Stacks Asia Foundationの発足: ビットコインレイヤー2を支えるアジアでの重要なパートナーシップ強化
アラタ | Shingo Arai
Stacks保有者の出資により1,500万ドルの予算でスタートし、戦略的アドバイザーによるサポート体制
Stacks Asia Foundationが正式に発足し、Stacksエコシステムのアジア市場での成長を促進するため、Stacks保有者から1,500万ドルの資金提供を受けたことを発表しました。
この新たな財団は、DeSpread、Spartan Group、SNZといった業界をリードする企業との戦略的パートナーシップを通じて、アジア全域での活動を推進していきます。アジアは、長年にわたって暗号通貨とビットコインL2の発展において重要な役割を果たしてきた市場で、Stacks Asia Foundationは韓国、香港、シンガポール、日本、東南アジア、UAEなど、地域を超えた市場での開発者支援やインフラ整備、投資家との連携強化を目指しています。
地域における主要な目標としては、ビットコインDeFiエコシステムの推進や、重要な資産へのアクセスと流動性の確保が挙げられ、アジア全域でのStacksエコシステムの成長に寄与することを目指しています。
Stacks Asia Foundationは、Stacks Foundationと独立した組織ではあるものの、補完的な分野での協力も視野に入れています。特に、財団の指導は、長年Stacksエコシステムに貢献してきたKyle Ellicott氏が暫定的に行い、彼の豊富な経験と実績が期待されています。
また、DeSpreadのGM Chung氏、Spartan GroupのMelody He氏、Stacks FoundationのMitchell Cuevas氏など、業界のリーダーたちがアドバイザーとして参加し、財団の形成に重要な役割を果たしています。さらに今後、新たなアドバイザーも加わる予定となっており、より多くの専門知識が財団の活動に寄与することが見込まれています。
Stacks Asia Foundationの初期の取り組みとしては、各地域におけるリージョンリードの採用が挙げられ、地域ごとの市場における目標設定や、開発者やコミュニティとの連携が進められます。Stacks Asia Foundationは、リレーションシップ、マーケット、アダプションの3つの柱に基づいた活動を展開し、アジア全域でのStacksエコシステムの採用と認知度向上を目指しており、特にビットコインスマートコントラクトで運用される資産の総価値(TVL)を推進することが重要な目標の1つとなっています。
アジアは暗号通貨の革新と採用の最前線にあり、Stacksのアジア市場への本格的な進出は、この地域が今後の暗号経済においても重要なプレイヤーとなることを示しています。Stacks Asia Foundationの設立は、アジア全域でのビットコインL2エコシステムの成長に大きく寄与すると期待され、専任のチームによる取り組みが進められます。
今後のプロジェクトや取り組みについての詳細は、公式ウェブサイトやTwitterアカウント(@StacksAsiaOrg)で発表される予定です。Stacks Asia Foundationの採用情報はこちらから確認ができます。
Stacksとは?
Stacksは、ビットコインを基盤としたスマートコントラクトプラットフォームで、ビットコインのセキュリティを活用して分散型アプリケーションの構築を可能にする技術です。2017年、ムニーブ・アリ博士によって設立され、当初は「Blockstack」としてスタートしました。Blockstackは、インターネットの中央集権的なデータ管理に対抗する分散型ネットワークを目指し、分散型IDやプロファイルページをビットコイン上に構築する「Onename」プロジェクトの経験を活かして、より堅牢なプラットフォームの構築に成功しました。
2019年には、StacksのネイティブトークンであるSTXトークンが米国証券取引委員会(SEC)からRegulation A+の承認を受け、規制下でのトークン販売を実現し、2,300万ドルを調達しました。これは、暗号資産業界において画期的な出来事でした。
Stacksの最大の特徴は、「送金証明(Proof of Transfer, PoX)」と呼ばれる独自のコンセンサスメカニズムです。PoXはビットコインのセキュリティを継承し、ビットコインをアンカーチェーンとして利用して新しいブロックを生成します。これにより、ビットコインの安全性を維持しつつ、ビットコイン上でスマートコントラクトを実行できるという点で他のプラットフォームとは異なる特徴を持っています。
また、Stacks 2.0のリリースにより、Clarityという新しいプログラミング言語が導入され、ビットコインとのシームレスな相互運用が可能になりました。
さらに、2024年8月29日より開始された「Nakamoto Upgrade」は、Stacksネットワークにおける大幅な改善をもたらします。このアップグレードにより、ブロック生成がより迅速に行われ、トランザクションの確定が数秒で完了するようになります。従来のStacksは、ビットコインブロック生成に依存していたため、トランザクションの確定に時間がかかるという課題がありましたが、Nakamoto Upgradeでは、マイナーが複数のStacksブロックを生成できるように変更されました。また、このアップグレードにより、ビットコインのファイナリティが完全に適用され、Stacksチェーンが自動的にフォークしない仕組みが導入されました。
Nakamoto Upgradeは、ビットコインマイナーによるMEV(マイナー抽出可能価値)問題にも対処し、Stacksネットワークの安全性と効率性をさらに高めるための重要なステップになっています。