【BeyondBlocks初日レポート】Skycoin Brandon Synth氏 ブロックチェーンの未来とその課題
Shota
CryptoTimesもメディアパートナーとして参加した、恵比寿のウェスティンホテルで行われたBeyond Blocks 1日目のレポートになります。
本記事は、Skycoinの創設者の一人であるBrandon Synth氏による『基調講演: ブロックチェーンの歴史、ブロックチェーンの未来とその課題』のレポートになります。
ビットコインの数学的な観点からの分析
Synth氏は自身の数学に関するバックグランドを生かし、ビットコインの価格やドミナンスの観点から解説していました。
仮想通貨市場全体の時価総額が$300bilであるのに対して、ビットコインの現在の時価総額が$150bilである点(ドミナンスの理論)、日付と対数変換を施した価格の線形回帰分析、法定通貨や金、銀などの他の資産と比較した時価総額など、様々なデータの分析に基づいた独自のビットコインの理論を展開していました
このデータをベースにSynth氏は、
『ビットコインは最初の仮想通貨であるがこれが最後にはならない』
『ビットコインは(仮想通貨の大衆への普及を成功させた仮想通貨にすぎず)仮想通貨のプロトタイプである』
と結論付け、次に価格やドミナンスの下方変動が、具体的にどのような問題のために起き、プロトタイプであるビットコインの何を解決していかなければならないのかを語りました
ビットコインの問題点、今後の課題は?
Synth氏のスライドにはBitcoin will die(ビットコインは死ぬ)の文字がありました。
その中でも特に重要な問題として挙げられたのは、世間で騒がれているビットコインのスケーラビリティ問題やトランザクションのスピードではありませんでした。
Synth氏によれば、ビットコインの技術的な問題が永久に解決できないわけではないようです。
現にLN(Lightning Network)の普及などで大幅にトランザクションのスピードやスケーラビリティ問題は改善されています。
更に今後も他のソリューションと組み合わせることで、必ず解決のベクトルに向かうことができます。
しかし、現状ビットコインのマイナーは少数のマイニングプールによって占有されています。マイニングのシステム上トランザクションの手数料は採掘報酬と共にマイナーへと支払われる仕組みになっています。
Synth氏は、『ビットコインの技術的な問題を解決するソリューションがあったとしても、コミュニティ(一部のマイナー)がビットコインの送金手数料の報酬のために、恣意的に問題の解決を拒んでいる』と説明しました。
ビットコインにおいて、この一部が合意形成の権力を持つ状態が技術以上に大きな問題であるとし、Skycoinの解決策へとプレゼンテーションは続きます。
Skycoinの導き出した解決策
Skycoinには従来のPoWやPoSにおける合意形成の問題を反映した、Obelisk(オベリスク)というシステムを採用した新たな合意形成のアルゴリズムが反映されています。
このシステムでは、PoWであれば計算能力の多少、PoSであれば保有するトークンの枚数などによって、エコシステムの発展を妨げる可能性のあった合意形成アルゴリズム(マイニング)が必要とされません。
更に、ビットコインのTPSが(1秒あたりのトランザクション数)6~7であることやトランザクションに数時間から数日かかるようでは、現実社会での決済手段としての実用は難しいとし、これをSkycoinが解決すると話しました。
Skycoinのブロックはいかなるトランザクションのレートにも対応できるよう、ブロックサイズに柔軟性を持たせた設計になっています。
また、トランザクションは、新たな合意形成アルゴリズムのために数秒で完了し、他のあらゆる通貨においても、このスピードはクレジットカードやAlipayに勝るものでなくてはならないと語りました。
最後に
Synth氏は、ビットコインの手数料は現在、形式上PoWによって使われる5万戸の家と同等或いはそれ以上の電力を、ユーザーが手数料という形で負担する構図になっていると話しました。
これはクレジットカードの1回のトランザクションの数千倍の電力消費に相当します。
ユーザーにとって不本意な形で行われる合意形成のために、ユーザビリティが低下している点やユーザーの利便性をコインが反映しきれてない点などを今後の仮想通貨への課題としプレゼンテーションは幕を閉じました。