【初心者向け】仮想通貨(ブロックチェーン)におけるコンセンサスアルゴリズムとは?
Crypto Times 編集部
こんにちは、ぼにふぁ(@bonifasan)です。
近頃、仮想通貨の盗難事件などが発生する中、コンセンサスアルゴリズムという言葉をよく耳にするようになりましたよね。
こちらのページでは、コンセンサスアルゴリズムの概要と種類についてまとめています。
ブロックチェーンにおいて非常に重要な仕組みですので、是非最後までご覧ください。
目次
仮想通貨(ブロックチェーン)のコンセンサスアルゴリズムとは?
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーン技術の非常に重要な仕組みの一つで、合意形成ともいわれます。
ブロックチェーン技術(分散型台帳技術)は、ネットワーク上の様々なノードのもとにデータを分散的に記録する仕組みです。
銀行のような中央管理者がいないので、ネットワーク上のノードが取引の承認、つまりはその取引が正当なものであると認める作業をしています。
銀行のように中央管理者がいれば、その管理者が取引の承認作業を行う、ただそれだけの話です。
しかし、ビットコインはその承認作業がネットワーク上の多数のノードに分散されています。
このように承認作業が複数の人に分散されていると、ノードAは取引を承認したが、ノードBは取引を否認(正当なものではないと判断)した、ということが生まれてしまいます。
そこで、正しく合意が形成されるように生み出された仕組みが、コンセンサスアルゴリズムです。
かつてブロックチェーン技術は分散型ゆえに、ビザンチン将軍問題の発生が懸念されていました。
- ビザンチン将軍問題
- 参加者間で合意を形成することができず、トラブルが発生すること。
ブロックチェーン技術では、このコンセンサスアルゴリズムにより’’取引を「誰が」「どのようにして」承認するか’’が明確に定められているため、トラブルなく取引が承認されるのです。
仮想通貨のコンセンサスアルゴリズムの種類と比較
PoW | PoS | DPoS | PoI | PoC | |
---|---|---|---|---|---|
基準 | 仕事量 | 保有量 | 投票 | 重要度 | 特定のノード |
メリット | データ改ざんに強い | PoWのデメリットを改善 | 民主主義的側面がある | 流動性の向上 | 承認スピードの向上 |
デメリット | 電力の大量消費 51%攻撃 | 流動性の低下 経済的不平等 | 中央集権的になる恐れ | 不完全な経済的平等 | 中央集権的 |
主な採用通貨 | BTC・BCH・LTC | ETH・ADA・XP | LSK・EOS | XEM | XRP |
※ETHは2018年にPoWからPoSに移行予定で現在はPoWを採用
PoW(Proof of Work)の仕組みを解説
まずは一番基本となるPoWについて理解しておきましょう。
PoW(Proof of Work)の概要
PoWとはProof of Workの略で、約10分間に及ぶ膨大な量の計算処理を最初に成し遂げたノードを取引承認者とするコンセンサスアルゴリズムのことです。
PoWにおいて、この承認にかかる及ぶ膨大な量の計算処理のことをマイニングといい、マイニングを行い報酬を受け取る人をマイナーといいます。
PoWは、この膨大な量の計算処理を一番早く成し遂げた人が承認者となる仕組みであるため、データを改ざんするのが難しいという特徴があります。
不正な取引を承認する、つまりデータを改ざんするためには、他の多くのマイナーよりも早く膨大な計算処理を済ませなくてはならず、それにはマイニング機材や電気代といった膨大なコストがかかります。
PoWでは、このように膨大な計算処理を承認作業に用いることによって、改ざんに強くしているのです。
PoWの問題点・デメリット
コンセンサスアルゴリズムでは非常に代表的なPoWですが、デメリットがあります。
- マイニングに膨大な電気を要すること
先ほど述べたように、PoWは仕事の量によって合意が形成される仕組みですので、マイナーは取引の承認し報酬をもらうため性能のいいコンピュータを使って膨大な電気を使いマイニングを行います。
電気を大量消費することは、月々の電気代が高額になるだけでなく、地球環境にも非常に悪影響を及ぼします。
昨今、仮想通貨マイナーによる電力消費は国際問題にまで発展しており、大きなデメリットといえます。
- 51%攻撃へのリスクがある
先ほど、PoWは改ざんに強いと述べました。
PoWは仕事の量によって合意が形成される仕組みであるため、不正な取引を承認したいユーザーは、世界中の強力なマイナーがする仕事量を上回らなければなりません。
しかし、ビットコインなどはともかく、他の有名ではない通貨ではそもそも他のマイナーが強力ではなく、膨大なコストをかけずにハッシュレートの過半数を占めることができてしまう場合もあります。
ある特定のノードがハッシュレートの過半数を占めてしまえば、そのノードが取引を承認することになるので、不正な取引を承認も承認できてしまうわけです。
このような問題を、過半数つまり51%以上を占めることから、51%攻撃といいます。
これらのデメリットがあることから、ETH(イーサリアム)は2018年にPoSへの移行を予定しています。
PoWを採用している代表的な通貨BTC・BCH・LTC・ETH(2018年にPoSに移行予定)など
PoS(Proof of Stake)の仕組みを解説
先ほど述べたように、PoWには問題点がいくつかあります。
以下ではそのPoWの問題点を改善したコンセンサスアルゴリズムを紹介します。
PoSの概要
PoSとはProof of Stakeの略で、その通貨の保有量が多ければ多いほど、取引を承認できる仕組みのコンセンサスアルゴリズムです。
PoSは、通貨の保有量によって承認をするノードが決まるため、PoWのように電力を大量に消費することはありません。
また、PoSは承認に膨大な計算作業を必要としないため送金スピードが比較的早いという特徴もあります。
PoWのデメリットであった51%攻撃へのリスクですが、PoSでは通貨の51%を保有する必要があり、ハードルが非常に高くなっています。
また、データが改ざんされるとその通貨への信用問題にかかわるため価格が下落します。
PoSでは、たとえ51%以上を保有しデータを改ざんできたしても、被害を受けるのは51%以上も保有している自分であるため、データ改ざんのメリットがありません。
このように、PoSはPoWの抱える沢山のデメリットを解決しているのです。
PoSの問題点・デメリット
PoWのデメリットを解決しているPoSですが、メリットばかりではありません。
- 流動性が低下してしまう
PoSは、保有量で承認をするノードが決まるため、保有者は取引を承認し報酬を得ようと通貨を貯め込むことになります。
これにより市場に出回る通貨の量が少なくなるため、通貨の流動性が低くなってしまうのです。
- 経済的に不平等である
PoSは、通貨を多く保有する人が承認をするため、承認の報酬も通貨を多く保有する人が貰うことになります。
簡単に言えば、お金持ちがさらにお金持ちになる仕組みなのです。
PoWは高性能なコンピュータを使い、電力を大量に消費して承認を行う仕組みでした。
これも、言い換えれば’’高性能なコンピュータを沢山揃え、高額な電気代を支払うことのできるお金持ち’’がさらにお金持ちになれる仕組みです。
このように、PoWとPoSは資金力がある人が得をするという経済的に不平等な仕組みという一面があるのです。
DPoS(Delegated Proof of Stake)の仕組みを解説
コンセンサスアルゴリズムの中には、日本の選挙制度のような仕組みをとったものもあります。
DPoSの概要
DPoSとはDelegated Proof of Stakeの略で、保有量によって投票する権利が与えられており、その投票で選ばれたノードが承認を行うコンセンサスアルゴリズムです。
DPoSは、簡単に言えば選挙で承認するノードを決めるアルゴリズムです。
PoSでは先ほど述べたように、通貨の保有量によって承認をするノードが決められていました。
しかし、DPoSでは保有量によって投票する権利が与えられる仕組みです。
通貨を保有している人には投票権が与えられており、通貨所有者の中で承認者に立候補している人を選び投票します。
その選挙ではあらかじめ決められた人数のみが当選し、その選ばれたノードのみが承認者となり報酬を得られる仕組みになっているのです。
DPoSはこのように選挙で承認者を決めることから、民主的な仕組みであるといわれます。
取引を承認をするまでの流れには多くの保有者が関わっていますが、実際に取引を承認するのは選挙で選ばれたごく少数のノードです。
そのためDPoSは、PoWのように膨大な計算処理をして承認者を決めるわけではないため、承認スピードがはやいというのも魅力のひとつです。
DPoSの問題点・デメリット
- 中央集権的になる恐れ
先ほど述べたように、DPoSは民主的で、承認もスムーズとメリットは多いです。
しかし、取引を承認する選挙での立候補者たちが裏で徒党を組んだり、通貨を大量に保有する人が集まって独裁的に立候補者を選出したりすれば、不正な取引を承認、つまりデータを改ざんできてしまいます。
このように、民主的な仕組みではあるものの、中央集権的に承認をコントロールする危険性を消し切れていないのも覚えておく必要があります。
PoI(Proof of Importance)の仕組みを解説
PoWやPoSは非常に経済的に不平等なコンセンサスアルゴリズムであるため、PoIでは経済的平等が目指されました。
PoIの概要
PoIとはProof of Importanceの略で、ネットワークへの貢献度によって承認を行うノードが選ばれるコンセンサスアルゴリズムです。
このネットワークへの貢献度というのは具体的には、その通貨の保有量や取引回数などのことです。
通貨を多く保有することや、積極的に取引に参加することがネットワークへの貢献となっている、つまりはImportance(重要性)があるというわけです。
この仕組みにより、コインの流動性が高まることが期待できます。
また、PoWやPoSに比べて少額しか通貨を持たない人も報酬を得ることができ、比較的平等といえます。
PoIの問題点・デメリット
- 不完全な経済的平等
PoIは通貨の保有量や取引回数のよって貢献度が決まります。
たしかに、通貨を少額しかもっていなくても報酬は得られます。
しかし、貢献度に保有量が関係しているのは事実で、保有量が多ければ取引を承認できる確率は高くなり、報酬を得られる確率も高くなります。
PoIは悪く言えば不完全な経済的平等であるというのも覚えておかなくてはなりません。
PoIを採用している代表的な通貨XEM
PoC(Proof of Consensus)の仕組みを解説
今まで紹介してきたコンセンサスアルゴリズムは、どのノードが承認者になるかがまちまちでした。
しかし今度は、一風変わった仕組みのコンセンサスアルゴリズムです。
PoCの概要
PoCとはProof of Consensusの略で、事前に信用のできる承認者を決めており、その承認者の80%が有効と認めた取引のみを承認するコンセンサスアルゴリズムです。
PoCのメリットはやはり承認スピードが速いことです。
ブロックを承認するノードが決まっているため、不特定多数のノードが承認する権利を争う必要が無いからです。
また、いい加減なノードに承認を任せているわけではなく、承認は信用のおける組織が行っています。
PoCの問題点・デメリット
- 中央集権的である
承認者が事前に決まっていることで承認スピードが非常に早いのがメリットではありますが、その一方で中央集権的であるともいわれます。
しかしながら、信用のおける組織に承認をさせることで、安定したネットワークが構築できるとプラスに捉えることもできるのです。
PoCを採用している代表的な通貨XRP
コンセンサスアルゴリズムまとめ
今回は、仮想通貨におけるコンセンサスアルゴリズムについて解説しました。
コンセンサスアルゴリズムは、ブロックチェーン技術において非常に重要な仕組みの一つになります。
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