Mocaverse徹底解説|Animoca Brandsが手がけるメンバーシップNFTプロジェクト

2023/10/15・

Crypto Troll

Mocaverse徹底解説|Animoca Brandsが手がけるメンバーシップNFTプロジェクト

9月上旬、MocaverseというNFTプロジェクトが、2000万ドルという非常に多額の資金調達を行いました。

しかしながら、クリプトの冬が訪れ、NFTの盛り上がりはかつてと比べてひと段落しています。そうした中で、このような規模の資金調達をNFTプロジェクトが獲得したというのは、何か特別な背景があることが窺えます。

実は、このMocaverseは、これ単体のNFTプロジェクトというわけではなく、Animoca Brandsという大手グローバルWeb3企業によるエコシステム構築の一環として行われたプロジェクトでした。

この記事では、Animoca Brandsの概要から、Mocaverse NFTによるエコシステムの構築までを取り上げます。

Animoca Brandsとは?

Mocaverseの具体的な説明をする前に、まずはMocaverseプロジェクトを主導しているAnimoca Brandsの説明をします。

というのも、MocaverseのエコシステムとAnimoca Brandsは非常に密接な関係にあるからです。

Web3分野に幅広く投資し独自のエコシステムを構築中

Animoca Brandsは、アジア太平洋地域を中心に活動しており、Web3分野に幅広く投資をしていることで知られています。

同社の投資対象は、Web3プロトコル、ブロックチェーンゲームからEsports、プラットフォーム、マーケットプレイスまで非常に多岐にわたります。Web3を主軸として、現在では380を超えるプロジェクトのポートフォリオを拡大しています。

Deloitte Tech Fastを受賞しており、Financial Timesのアジア太平洋地域の高成長企業リスト2021にもランクインしており、大手のWeb3企業です。

日本にも「Animoca Brands KK」として2021年より進出中

日本でAnimoca Brandsの名前が広く知れ渡ったのは、今年6月に行われた三井物産との資本業務提携及び、戦略的パートナーシップに関する覚書を締結したことでしょう。

この業務提携は、三井物産が保有する幅広い事業や資産、ネットワークを活用することで、日本市場におけるWeb3の普及とイノベーションにつながる新たなビジネスの創出のために行われました。

この発表は2023年に行われましたが、実は、Animoca Brandsの日本市場への進出は2021年には既に行われていました。

日本における戦略的子会社として「Animoca Brands KK」を設立し、2022年1月にはシードラウンドで約 11 億円の資金調達を完了しています。

Animoca Brands KKは、ブロックチェーン技術を活用したプラットフォームを構築・提供することで、日本の知財・IPホルダーがWeb3のエコシステムの中でNFTやトークンを発行できる仕組みを提供し、それによってファンとのコミュニティの構築・拡大を支援する目的で設立されました。

また、2023年3月には、同社CEOに岩瀬大輔氏(NFTプラットフォーム「Kollektion」を運営するKLKTN共同創業者兼CEO)が就任しています。

このようにAnimoca Brandsは、日本における知財やIPを中心とした事業の拡大に数年前から注力していることが窺えます。

Animoca BrandsとMocaverse

ここまでAnimoca Brandsが多くのWeb3分野に投資をし、ポートフォリオを構築していることに言及してきました。

しかしながら、その投資対象は多岐にわたるため、一つの大きなエコシステムとしてまとめ上げるのは非常に困難です。そこで生まれたプロジェクトが「Mocaverse」です。

Mocaverseは、この広大なエコシステムの接続と結束力を向上させ、Web3コミュニティの成長を支援することを目的としています。

2000万ドルの資金調達を成功

まず、Mocaverseの資金調達の仕組みについて解説をします。

今回の資金調達は、「将来株式取得略式契約スキーム」(通称:SAFE)という形で行われました。これは、あらかじめ投資家たちが、決められた購入金額を投資家が支払うことによって、会社側がその投資家に対して、一定の株式に対する権利を一定の条件で発行するというものです。

1株あたり4.5オーストラリアドルでの株式発行が行われ、これは六ヶ月後に普通株に転換される予定です。

また、これだけではなくAnimoca Brandsは、このラウンドの投資家たちに対して1対1ドルでユーティリティ・トークンのワラントを無償で付与しました。これは30ヶ月の権利確定スケジュールの中で行われます。

このようにAnimocaBrandによる肝入りのプロジェクトであることがわかります。

半年以上前から「Mocaverse」プロジェクトは進行中

今回Mocaverseが大きな注目を浴びたのは、2000万ドルという多額の資金調達を行ったためですが、「Mocaverse」プロジェクト自体は半年以上前から開始されていました。

2022年12月15日にAnimoca Brandsは公式PFP NFTコレクション「Mocaverse」を発表しました。これは同社のWeb3とメタバース中心のプロジェクトのエコシステムの強化のために作られました。

Mocaverseの概要

ここまでAnimoca Brandsの概要および、何故、Animoca BrandsがMocaverseプロジェクトを始めたのかを述べてきました。

ここからはより詳しく Mocaverseについて掘り下げていきます。

Mocaverse:Animoca Brandsが手がけるメンバーシップNFTコレクション

 

Mocaverseは、Animoca BrandsによるNFTコレクションであり、Mocaverse NFTはこの排他的なコミュニティに参加するための、IDの役割を果たします。

先述したように、Animoca Brandsのポートフォリオには、多くのプロジェクト、子会社、ジョイントベンチャー、パートナーがいます。彼らたちを、ユニークなNFTコレクションでまとめようとするプロジェクトが「Mocaverse」です。

このプロジェクトの背景にあるのは、Animoca Brandsの下にあるすべての人がつながり、学び、交流し、共に成長するエコシステムを持つことです。人と企業との有機的な繋がりの構築を目的としています。

BAYCとは目的が異なる

NFTコレクションといえば、代表されるのはBAYC(Bored Ape Yacht Club)でしょう。しかしながら、こうしたNFTコレクションと Mocaverseは目的やエコシステムが異なっています。

BAYCのような評判の高いNFTコレクションは、コミュニティが中心となり、保有者に対して限定特典が提供されます。

その一方で、Mocaverseは、パートナーや企業、従業員、ユーザーのコミュニティを強化することを目的としており、Mocaverse NFTを保有することによるメリットは、コミュニティ強化に沿ったものとなっています。

(メリットの詳細に関しては、詳しく後述します)

Mocaversce NFT「Moca」はIDとして機能

 

Mocaversce NFT「Moca」は、8888個のNFTです。

Mocaは、Animoca Brandsのエコシステムを強化し、同社の多くのパートナーたちとユーザーをNFTコレクションで結びつけることを目的としています。

このMocaは、Dreamers、Builders、Angels、Connectors、Neo-Capitalistsの五つの部族のいずれかに属しており、それぞれはWeb3における各主要なプレイヤーたちの性質を表現したものとなっています。

各部族は以下のように表現されます。

  • Dreamers:Dreamersは、エコシステムのアイデア、イノベーション、コンセプトの源です。彼らはMocaverseエコシステムを強化するための、新鮮なアイデア・イメージ・価値観を導入する人たちです。
  • Builders:Buildersは、Dreamersのアイデアを元に行動し、より具体的で理解しやすいものにする人たちです。
  • Angels:MocaverseにおけるAngelsは、宝物やチャンスを探し求めるキャラクターです。彼らはBuildersによってもたらされたアイデアを探し、そのアイデアをさらに発展させるために協力します。ほとんどの場合、彼らはプロジェクトの開発と完成に資金を提供します。
  • Connectors:Connectorsは、Mocana(Mocaverseの世界)と外の世界の橋渡しをします。Mocaverseの世界は排他的であるため、誰もが参加できるわけではありません。Connectorsは外部の個人や団体と繋ぐことで、この空白地たちを埋める役割を担っています。
  • Neo-Capitalists:Neo-capitalistsは、Mocaverse内のキャラクターへの利益分配を管理します。エコシステムへの貢献度に応じて利益を分配するシステムを考案します。

Moca保有者はMocaverseの特典に独占的にアクセス可能

同NFTは、「Moca ID」としてメンバーシップパスとして機能し、メンバーは、Mocaverseのエコシステム体験に独占的にアクセスできます。また、ロイヤリティポイントを獲得できる機会といった様々な特典が提供されます。

 

Mocaverseは、「学ぶ」(learn)、「遊ぶ」(play)、「作る」(build)、「善いことをする」(do good)というユーティリティの4つの主要カテゴリがあります。これは「Realm」と呼ばれユーザーがアイデアを交換し、新しい知識を求め、コミュニティとして成長するためのチャンネルとして機能します。

Moca所有者は、さまざまな会員特典を受けることが可能であり、それらは「Realm」とそれぞれ関連づけられています。
・一緒に学ぶ機会(専門家によるAMAや特別授業など)
・一緒に遊ぶ機会(ゲームパスや限定ゲーム内アセットなど)
・一緒に構築する機会(アクセラレーター・プログラム)
・一緒に善を行う機会(社会的活動の組織化や貢献)

そのほかにも、NFT保有者は、Moca XPトークンも受け取ることができ、これをステークしてコミュニティ内で使用し、報酬を獲得したりイベントに参加したりすることも可能です。

Mocaverseは、Animoca Brandsが抱えるグループ会社、パートナー、やプロジェクトといったエコシステム全体におけるユーティリティの間に、より強いつながりを形成するように設計されています。Moca保有者は、より深いAnimoca Brandsのエコシステムを体感できることでしょう。

Moca XPの仕組み・使い道:ホワイトリストの抽選でより有利に。

先ほどMoca XPについて述べましたが、より詳しく掘り下げていきます。

Moca XPはMocaverseの報酬プールに優先的にアクセスできる役割を果たします。

Moca XPを貯める方法として、以下の三つが挙げられます。

  1. ステーキング
  2. アクティベーション
  3. コミュニティへの参加

Moca XPは各Moca NFT(トークンID)に付与されるものの、NFTは変わらず取引可能です。しかしながら、Mocaを他のウォレットに売却した場合、それに帰属するMoca XPは全てNFTとともに譲渡されます。つまり、新しい所有者はMoca XPがリセットされることなく、そのまま享受できる仕組みとなっています。

Moca XPは、Animoca Brandsのパートナーのホワイトリストへの抽選に活用できます。

Moca XPが高ければ高いほど、ホワイトリスト抽選に当選する確率がより高まります。また、抽選はシリーズごとに行われ、その抽選はMoca XPに基づいて行われますが、各シーズン終了後、Moca XPはリセットされるようになっています。

当選した場合に、取得できるBOXには、Animoca BrandsのポートフォリオプロジェクトのトークンやNFT、提携プロジェクトのNFTのリストが含まれることがあります。

Mocaverse NFTの入手方法

Mocaverse NFTは、Animoca Brandsのエコシステムを構築している人に配られます。

  • Animoca Brandsの機関投資家および個人投資家
  • Animoca Brandsおよびその子会社の従業員
  • Animoca BrandsのWeb3投資先企業の経営陣
  • Animoca Brandsのパートナー

Mocaverseの参加資格のある方は、無料のミント枠と有料のミント枠を受け取ることが出来ます。

このように書くと、Mocaverse NFTの入手は、Animoca Brandsの関係者のみに限られるように思えます。

確かに、当初はAnimoca BrandsのWeb3コミュニティ内での配布が行われていましたが、現在では、OpenSeaのようなセカンダリーNFTマーケットプレイスで購入することが可能となっています。また、公式のマーケットプレイスも開設されています。

おわりに

ここまでAnimoca Brandsを踏まえながら、Mocaverseの解説をしてきました。

Animoca Brandsは多くのWeb3プロジェクトに投資をしており、関わっているパートナーもプロジェクトも多岐にわたります。

そうした多種多様な企業やプロジェクトを包括的にまとめ上げるMocaverseという試みは、下火となっているNFT分野において非常に特徴的なものと言えるでしょう。

もし興味が湧いた方がいれば、Mocaverse NFTを購入し、Animoca Brandsのエコシステムを体験してみてはいかがでしょうか?

Mocaverse:https://www.mocaverse.xyz/

 

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