韓国におけるICOの現状とこれから【2018年5月版】
Crypto Times 編集部
こんにちは、 kaz(@kazukino11111)です。
韓国でのICOが全面的に禁止されたことは記憶に新しいですが、以前より韓国は仮想通貨市場において無視できないほど大きな存在でした。
しかし、ICOの全面規制は韓国のブロックチェーン産業の成長を妨げる障害となってしまっていました。今回の記事では韓国での規制の現状と、今後の動向について解説していきます。
2.今後規制は緩和され、ICOも合法化されると見られている
3.一方で規制当局は現在も国内の取引所を調査中
仮想通貨市場における韓国
韓国は日本や中国と並び世界を代表する仮想通貨大国です。仮想通貨市場において、韓国の取引所は全体の約1割を占めると言われており、かなりの存在感を放っています。
また、CryptoCompareのデータによると、韓国はXRPの取引が盛んで、通貨別の取引量を見てみると、BTC、USDT、KRW(韓国ウォン)となっていて、法定通貨では世界一の取引量を誇ります。
韓国の大手取引所Bithumbやメッセンジャーアプリを提供するカカオが国外でICOの実施を計画していると報じられたこともあり、規制当局は法整備を急いでいます。
韓国での規制の現状
韓国政府は昨年9月に国内でのICOを使った資金調達を禁止しました。一方で、規制当局は禁止が発表される前にICOで集めた資金の返金を強制はしておらず、海外のICOへの投資も引き続き可能となっています。
今年1月18日には韓国の金融監督院(FSS)の責任者が「政府が全ての仮想通貨取引所の閉鎖を検討している。もしくは禁止令を法律を破る取引所に発令する」とコメントを発表し、仮想通貨界隈に大きな衝撃を与えました。
しかし、その直後に韓国の財務大臣は「仮想通貨市場を禁止または抑圧するつもりはありません」と相反するコメントを発表し、政府が取引所を閉鎖する予定はないことを認めました。そして、代わりに政府は規制を導入することを検討していることも明かしました。
今後ICOは合法化される?
現地メディアのKorean Timesは先日、韓国の議員グループが昨年施行されたICO禁止の措置を取り消す法案を作成中だと報じました。
韓国与党民主党のホン・ウィラク議員は今月2日に国会で行われたブロックチェーンとICOに関する公開討論に出席し、法案への支持と今年中の施行を望んでいるという望みを述べました。
「法案の第一の目的は、ブロックチェーン関連企業が直面している不透明感を取り除くことである」
同法案は、研究センターが立ち上げるICOを精査、育成し、ブロックチェーンの進化を促すものとなる予定です。そして、それらのICOは韓国金融サービス委員会に詳しく調査されることになります。
規制当局も合法化に向けて動き出す
国会議員がICOを合法化する法案を作成している傍、FSSが仮想通貨の規制を緩和しようと動いていると報じられました。
FSSのユン・ソクホン長官は仮想通貨の肯定的な側面を認識しているとし、物事はゆっくりと解決に向かっていると発言しました。
「対処したり検討しなければならない問題が山積みになっている。解決することは不可能ではないが、徐々にということになるだろう。」
取引所の捜査は現在も継続中
韓国金融委員会(FSC)は先日捜査の対象となった国内の取引所に対し、現在も捜査を継続しています。現地メディアの朝鮮日報は、アップビットに捜査が入っていると報じました。FSCは国内の取引所を対象に、マネーロンダリングや詐欺行為などがないか調査しています。
FSC関係者は朝鮮日報に対して以下のようにコメントしました。
「FSCは海外の政府機関と連携している。最近、アップビット社がバランスシートを偽り、投資家を騙していたことが明らかになった。FSCはFSSなどと連携して、コンピューターシステムをチェックし、同社の保有する仮想通貨を検査している」
その後、アップビット社は自社で内部監査を行い詐欺の疑いはないと発表しました。規制機関は多様化する取引所に対して他の機関との密接な連携が求められています。
一方で、FSCの副院長は、規制機関は現在も仮想通貨には大きな可能性があると考えているとコメントしました。
まとめ
韓国で起こっている仮想通貨周りの法整備や規制問題が落ち着くまでにはもう少し時間がかかりそうです。しかし、政府や規制機関が発表しているように、仮想通貨およびICOの全面禁止という結果は考えづらく、将来的には規制が緩和されていく方向に進んでいくと見られています。
キムチプレミアムと呼ばれるほど仮想通貨市場では存在感を放っている韓国ですが、今後も同国の動向から目が離せません。