Ethereum(イーサリアム) ERC721の特徴は? ERC20やERC223との違いを徹底比較!
Shota
こんにちは!Shota(@shot4crypto)です。
多くのプロジェクトがイーサリアムのERC20と呼ばれる標準の規格でトークンを発行しますが、これに続き新たにERC223やERC721といった規格が開発されています。
今回は、このERC721という規格が他のERC20やERC223とどのような部分で異なるのか、ERC721の特徴などを解説していきたいと思います。
dAppsゲームなどでも利用されることが多い規格なので、是非頭に入れておいて下さい。
目次
スマートコントラクトには規格がある
Ethereum(イーサリアム)のスマートコントラクトにはERCと呼ばれる標準規格が存在します。
このERCとはEthereum RFC(Request for Comment)の略のことで、この後ろにつく番号は単純に規格の種類を表します。
数字が大きければ、必ずしもそれが過去の規格をアップデートして優れた性能を持つわけではないというわけではなく、数字によって異なる特徴を持つ点に注意してください。
現在では、大半のトークンが2014年に開発されたこのERC20を標準規格として採用しています。
その後2017年3月5日に、ERC20のいくつかの問題を解決したERC223が開発されました。
ERC223に関しては以下の記事を参照してください。
関連記事:Ethereum(イーサリアム)のERC20を解決したERC223とは何か?
その後2017年9月に登場した新たな規格がERC721になります。
ERC721とは?用途や特徴を解説
このERC721という規格ですが、ERC223と違いERC20における問題を解決するために作られたものではありません。
以下に説明する非代替性などの特徴から、既存の規格における問題を解決するというよりは、別のベクトルでスマートコントラクトに新たな可能性をもたらす規格として作られたと考えるのが妥当です。
ERC721の特徴である非代替性とは
ERC721はNFT(Non-Fungible Token)と呼ばれ、それぞれのトークンが固有の希少性や独自性などを持つことができるように設計されています。
『Fungible』とは『代替性を持つもの』のことを意味します。
例えば、友人から100円を借りたとして、それを返すとき100円を渡すことで貸し借りが成立するのは、通貨が持つ『価値の保存』、『価値の尺度』、『交換の手段』の3つがFungibility(=代替性)となり、借りた100円と返す100円が同じ価値を持つためです。
NFTという性質を持つERC721では、トークンがそれぞれが独自の価値(例:レア度、所有権など)を持つために、『AがBにトークンを渡し、3日後にBがAにトークンを返す』といった交換が成立しない可能性が出てきます。
次にこれがなぜ成立しないのかを具体的な用途を交えて解説します。
ERC721の用途
このNFTという性質のために、トークンは主にDappsゲームなどで利用されています。
例えば、CryptoKittiesやChain MonstersなどのDappsにおいて、プレイヤーは自身の猫の育成や交配、モンスターのレベルや世代が独自の価値を生み出すため、マーケットプレイスでは様々な特徴を持った猫やモンスターが売買されます。
上に述べた『AがBにトークンを渡し、3日後にBがAにトークンを返す』といった交換が成立しないのは、モンスターの性質(レベルなど)が変化することで、同等の価値を保つことができなくなるためです。
したがって、この規格は決済手段などとして使われる通貨を目指すマイクロペイメントなどのトークンというよりは、どちらかというとDappsの主にゲームにおいて、育成要素などを付与する際に使われることが多くなります。
ERC721の将来性
育成要素のあるDappsゲームにおけるこの規格の採用はこれからも増えていくと考えられますが、その他の場合だとどのように採用されていくのでしょうか?
僕個人としては、現実的なモノやサービスと連動するのではないか、と考えています。
ERC721の採用例を2つほど挙げさせていただきます。
音楽ライブでのチケット購入
音楽ライブにおいて、座席やライブまでの日付により価格が変動するチケットはERC721の採用により、マーケットプレイスにおいて相対的な価値で公正に主催者のプラットフォームのもとでチケットが売買される環境を構築することができます。
スマートコントラクトにより、主催側のプラットフォーム以外でこれが売買される(現在でいうダフ屋など)場合、このトランザクションを成立させないことも可能になります。
Webサービスにおけるイノベーション
例えば、自身の価値を形にできるWebサービス(タイムバンクやVALU)において、例えばXYZトークン(XYZ)に識別可能な3つの特徴(Aフォロワー数, B秘密鍵, C平均RT数, Dサービスプラットフォーム内での評価)を検出するスマートコントラクトが書いてあるとします。
このときERC721を使ったXYZを僕が発行(プラットフォームから購入)した場合、フォロワーは300人、秘密鍵、平均RT数、プラットフォーム内の評価などから相対的なトークンの価値が算出され、これはリアルタイムで変動します。
仮にきゃんた君がXYZを発行(プラットフォームから購入)した場合、フォロワーが6000人いるのでこのときのXYZトークンの価値は相対的に僕のXYZトークンより高くなります。
これはあくまでも簡単に考えた例でしかないので現実的ではないかもしれませんが、より洗練されたインプットデータを入力することで、正確に公正に価格を設定することが可能な、こういったサービスが登場するかもしれません。
まとめ
この記事ではERC721を、ERC20やERC223との機能面や用途に関しての比較という形で紹介させていただきました。
Dappsゲームは、勝ち負けをこだわる際にこういった非代替性が必要不可欠になってくるので、これからはよりERC721を採用したトークンを目にする機会が増えると思います。
要注目です!