脱ドル化の実現へ|香港、ステーブルコイン「HKDG」の発行を提言
Crypto Times 編集部

仮想通貨の導入が進む香港にて、現地有識者らが香港ドルと連動したステーブルコインHKDGの発行に関する提言を香港政府に対して行いました。
香港科学技術大学の副学長、香港web3.0協会のチーフ・サイエンティフィック・アドバイザー、その他著名エンジェル投資家らが共著で作成したとする文書によると、ステーブルコインは”伝統的な金融とデジタル経済の架け橋であり、香港がデジタル資産の発展を追求する上で重要なテーマ”であるとし、発行を許可・奨励するのみにとどまっている現在の政府の計画は「あまりに保守的である」と主張しています。
また、民間機関によるステーブルコインの発行は大きな市場シェアを獲得できる可能性が低くなるとし、その一例としてXfersが発行するシンガポールドルと連動したステーブルコイン「XSGD」の時価総額がわずか660万米ドルであることを挙げ、香港政府主導でステーブルコインを発行していくことの重要性を訴えています。
文書では、HKDGの適切な発行により香港のブロックチェーン領域でのリーダーシップの強化も可能になると主張。2023年3月時点で香港の外貨準備高4,300億米ドルがUSDTとUSDCの時価総額を合わせた1,200億米ドルを大幅に上回っている点や、USDTの信頼性の低下等の事例が発生していることなどから、米ドル一強のステーブルコイン市場に挑戦し、HKDGが主流のステーブルコインとなる可能性を秘めているとしています。
昨今ブロックチェーンやデジタル資産エコシステムが急速に拡大するなかでHKDGが主流のステーブルコインとしての地位を獲得することで、同エコシステムの米ドルの優位性に挑戦し、実質的な脱ドル化を実現できると述べました。
今年に入り、本格的にブロックチェーン、仮想通貨事業に参入している香港。
先日、香港政府は同国のWeb3の発展に関して提言を行うための専門家グループ「Web3開発推進タスクフォース」を設立。香港財務長官ポール・チャン氏や大手ブロックチェーンゲーム開発・投資会社のAnimoca Brandsの共同創設者兼執行会長ヤット・シウ氏らが同グループに参加しています。
📢 Exciting news! Yat Siu (@ysiu), our co-founder and executive chairman, has been appointed to the Task Force on Promoting Web3 Development, established by the HKSAR government. Yat believes that the work of the Task Force will help to shape not only #HongKong but also globally… pic.twitter.com/8zEfwTez9I
— Animoca Brands (@animocabrands) July 3, 2023
関連:香港「Web3開発推進タスクフォース」、アニモカ創設者が参加
上記文書でも言及された米ドルに連動するステーブルコインUSDCを手がけるCircle社共同創設者兼CEOのジェレミー・アレール氏は先月中旬、米国下院の公聴会に出席し米ドルの現状や今後、ステーブルコイン法案に関しての提言を行いました。
アレール氏は、世界の外貨準備高を占めるドルの割合は過去6年間毎年平均して約1%減少する状況を挙げながら「ドルは岐路に立たされている」と発言。ステーブルコインに関しても「デジタル資産市場を超えて米ドルの世界的な役割に大きな影響を与える」とし、米国内で議論されているステーブルコイン法案の問題点等を指摘しました。
仮想通貨・ブロックチェーン市場の拡大とともに、世界の経済情勢が変化を続けるなか、今後の各国通貨とそれらに基づいたステーブルコインの動向に注目が集まります。
「ドルは岐路に立たされている」Circle社CEOが米下院で提言
記事ソース:資料