
利用者に優しい設計と技術
Suiでは「アカウント作成よりも先にアセット(トークンなど)を送信できる」ようになる可能性があります。
詳細は明らかになっていないものの、先にアセットを送信でき、その後にアカウントを作成するといった機能が近日公開されるようです。
恐らく、ブロックチェーンにはじめて触れるような層を対象とした機能と見られます。
上記に加えて、何に許可を与えるのか明確にした人間が読みやすい署名要求など、利用者に優しい設計が行われています。
SuiとAptosなど他のMove系プロジェクトの違い
Suiの類似のプロジェクトとして、Aptosが挙げられる事が少なくありません。
Sui・Aptosともに元Diemメンバーによって開発されており、Moveを採用しているなど類似点が多いためです。
しかし、SuiとAptosは同じMoveを採用しているものの、オブジェクトモデルに異なる点があります。
また、他のMove系プロジェクトとの違いについても、他のMove系プロジェクトがアカウント中心の設計である一方、Suiはオブジェクト中心の設計である点を挙げています。
というのも、Suiでは全ての要素(トークンやNFTなど)がオブジェクトに組み込まれており、この特性が前述したような処理能力を実現している要因です。
このようなオブジェクト関連の扱い方が、Aptosや他のMove系のプロジェクトとの違いになっています。
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Suiの利用例・ユースケース
Suiでは今後数ヶ月程度で構築可能になるプロダクトやユースケースについて、以下のようなものを挙げています。
・ゲーム
・DeFi
・ソーシャルメディア
Suiの利用例・ユースケースをチェックしていきましょう。
ゲーム
Sui関連のAMAやドキュメントでは、しばしばゲームに関する記述や発言が見られ、今後力を入れていく可能性が高いです。
実際に、ゲーム開発向けのSDKも提供される予定となっています。
SDKとは、アプリケーションを開発する際に必要なツールをまとめたパッケージのようなもので、SDKがあることで開発における利便性が向上します。
ゲーム開発向けのSDKを活用することで、SuiやMoveに関する専門的な知識が無くとも、Sui上にゲームが構築できるになるようです。
また、Suiは開発者向けに複数のツールを提供していますが、ゲームやNFT関連のユニークなものの1つに「SuiEcho」が挙げられます。
SuiEchoは、他のチェーンにあるNFTの所有権を証明することにより、Suiチェーン上でも同じNFTが扱えるツールです。
以下が、実際にSuiEchoを活用し、ゲーム内のアバターにNFTを使用した例になっています。
Using Sui, @panzerdogs put a @BoredApeYC avatar in their game. This added exclusive attributes 🍌
Find the short demo video here 👇 pic.twitter.com/RAdubuph25
— Sui (@SuiNetwork) March 24, 2022
上記はSuiEchoを活用した1つのユースケースに過ぎず、SuiEchoのようなツールを活用して、今後もさまざまなゲーム・プロダクトが出てくる可能性があるでしょう
DeFi
Suiについても他のチェーンと同様に、一通りのDeFi関連のプロトコル・プロダクトが整備されていく可能性が高いです。
今後、他のチェーンでもあるDEXやレンディングが利用できるようになっていくでしょう。
Suiの特性を活かし、低遅延・低コストの金融取引が可能になっていく可能性があります。
ソーシャルメディア
Suiのドキュメントでは、分散型ソーシャルメディアが構築される可能性も挙げられています。
既存のソーシャルメディア同様に投稿やいいねなどが可能で、プライバシーに配慮されたソーシャルメディアが構築可能になるようです。
SocialFiを代表するようなプロダクトが、Suiチェーンに誕生するかもしれません。
Suiのロードマップ(今後について)
これから、Suiのロードマップなどについて解説していきます。
Suiの今後の予定やメインネットのローンチなどについてチェックしていきましょう。
devnetは実施済み
Suiのdevnetは2022年5月にローンチされており、既に実施済みとなっています。
devnetは、Suiの実験や初期開発者に向けた一番初めに公開されるネットワークにあたります。
後述するテストネットの発表も行われているため、恐らく順調に稼働しており大きな問題は発生していない可能性が高いでしょう。
インセンティブテストネットは8月から
devnetを経て、より多くの層を対象としたテストネットが2022年8月からスタートします。
上記のテストネットは、メインネットに向けた最終段階のネットワークです。
We’re happy to share that registration to participate in Sui Incentivized Testnet is now open! If you are a validator, developer or Sui Enthusiast, we highly encourage you to apply. You can read about the details HERE: https://t.co/C60gjka1zC pic.twitter.com/OPUinr2K94
— Sui by Mysten Labs (@Mysten_Labs) August 2, 2022
現在、テストネットの登録が開始されており、必要事項を記入することでテストネットの参加申し込みが可能となります。
メインネットのローンチは数ヶ月以内?
Suiのメインネットがローンチされる時期・日付は、まだはっきりとしていません。
ただし、4月に更新されたSuiのロードマップを参考にすると、今後数ヶ月以内に実施されるものの中に、メインネットのローンチという情報が確認できます。
このことから、テストネットなどが順調に稼働すると、数ヶ月〜年内にはメインネットがローンチされる可能性が高いでしょう。
ただし、はっきりとした時期が発表されている段階ではないため、動向を注視していく必要があります。
まとめ
本記事では、Suiについてさまざまなポイントから解説しました。
類似のプロジェクトであるAptosと比較すると、注目度が低い面は否めないものの、Suiも大きな魅力を持ったプロジェクトです。
今後、テストネットの実施やメインネットが近づくにつれて、よりプロダクトが出てくる可能性も高いので、今後も動向に注視していきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
– Sui 公式リンク –
- 公式サイト:https://sui.io/
- ホワイトペーパー:https://github.com/MystenLabs/sui/blob/main/doc/paper/sui.pdf
- Twitter:https://twitter.com/mysten_labs
- Medium:https://medium.com/mysten-labs
- Discord:https://discord.com/invite/sui