Binance(バイナンス)がテストネットリリースを間近に控えるBinance Chainの詳細に関して

2019/02/08・

Shota

Binance(バイナンス)がテストネットリリースを間近に控えるBinance Chainの詳細に関して

こんにちは。Shota(@shot4crypto)です。

昨年、仮想通貨取引所であるBinanceからリリースに関しての予定が明らかにされたBinanceの独自チェーン『Binance Chain』とその分散型取引所『Binance DEX』ですが、先日Q&A形式でこれに関しての更なる詳細が発表されました。

本記事では、Binanceが独自に開発を進めるBinance Chainについてその詳細をまとめていきます。

Binance Chainとは

Binance Chainとは、仮想通貨取引所Binanceとそのコミュニティによって開発された独自のブロックチェーンを指します。

以前から公式にアナウンスされているBinanceの分散型取引所『Binance DEX』はこのBinance Chain上に構築される分散型取引所ということになります。

Crypto Timesでも以前に、Binance Chain・Binance DEXに関して紹介をしていますので、以下の記事も是非参考にしていただければと思います;

Binance Chainの概要

Binance Chainの概要

名称Binance Chain
ネイティブコイン$BNB
アルゴリズムBFT / DPoS・pBFT(将来的に)
特徴①ブロックタイム1秒・1 Confirmation ファイナリティ
特徴②スマートコントラクト非対応
関連リンクBinance DEX テストネット(未)
Chain Explorer テストネット(未)

Binance Chainの特徴

Binance Chainは以下のような原理に基づいて設計されています;

  • 一切の資産の預かり・保管をしない:トレーダーは自身のプライベートキー及び資産を自身で管理
  • ハイパフォーマンス:大きなユーザーベースを想定した高スループット・低レイテンシー、かつ流動性の高い取引を実現。1秒のブロックタイム1 Confirmationのファイナリティを目指す(トランザクションが即座に完了する)
  • 低コスト:低い手数料及び流動性コスト
  • ユーザーエクスペリエンス(UX)Binance.comと同様のUXを提供
  • 公正な取引:フロントランニング等を最小限に抑える
  • 進化可能:新技術などによる改善が容易

DEX(分散型取引所)と聞くと、ユーザーエクスペリエンスがCEX(集権型取引所)と比較して劣るイメージですが、Binance Chain上の分散型取引プラットフォームでは、従来のBinance.comと同様のUI・UXが提供されるという点が大きな特徴として挙げられます。

1秒のブロックタイム・1 Confirmationのファイナリティという点も、ユーザビリティなどにおいて非常に重要な点の一つです。

また、Binance ChainはCosmos SDK・Tendermintの技術の一部を利用しており、これをフォークする形で設計されていることも大きな特徴です。Cosmos・Tendermintを選択した理由に関しては、後述のAMAにてCZ氏が回答しています。

Binance Chainでできることは?

特徴を見ていくと、Binance Chain及びBinance DEXでは、従来のBinance.com同様或いはそれ以上のパフォーマンスが期待できるということがわかりました。

ここでは、Binance Chain・Binance DEXでは具体的に何ができるのか、既存のDEXとどのような違いがあるのかを見ていきます。

Binance Chain Docsによれば、Binance Chainでは;

  • Binance Chainのネイティブコインである$BNBの送信・受け取り
  • 新規トークンの発行
  • トークンの送信・受け取り、Burn / Mint、凍結 / 解凍
  • 異なる2トークン間での取引ペア作成の提案
  • チェーン上に作成された取引ペアの資産(トークン)売買

と記載されています。

バイナンスコインはこれまで、EthereumのERC20という規格で発行されるトークンでしたが、Binance Chainがメインネットへ移行すると同時に、Ethereum上のトークンからBinance Chainのネイティブコインに移行することになります。

しかし、Ethereum上のトークンからBinance Chainへの移行が行われると言っても、同ドキュメントによればコインのBurnなどはこれまで通り引き続き行われるとされています。

二点目にある、新規トークン発行に関してですが、前項同様これに関してもユーザビリティが担保された形で容易にトークン発行を行うことのできる仕組みが準備されるとのことです。

トークン発行に必要とされるのは、『トークン名称』・『トークンティッカー(シンボル)』・『発行枚数』・『Mint可否』の指定及び『少量の$BNB』とされており、Binance Chainを利用することで誰もが簡単に新規トークンを発行することができるようになります。

Binance CEO CZ氏が実施したAMAの内容まとめ

2月7日の日本時間午前11時頃、CZ氏はBinance DEXに関してのAMAを行いました。

上記ツイートのライブ配信録画から内容を確認することもできますが、AMAでCZ氏が回答した質問を以下にまとめていきます;

  • Binance Chainのバリデーターノードの数はどの程度ですか?

–テストネットでは11に設定されています。Bitcoinほど多くはないので、どちらかというとNEOやXRPに近い感じだと思います。

  • ノードとなるために必要とされる要件等はありますか?

–実質、誰でもノードになることはできますが、ブロックタイムが1秒なので、比較的高い負荷に耐えられるマシンが必要だと思います。

  • ノードやステーキングを行う人に対してはどの程度のガス・手数料が支払われますか?

–現段階では、支払われたガス・手数料はすべてノードに渡ります。Binanceの現在の主なゴールとして、BinanceのDEXをできる限り早くリリースすることが最優先で、リリースが済んだ後で必要な調整などがあれば適宜調整していく形を取ります。

  • Cosmos・Tendermintを選んだ理由はなんですか?

–一番の理由として、Cosmosの持つアーキテクチャが私たちの求めていたものに一番近いものだったという点が挙げられます。Binance ChainはCosmosの一般的な『Cosmos SDK』を使用しておらず、CosmosやTendermintの持つ技術を細分化してフォークするという形を取りました。

–Binance Chainは、トークンを容易に発行しそれをトレードするためのインターフェースしか持たないので、スマートコントラクトには対応していません。

–Applicationという点だけで見るならば、Binance Chainは非常にシンプルなチェーンですが、負荷耐性という意味では非常に強力なものとなっています。私たちは、スマートコントラクトを実装してより多くの機能性を持たせるよりも、より多くのトランザクションの負荷に耐えうる性能を持たせることの方がより重要であると考えています

  • Binance Chainのテストネットのβテスターにはどのように申込みをすることができますか?

テストネットはあと一週間ほどでリリースされる予定となっています。テストネットがローンチすれば、もちろんβテストの受付も行っていきます。

  • DEXの早期アクセス権はどのようにして手に入れることが可能ですか?

–私たちは、既に一部のパートナーに対してDEXへのアクセス権を提供しています。この中でもほとんどがウォレットの開発者或いはブロックチェーンエクスプローラーに対してのものです。

–基本的に、DEXへのアクセス権提供は、DEXを統合するためのツールを持つ人々に対してのみとなっています。

  • Binance Chain上では、数百万ものプロジェクトが実質的にトークンを発行することができると話していましたが、期待されるTPSはどの程度ですか?

–現段階でのTPSは数千程度であると予測されます。ですが、これは容易に引き上げることが可能です。

–現状、Binance ChainのTPSのベンチマークとしては、Binance.comで現在取引が行われているのと同程度の負荷に耐えられるような設計になっています。しばらくの間は、このスループットで問題はないと考えていますが、取引高という観点で万が一耐えられなくなってしまった場合でも、これを水平にスケールさせることが可能です。

  • どのようにしてバリデーターになることができますか?

–当初は、DDoS攻撃などを防ぐために、バリデーターは私たちのパートナーの中から選ばれますが、時間の経過とともにこの数字を増加させていきます。これに関しては、まだ最適な数字を探しているところです。

  • Cosmosの技術をクロスチェーン間のインターオペラビリティ実現に利用していきますか?

–これに関してはまだ決定していませんが、当初はBinance DEXのリリースにフォーカスしていくつもりです。

–もしインターオペラビリティの技術を利用していくとしても、最初のv1.0ではなく、将来的にリリースをしていくv.20やv3.0での実装となるでしょう。

–とはいえ、Cosmosの技術を利用しているという点では、インターオペラビリティの実装も十分に自然なことです。

  • Binance Chainのネイティブコインとなる$BNBにはどのようなユーティリティがありますか?

–基本的にはERC20の$BNBが持つユーティリティと同じで、$BNBを利用することで手数料が安くなるなどのユーティリティが存在します。

  • トランザクションをプライベートで行うこともできますか?

–現状、これに関してはBitcoinなどのようにすべてのトランザクションは透明に記録されていきます。プライベートのトランザクションなどは行うことはできません。

まとめ

Binanceがリリースを間近に控えるBinance Chainの概要についてまとめました。

仮想通貨取引所がコミュニティと共に独自にチェーンを開発するというケースは前例がありませんが、プロダクトは十分に期待できると言えるでしょう。

TwitterでもBinance Chainだけでなく、海外の情報を発信していますので、そちらもよろしくお願いします。

記事ソース:Binance Chain FAQ v0.3

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