Loom Network – Zombieチェーンとは? 既存のチェーンとの違い

2018/06/03・

Shota

Loom Network – Zombieチェーンとは? 既存のチェーンとの違い

こんにちは!Shota(@shot4crypto)です。

本記事では、Loom Networkによって開発が進められていて既にローンチが決定しているZombie チェーンについて紹介をしていきます。

Loom Networkって何だっけ?って方は以下の記事を参考にしていただければ、と思います。

Zombieチェーンの概要 dAppsチェーンとの違いは?

Loom Networkは主にdApps(分散型アプリケーション)におけるスケーラビリティ問題へのソリューションとして機能していました。

これは、それぞれのdAppsにそれぞれのdApps特化型のチェーンが存在することで、必要最低限のメインチェーンとのやりとり(Relay)しか必要としないため、Ethereumのメインチェーン上で各ノードがトランザクションを1つ1つ検証する際に起こるスケーリングの問題を解消することができるというものでした。

しかし、デベロッパーがdAppsチェーン上に自身のアプリを特化dAppsチェーン上にデプロイし、Validator(承認者)の設定などを行う必要がある点は、開発を加速させるための障害となっていました。

そこで登場したのがこのZombieチェーンです。

Zombieチェーンは、誰もが自身のdAppsをDPoSを採用した共有サイドチェーンであるZombieチェーン上にデプロイすることのできるチェーンです。

DPoS(Delegated Proof of Stake)とは
ステークホルダーの投票により代表者が選出され、選出されたノードが代表者としてトランザクションの承認を行う合意形成アルゴリズム

このDPoSを採用した共有サイドチェーンにより、既存のdApps特化型チェーンにおいて問題視されていた、デベロッパー側の障壁を取り除くことが可能になると考えられます。

Zombieチェーン自体はメインネットではないのですが、ロッパーがZombieチェーンという機能を共有できる基盤をもとに簡単にアプリを開発することのできる、dAppsゲームのプラットフォーム的な役割を果たすと考えられます

Zombieチェーンの特徴

前項では、既存のdApps特化型チェーンの問題とZombieチェーンの違いに関して言及しましたが、Zombieチェーンの特徴に関しても詳しく見ていきたいと思います!

Zombieチェーンではデベロッパー側のエクスペリエンスだけでなく、ユーザーエクスペリエンスを大事にしていることがわかると思います。

固定月額ホスティング料金制

既存のdApps特化型チェーンのケースにおいてLOOMトークンは、アクセス権のような機能を果たしていました。

デベロッパー側は自身のdAppsチェーンにアプリをデプロイし、それを利用するユーザーがトランザクションごとにガスを手数料として支払っている形です。

ガスとは?
PoWのイーサリアムのメインチェーンで行われるトランザクションに対して支払われる手数料のこと。トークンのトランザクションがメインチェーン上で承認を受ける場合、トークンではなくEtherとして支払われなければならない。

一方で、共有サイドチェーンであるZombieチェーンでは、Zombieチェーンの承認者(DPoSなので投票によって選ばれた代表者)への手数料として、チェーンを利用する(自身のアプリをチェーンにデプロイする)デベロッパーのLOOMトークンの残高から差し引かれる形で支払われます

これがローンチされると何がどう変わるのかってことなんですが、dAppsの利用者にトランザクション毎のガスを支払わせる必要がなくなり、単純にゲームを楽しみたいというユーザーに対してのUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上に繋がります

ローンチ当初は、これは月額1LOOMトークンと格安で提供されますが、アプリ数の増加に伴ってこの価格は適当に設定されていくようになるとのことです。

デベロッパーは、ユーザー数の多いアプリを高い月額を払ってZombieチェーン上で動かすこともできますが、自身のdAppsチェーン上にこれをフォークさせて独自のチェーン上で月額を支払わない形に移行することも可能です。

極めて高速なブロック生成時間

DPoSを採用していて、トランザクションの承認速度が速いことは既に解説をしましたが、Zombieチェーンではブロックの生成時間も1秒以下と極めて速いです。

一点だけ、必ずしも生成速度が速いことが善で遅ければそれが劣っているということではありません。

しかし、Zombieチェーンにおいてトランザクションが承認され、トランザクション速度が1秒以下であることには以下のような特徴があります。

Zombieチェーンにおける平均1秒以下のブロック生成速度の特徴
  • Plasma Cashにより資産が保護されているので、短いブロック生成時間にもかかわらず高い安全性を持つ
  • ターン性のゲームなどにおいてユーザーの待ち時間が短縮できる
  • 既存のdAppsゲームと比較した際に段違いなユーザーエクスペリエンスを提供できる

上述の通り、dAppsを動かすベースとなるチェーンにおいてはこのような高速なブロック生成時間は武器になりますが、他の用途では1秒ではない方がいいケースなどもありますので、こちらは各自調べてみるといいかもしれません。

Zombieチェーンの今後のR&D / 将来性

Zombieチェーンは、現在ローンチを待っている状態となりますが、R&D(Research And Development)においても素晴らしいビジョンや構想を持っています。

Zombieチェーンが現段階どのように開発を進めようと画策しているのかを以下に紹介し、各項目に関する将来性についての考察をしていきます。

Plasma Cashのサポート

Plasma Cashは2018年3月にEthereumの共同創設者であるVitalik Buterin氏らから発表された構想で、Plasmaのセキュリティをさらに向上させるような仕組みになっています。

Plasma Cashのユースケースに関しては、以下の記事で少し触れているのでよかったら参考にしてみて下さい。

ZombieチェーンがPlasma Cashをサポートすることで、Ethereumネットワーク上のコレクタブル(ERC721)トークンなどを参照しながら、Loomチェーン上のゲームにそれを安全に移植するようなことができるようになります。

Mediumでの言及はなかったのですが、おそらくEthereumチェーン上のCryptoKittiesなどのゲームで自身が持っているコレクタブルなどを自身がZombieチェーンにデプロイしたゲーム上に登場させたりすることができるようになると考えています。

更に、Plasma Coinが生成されることでdAppsゲーム同士の相互運用性が生まれ、ゲームのメインとなる機能はZombieチェーン上で、その他トランザクションは別のサイドチェーン上でなどと、『サイドチェーンのサイドチェーン』のような仕組みを作ることのできる可能性が十分にあります。

更なる分散化

Zombieチェーンでは、ローンチの初期段階においては、ネットワークの初期の安定化のためにトランザクションのValidator(承認者)がLoom Networkのチーム自身によって担われます。

しかし、今後Zombieチェーンが安定してくるとともにこのValidator(承認者)は、LOOMトークンを十分に保有する人物に任されるようになります。

これによりネットワークの更なる分散化が実現されます。

まとめ

本記事では、Loom Networkから新たに発表された、Zombieチェーンの構想について紹介させていただきました。

Zombieチェーンは、dAppsの共有サイドチェーンとして機能し、従来のdAppsのユーザーエクスペリエンスを格段に向上させる仕組みとなっています。

Loom SDK(Software Development Kit )上でデベロッパーがより多くのアプリを紹介した形で開発をすることができるようになり、それに更なる相互運用性が伴うようになれば、dAppsのゲームが指数関数的に成長していくきっかけになるのではないかと思います。

Loom Networkに関して、個人的にも今後の進捗に期待しています!

読了ありがとうございました!


※本記事で使用している画像に関しては、Loom Networkチームより使用許可をいただいています。

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