7月29日、30日に福岡市で開催された「FUKUOKA DAO CAMP」の潜入レポート(2日目)

2023/08/14・

Crypto Troll

7月29日、30日に福岡市で開催された「FUKUOKA DAO CAMP」の潜入レポート(2日目)

7月29日、30日の2日間にかけて、DAOを集中的に学ぶイベント「FUKUOKA DAO CAMP」が、Fukuoka Growth Next(https://growth-next.com/)にて開催されました。

このイベントは福岡市からの委託を受けたFracton Ventures株式会社(https://fracton.ventures/)によって開催され、「福岡におけるWeb3.0の機運の醸成及びプレイヤーの創出」を目的として行われました。

1日目(7月29日)は、Web3.0とDAOの概要のレクチャーが行われるインプットの日でした。また、午後からはAstar Networkの渡辺創太氏の登壇もあり、質疑応答に花が咲きました。

2日目(7月30日)は、実際に様々なDAOツールを使いながら、実際にDAOを立ち上げるところまでを行うアウトプットの日でした。

この記事は、筆者が当イベントに参加した際のレポであり、2日目(30日)のものとなります。2日目からは一参加者としてグループワークにも参加しましたので、私の体感もお伝え出来ればと思います。

また、当イベントレポートは私の主観で書かれたものであること、引用している登壇者の文言や言い回しに関しては、必ずしも厳密に文字起こししたものではないことをあらかじめご承知おき下さい。

最初の挨拶

提供:Fracton Ventures

まず初めに、Fractonの亀井聡彦氏から、2日目の挨拶がされました。

「みなさま本日は体調などは大丈夫ですか? 日曜日の時間にお集まりいただいてありがとうございます。本日は結構手を動かして、アウトプットをしていきます。冒頭は、昨日の続きでアイデアの解像度を高めることを意識しながら、グループワークにつなげていけたらと思います。今回の取り組み自体が、みなさまが福岡で活躍していく土台になっていけたらと思います。私たちもサポートさせていただきますので、何かればお気軽にお尋ねください。本日も一日長丁場になりますが、よろしくお願いいたします。本日は幾つかワークショップを行いますが、最終的にはDAOでどのようなことをやりたいかを考えられたらと思います」

この後、昨日の最後に決めたグループごとにワークショップが始まりました。

ワークショップ②:DAOの方向性を決めてみる

参加者によるグループテーマは全部で四つあり、「社会課題」「キャリア・人生」、「ローカル」、「Web3.0×ビジネス」とそれぞれテーマが分かれました。となりました。私は「キャリア・人生」に所属をしており、話し合いの結果、より具体的に「学生支援DAO」という形で纏まりました。

DAOの考え方:プロトコルの裏側をDAOで支える

ワークショップの話し合いの中で、うまくまとめられるか不安だったのですが、Fractonの方々が定期的にテーブルを回って下さったこともあって、方向性に関して迷うことがなかったのはとても良かったです。

Fractonの方々のアドバイスの中で、非常に参考になった部分を幾つか書いてみようと思います。

私のグループは「学生支援」をどのようにしていくのかという議論をし、支援を具体的にどうするかについて悩んでいました。そうした中で鈴木氏からのアドバイスで、「報酬を渡す形式として、特定のタイミングで、初期から貢献していた人をブロックチェーン上の記録を使って特定し、報酬を渡すというのも出来るのではないか。普段からの生活において、貢献をしている人はあまり顕在化しないけれども、ブロックチェーンであることを活かして、うまくやれる方法もあるのではないだろうか」とのアドバイスは、ブロックチェーンを活用した良いアドバイスと思いました。

また、DAOに関する捉え方を見直す良い機会にもなりました。

例えば、大学でよく行われている企画系のワークショップでは、まずは仕組みや形から考えたりしますが、今回のイベントでは、あえて形からではなく、DAO(スマートコントラクト)を使ってどのような仕組みを構築できるのかというシステムの部分から考えるというのが、非常に新鮮でした。

その中での亀井氏のアドバイスとして、「プロトコルの裏側をDAOで支えるという仕組みがあるので、プロトコルへと昇華できるような(参考になる)既存の仕組みを考えるのも、思考の助けになるのではないか。DAOという仕組みからだけでなく、プロトコルへの思考というのも、今後の議論の中で考えておくと良いのではないでしょうか。」という指摘が非常に参考になりました。

こうしたFractonの方々の助けもあったおかげで、何とか時間以内にまとめることが出来ました。

DAO Toolsの紹介:登壇者・naka氏

この回では、Fractonのnaka氏(https://twitter.com/cyaneq)が登壇されました。

内容は、DAOを成立させているツールについての紹介でした。

どうして、Frameworkが必要なのか

提供:Fracton Ventures

DAOはオンチェーンを活用したものであり、特定のツールを使うことで、コマンドやコードを使わないで操作や実装ができるようになtたり、視覚的な操作が可能になる。機能を0から作らなくて済みます。

ツールは様々あり、用途ごとに多種多様ですが、DAOを成立させるための最小限の要件として五つあります。

  1. Treasury
  2. Membership
  3. Voting
  4. Proposal
  5. Execute(スマーとコントラクトを介した実行)

そして、そうしたDAOに役立つツールとして、「Aragon」、「OpenZeppelin Governor」、「Moloch」の三つが詳しく紹介されました。

OpenZeppelin Governorは、投票追跡や投票カウントやタイムロックの機能があり、Contract Wizardを使用して簡単にコントラクトを作成することが可能です。

Aragonは多くの機能を有しており、資金調達、財務の管理、貢献者への報酬を提供、投票の作成も可能です。Aragon自身も、ANDAOとして、ガバナンストークンANT保有者によって運営されていることも特徴の一つです。

Molochは、グループを作った時にAdmin権限を7段階で選べることが特徴です。これによって、スマートコントラクトという扱いにくいものに、柔軟性を持たせることが出来ます。

そして、実際にAragonとOpenZeppelinのそれぞれで実際にDAOをデプロイしました。

実際にDAOを立ち上げてみよう:登壇者・naka氏

この回では、前回に引き続きFractonのnaka氏(https://twitter.com/cyaneq)が登壇されました。

内容は、実際にDAOをテストネットで立ち上げてみようというものでした。また、セッションの途中、このイベントにいる参加者たちで本物のDAOを立ち上げるということで、ウォレットアドレスの提供が参加者たちからされました。

ここからは、DAO立ち上げを行いました。細かい操作などについては省いて、私が感じた所感を書かせて頂きます。

Aragonでのデプロイ

提供:Fracton Ventures

まずは、AragonでDAOをデプロイしました。その手順の紹介は省略しますが、非常に驚いたのが、この立ち上げにおいて一切コードを読む必要がなかったことです。

メタマスクを繋いで、DAOの名前や説明文を入力し、投票において必要な賛成の割合などを設定すれば、クリックをするだけで完了しました。

また、実際にDAOのデプロイをして分かったことは、意外とガス代がかかるということでした。今回は、Goerliテストネットで行ったので、一切金銭は発生しなかったのですが、Fractonの方曰く、仮にメインネットでデプロイをしようとすれば、イーサリアムの場合0.04ETh(およそ75$)ほどかかるとのことでした。ちなみに、Polygonであれば1$もかからないとのことです。

また、投票をするのにもガス代がかかります。DAOの運営形態として、あくまでも投票は最後に行なって、それに至るまでの議論などはDiscordといったフォーラムで行うというのが常です。こうしなければ、ガス代がかなりかかってしまうので、経済合理性から見ても、含めたDAOの運営形態にオフチェーンでの活動が含まれるのも納得がいきました。

とはいえ、投票にガス代がかかるというのは決して悪いことばかりではく、金銭の支払いが発生することで、悪い人を弾くことが出来るというメリットもあります。

これらDAOに関する説明だけでなく、ETHとERC-20は違うことや、投票に際してトークンを使用しますが、それは消費されているという訳ではないことなど、DAO周辺の細かい説明も行われました。

私は、一切コードに触れてきてはいないのですが、そんな私でもDAOの立ち上げを行うことが出来ました。目的にあったツール選定が重要であることや、触って確かめて初めて分かることなど数多くありました。

質疑応答

Q.  NFTをガバナンストークンに出来ますか?
A. Aragonでは(現時点では)出来ないけれども、他のツール次第では可能です。ガバナンストークンというのは手段であって、ガバナンストークンという規格がある訳ではありません。例えば、STEPNには二つのトークンがありますが、これらはユーティリティとガバナンストークンというように性質が違います。

Q.  トークンを一定数持っていないと提案は起こせないのですか?
A. 設定をすることで、トークン保持の度合いで提案を起こせるようにも起こせないようにもすることも可能です。

Tally × Open Zeppelinでのデプロイ

提供:Fracton Ventures

次に触ったのは、Open Zeppelinでした。クリプトの世界はコードで成り立っていますが、今回は裏側で走っているコードを見ながら触れながらの、DAOのデプロイとなりました。

ここでもDAOデプロイの詳細な立ち上げ手順は省略しますが、所感としては、初心者には非常に難しいものに思えました。

提供:Fracton Ventures

Open Zeppelinはコントラクトを提供する一方で、TallyはコントラクトのみのDAOに対して、ブラウザで操作可能なフロントエンドを提供するツールです。投票権の委任、資金の使用、プロトコル管理などオンチェーンで実現することが出来ます。これ以外にも、REMIXも使用しました。

DAOをデプロイするにあたって、まずOpen Zeppelinでコントラクトを作成しなければならないのですが、書かれているコードの内容は私には理解出来ず、手順をなぞることでなんとかデプロイまで持ち込みました。

しかしながら、分からないながらも、実際にコードを触ってみると、DAOの裏側の仕組みを意識することが出来たので、単に知識として理解するだけでなく、実際に体感するのがやはり重要であると思いました。

二つのツールを触りましたが、両方において大切なのは、やはりDAOで何を取り扱うかが肝心なのだと思います。あくまでもDAOは箱でありツールであるので、DAOそれ自体を目的にするのではなく、自分たちにとって最も適した形を求めた結果DAOに至り、それゆえにDAOをデプロイするというのが、健全な順番なのかと考えました。

質疑応答

Q. AragonのDAOと、Tally × Open ZeppelinのDAOは別々のDAOですか?
A. それぞれ別のDAOです。Aragonの方はコードが不要である一方で、Tally × Open Zeppelinの方はコードが関わってきて大変です。しかし、前者は簡単であれどカスタマイズ性が低い一方で、後者はカスタマイズもあってかなり柔軟なものとなっています。その差異を体験して欲しかったので、DAOを二つ作りました。ここからFUKUOKAコミュニティ用のDAOを作っていこうと思いますので、その後も皆様で活性化していただければなと思います。

ワークショップ③:DAOの内容を具体的にまとめてみる

提供:Fracton Ventures

ここからは、一番最初にまとめたDAOの方向性をもとに、具体的な案としてグループごとに発表内容をまとめていきました。そして、それぞれのグループで10分ほどの制限時間の中で発表をしました。

私のグループは最終的に、「一芸に秀でているけれども、支援を受けられない人向けに少額から広く支援をしていくDAOにする」という内容に纏まりました。

発表内容をまとめるにあたって、一番難しかったのが、資金をどこから捻出するかということでした。支援範囲を広くするのではなく、地域の学生を支援という文脈にし市単位でのDAOにし、一つが軌道に乗れば、他の市でもDAOを立ち上げていき、最終的にいくつかのDAOが集まるより大きなDAOを構築出来れば、というような内容に収まりました。

議論の際、Fractonの方々のアドバイスがやはり非常に役に立ちました。ビニール氏によって、DAOのエコシステムを考えるにあたっての重要な事項が提示されたので、迷走することなく発表を成り立たせることが出来ました。

発表も無事に行われ、質疑応答やアドバイスの際には、鈴木氏からも類似例として、Dream DAO(https://twitter.com/DreamDAO_)というWeb3.0に興味ある若い人たちに対して三ヶ月ほどのプログラムを提供するDAOや、PadawanDAO(https://twitter.com/PadawanDAO)というWeb3.0への志を持っているものの交通費がないために現地の人と交流することが難しい若い人たちに対して支援をするDAOの紹介がされました。

他の3グループも無事発表が終わり、全体として、白熱した議論がありながらも、各々の意見が反映された良いワークショップとなりました。

閉会の挨拶

提供:Fracton Ventures

最後、鈴木氏から、最後の挨拶がされました。

“「「Web3.0 Town Hall」から参加されている方もいますが、改めてどういう形でこの二つのイベントが行われたのかを振り返ろうと思います。最初、7月20日に「Web3.0 Town Hall」が開かれました。ここから、DAOの世界に一気にダイブするというのをしました。昨日はかなりの数のインプットが行われ、2日目が出来るかなと心配をしていました。OpenZepperinまで触ることは通常ではしませんし、ここまで皆様がついてきたというのは非常に素晴らしいことでした。最初、インターネットの話をしましたが、インターネットの急速な変化とWeb3.0の変化は被りますし、初めの講義の中で人間を介したという部分に注目をしましたが、DAOを通じてご理解していただけるかなと思います。

こちらとしても、これで終わらせるのも勿体無いので、みなさんはAragonのテストネットで(DAOのデプロイを)やりましたが、今からPolygon上でのメインネットで、「福岡市のコミュニティを盛り上げるDAO」を立ち上げたいと思います。ぜひ、この場で一緒にデプロイをしたいなと思います。皆様から頂いたウォレットアドレスがあります(※テストネットでDAOを作った際に、今回のイベントのDAOを作るということで参加者から同意の上でウォレットアドレスを集めていました)。ここにいる25人の皆様がこのDAOの管理者となります。テストネットで遊ぶというのも大事なのですが、実際のブロックチェーンに乗せるというのもハードルが高いと思いますし、福岡のコミュニティを走らせる中でここで皆様の提案としてこのDAOを走らせたいなと思っています。
メタマスクから、Polygon Networkを開いて下さい。皆様のウォレットに10円分のMATICを入れています。これは15回分の投票ができるくらい(のMATIC)です。では、テープカット並びにローンチのクリックを岩崎さんよろしくお願いいたします。」”

提供:Fracton Ventures

ここで、福岡市創業支援課の岩崎氏が登壇し、DAOデプロイのクリックをしました。その後、岩崎氏は「これ(DAOのデプロイ)は昼に雄大(鈴木氏)さんからご提案いただきました。福岡に住んでいる者としても、これからWeb3.0を盛り上げていければなと思っています」と述べられました。

そして、最後に鈴木氏からの締めの言葉がありました。

“「我々としても盛り上げていけたらと思います。今回のイベントは普及系のコミュニティDAO CAMPです。我々も福岡市が大好きですし、是非これからも呼んで頂きたいと思っていますし、ビジネスだからという訳でなく、DAOを広めていけたらと思っています。それこそ、福岡市がWeb3.0やDAOの最先端になってもらえたらと思っています。皆様、本当に2日間お疲れ様でした。ありがとうございました。”」

その後、アンケート回答や、FUKUOKA DAO CAMPのPOAPのミントなどが行われ、最後の交流会では皆楽しく会話が弾みました。

イベント全体の感想

提供:Fracton Ventures

FUKUOKA DAO CAMPは、2日間、朝10時から夕方17時まで行われました。 1日目はインプット、2日目はアウトプットという形で、両日ともに非常に濃厚なイベントでした。

先日の「Web3.0 Town Hall」(7月20日)のイベントに続けて行われたということもあり、参加者の方々には、基本的にはWeb3.0やブロックチェーンのことに関して基礎的な知識がある方が多いように見受けられました。しかしながら、そうした方々にとっても、ディープな内容であったことは間違いなく、Fractonの方々の準備の徹底さや、グループワークの際の細やかな気配りなど、非常に素晴らしいものでした。

また、福岡市職員の方々の尽力も凄まじく、開催された場所も「Fukuoka Growth Next」という福岡のスタートアップを支援する施設であることもあり、福岡からWeb3.0をどんどん盛り上げていこうという気概が非常に強く感じられました。

行政と主催企業のコミュニケーションも素晴らしかったために、私自身一参加者として、一切の不便なくイベントを楽しむことが出来ました。Web3.0をしっかりと学べる良い2日間でした。

今回のイベント記事を書くにあたって、3万字ほどを費やしました。しかし、これでもまだ魅力を伝えきれてはいません。やはり実際に参加して体験するのが一番ですし、もし仮に、Fractonの方々が主催となっていたり、福岡市主導でこうしたイベントがある際には、参加することを強くお勧め致します。

非常に長いレポとなりましたが、読んで下さりありがとうございました!

(謝辞)

今回のイベントを主催するにあたって尽力して下さった福岡市職員の皆様。私の突然の取材を快く受け入れて下さるだけでなく写真提供もして下さったFracton Venturesの皆様。興味深いお話をして下さった登壇者の皆様。イベントに来て下さった来場者の皆様。その他全ての方々に、この場を借りて改めてお礼を述べさせて頂きます。ありがとうございました。

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