『Apron Network』の概要や特徴、AMAの内容をQ&A形式で解説!
ユッシ
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世の中では日々、多種多様なインターネットサービスが誕生していますがこれは電力やネットワーク回線、AWSといった基本的なインフラが無ければ成り立ちません。
ブロックチェーン業界でも様々な分散型アプリケーションやサービスが日々誕生していますが、その根幹となるインフラ部分にはまだまだ課題があるのが現状です。
本記事では、分散型ネットワークのインフラ部分の問題解決を目指すプロジェクト「Apron Network」について、先日PolkaLabs. JPとCRYPTO TIMESの共同ホストで開催されたAMAの内容を元にQ&A形式で解説していきます。
- ・「Apron Networkについて知りたい」
・「分散型インフラストラクチャーについて知りたい」
といった方は是非最後まで読んでみてください。
目次
- 1 Apron Networkの概要
- 2 Apron NetworkのAMA
- 2.1 自己紹介
- 2.2 1. プロジェクトの紹介をしてください
- 2.3 2. Apron Networkが解決できる問題は何でしょうか?
- 2.4 3. なぜPolkadotを利用したプロジェクトを始めようと思ったのでしょうか?
- 2.5 4. Parachain OfferingがKusamaやPolkadotで開催されますが、Slotを獲得するための戦略はありますか?
- 2.6 5. 日本の印象と、マーケットとしての将来性についてどのように考えていますか?
- 2.7 6. ネット検索した限り英語メディアの記事が少ないように感じましたが、どこのマーケットにフォーカスしていこうと考えているのでしょうか?
- 2.8 7. USやヨーロッパにはどのようにアプローチしますか?
- 2.9 8. AWS上のインフラと比較して本当に分散型インフラに分があるのでしょうか?そのメリットとは何でしょうか?中央集権型でもリージョンや会社を分散化させれば良いのでは?
- 2.10 9. 実際にApronが利用されているプロジェクトがあれば教えて下さい。
- 2.11 10. ApronのプロジェクトでDAppsを使用する際に、最もわかりやすいユースケースはありますか?
- 2.12 11. Parachain候補やEthereumなど多くのプラットフォームがありますが、それらと比べた時にApronを使うアドバンテージは何でしょうか?
- 2.13 12. 日本では、HECOの情報にアクセスするのが難しいので状況がよくわかりません。HECOコンプライアンスの戦略的背景と将来の展望についてと、なぜHECOを最初のチェーンとして選んだのか教えてください。
- 2.14 13. 数多くの投資家さんが 参入されてますが、 どのような支援を受けたり、 マーケットに対してどのような 戦略を立てているのですか?
- 2.15 14. Apronがインフラを担う場合、そのエコシステムをどう成長させるのですか?
- 3 まとめ
Apron Networkの概要
Apron Networkの概要
ティッカー/通貨名 | $APN/Apron Network Token |
---|---|
主な提携先 | N/A |
時価総額 | N/A |
特徴 | インフラサービスプロバイダーとDApp・DeFi開発者を繋げるプラットフォームの構築を目指す |
公式リンク | Webサイト |
Telegram | |
Medium | |
Discord | |
Github |
Apron Networkはインフラサービスプロバイダーと、DApp&DeFi開発者を繋げるための分散的なプラットフォームの開発を手掛けているSubstrateベースのプロジェクトです。
Apronはプラットフォーム利用者に分散的なノードサービス、オンチェーンデータのインデックス、クォーテーション、その他のインフラサービスなどの提供を目指しています。
将来的にApronはPolkadot、KusamaのParachainへ接続し、両エコシステムで分散的インフラプラットフォームを提供する予定です。
Apron NetworkのAMA
今回のAMAにはApron Network のCEOであるPhilex Zhang氏が参加してくれました。
自己紹介
私の名前はPhilex Zhangです。
私は2012年にハルビン工業大学の国家コンピュータ情報コンテンツセキュリティ重点実験室をPHD(博士課程)学生として卒業し、卒業後はFeitian Safe Ltdで約3年間、シニアシステムセキュリティアナリストとして働きました。
2015年には海外に出て、ニュージーランドで2年間コンピュータネットワークとセキュリティを学び、それ以降は現地でネットワークエンジニアとして働いています。
暗号技術は、私たちの情報セキュリティ研究の重要な分野です。暗号通貨の誕生以来、その発展を追い続けてきたと言ってもいいでしょう。
1. プロジェクトの紹介をしてください
Apron Networkは、ブロックチェーン技術によるインフラサービスをベースにした分散型ネットワークを、
- 開発者
- アプリケーションユーザー
- インフラ運営者
などに提供するため、分散型インフラサービスネットワークのプラットフォーム構築に取り組んでいます。
Apron NetworkはSubstrateベースで開発しているため、KuamsaのParachainとなることが可能です。
Apron NetworkはCMS holdings、Monday Capital、Republic、AU21、Spark Digital Capital、PAKA、NGC Ventures、Digital Renaissance Foundation、DFG、Vega Ventures、Candaqから出資を受け、シードラウンドとプライベートラウンドを完了しました。
また、我々はWeb3 Foundationからの助成金を獲得し、Substrate builder Programにも選定されています。
2. Apron Networkが解決できる問題は何でしょうか?
私たちは、Web3.0時代のインフラサービス*アグリゲーター(需要と供給のバランスを保つ者)になりたいと思っています。
ご存知のように現在、すべてのDApp開発者は「Infura」のような中央集権的なノードサービスプロバイダーに頼らざるを得ません(Infuraは、暗号分野の新規参入者の間でもすでによく知られていると思います)。
Apron Networkでは、基本的に自分のノードをセットアップする能力を持つすべての人を集約し、開発者は誰と仕事をしたいかを選択することが可能です。
また、開発者は同時に複数のノードサービスプロバイダーを利用でき、例えば、あるノードがダウンしてもそのプラットフォームは問題なく他のノードで作業を続けられます。
Apronは、AWS(Amazon Cloud Computing)やAlibaba Cloudなどのインフラストラクチャープラットフォームで提供されている*IasA\SaaS\PasSサービス(クラウドの形態の3つの種類)に似ています。インフラサービスプロバイダーと開発者の間のミドルウェアとして機能するのです。
インフラサービスプロバイダーにはAPIサービスのインターフェースを迅速に生成するサービスを提供し、DApp&DeFi開発者には、効率的な開発を支援するサービスを提供します。
Apron Networkは、Substrateフレームワークに基づいて実装されており、Kusama/PolkadotのParachainとなり得ます。そしてApron Networkは、KusamaおよびPolkadotのエコシステムに対して、
- ノードサービス
- オンチェーンデータのインデックス
- クォーテーション
- その他のインフラサービス
などを提供します。
将来的には、Ethereum、BSC、Filecoin、Heliumなど、Layer2を含む複数のパブリックチェーンにAproonが接続でき、開発者には低コストで複数ブロックチェーンの生態系インフラサービスが提供できます。
3. なぜPolkadotを利用したプロジェクトを始めようと思ったのでしょうか?
私たちは、よりアクセスしやすく、より迅速な開発を可能にするSubstrateを使って開発しました。
また、Polkadotはクロスチェーンのエコシステムであり、我々はコントリビューターの一員としてPolkadotを強化することを期待しています。
現在、Polkadotのインフラはまだギャップを埋める必要がありますが、Polkadotの登場により、Apron Networkは先行者としての優位性を持つことになるでしょう。
さらに、複数のParachainに接続して、実りあるインフラサービスを提供することも想定しています。
4. Parachain OfferingがKusamaやPolkadotで開催されますが、Slotを獲得するための戦略はありますか?
公式がスロットオークションのルールをまだ公表していませんが、具体的な戦略も考えています。
しかし、投票に協力してくれた人たちに報いるために、たくさんのトークンを用意しています。
私たちのターゲットはKusamaのスロットなので、他のParachain候補よりも報酬が高いです。また、私たちのグローバルコミュニティには3万人以上の人がいますがこれは重要と言えます。
5. 日本の印象と、マーケットとしての将来性についてどのように考えていますか?
日本は世界で初めて “Crypto Asset “を法律用語として定義した法律を制定した国であり、暗号通貨の扱いは厳格かつ不可欠であると言ってよいでしょう。
また、日本からは2名のアンバサダーが参加していますが、2名とも数ヶ月に渡って素晴らしい働きをしてくれています。
6. ネット検索した限り英語メディアの記事が少ないように感じましたが、どこのマーケットにフォーカスしていこうと考えているのでしょうか?
現時点での初期段階では、ベトナム、トルコ、日本、韓国、ロシア、中国、そして北米とヨーロッパにマーケティングの焦点を当てており、これはPolkadot社の統計に基づいています。
これらの地域からは、Apon Networkの長期的な成功に貢献してくれる強力な初期支援者が集まっています。
Apon Networkの開発とより多くのチェーンの統合により、今年はネットワークをさまざまなエコシステムに拡大していく予定です。
また、暗号通貨はグローバルなものであるため、徐々に世界全体にも焦点を当てていきます。
7. USやヨーロッパにはどのようにアプローチしますか?
私たちは、アメリカやヨーロッパの多くの素晴らしいフォロワーを抱えています。
私たちは、アメリカやヨーロッパのプロジェクトとの戦略的パートナーを探り、より多くの注目を集めることに引き続き注力していきます。
これまでに10社以上のパートナーと提携していますが、今後も増えていく予定です。
8. AWS上のインフラと比較して本当に分散型インフラに分があるのでしょうか?そのメリットとは何でしょうか?中央集権型でもリージョンや会社を分散化させれば良いのでは?
-AWSと分散型インフラについて-
我々はAWSよりもリスクを低く抑えることが可能です。
Apron Networkは中央集権的なノードサービスプロバイダーに比べて、より「安全で」「便利な」代替手段であり、将来的には分散型インフラストラクチャープロバイダーが暗号化空間の内外で大量に採用されることを想定しています。そして私達はAWSとは全く異なる分散型のサービスを提供しています。
-メリットについて-
非中央集権型サービスの利点は下記の4つです。
- トラストレスな環境の提供
- データ照合の改善
- 弱点を減らすことが可能
- 資源配分の最適化
1. トラストレスな環境の提供
分散型ブロックチェーンネットワークでは、誰も他の人を知らないし、信用する必要もありません。
ネットワーク内の各メンバーは、分散型台帳の形で全く同じデータのコピーを持っています。
もし、あるメンバーの台帳が何らかの形で変更されたり、破損したりした場合、ネットワーク内の大多数のメンバーによって拒否されます。
2. データ照合の改善
企業はしばしばパートナーとデータを交換します。このデータは通常、変換されてそれぞれのデータサイロに保存され、*ダウンストリーム(通信の際元締めから出てくる方向)へ渡す必要があるときに再び現れます。
データが変換されるたびに、データの損失や誤ったデータがワークストリームに入り込む可能性が出てきますが、分散型のデータストアを持つことですべての企業がデータのリアルタイムな共有ビューへのアクセスが可能です。
3. 弱点を減らすことが可能
分散化することで、特定のアクターに依存しすぎているシステムの弱点を減らすことができます。このような弱点は、
- 約束されたサービスを提供できない
- リソースの枯渇
- 定期的な停電
- ボトルネック
- 良いサービスを受けるための十分なインセンティブの欠如
- 汚職などによる非効率なサービス
など、システムの失敗につながる可能性があります。
4. 資源配分の最適化
分権化によって資源配分が最適化され、約束されたサービスがより優れたパフォーマンスと一貫性を持って提供され、致命的な障害が発生する可能性も低くなります。
9. 実際にApronが利用されているプロジェクトがあれば教えて下さい。
数日前、開発者のプロジェクトをこれらのエコシステムでテストするために、
- HECO testnet&mainnet
- BSCchain
でPRCサービスを開始しました。
こちらから確認できます。https://dashboard.apron.network/#/
10. ApronのプロジェクトでDAppsを使用する際に、最もわかりやすいユースケースはありますか?
現在、HECOのベータ版製品は、DeFiやDAppの開発者をはじめ、多くのユーザーにご利用いただいています。
現在、ユーザー数は2,087名、プロジェクト数は3,591となっています。
11. Parachain候補やEthereumなど多くのプラットフォームがありますが、それらと比べた時にApronを使うアドバンテージは何でしょうか?
3つあります。
1. コミュニティの優位性
前述したように、グローバルコミュニティには30,000人のメンバーがおり、その数は現在も増え続けています。これにより、PolkadotエコシステムにおけるApron Networkの重要な役割を広めることができます。
私たちは多くの時間をかけて、すべてのソーシャルメディアプラットフォームを通じて開発状況を伝え、コミュニティができるだけ早く更新されるようにしており、さらには多くの技術コミュニティと肩を並べて仕事をしています。
2. 製品の技術的優位性
私たちは、Polkadotエコシステムの発展に貢献し「開発者がPolkadotエコシステムへ参入しやすくするためのインフラサービスに関しての問題を解決する」という明確なポジションを持っています。
3. チームペアの利点
私たちのチームは長年のブロックチェーンの開発と運用の経験を持ち、EOSエコロジーの開発に深く関わり、多くのDAppプロジェクトを行い、開発者のニーズを非常に深く理解しており、製品の運用やビジネスにも優れているため、将来的に多くの顧客と市場資源を拡大することができます。
12. 日本では、HECOの情報にアクセスするのが難しいので状況がよくわかりません。HECOコンプライアンスの戦略的背景と将来の展望についてと、なぜHECOを最初のチェーンとして選んだのか教えてください。
私はHECOの専門家ではありませんので、間違った方向に誘導したくありません。HECOに関する情報を見つけましたので、ご参考になれば幸いです。
HECOのDeFiプロジェクトが急速に発展していることは周知のとおりで、市場の注目を集めていますがインフラサービスが不足しています。
HECO上の我々の製品は、スターター・ユーザー・ベースを確立するのに役立ちます。これは将来の製品のデモバージョンと考えることができ、非常に重要な第一歩となります。
13. 数多くの投資家さんが 参入されてますが、 どのような支援を受けたり、 マーケットに対してどのような 戦略を立てているのですか?
私たちには素晴らしいコミュニティがあり、私たちのネットワークの開発と成長をサポートしてくださっているすべての方に感謝しています。
私たちは、長期的な貢献を予定している初期の支援者の強力なグループを集めました。私たちは今後も、パートナー探しやコミュニティ活動の強化に注力していく予定です。
Apron Networkは、コミュニティの距離を縮めることに重点を置きたいと考えており、一連のキャンペーンやイベントを開催し、コミュニティのメンバーとの交流を図る予定です。
私たちは、3種類のコミュニティの運営に注力しています。1つ目は開発者コミュニティ、2つ目はサービス提供者コミュニティ、そして3つ目はトークン保有者コミュニティです。
14. Apronがインフラを担う場合、そのエコシステムをどう成長させるのですか?
現在は、OneBlock+やrebaseなどのPolkadotの技術コミュニティと連携しています。
将来的には、開発者を対象としたミートアップを定期的に開催する予定です。
私たちは常に新しいコンセプトを試し、コミュニティからのフィードバックを求めています。
前述しましたが、私たちは健全なエコシステムに欠かせない強力なコミュニティを作りたいと思っています。
まとめ
インフラの部分は他の具体的なサービスと違い抽象度が高いためイメージしづらい部分もあったかと思いますがいかがだったでしょうか。
現在Ox protocolやMetamaskなどでは中央集権的なブロックチェーンノード運営サービスのInfuraが採用されていますが「Infuraへの依存を止めないとEthereumのビジョンは失敗する」と一部で言われており、インフラの分散化はブロックチェーン業界において重要な課題となっています。
分散型インフラの動向を掴むことは、今後のブロックチェーン業界全体の動向を掴むことにも繋がります。そういった意味でもApron Networkのようなプロジェクトに注目しておくのも良いかも知れません。
今後もCRYPTO TIMES、Polkadot Labs. JPでは、仮想通貨全般やPolkadot関連の様々な情報を発信していくので、興味がある方は是非積極的にチェックしてみてください。