「ETH Global Tokyo」にCRYPTO TIMESが挑戦|開発の舞台裏とは【イベントレポート】

2023/05/02・

Henry

「ETH Global Tokyo」にCRYPTO TIMESが挑戦|開発の舞台裏とは【イベントレポート】

株式会社ロクブンノニのコンサルティング事業部マネージャーのHenryです。

先日、我々CRYPTO TIMESのチームは、世界中から数百のチーム、何千人のエンジニアやデザイナーが集まるハッカソンイベント「ETH Global Tokyo」に参加し、プロダクト開発を行いました。

世界各国の都市で定期的に開催されるETH Globalのハッカソンではこれまで数々の革新的なプロジェクトが誕生しており、今回も上記11個のプロジェクトがファイナリストとして選出されました。

本記事では、実際に自分達がハッカソンに参加したことで得られた経験や会場の様子、実際のプロダクト制作時の裏側などをお伝えしていきます。

ETH Global TOKYO

イベント概要

  • 運営 : Ethreum Foundation
  • 場所 : 虎ノ門ヒルズフォーラム
  • 開催日 ; 4月14 ~ 16日
  • 参加費 : 0.06 ETH ( プロジェクト提出後は返却されたため実質無料 )
  • 登録者数:1500人
  • 参加国:59カ国
  • 参加プロジェクト:311
  • 参加ハッカー:1070人 (71%の参加率)

ハッカソンの参加者の内400人以上が日本人であり、70%はアジア圏からの参加となりました。

新規参加者は全体の35%を占めており、開発の途中でメンターやスポンサーへの質問も可能ということもあり初心者も歓迎されるハッカソンとなりました。

また、多数のスポンサーによる総額$375,000ドル (約5,000万円) の賞金も用意されていたこともイベントの大きな特徴のひとつです。

会場

虎ノ門ヒルズフォーラム内の2フロアがイベント会場で、5階が開発エリアとなっており参加者用のテーブルなどが設置、4階ではセッションやスポンサー企業のプレゼンテーション、閉会式が行われていました。

虎ノ門ヒルズ

開発エリアの様子

5階に設置された各ブースでは、1inch、AAVE、Gnosis、Taiko、Access Protocolなどのプロジェクトの独自デザイングッズが配布されており、Lens Protocolの可愛いパーカーとスウェットパンツのセットアップが大変評判を集めていました。

ブースエリアの様子

会場にて配布された各プロジェクトのグッズ

会場にて配布された各プロジェクトのグッズ

また、いくつかのブースではPOAP配布が行われおり、専用の読み取り機にスマートフォンをかざすだけでMintが開始され、LensやAAVEでは可愛いPOAPが配られていたのも印象に残っています。

会場にて配布されたPOAP

会場にて配布されたPOAP

会場では、アイスクリームや飲み物が食べ放題・飲み放題で提供。お菓子も常に補充されるだけでなく、朝食から夜食まで全ての食事も提供され、その規模には驚くばかりでした。

会場に用意されたおやつ

セッション

イベントの初日と2日目には、カンファレンスルームで各プロジェクトのメンバーが登壇し、多様な話題について語っていました。

セッションの様子

セッションでは日本人登壇者も基本的に英語でのスピーチを実施。さらにセッション終了後には登壇後のプロジェクトメンバーに気軽に質問もでき、参加者はグローバルな雰囲気の中で非常に有益な時間を過ごすことが出来ました。

CRYPTO TIMESチームのプロダクト

今回、私たちのチームは4名が以下の役割に分かれてプロジェクトに取り組みました。私Henryは、各メンバー間のコミュニケーションを補佐し、進捗管理を行うプロダクトマネジメントを務めました。

・プロダクトマネジメント x 1
・フロントエンドエンジニア x 1
・バックエンドエンジニア x 2

作成したプロダクトは、こちらの「Mottainai」になります。

「Mottainai」は、”ウォレット内の不要なトークンを一括整理することで、1つのウォレットアドレスを長く使い続ける”というコンセプトで開発したプロダクトです。

SBTの誕生やPOAPの配布などにより、デジタル上における各ユーザーの思い出としての役割を果たしていると我々は考え、ウォレットを綺麗な状態で長く使い続けるためのソリューションとして「Mottainai」を考案しました。

このプロダクトでは、処分したトークンの代わりに現実世界でも活用できるNFTの受け取りが可能で、開発が進めばリサイクルコントラクトに投げたトークンの一部をETHとして受け取れる機能も実装されます。

プロダクトのコンセプトの背景

監査法人に勤めた経験がある私は「Mottainai」が監査の場面において有効活用できると考えました。

現状、監査法人が抱える大きな問題として「人材不足」が挙げられます。

リーマンショック直後の人材カットや採用縮小の影響は今も各監査法人に続いており、企業側の不正問題対応による業務量増加も重なっています。一方で、ワークライフバランスや社会的コンプライアンスの観点から、残業を強制することはできず、物理的に変化が難しい状況が続いています。

そのため、一部の監査法人では新規クライアントを断るケースもあり、Web 2.0時代には上場できない企業も存在しました。そんな中、「仮想通貨」をクライアントが利用することに対しては、既存業務への追加負荷が懸念され、好まれていないのが現状です。しかし、受け入れる必要がある部分も存在するため、外部からの業務削減に貢献できる当該サービスが、業務効率化に大きく貢献できると期待されます。

期末時にウォレット内の評価を行う際、多数の不透明なトークンが存在すると、それらの評価に必要な時間が過剰にかかってしまい、監査を行う側にとっては不必要な時間が消費され、監査される側にとっては余計な費用が発生します。

当該サービスを利用することで、ウォレット内を一括処分処理することで、双方にとって時間と費用の節約が実現できるメリットがあります。

上記に加えて、学生時代からファッション業界を通して馴染みのあった「エコ」「サスティナブル」といったコンセプトもアイディアの元となりました。

開発の舞台裏

ハッカソンのスケジュール

・ハッカソン期間:4/14 (金)~ 4/16 (日)
・ハッカソン開始日時:4/14 (金) 19:00
・プロダクト提出期限:4/16 (日) 9:00

CRYPTO TIMESの想定スケジュール

・4/15 (土) 17:00 プロダクト完成
・4/16 (日) 3:00 追加機能実装

ハッカソンは4/14 (金) の夜7時から開始されました。

当初、開発はハッカソンの会場である虎ノ門ヒルズで行う予定でしたが、予想外のWiFiの遅さから、新宿にあるCRYPTO TIMESのオフィスで作業を行うことに。役割分担とタイムスケジュールを確認した後、プロダクトマネジメント担当の私は自宅で仮眠を取ることにし、他の3名の開発メンバーはオフィスで作業を続けました。

翌朝、4/15 (土) にオフィスに到着すると、3名が徹夜で作業を続けており、進捗確認を行った後に3名にはオフィスで仮眠をとってもらいました。(ちなみにCRYPTO TIMESのオフィスは新宿にあるコワーキング&イベントスペース「GOX」の上にあります)

ハッカソンは、好きなプロダクトをただ開発すれば良いというわけではなく、タイムスケジュールの確認や各自のTo Do、審査対象条件、プレゼン方法、提出物・方法など、開発以外のタスクも多くあり、さらに、私は会場でのセッションを聞く必要があったため、午後には新宿のオフィスから虎ノ門ヒルズへ移動するなどハードなスケジュールだったのをよく覚えています。

当初の予定では、4/15 (土) 夕方の時点で一通りのプロダクトの開発を完了させる予定でしたが、夕方にオフィスに戻り状況確認を行うと、バックエンドでの問題発生により予定より大幅に遅れが生じていました。一旦すべての問題点を洗い出し、妥協する部分と妥協しない部分、メンバー間のフォロー体制を明確にしました。

ちなみにCRYPTO TIMESのバックエンドエンジニアは最近インドから日本に来た若手のエンジニアだったこともあり、チーム内のコミュニケーションは下記の方法で行っていたため、通常より時間のロスがあったのかもしれません。

  1. 日本語で話す
  2. そこから英語で話す
  3. 最後にもう一度日本語でクリアにする

要所要所の問題点を明確にした後、全員が徹夜で作業を行い、急遽45分巻きでアナウンスされたプロダクト提出期限4/16 (日) 8:15の1時間半前の7:30に開発が完了しました。そこから、プレゼン資料を加工し、デモ動画の録画などを急ピッチで準備しました。

Mottainaiのプロジェクト紹介ページ:https://ethglobal.com/showcase/mottainai-swy8t

無事に期限内に提出が完了しましたが、提出直後に09:30に会場集合の連絡があり、フロントエンドエンジニアとしてチームに参加していたCRYPTO TIMES CEOのアラタさんと私は虎ノ門の会場へ向かいました。残りの2人は、徹夜の疲れからオフィスで休むことになりました。

プレゼンテーション

ハッカソンはプロダクトを提出して終わりではありません。ここから自分達が作成したプロダクトのプレゼンテーションを会場で行わなければいけないのです。

今回のイベントでは、ファイナリスト賞とスポンサー賞の両方に応募するか、スポンサー賞のみに応募するか選択が可能でした。

私たちはこの貴重な機会を活かすため、両方に応募することにしました。ファイナリスト賞のプレゼンテーションは長蛇の列だったため、まずはスポンサー賞の方へ向かい、最近シードラウンドで6.5億円の資金調達をしたことでも知られる「INTMAX」でプレゼンを行いました。

審査員の皆様からは、各自異なる視点から今後の開発のためになる素敵なフィードバックをいただきました。

その後、ファイナリスト賞の審査員の方の前でプレゼンテーションを行い、私たちのハッカソンは終了しました。( 審査員は2人の方でしたが、1人はCoin BaseのAsset管理の方でした。)

本来であれば、4人全員でプレゼンを行いたかったのが本音でしたが、チームの3名は開発以外の業務が主であり、ほとんどのことが初めての経験でした。

また残り1名のメンバーにもかなりのプレッシャーがかかっていたと思います。しかし、期日までにプロジェクトを完成させ、チームとしてプレゼンができたことは、初参加の初心者チームとしては大きな成果だと思います。

ハッカソンに参加してみて

今回のイベントは、非常に刺激的であり、多くの学びが得られる経験でした。AAVE創業者のStani氏と直接会話できる機会があったり、普段DeFiなどで利用するプロダクトの関係者たちと出会えることは、非常に貴重な体験でした。

次回のイベントはポルトガルのリスボンで開催され、その後パリやニューヨークでも予定されています。観光旅行を兼ねて参加してみるのも良い選択かもしれません。

一つ気になる点として、日本の主要なIT企業からの参加者があまり目立たなかったことが挙げられます。もちろん、個人としての参加があったかもしれませんが、国内で開催されるブロックチェーン関連のイベントに登壇するような方々が当該イベントの登壇スペースで見当たらなかったことから、日本と他国との間に感じられる状況の違いが印象的でした。

公式リンク

ニュース/解説記事

Enable Notifications OK No thanks