【イベントレポート】2018年7月22日 QuarkChain Japan Meet-up レポート
さっちゃん
本レポートは7月22日に行われたQuarkChainのミートアップについてまとめています。
本レポートを読む前に、QuarkChainについてまとめた記事を読んでシャーディングやクラスタリングについて理解しておくと、レポートの内容がかなりわかりやすくなります。
ぜひQuarkChainの記事もチェックしておいてください。
目次
今回のミートアップの概要
イベント | QuarkChain Japan Meet-up |
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内容 | QuarkChain講演 PlayTable講演 EON講演 交流会 |
第1部:QuarkChainの講演
QuarkChainのパートはCMOのAnthurine Xiang氏の公演から始まりました。
まずはQuarkChainが目指すのは「安全性が高い・高分散化・スケーラブル」の3つの大切な要素を兼ね備えたブロックチェーンの実現です。
ただし、従来困難であったこの3つを高いレベルで実現するのは難しい。QuarkChainはそれを可能にする。というプロジェクト自体の方向性について触れました。
その上で、スケーラビリティの歴史を振り返り、QuarkChainのソリューションが生まれるに至った理由について解説しました。
その後、CEOのQi Zhou氏からQuarkChainのコア機能についての講演があり、
スケーラビリティの歴史について
2000年以前、中央集権型のネットワークでは、高パフォーマンスのコンピュータを導入してスケーラブルにしていたというアプローチがありました。
QuarkChainではこれを垂直のスケーラビリティと呼んでいます。
しかし、垂直方向のスケーラビリティは高い性能を持ったコンピュータを導入しなければならないため、効率の良いものではありません。
これに対応するようにGoogleやFacebookでは、データを平行に処理できるようにする技術を開発してきました。
これを水平方向のスケーラビリティと呼んでいます。
ブロックチェーンの分散型世界について
そして、ブロックチェーン技術の開発において2018年以前では、ブロックサイズの変更、承認時間の短縮、より良いコンセンサスアルゴリズムの開発によってスケーラビリティを向上させることが積極的に行われていました。
そこで、QuarkChainは過去にGoogleやFacebookがやってきたように、複数のチェーンを持つこと(シャーディング)でスケーラビリティを実現しようと考えたようです。
- シャーディングについて
- イーサリアムもシャーディングを技術の導入を進めているので、ブロックチェーン業界でもシャーディングは結構有名になってきています。
シャーディング自体は昔からある技術です。
そしてQuarkChainはGoogle、Facebook出身のメンバーが多いので、シャーディングの開発・導入にはこの上ないほどに最適な人材が揃っています。
QuarkChainは「シャーディング」によってブロックチェーンにおける「分散性・安全性・スケーラブル性」のトリレンマを解決する、ということをここでは一番強調していました。
QuarkChainについての簡単な説明
続いて、CEOのQi Zhou氏によるQuarkChainについての簡単な説明がありました。
QuarkChainのコア機能
まずはQuarkChainのコア機能についてです。
- 水平方向のスケーラビリティ
- シンプルなアカウント管理
- 効率的なクロスシャードトランザクション
- EVMへの互換性があるスマートコントラクト
この中でも、クロスシャードトランザクションとEVMへの互換性については特に強調して説明されていました。
クロスシャードトランザクションは、他のいくつかのプロジェクトでは実現が困難だとされていたようです。
しかし、QuarkChainは今回のテストネットでクロスシャードトランザクションの実装に成功したということを強調していました。
そして、EVMとの互換性があるために、イーサリアム上のdAppsなどを簡単にQuarkChain上に移行できることについても強調されていた印象があります。
QuarkChainのコミュニティ
次に、QuarkChainのコミュニティについての紹介あがありました。
この画像がTelegramのメンバーの推移です。
3週間でTelegramグループのユーザー数が8万人まで増えたこと、エアドロップは1回もしていないことが強調されました。
現在は日本語、中国、韓国、フランス、ロシア、フランスのコミュニティがあります。
TOPICO7のオーバービューについても触れ、QuarkChainが高評価を得たことも強調されました。
ICOの次の日にバイナンスに上場したことからもコネクションの強さがわかります。
QuarkChainへのinvestor一覧についても軽く紹介されました。
パブリックテストネットについて
引き続き、CEOのQi Zhou氏からパブリックテストネットの成果についての紹介がありました。
- パブリックテストネットの成果一覧
- TPSの劇的な向上
- シャードの数を増やした
- スマートコントラクトを実装した
- EVMとの互換性があるネットワークを実現した
- パブリックなP2Pネットワークの実装
- ノードの数が5(3月)→6000以上に増えた
- QuarkChain上で12,000以上のノードが稼働している
まず、3月末のテストネットでは2000TPS(オープンソースではないが)を実現したことについて触れ、3ヶ月後のパブリックテストネットでは1万を超えている、との成果について紹介しました。
今回のパブリックテストネットではシャードの数を増やしたことでTPSをあげることに成功したようです。
具体的には8シャードが256シャードになっています。
また、最初のテストネットは送受信のみであったが、今回のパブリックテストネットでは複雑なスマートコントラクトにも対応できたこと、EVMとの互換性があることも成果として紹介されました。
- EVMとの互換性があると?
- EVMとの互換性を持っていると、イーサリアム上のdAppsを簡単にQuarkChain上に移行することができます。
現在のテストネットでは、QuarkChain上で同時に1万2000以上の仮想マシンが稼働しているようです。
ここでは比較としてETHを引き合いに出してテストネットの成果を強調していました。
現在、イーサリアム上では1万6000近くのEVMが稼働しています。
つまりQuarkChainのパブリックテストネットの規模は、ETHのメインネットの規模とほとんど同じだと紹介されました。
また、パブリックテストネット上で8時間ごとに大量のトランザクションを流して負荷テストをしています。
このテストでは、だいたい6分で処理できるようです。これをETHでやろうとすると2日〜3日かかると、QuarkChainの成果を強調していました。
続いて実際のテストネットの画面を映しながら、
- テストネットがどのように動いているのか
- クラスタのつながりやネットワーク内の情報(スマートコントラクトやホルダー情報など)がどのようになっているのか
- tQKCによるギャンブルゲームの実演
このような項目について実演していました。
最後に、QuarkChainのパブリックテストネットは誰でも参加できること、抽選やギャンブルゲームを実装していることを紹介し、ぜひ参加してくださいね!という形でテストネットについての紹介は終了しました。
- ギャンブルゲームの概要
- 50%でかけたtQKCが2倍になる
- 50%でかけたtQKCがなくなる
まず、全員に少なくとも100tQKC(テストネット専用トークン)が与えられる。tQKCには価値はないが、後日このtQKC保有者が抽選に参加できる。tQKCをたくさん持っている人は抽選に当たりやすくなったりする。
100tQKC程度から最大で40,000tQKCに増やしているユーザーもいるようですよ…!
現在の進展状況と今後のロードマップ
2018年Q3
2018年Q3にはテストウォレットをリリースする予定だそうです。
この段階でメタマスクやその他のアプリ・ウォレットとの連携ができるようになります。
2018年Q4(年末)
年末までにはメインネットとスマートウォレットをローンチする予定であることにも言及されていました。
メインネットではより高いTPSの実現はもちろん、その他の発表もあると紹介されました。
QuarkChainのエコシステム
再度、CMO Anthurine Xiang氏にバトンタッチし、QuarkChainのエコシステムについて紹介されました。
本来であればCBOが担当するようですが、今回は来日していなかったためCMOからの紹介となったようです。
QuarkChainには現在の現在30社ほどのパートナーシップがるようで、これを3つに分類しているようです。
1.ワンストップソリューション
Celer Network、DxChain、CertiKなどのパートナーです。
オンチェーン、オフチェーンTPSなど。ワンステップ(ワンポイント)でQuarkChainが提供できるものを提供するパートナーシップです。
2.プロトコルレイヤー・垂直方向のパブリックチェーン
DREP、LendChain、ETOなどのパートナーがこれに分類されているようです。
QuarkChainのプロトコル・パブリックチェーンを活用するパートナーです。
※必ずしもQuarkChain上に乗るというわけではありません。
3.垂直方向のDapps
Playtable、ONO DAPP、Trip.ioなどのパートナーです。
QuarkChain上にのる予定のアプリやDEXなどがこれに分類されます。
QuarkChainが作るファンド
QuarkChainは50億円規模のファンドを作って、エコシステムに参加してくれる企業に資金を使ってサポートしていくことも実施していくようです。
その一環として紹介されたのは、先日発表された9つのプロジェクトのQKCでの資金調達のサポートです。
以上でQuarkChainからの講演は終了しました。
質疑応答
Q. EOS、NEOやHashGraphなどのブロックチェーンプラットフォームがあるが、QuarkChainではどのようにユーザーを獲得していくのか(シェアを伸ばしていくのか)
EOSは垂直方向のスケーラビリティです。QuarkChainは水平方向のスケーラビリティを実現させるものなので、QuarkChainのテクノロジは他社とは競合しません。お互いに協力することができると考えています。
HashGraphに関しては、彼らはコンソーシアムチェーン寄りだと認識しています。私たちはパブリックチェーン(誰でもネットワークに参加できる)にフォーカスしています。コンソーシアムチェーンを利用すると、確かに高いTPSを実現しやすくなりますが、それでは少し中央集権的になってしまいます。
現在、ユーザーはすぐに使えるソリュションを欲しています。ETHやNEOがいいプロジェクトなのは理解していますが、現状としてスケーラビリティの解決を実現することはできていないので、それらをQuarkChainで提供することで、ユーザーを獲得していきます。
Q. ZilliqaやPchainとの違いは?
ZILとの違いの大きなところは、ZILはネットワーク・トランザクションシャーディングであるというところです。考え方としては、ネットワークを分割してパーティションに分けてすべてのノードを違うグループにわけています。
この問題点として、すべての情報をシャーディングする必要があるということがあります。つまり、ネットワーク上のすべての情報をマシンが保管しなければなりません。この仕組みではTPSがあがると1つのストレージやメモリにより多くの負荷がかかります。
もう一つの大きな違いはスマートコントラクトです。QuarkChainではEVMをサポートしています。ZILは独自言語Scillaを利用しなければなりません。つまり、既存の多くのDappsはZILのネットワークには対応していません。
PAIに関しては詳しく把握していないので正確な比較はできませんが、開発チームの経験の豊富さをあげることができると思います。Google、Facebookでの高TPSを実現した経験を生かすことができるのが違いだと考えています。ブロックチェーン業界を見た時に、ここまで優秀なチームなのは非常にまれです。
第2部:PlayTable講演
PlayTableのCEOのJimmy Chen氏からの講演でした。
- Jimmy Chen氏について
- Jimmy Chen氏は15歳の時に初めて起業、18歳の時にその事業を売却したというものすごい経歴を持っています。現在は今ブロックチェーン事業に取り組んでいて、PlayTable意外にもブロックチェーンファンド、ICOグループにも所属しているようです。
PlayTableではアメリカのTOP企業やTOP大学から集まった16人が働いているようです。
「今回みなさんにお話ししたいのは技術的な話ではない、消費者にとってのブロックチェーンとは…?というところについて話します」と前置きして講演が始まりました。
PlayTableはブロックチェーンを物理的世界へ応用する(第6感で感じることができるように)プロジェクトです。
まずはこれをゲームを通じて実現させていくようです。
ゲームはブロックチェーンの分野で伸びているものの一つであることに注目し、ゲームでの参入を決めたようです。
実際に開発されたゲーム(おもちゃ)を会場で実演したりもしていました。
PlayTableではブロックチェーンと物理的な世界を結びつけるためにRFIDを用いていくということについても触れていました。
Playネットワーク(PlayTableのネットワーク)内のものはすべてRFIDがつけられていて、それぞれの端末が1Byteの情報を格納し、これでブロックチェーンと接続します。
PlayTableが将来的に役立つところとして、知的財産の保護があると説明されました。
例えば、Disneyがキャラクタの商用利用に関して10%のFeeをもらっているとすると、デジタル情報をつなげることですべてのレイヤーから手数料を取れるようになるようです。(例:譲渡するときなど)
おもちゃのカテゴリのみで、年間で80億個ほど生産されるおもちゃにつけていきたいと考えているようです。
PlaytTableというソリューションについて
現在は150億規模の消費者向けの家電パートナーとパートナーシップを結んでいるようです。
そのパートナーシップではマーケティングなど様々なところで協力してくれることになっているとのことでした。
プロダクトに関してはQ3に公表されるようです。
8ヶ月前にプレ利用者の登録をし、30億円ほど資金調達にも成功しています。
QuarkChainのような高いTPSを実現できるプロジェクトと組んだのは、ユーザーに向けたプロダクト開発に集中することができるためであると述べられていました。
今後の戦略としては、いろいろなメーカーにアプローチして、それらのデバイスに最初に乗せてもらうことのようです。
2019年までの目標としては、10万個のデバイスに搭載してもらうこと、2020年には100万台を目指します。(アメリカ国内で)
また、以降はゲーム以外でもいろいろなところで適用していくことも考えているようです。
Thank You!!
質疑応答
なぜブロックチェーンを活用しているのか?
PlayTableにとってのブロックチェーンのメリットは、ユーティリティ、認証周りにあります。例えば、ディズニーは様々なメーカが作ったものについてトラッキングできるようになります。小売店についていえば、デジタルな価値を追加することができるようになります。これによって、革新的なことができるようになると考えています。
代替不可能なトークンがプレイテーブル上で使われるようになりますか?
はい。PlayTableには2種類のトークンがあります。まず1つは、RFIDを連携するようなものはERC721を使うことを考えています。
プレイテーブルの価格はどれくらいになると考えますか?
将来的には日本円で2万円くらいになることを目指します。ブロックチェーンを活用するメリットについては、様々なインセンティブを活用できることになることであると考えています。
任天堂などのようにゲームデバイスを販売するこのはなぜですか?。「iPadのアプリ」のようにアプリゲームを開発するところが多いとおもいます。
特に注力したいのはデバイスだけではありません。それに付随するスマートフォンについても力を入れていきたいと考えています。PlayTableは現在4種類のスマートフォンと連携することができます。これを4つから20まで増やしていきたいとも考えています。
トークンを使うということは、税金が発生したりします。ゲームをしながら税金の計算をしたくないと思いますが、これについてはどう考えていますか?
まだそこまでの構想はありませんが、ソフトウェアの上で自動計算したりできるようなシステムができると思います。ユーザーが計算しなくていいような仕組みは導入を検討していきたいと考えています。
第3部:EON講演
第3部はEONのCEOのAron Lyu氏の講演でした。
- Aron Lyu氏
- 2012年からビットコインへ投資を始める。中国のスタートアップでの就業経験あり。TikTokに携わっていた。
まず、EONのチームについての紹介がありました。
ETHへ早期投資したロシア人のICOスペシャリスト、中国で初めてのOculusを使ったVRエンジニア(共同創業者)が中心のチームのようです。
EONが解決する問題点
EONではdAppsゲームにおける問題点は互換性にあると考えています。
dAppsはETH上で動くものが多くありますが、より多くのユーザーに対応するためにはより多くのブロックチェーンとの互換性が必要です。
EONはSDKを利用することで簡単に展開できるようなソリューションを提供します。
この技術によって、ゲームAでのトークンをゲームBで活用できるようになります。
これがパブリックブロックチェーンを活用する最大のメリットだと考えているようです。
EONのプロダクトCryptoAlpacaについての紹介
続いて、EONのプロダクトであるCryptoAlpacaについての紹介がありました。
dAppsゲームとして人気のCryptoKittnesの違いとしては、よりユーザーが使い続けてくれるようにインセンティブをつけているところにあると強調されていました。
2週間で45ETH稼いだ人もいるんだとか…
また、EONのSDKにおいての強みは、様々な国のさまざまなユーザーデータを得たことでをより多くの知見を持てるようになることでもあると述べられていました。
例えばドイツ人のTOPユーザーはサイトを作って紹介で稼ぐ傾向にあり、日本人は攻略方法を学んで上位になる人が多いようです。
日本人は最初はランクは高くないが、ゲームについてよく学んで攻略することでしっかり活用する傾向にあると紹介されていました。
Thank you!!
質疑応答
何を作っている会社ですか?
dAppsゲーム向けのSDKを作っている会社です。例えば、それぞれのブロックチェーンによって技術的な違いがあります。(各チェーンでアドレスが違うように)開発者がSDKによって簡単に違うチェーンとの互換性を持てるようにするのが目的です。
QuarkChainミートアップまとめ
QuarkChainのパートについては、事前にある程度シャーディングやクラスタリングについて理解していた人にとっては、理解が深まる内容だったのではないでしょうか。
ブロックチェーン業界におけるQuarkChainのシャーディング技術がどれだけ高いかを知る良い機会になったと思います。
また、今回はゲーム系プロジェクトのパートナー2つが来日しました。
QuarkChainのエコシステムの活動も注目ですね。
レポートの内容(特にQuarkChainのパート)がよくわからなかった人は、「QuarkChain / QKC の特徴・競合比較まとめ!大注目ICOの将来性は?」を読んでおくと、少し理解が深まるはずです。