0xが発表した改善案「ZEIP-23 MultiAssetProxy(MAP)」の詳細

2019/02/12・

Shota

0xが発表した改善案「ZEIP-23 MultiAssetProxy(MAP)」の詳細

2月12日、分散型取引所のプロトコルである0xから、ZEIP-23 MultiAssetProxy(MAP)と呼ばれる新たなImprovement Proposal(改善案)が発表されました。

ZEIPとは、0x(Zero- Ex) Improvement Proposalの頭文字をとったもので、開発が行われている0xの改善案を指します。

発表によれば、この改善案に関しての開発は既に完了していますが、実装にはコミュニティによる投票が必要とされることから、その詳細や開発の背景、投票についての詳細な情報が今回発表されました。

本記事ではそんなZEIP-23について発表された内容をまとめていきます。なお、ソースコードなどのテクニカルな部分は便宜上省略させていただきます。

今回の発表の概要・キーポイント

今回の発表のキーポイントは以下になります

ZEIP-23 MultiAssetProxy(MAP)について

ZEIP-23 MultiAssetProxy(MAP)は、ERC20とERC721をバンドル化し、0xプロトコルを通じて分散的に取引することを可能とするスマートコントラクトを指します。

MultiAssetProxyでは、アセットのトランスファーを行うのではなく、バンドル化されたERC20やERC721のAssetIDと呼ばれるものを認識し、当該のAssetProxyにこれを返すという役割を果たすとされています。

また、アセットの取引において、部分的にこれが約定するということはなく(atomic transaction)、必ずすべてのトランザクションが成功するか、すべてが元の状態に戻るかのどちらかの結果となります。

MAP実装とコミュニティ投票について

MAPの開発は既に完了しており、コードのセキュリティ監査もすでに終了しています。

しかし、統合には0xのスマートコントラクトの”hot upgrade”が必要とされ、これにはコミュニティによる監査も必要であるが故、ZRXを利用した投票の後の実装という形となっています。

そのため、ZRXトークンホルダーは2019/02/18から行われるMAPの統合について承認・拒否の投票を行う必要があり(強く奨励され)、この投票結果に応じた統合となります。

また今回の投票は、初の試みでありオンチェーンガバナンスにおける安全性の証明にリスクを伴う可能性があるため、投票は集権的なメカニズムを利用しオフチェーンで行われます。

仮に、承認された場合、0xはv2.0からv2.1へのアップグレードが行われます。

バグバウンティキャンペーンの詳細

0xでは、oxプロトコルのスマートコントラクトに関するバグの発見に対してバウンティ(報酬)を提供するバグバウンティキャンペーンを行っています。

今回のZEIP-23の発表では、ZEIP-23がバグバウンティの対象に追加されたことが明らかになりました。

バグを発見すると、CVSS(Common Vulnerability Scoring Standard)に基づく重要度に応じて最大$100,000USDまでの報酬が提供される仕組みになっています。

また、報酬はすべて0xのトークンであるZRXでの支払いとなります。

ZEIP-23の開発に対するモチベーション

Non-Fungible Token(代替不可能トークン)は、EthereumのコミュニティにおいてERC721が正式に採用されたのち、ブロックチェーンゲーム(DApps)やコレクタブル、マーケットプレイスのエコシステムに大きな活気をもたらしました。

0xのv2.0では、ERC721トークンのトレードをサポートしていましたが、コミュニティからの要望の多くに、これらのアセットをバンドル化したトレードを可能にすること、というものがありました。

ZEIP-23では、あらゆるERC20・ERC721のバンドルの取引を可能にします。

これには、以下のような様々なユースケースが考えられます;

2匹のKittiesと1匹のKitty+DAIのトランザクション。

  • 複数匹のKittiesと1匹のKitties+ステーブルコインの取引
  • ERC721のトレーディングカードで、20枚セットのブースターパックを販売すること
  • DecnetralandにおけるLANDのまとめ買い・売り
  • 予測市場においてショートポジションを持つこと。例えば、AugurVeilを利用して、2020年大統領選挙において、特定の政党以外に対してのロングポジションを持つことで、実質的にその特定の政党に対するショートポジションを持つことになる

今後の実装に関するロードマップ

MAPが0xに実装されるためには、ZRXホルダーのコミュニティによる投票での最終的なConfirmationが必要となります。

統合にコミュニティの投票が絶対とされる理由には、今回のアップグレードが”hot upgrade”と呼ばれ、これには0xの既存のスマートコントラクトを修正する権利が含まれ、資産へのアクセス権も同時に必要とされるためです。

ZEIP-23の今回のアップグレードだけでなく、今後の”hot upgrade”に関しても、ステークホルダーはZEIP(改善案)に対する拒否権を行使することができなくてはなりません。

投票は、上記イメージのように2019/02/18から一週間にかけて行われる予定となっており、その結果はシンプルな多数決によって決定されます。

(2018/02/13の日本時間午前4時からは、0xのsubredditでAMA(Ask Me Anything)セッションも行われるため、不明点があればこちらで質問することも可能です。)

0xコアチームメンバーのこの投票に参加することができますが、機関・企業によって保有されているトークンでは参加することができず、自身でZRXを保有している必要があります。

投票が可決された場合、即座にその統合が行われますが、ERC20・ERC721を実際にバンドル化して取引を行うことができるのは、可決後2週間後の2019/03/11からとなっています。

仮に、この提案が否決された場合、0xのフォーラムにおいて事後のディスカッションが行われ、今後の実装に向けてよりよい提案や、必要に応じてより強固なセキュリティの方策に関する議論が行われる予定となっています。

まとめ

0xより、発表された新たな改善案であるZEIP-23 MultiAssetProxyについての発表をまとめました。

この提案がコミュニティにより可決されれば、3月11日より、ERC20やERC721をバンドル化して取引することができるようになり、DAppsのマーケットプレイスの幅がさらに広がるのではないかと考えられます。

また、ソースコードについての詳細は割愛しましたが、詳細は公式発表の以下のリンクから確認指定だたくことができます。

記事ソース:ZEIP-23: trade bundles of assets

ニュース/解説記事

Enable Notifications OK No thanks