金利スワップAMM「Voltz Labs」とは? | The Mergeの戦略も紹介
m_crypto
イーサリアムのThe Mergeが近づくにつれて、業界ではイーサリアムの大型アップデートに関する情報が頻繁に話題に上がっています。
これまでにテストネット段階である「Ropsten」、「Sepolia」が完了し、8月11日には最後のテストネット「Goerli」で Mergeの実装が完了したことから、メインネットでのMerge実装への期待感がますます高まりつつあります。
そのような状況下で金利スワップを提供するVoltz Labsは、イーサリアムメインネットでのThe Mergeの実装が行われるにあたってVoltz Labsによる取引戦略で収益を得れる機会があるとツイートしました。
https://twitter.com/voltz_xyz/status/1547518179789996033?s=20&t=zqYRFV0w7NtWMcgpJFEk1Q
本記事では、そんなVoltz Labsについて概要や特徴、The Mergeに向けたVoltz Labsの戦略を解説しています。
目次
Voltz Labsの概要
Voltz Labsは、レバレッジを効かせた金利スワップ(IRS)を提供する真新しいDeFi プロトコルです。
金利スワップとは、ユーザーによって望む金利のタイプ(変動か固定か等)が異なる点を利用して、利害が一致したユーザー同士でお互いの金利を負担し合い、実質的に自分の望む金利で取引が行える仕組みです。
合成資産の金利スワップを可能とする自動マーケットメーカーであるVoltzは、他の金利スワップモデルの数千倍資本効率の高い市場を作り出します。
現在はα版のVoltz AMMがローンチされており、流動性があるプールを選択し金利をスワップしたり、流動性を提供して手数料を稼ぐ事が出来ます。
Voltzのユースケースについて
Voltzのユースケースは、レバレッジを使った金利の取引です。
金利には「固定金利」と「変動金利」の二種類があり、金利のスワップが可能なVoltzでは、「変動金利を固定金利に」または「固定金利を変動金利に」交換出来ます。
Voltzでは、
- Fixed Takers(FT)
- Variable Takers(VT)
- Liquidity Providers(LP)
の3種類の役割が存在します。それぞれ見ていきましょう。
Fixed Takers(FT)
Fixed Takers(FT)は、変動金利を固定金利にスワップできます。
下記は、FTによる合成資産のcDAIを例にした解説です。
- 1.アリスは $10,000 相当の cDAI を保有しており、現在の変動金利はAPY10%です。
2.アリスはその金利が下がるリスクを冒したくないので、金利を90日間固定したいと考えています。
3.アリスは現在固定金利が10%である90日間のcDAI プールに参加します。
4.アリスは 10,000ドル相当のcDAIを入金し、90日間10%の固定金利でロックします。
出典:公式ウェブサイト:(Voltz Use Cases)
FTのメリットは、Aliceが保有しているcDAI の変動金利が、今後90日間10%を下回っても10%の固定金利にスワップしたため、変動金利を気にすることなく10%の固定金利を得られる点です。
Variable Takers(VT)
Variable Takers(VT)は、固定金利を変動金利にスワップできます。
続いてVTによる合成資産のcDAIを例に解説してますので見てみましょう。
- 1.現在のcDAIの変動金利のAPYは10%で、Voltzの90日間のcDAIプールの固定金利も10% です。
2.ボブは、cDAI の変動金利が20%に増加すると考えているため、利益を得れる機会にレバレッジをかけたいと考えています。
3.ボブは10,000ドルのDAIを証拠金として入金し、15 倍のレバレッジを選択してスワップを開始します。
4.これによりボブは、スワップに参加した時点で、cDAIの基礎金利から固定金利10%を差し引いた $150,000を想定したエクスポージャーを得る事が出来ます。 (この例で10%)
仮にcDAI の金利がすぐに APY の 20% に跳ね上がった場合、ボブは大きな利益を上げる事になりますが、以下が例の計算式になります。 (簡単にするために、ボブはプールが作成された時点でスワップに入ると仮定)
上記の様にボブが証拠金として入金した$10,000は、90日後に$13,699になっているということになります。
出典:公式ウェブサイト(Voltz Use Cases)
例のようにレバレッジをかけて、固定金利から変動金利にスワップをした後、金利が跳ねてAPYが増えれば大きく利益を上げる事が出来ますが、逆に金利が下がるとボブの資産は減る事になります。
ちなみにVoltz AMMの固定金利は、変動金利から固定金利にスワップする取引が増えれば増えるほど下がるようになっています。
Liquidity Providers(LP)
Liquidity Providers(LP)は、Fixed Takers(FT)とVariable Takers(VT)がVoltz AMMで取引するために必要な流動性を提供します。
流動性の提供は、他のAMMモデルでは、2つの資産を預け入れる必要がありますが、Voltz AMMでは、固定金利と変動金利が両方とも同じ原資産 (eETH、aUSDなど) で行われるため、1つの資産の預け入れで流動性を提供したことになります。
またVoltzは、uniswap v3が搭載している集中流動性を採用しています。
プロトコル内でUniswap v3コードを使用出来る許可を、uniswapコミュニティのガバナンス投票で可決されたためコードの追加を許可されており、Voltz AMMでも導入されています。
この集中流動性により流動性の資本効率が向上し、少ない資本で多くの手数料を発生させる事が出来る様になっています。
Voltz Labsの3つの特徴
①利益を得るための教育コンテンツを製作
②シードラウンドで600万ドルを調達
③ガバナンストークンの発行を計画
これからVoltz Labsの特徴について上記3つのポイントから解説していきます。
Voltz Labsの特徴を1つずつ見ていきましょう。
①利益を得るための教育コンテンツを製作
Voltz Labsは、多くのトレーディングチームと連携し、トレーダーが金利スワップでどのようにマーケットからリターンを得られるか理解できるような教育コンテンツを制作しています。
またVoltz Labsのクオンツ(数学的手法を用いて市場動向を分析、金融商品開発を行う)チームは、トレーディング戦略の策定に多大な投資を行っているとのことです。
こちらがベアマーケットでAPY100%を獲得するトレード戦略の一例です。
https://twitter.com/voltz_xyz/status/1533775905100812288?s=20&t=-Uz-nOYnTlJvX3qCyOa7Lg
②シードラウンドで600万ドルを調達
2021年12月8日、Framework VenturesがリードするシードラウンドでCoinbase Ventures、Fabric Ventures、Amber Group、Wintermute、Robot Ventures、Mgnr、Entrepreneur Firstなどから600万ドルの資金調達を行いました。
調達された資金は、製品開発やVoltz Labs チームの成長のサポートに使用するとのことです。
③ガバナンストークンの発行を計画
ガバナンストークンの発行については、6月9日に行われたVoltz Labs× CryptoKudasaiJP AMAのQ&Aで以下のような回答をしております。
Q.企業やプロジェクト、著名な開発者などとの契約はありますか?
A.VoltzとUniswapは、Voltzの将来のガバナンストークンの1%と引き換えに、Uniswapのv3コードの使用ライセンス(「追加使用許諾」と呼ばれる)をVoltzに提供する、史上初のDAO2DAO取引の先駆者となりました。これはすべてオンチェーンで実行されました。
このような回答をしていることから、まだ具体的には発表されてませんが、Voltzはガバナンストークンの発行を将来的に計画しており、Uniswapへ配布する契約を行っているとのことです。
The Mergeについて
8月12日のvitalikのツイートによると、9月15日頃にEthereumのアップデートであるThe Mergeがメインネットで行われる事が決まりました。
The terminal total difficulty has been set to 58750000000000000000000.
This means the ethereum PoW network now has a (roughly) fixed number of hashes left to mine.https://t.co/3um744WkxZ predicts the merge will happen around Sep 15, though the exact date depends on hashrate. pic.twitter.com/9YnloTWSi1
— vitalik.eth (@VitalikButerin) August 12, 2022
The Mergeは、6月8日に取り上げたコチラの記事の通り、ブロックチェーンをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行する一大イベントであり、検証作業に必要となる電力が削減されることから環境に優しくなるとされています。
また、アップグレード終了後、ETHの新規発行枚数が90%減少する可能性が高く、デフレトークンになることからETHの価値が上がる可能性がると一部では言われています。
上記に加え、The Merge終了後に実施予定のアップデートThe Surgeでは、ロールアップの膨⼤なデータを圧縮して記憶するシャーディングが予定されているため、スケーリング問題の解決に近づく大型アップデートです。
The Mergeの詳細については、CT Analysisの『Ethereum 2022年夏 次期アップグレード「The Merge」とその後のロードマップを理解する』で、詳しく解説しています。
そのようなブロックチェーン業界、暗号資産市場の今後に影響を与えるイベントThe Mergeで、金利スワップを可能とするVoltzはどのような戦略を練っているかみていきましょう。
Voltzの取引戦略について
Voltz protocolでは、stETHとrETHの金利スワッププールがローンチされていますが、Voltzの強みであるレバレッジをかけて固定及び変動金利の取引を行なう事が出来るのが今回の取引戦略のポイントになります。
現在イーサリアムのステーキングの利回りは4%ですが、The Merge後にPoSへ移行するため、利回りが増加する可能性が高いと予想されています。
そのための影響かVoltz protocolでは、The Merge後の利回り上昇を見据えて、LidoのstETH 、RocketのrETHのプールで固定金利から変動金利へレバレッジをかけ、スワップするユーザーが増えているとのことです。
金利スワップのやり方もシンプルでLidoのstETH 、RocketのrETHを保有する必要がなく、証拠金として預けるETHを用意すればレバレッジをかけて行う事が出来ます。
The Mergeでは、利回りの増加は50%以上、100%も考えられると強気な見解も一部ではあります。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行により、新たなロードマップへの進行が始まりますし、利回りが高ければ高いほどイーサリアムエコシステムの景気が良くなるためこの部分は注目しておきたいです。
まとめ
金利スワップを提供するVoltz Labsについて解説してきました。
Voltzの概要やユースケース、取引戦略について分かっていただけたと思います。
イーサリアムの大型アップデートであるThe Mergeの実装が9月15日頃に行われる事が決まっていますが、運営によるとイーサリアムステーキングの金利スワップの戦略は他にもあり、更なるスワップ戦略の最新情報はTwitterで注目してくださいとのことです。
イーサリアムのThe Merge自体も注目ですが、Voltzのようなその周辺での動向も是非注目していきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
-Voltz Labs公式リンク-