【韓国滞在レポート③】BlockRatings – Paul氏 インタビュー

2019/02/07・

Shota

【韓国滞在レポート③】BlockRatings – Paul氏 インタビュー

現在、Crypto Timesにて掲載中の韓国のブロックチェーン / 仮想通貨市場に関するレポートです。初回は韓国市場をターゲットにしているAelf、2回目は韓国のVCであるBlockWater Capitalに関してお送りしました。

本滞在レポートでは、第1回から第5回にかけて、プロジェクトやファンド、開発者など様々な視点から見る国内外の仮想通貨市場に関しての状況や戦略などをまとめていきたいと思います。

第3回となる本レポートでは、ICOの精査やレポートの配信を定期的に行っているBlock RatingsのCOOであるPaul Ju氏にインタビューを行ったレポートを執筆します。

第1回・第2回のレポートは以下をご覧ください。

Block Ratingsインタビュー

Block Ratingsの提供するサービス

— はじめまして。日本国内向けにブロックチェーンの情報を発信するWebメディアCryptoTimesです。この度は取材ありがとうございます。まずは自己紹介をお願いします。

Paul : はじめまして。BlockRatingのPaulといいます。私は大学で理学部を卒業後、カナダで三番目に大きな投資会社である『CI Investment』に務めていました。その後は、韓国に戻り、現在はBlock RatingsでリサーチやICOプロジェクトのアセスメントなどを実施しています。

— Paulさん、本日はありがとうございます。Block Ratingsでは具体的にどういったサービス・情報を公開していますか?

Paul : Block Ratingsでは市場データや今後行われるICOのレポートなどを無料で公開しています。韓国がメインですが、韓国以外にも日本や中国、英語圏向けに情報を発信しています。

CoinMarketCapなどのウェブサイトでは、例えばBitcoinの価格は50以上の異なる取引所などのデータを集計してその平均値を価格として反映させています。

一方で、私たちの価格データは流動性や統計的な異常値などを除外して価格データとして反映するため、CoinMarketCapなどのウェブサイトよりも正確な値を算出しています。

Block Ratings公式サイトより

これは、私たちがレポートやデータを公開する際に、取引所やプロジェクトから資金を融通していただいていないからこそできることだと言えます。

このようなレポートやデータはすべて、ソーシャルメディアなどでも日々公開されています。

プロジェクトをレポーティングするときに注目する点とは?

— ありがとうございます。ICOのレポートも公開しているとおっしゃっていましたが、これらのレポートを作成する際はどういった点に注目しますか?

Paul : ICOのレポートの作成において、我々は主に以下の3つの要素に注目しています。

  • チームメンバー
  • テクニカルペーパー
  • トークン

チームメンバーの観点では、創設者や主要メンバーのキャリアや学歴、経験などについての評価を行なっています。

Block Ratings公式サイトより

テクニカルペーパーでは、プロジェクトの実現可能性に焦点を当てた精査を行ないます。技術的に可能であるかどうか、現実社会にある問題を解決するのかなどといった視点で客観的な精査を心がけています。

トークンでは、その価値の裏付けとなる部分がどのように設計されているのか、本当に価値があるのかといった部分に注目します。

— 実現可能性を見るという点が興味深いですね。ということは性能よりもプロジェクトのビジョンなどによりフォーカスしてスコアリングを行うということでしょうか?

Paul : そうですね。例えば、インフラ系のプロジェクトで仮にETHとEOSをそれぞれスコアリングする場合は、TPSなどではなく、そのプロジェクトのビジョンに注目していきます。

性能面も、もちろん無視することはありませんが例えば、TPSが実現可能性にどの程度貢献するのか等を考慮して総合的に評価しています。

現在と今後のBlock Ratingsの戦略

— 性能だけではなく総合的に評価していくのは面白いですね。精査に関してですが、最近だとICOの数も徐々に減ってきているように感じますが、今後のこの辺りに関しての戦略などはありますか?

Paul : その通りで、通常のICOは減ってきています。最近、韓国で人気が出ているものはリバースICOです。なので、リバースICOのプロジェクトを精査する際は、ICOを実施する元の企業の財政データなどを評価基準とします。

またICOのレポートとは別で、デイリー / ウィークリー / マンスリーで公開される市場レポートを直近のニュースなどと併せて公開しています。これまで、今後行われるICOのレポートに絞って精査を行ってきましたが、最近の市況を受けてSTOには触れず、現在のトップ100の仮想通貨をカバーしていくことを目標としています。

Block Ratingsで配信されるDaily , Weekly , Monthlyのレポート

— トップ100の仮想通貨のカバー含め、ICOのレポートもプロジェクト側からは予算が発生していないさそうですが、Block Ratingsの収益面というかマネタイズはどうやって実施しているのでしょう?

Paul : プロジェクト側からバジェットが出ないということは、裏を返せば倫理的な情報を発信できるといいうことでもあります。また、プロジェクト側からレビューを依頼される場合でも、最初にプロジェクトの概要を確認して、それがれっきとしたプロジェクトであるかどうかを確認してから判断するようにしています。

現段階では、『収益を生み出すことよりも投資』といった感じで提供コンテンツの質の向上を心がけています。

また、我々はマーケティングに関しても、現在はあまり力を入れておらず、参加したカンファレンスもCoinJinjaによって開催されたカンファレンスのみの参加となっています。

ウェブサイトでのデイリーアクセスは現在では1,000程度でこの割合は、韓国国内から50%・海外から50%といった感じです。

— あくまでも現段階では、良質なコンテンツを発信し続けているって感じですね。最後に、現在、BTC含む全体の市場が大幅に下落していますが、仮想通貨市場は今後どうなると思っていますか?

Paul : 短期で見ると、もう少し下がるのではと考えていますが、長期だともう一度上がる可能性があると思っています。

市場心理的にはETFなどが大きく注目されていますが、おそらく規制が整った段階で大きく市場に活気が戻るのではと予測しています。

韓国国内における規制の状況について話すと、現在は内部でガイドラインを作成しているようで、現段階で一般向けに公開されている状況は非常に少ないです。ただ、必ずまた盛り上がると信じて、我々は日々励むのみです。

まとめ

韓国で仮想通貨市場のレポートなどの発信を日中英の3か国語で行っている、『Block Ratings』のPaul氏とのインタビューの内容をまとめました。

現在、仮想通貨市場全体の市況は悪い中、Block Ratingsではコンテンツの質を重視した情報発信を行っているということで、ICOなどを調べて同じ情報発信していく側としても勉強になる部分が非常にたくさんありました。

次回のレポートでは、中国のIoT系のプロジェクトであるIoEXのJonas KIM氏とのインタビューをまとめていきます!

Block Ratings公式サイト

インタビュー : アラタ , Shota

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