スイスの金融市場監督局 FINMAがICOに関するガイドラインを発表

2018/02/19・

Shota

スイスの金融市場監督局 FINMAがICOに関するガイドラインを発表

2/16にスイスの金融市場監督局 FINMAからICOに関するガイドラインが発表されました。
このガイドラインはICOを行う機関からの問い合わせを受けた際にどのように金融市場の法律に適用させるかという点を定めるものです。
また、市場参加者に透明性をを与えるために、FINMAがICOの問い合わせを受けた際にどのような情報を処理しなければならないのか、また可否の結果は何を元に判断されるのかという点においても言及しています。

この記事の3つのポイント!

  1. FINMAがICOに関してのガイドラインを発表
  2. トークンを利用用途や目的に拠って3種に分類
  3. 今後申請されるICOはこのガイドラインに基づいて判断される

本記事引用元:FINMA publishes ICO guidelines

FINMAがICOに関してのガイドラインを発表

スイスではICOの計画やICOが実際に行われた件数が急激に増加しており、それに伴ってICOに対して規制がどう適用されていくのかという点に関しての問い合わせの件数も増加していました。

それに伴い、規制や法律がどう適用されていくのかが部分的に不明確であった点について、FINMAは2017年4月のガイドラインを刷新し新たなものを発表しました。

このガイドラインは、FINMAがICOを行う機関からの問い合わせに対してどのような基準で対応していくのかを明確に定める意図があります。高い需要と動的な市場であるという2点を踏まえると、この段階で今回のガイドラインのような透明性を作り出すことは重要であると考えているようです。

それぞれのICOがそれぞれのメリットを元に判断されるべき

金融市場の法律や規制は現状100%のICOに適用することはできません。また、ICOが行われている方式によっては、必ずしもそれらのICOが既存の規制の対象になるわけではありません。

2017年4月に発表され定められたガイドラインでは、金融市場の規制によって潜在的に大きな打撃を受ける可能性のあるICOの分野がいくつかあります。現在では、ICOのみに特化した規制そのものは存在せず、ICOに関しての判例や一貫した法律なども存在しません。

しかし、これらの規制や法律の適用は臨機応変に適用されるべきであるという観点から今回の刷新されたガイドライン発表に至りました。

FINMAのガイドラインは原則トークンの機能と取引可能性に基づく

ICOを評価する上でFINMAは、ICOを行う機関から提出されたトークンの経済的機能と発行する目的を重視します。主な要素はトークンの根底となる目的と、それらが既に取引や送金が可能であるかという点です。

現在ではスイス国内にも国際的にも、一般的にトークンの種別を分類する用語はありません。そこでFINMAはトークンの種類を3つに分類しました。(中には3つのうちいくつかが組み合わさる形もあります。)


トークンのカテゴライズ

FINMAはトークンのICOを行う際、そのトークンの特性に応じてPayment Token、Utility Token、Asset Tokenの3種類にカテゴライズするための基準を設定しました。

Payment Tokens(決済型トークン)

仮想通貨に近いトークンのことで、決済以外の機能やその他の開発プロジェクトへのリンクが何もないものを指す。決済として必要最低限の機能を持ち、そのうちに決済の手段として受け入れられる可能性があるもの。

Utility Tokens(実用型トークン)

アプリやサービスにアクセス権を与えるトークンのことを指す。

Asset Tokens(資産型トークン)

ネットワークではなく実際に存在する会社や収益源に与したり、配当や利払いにも与するトークンのことを指す。経済的な機能としては、株式や債券、デリバティブに類似している。


ICOの申請に対するガイドライン

上記のように定義されたトークンの分類に基づき、ICOの申請に対してどのようにプロジェクトを扱うのかをICOガイドラインとして発表しました。

Payment ICOs(決済型ICO)

トークンが決済の手段として機能することを意図して発行されていて尚且つ送受金が既に可能であるICOを指す。これに対してFINMAはマネーロンダリング防止のための規制へのコンプライアンス遵守を求める。ただしFINMAはこれらのトークンを証券としては扱わない。

Utility ICOs(実用型ICO)

トークンがアプリやサービスにアクセス権を与える(既に与えている)事としてのみ機能する場合このトークンは証券としての資格を持ちません。しかし、部分的にでも経済的な側面での機能がある場合、FINMAはこれを証券として認めるとしている。

Asset ICOs(資産型ICO)

FINMAは資産型のトークンを証券として扱う。したがって、それらのトークンを取引する際には証券取引法や市民法、スイス債務法の要件を満たしている必要がある。

ICOはこれらの複数を組み合わせてカテゴライズされることもある。例えばマネーロンダリング防止の規制は、決済に使われる可能性のあるUtility Token(実用型トークン)にも適用される。

FINMAによるトークン/ICOの定義
Payment Tokens/ICOsUtility Tokens/ICOsAsset Tokens/ICOs
用途決済のみ アプリ開発
サービス開発
証券
法の適用範囲コンプライアンス遵守一部証券として扱う 完全に証券として扱う

まとめ

ブロックチェーン技術には革新的なポテンシャルがある

この監督を強化するためのガイドラインの発表の後でも、ICOが多様になるにつれて、FINMAが将来的に新たな解釈のガイドラインを発表する可能性はあります。

FINMAはブロックチェーン技術の革新的な可能性を認識しています。したがって連邦政府の”ブロックチェーン/ICO ワーキンググループ”を支持しています。スイス国内で市民法の枠組みに透明性を持たせることは、スイスでブロックチェーンの技術を持続可能かつうまく築き上げる決定的な要因となります。

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