sudoswapの使い方 – NFTをボンディングカーブ上で効率的にスワップできるAMMプロトコル
Crypto Times 編集部
sudoswap AMMは、2022年7月にローンチされたNFT向けのAMM(自動マーケットメイカー)です。
ETH/ERC20<>とERC721(NFT)の取引を円滑にするプロトコルで、高いガス効率, 流動性効率を実現し、NFTの取引をより円滑に行うことができます。
リリースから1ヶ月強となる現時点でも、ユーザー数・取引高ともに右肩上がりで増加しており、今後ますます注目を集めることが期待されます。
本記事では、sudoswap AMMの概要や特徴, そしてsudoswap AMMの使い方を解説していきます。
また、CT Analysisでも、より詳細にETHとNFTのAMMプロトコルである sudoswapをまとめたレポートをご覧いただけるので、下記リンクよりご確認ください。
目次
概要・基本情報
プロダクト名称 | sudoswap AMM |
ローンチ | 2022年7月 |
ウェブサイト | sudoswap.xyz/#/ |
twitter.com/sudoswap | |
Discord | discord.gg/KWHFhVnfue |
sudoswap AMMは、2022年7月にローンチされたNFTのトレードをより効率的に行うためのプロトコルです。
プロダクト自体は、@0xmons氏, @boredGenius氏, @0xhamachi氏の3名により開発が行われています。
基本的なアイデアとしては、NFTに流動性プールという概念を導入するというもので、カスタマイズ可能なボンディングカーブ上でNFT<>ETHの自動マーケットメイクを実現します。
OpenSeaやLooksRare, Magic Edenなどのプロダクトと比較して、複数のNFTの流動性を予測可能なボンディングカーブ上で管理するため、トレーダーに対してより高い柔軟性を提供します。
一方で、NFTの絵柄等は意識せず、流動性プール内のNFTは全て同等のものとして扱われる点には注意が必要です。
以下では、sudoswap AMMの主な特徴について解説します。
特徴① カスタマイズ可能なボンディングカーブ
sudoswap AMMでは、Uniswapのようなボンディングカーブを利用して、NFTの流動性プールが作成されます。
NFTの購入者は、作成された流動性プールのパラメータに基づき、ボンディングカーブ上の価格でETHをNFTとスワップすることができます。
上記グラフは、Alice, Bobの2人のユーザーが流動性プールの作成時に設定したボンディングカーブの例になります。
カーブは直線・指数曲線から指定することができ、流動性プール内のNFTの価格は、x*y=kのプール内の在庫に応じた価格モデルではなく、あらかじめ指定した価格レンジで推移します。
ボンディングカーブ上の各ポイントは、スワップ時には売り板となるため、実質的にこのボンディングカーブはオンチェーン上のオーダーブックとして機能します。
この仕組みにおいては、レンジを無限に設定するAMMと比較し、一定の価格帯に流動性を集中させることができ、これが流動性効率やガス効率の改善につながっています。
特徴② 取引手数料
sudoswap AMMの手数料は0.5 %に設定されており、これは他のマーケットプレイスと比較しても大幅に低い水準となっています。
sudoswap AMM | 0.5%がプロトコルに |
OpenSea | 2.5%がOpenSeaに |
Magic Eden | 2%がMagic Edenに |
LooksRare | 2%がLOOKSステーカーに分配 |
その他のプラットフォームの手数料スキームに注目すると、LooksRareでは、手数料の分配先に関して透明性がある形でLOOKSステーカーに対して分配が行われますが、OpenSea, Magic Edenでは、プラットフォームに吸収される形となっています。
sudoswapでは、現在はプロトコルに手数料が蓄積される形となっていますが、コントラクト上で透明な形で管理されており、今後sudoswapのトークンがローンチされると、LooksRareのようにインセンティブが付与される可能性も考えられます。
sudoswap AMMの使い方
続いて、sudoswap AMMの使い方に関して解説していきます。
sudoswap AMMでは、NFTを購入するユーザーと流動性プールを作成するユーザーの2種類の参加者が存在します。
まずは、基本的なNFTの購入の方法について解説します。
sudoswap AMMでNFTを購入する方法
sudoswap AMMのトップページに行くと、以下のような画面に遷移します。
画面中央の“View All Collection->(全てのコレクションを見る)”をクリックすると、sudoswap AMM上に作成された流動性プールのコレクション一覧画面に遷移します。
次に、Collections画面から、購入したいNFTのコレクションを選択します。
ここでは、最もリスティング枚数の多いZorbsと呼ばれるコレクションを選択しています。
コレクションを選択すると、以下のように現在作成されている流動性プール内に存在するNFTが価格の一覧で表示されます。
この画面で、購入したいNFTを複数(一つでも可)を選択することで、画面右側のカートにNFTが追加され、購入価格の見積もりが表示されます。
最後に、画面右下の“> sudo swap”をクリックし、Metamaskからトランザクションを承認することで、NFTの購入が完了します。
画像では、5枚のNFTを合計0.166ETHで購入(スワップ)するトランザクションを作成しています。
流動性プールを作成する方法
続いて、流動性プールの作成方法について解説していきます。
sudoswap AMMでは、NFTを出品する際には、個別の出品ではなく流動性プールを作成することで任意の価格を指定するため、出品は流動性プールの作成により行うことができます。
まずは、NFTの購入同様にsudoswap AMMのトップページへと遷移します。
トップページ右上、“Your Pools”をクリックし、その先の画面中央にある“+ Create New Pool”から先に進みます。
NFT側の流動性を作成
“+ Create New Pool”画面に移動すると、以下のような3つの選択肢が表示されます。
ここでは、NFTのコレクションをsudoswapで出品し、流動性プールを作成するため、画面中央の“Sell NFT for tokens”を選択します。
次の画面では、実際にプールにデポジットするNFTのコレクション、そして販売するトークンを選択します。
NFTの選択とETHの選択が完了したら、右下の赤枠から次の画面に進みます。
続いて、特徴①でも紹介したボンディングカーブや、出品価格の選択を行います。
画面は以上のようになっているはずです。
ここでは、以下の4つのパラメーターを、画像赤枠部分で左上から設定していきます。
- カーブの最低価格
- カーブの種類
- Delta(デルタ)
- NFTの販売数量
今回は、0.02ETHのスタート価格、直線カーブ(Linear Curve)、Delta(デルタ)を0.005ETH、販売数量を10枚で設定していますので、以上の画像赤枠部分と照らし合わせてご確認ください。
Delta(デルタ)は、カーブの傾きであり、直線カーブを選択した場合、流動性プール内のNFTが売れた際、次のNFT価格に付加する金額を指定できます。
このケースでは、画面下のグラフにあるように、NFTがスワップされるごとにプール内のNFT価格は0.02ETHから0.005ETHずつ上昇していきます。
指数曲線のカーブ(Exponential Curve)を選択した場合、Deltaは金額ではなく、販売あたりの価格上昇の%を指定します。
パラメーターの入力方法が若干異なる点に注意しつつ、画面内でさまざまな条件をシミュレートして、条件を比較していくと理解しやすいかもしれません。
ここまで、設定が完了したら、画面右下の“Next Step >”から次の画面に進みます。
ここが最後の画面となります。
画像中央の赤枠で示されている“Select Your NFTs”から、流動性プールに追加するNFTを選択し、最後に“Approve(承認)”を押します。
Approveが完了すると、画像内“Approve”ボタンが“Create Pool(プールを作成する)”に変化するので、ここからトランザクションを作成し、Metamaskで承認することで、流動性プールの作成は完了となります。
画像のケースでは、10枚のNFTをデポジットし、合計0.425ETHで販売するボンディングカーブを設定した流動性プールを作成するトランザクションとなっています。
ETH側の流動性を作成
ETH側の流動性、つまりボンディングカーブ上で買い指値を作る際は、NFTの流動性プール同様に“+ Create New Pool”画面に移動します。
先ほどと同じ画面に遷移するので、ここでは“Buy NFTs with tokens(トークンでNFTを購入)”をクリックし、次の画面へ進みます。
次の画面では、ETH側の流動性を作成するため、“Select Token(トークンを選択)”でNFTの購入に利用するためのETHを選択、“Select NFT(NFTを選択)”で購入したいNFTのコレクションを選択します。
“Select NFT”のドロップダウンに希望のNFTが表示されないケースもありますので、その場合はコントラクトアドレスを直接入力することで、コレクションを特定することができます。
選択が完了したら、次へ進みます。
ここでは、以下の4つのパラメーターを、画面赤枠左上から設定していきます。
- カーブの開始価格
- カーブの種類
- Delta(デルタ)
- NFTの購入数量
画像では、0.008ETHの開始価格、指数曲線(Exponential Curve)、Delta(デルタ)を5%、NFTの購入数量を10枚として設定しています。
今回は指数曲線を選択しており、このケースにおけるDelta(デルタ)の数値は、1つのNFTを購入するごとに減少する価格の%を表しています。
直線で選択した場合、Delta(デルタ)は増加する価格の値幅を絶対値として指定する一方で、指数曲線におけるDelta(デルタ)はプール内の在庫の変動ごとに%で変動する値幅を指定している点に注意してください。
設定が完了したら次に進みます。
最後に“Create Pool(プール作成)”をクリックし、MetaMaskを通じてトランザクションを作成することで、流動性プールの作成が完了します。
画像のトランザクションでは、ボンディングカーブ上でNFTを購入する10ヶ所の価格を合算した数値である、0.064ETHをデポジットしています。
両サイドの流動性を作成
これまで、NFTをデポジットし流動性プールを作成する方法と、ETHをデポジットして流動性プールを作成する二種類の方法を解説しました。
最後に、これを同時に実施することで、買いと売りのスプレッドから収益を獲得する、両サイドの流動性プール作成方法を解説します。
まず始めに、プール作成画面で、一番右の“Do both and earn trading fees”を選択します。
続いて、流動性プールに追加するNFTコレクションとETHを選択します。選択が完了したら次の画面に進みます。
この画面では、プールの詳細なパラメーターを設定していきます。画像左の赤枠内から見ていきます。
基本的にはこれまで説明してきた内容と同様となりますが、手数料(Fee Amount)の項目が追加されています。
両サイドの流動性を同時に作成することで、開始価格を基準として売りと買いの間にスプレッドを設定し、sudo上でのスワップから収益を獲得することができます。
設定内容は画像の通り下記4点になります。
- 手数料(スプレッド)の設定
- 開始価格の設定
- カーブの種類の選択
- デルタの指定
画像では、開始価格0.01ETH、直線カーブ、デルタ0.0005ETH、スプレッドを2%に設定しています。
ここでの注意点として、購入価格がマイナスに達するようなデルタは設定することができません。
例えば、0.01ETHの開始価格に対して、0.004ETHのデルタを設定すると、3枚購入した時点で購入価格はマイナスとなるため、この条件では2枚までしか買い側の流動性を追加できないことが分かります。
この場合、デルタを小さくするか、ETH側の流動性(購入するNFTの数量)を小さくして、枚数と価格を調整する必要があります。
画面右側では、流動性プールの作成に際して、何枚のNFTの購入/売却を行うかを決定していきます。
全てのパラメーターの設定が終わると、スライダーを利用して、このカーブを採用する流動性プールの作成に必要なコストが自動で算出されます。
画像のケースでは、最大10枚のNFTを合計0.069ETHで購し、最大10枚のNFTを0.122ETHで売却するようなカーブを採用した流動性プールを設定しています。
設定が完了したら次に進みます。
最後に、“Select Your NFTs +(NFTを追加)”から、実際に流動性プールに追加するNFTを選択します。
その後、“Approve(承認)”をクリックし、MetaMaskからトランザクションを作成することで、流動性プールの作成が完了します。
まとめ
この記事では、sudoswap AMMの具体的な使い方を紹介しました。
OpenSeaなどのこれまでのマーケットプレイスと異なり、プールを作成してNFTを売却するため、操作に不安を感じられた方もいるかと思いますが、この記事を読んで使い方を理解することができたのではないでしょうか。
ボンディングカーブを採用するNFTの売買のインフラとしてsudoswap AMMは今後一定の地位を獲得する可能性があります。
また、トークン発行の可能性もないとは言い切れず、プロダクトを早い段階で利用しておくことも決して期待値の低くないアクションであると言えます。
新規のプロダクトであり、ハッキング等のリスクもないとは言い切れないため、利用の際はこれらのリスクを十分にご理解の上、少額で行うことをおすすめします。
また、CT Analysisでも、より詳細にETHとNFTのAMMプロトコルである sudoswapをまとめたレポートをご覧いただけるので、下記リンクよりご確認ください。