ハイスループットEVM互換レイヤー1「Monad」AMA内容まとめ
boarding bridge
並列実行により秒間10,000トランザクションの処理を可能にする「Monad」提供のAMAを、CryptoTimes公式コミュニティであるboarding bridge(bb)にて開催しました。
今回のAMAでは、Monadの強みであるハイスループット処理がどのように実現されているのかについて、チームメンバーから詳しく伺いました。
以下はAMAの内容を要約したものです。
AMA概要
日時:2024年3月6日(水)22:00 JST
場所:bb Discord AMA-Voice/Chat
Giveaway:Secret Rewards
参加者:219名
スピーカー
・Fitz | Ecosystem Growth
・arata | CryptoTimes
・YURARI | bb
(敬称略)
AMAの内容
自己紹介
Fitz
2023年5月からMonad Labsでエコシステムグロースに取り組んでいるFitzです。私は創設メンバーではありませんが、Monadを立ち上げた初期の動機は、並列実行に最適化された新しいクライアントを構築しようとする試みがこれまでになかったという事実から来ています。Monadが最初に作られたとき、ほとんどのチームはレイヤー2を使ったスケーリングに焦点を当てていたため、クライアント自体の最適化という面で差別化できるポイントが多くありました。Monadの主な目的は、次世代のスケーラブルなアプリケーションを構築できるEVM互換のチェーンを作ることです。
質問トピック
「Monadのレイヤー1としての特徴的な要素を教えてください」
Monadには、MonadBFT、遅延実行、並列実行、MonadDbなど、いくつかの注目すべき機能があります。
そしてMonadといえば、EVMに並列実行をもたらしたことでよく知られています。しかしより重要なことは、Monadの構築方法によって、既存のEVMチェーンよりも桁違いに安いガス料金で1秒間に10,000トランザクションをサポートすることができるという点です。
Monad is more than a parallel EVM | X
「同じ分野の Sei や Neon EVMと比べて、Monadが優れている点は何ですか?」
Monadには以下のような優れた特徴があります。
- ユーザーや開発者の体験に余計な摩擦を加えることなく、最高のパフォーマンスを提供します。他のEVM互換ブロックチェーンからのコントラクトを、コードの変更なしに、EVMツールスイートやウォレットの互換性とともにデプロイすることができます。
- Monadは、分散化を犠牲にすることなく、10,000tpsを提供します。
- MonadBFT合意形成メカニズムにより、アクティブなバリデーターセットの将来的なスケーリングを数千に拡大でき、地理的な分散化を維持しながらも、低いハードウェア要件を保持できます。
VCからも信頼を得ており、2023年2月にはDragonflyが主導するシードラウンドで$19Mの資金調達を完了しています。
Today Monad is announcing our $19M seed round, led by @dragonfly_xyz !
Additional participation by @placeholdervc (@cburniske), @Lemniscap, + notable angel investors such as @cobie, @hasufl, @0xMaki and others.
Check out the full article here: https://t.co/SZMG9TDG0j pic.twitter.com/yVrR2Fz7QW
— Monad (evm/acc) (@monad_xyz) February 14, 2023
「並列実行のワークフローを詳しく教えていただけますか?」
Monadはパフォーマンスの最適化をあらゆる角度から考慮し、昔からParallel EVMの構築に取り組んでいます。Monadのアーキテクチャを理解する上で役立つ2つの主要な概念は、並列実行とスーパースカラーパイプラインです。
並列実行とは、複数のコアとスレッドを利用して作業を戦略的に並行して実行しながら、結果を元の順序でコミットする手順です。トランザクションは「内部的に」並列に実行されますが、ユーザーや開発者の観点からは、連続して実行されているように見えます。
一連のトランザクションの結果は、トランザクションが次々に実行された場合と常に同じです。スーパースカラーパイプラインとは、作業の段階を作成し、それらの段階を並行して実行します。(スーパースカラーパイプラインに関する図を参照)
「並列処理中に競合するプロセスがあった場合はどなりますか?」
オプティミスティック実行の単純な実装では、ブロック内の以前のトランザクションが完了するまでトランザクションの再実行は起こりません。この時点で、以前のすべてのトランザクションのステート更新がマージされているため、2 回目のオプティミスティック実行が原因で前のトランザクションが失敗することはありません。
つまりトランザクションの「再実行」は結果に基づいて正しくコミットされます。
「清算等の実行の順番が重要なケースにおいても適格に実行できますか?」
Monadでは、トランザクションが並列に実行されます。最初はこれがEthereumに存在する実行セマンティクスと異なるように思えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。
ブロック自体はEthereumのブロックと同じロジックであり、トランザクションの線形に順序付けられたセットです。ブロック内のトランザクションを実行する結果は、MonadとEthereumの間で同一です。これは、Optimistic実行のためです。
ただし現時点では、Devnetに外部アクターが参加していないため、Monad 上の MEV がどのようなものになるかを想像するのはやや困難です。今後1年間で MEV(Miner Extractable Value)とOEV(Oracle Extractable Value)がどのように進歩するかを見守る必要があります。
「パートナーシップについてはどのように取り組んでいますか?」
現時点で100以上のプロジェクトがMonadエコシステム内でのデプロイにコミットしており、これから数ヶ月でテストネットが進むにつれてさらに増加することが期待されます。
私たちは特に、スポット取引とデリバティブの両方に対する完全なオンチェーンオーダーブックなど、高忠実度のオンチェーン取引アプリケーションを構築するビルダーの支援に注力していきます。
一般的に、Monad上で注目のアプリケーションは、高いスループットと低いガス料金を活用するためにユニークに設計されたものになると予想されます。現在、私たちは初期段階にある数チームと協力し、これらの次世代アプリケーションの在り方を探っています。別途、今後数ヶ月でDeFiとNFTのエコシステム部分をより完全に構築し、時期が来たらいくつかのエキサイティングなニュースを発表します!
Maintaining precise data feeds requires oracles to send _A LOT_ of updates
Pyth will leverage Monad’s high throughput and low gas fees to provide best-in-class price updates
More frequent updates = more accurate data = more efficient DeFi 🤝 pic.twitter.com/OlL3b4q7DZ
— Monad (evm/acc) (@monad_xyz) October 12, 2023
「コミュニティが知っておくべき今後のローンチやアップデートを教えてください」
私たちは、公開テストネットのローンチを2024年第2四半期後半に控えており、ユーザーはパーミッションレスでスマートコントラクトをデプロイすることができるようになります。
この時期には、あらゆるセクターのアプリケーションに対する新しいアーキテクチャを実験することを人々に奨励します。 私たちのエコシステムが協力し、プロジェクト間の統合を見つけ、良いプロダクトを市場に出すようになり、エキサイティングな時期になることをコミュニティに知ってもらいたいと思います。
現在貢献できる方法として、ビルダーやサポーターはDiscordに参加することを奨励します。友達を作り、質問をし、コミュニティが現在持っている楽しくカジュアルな場に貢献してくれると嬉しいです。
コミュニティ質問
「性能面(TPS・ファイナリティ)ではSeiの方が優れているように見えますが。Monadが優れているのはどのような点ですか?」
Monad は、数千にスケールするバリデータセットを備えています。これにより、ノードが地理的に分散している場合でも1 秒のブロックタイムで実行でき、十分な分散化を目的としています。
テンダーミント コンセンサスを使用するブロックチェーンは、アクティブ セット内の数千のノードに拡張できず、バリデータ セットが適切に分散されている場合、短いブロックタイムを達成することは困難になります。
「一般ユーザーがノードを構築して貢献する事は可能ですか?」
夏に予定しているテストネットの後半段階でアプリケーションを再開する予定です。ノード運用は可能ですが、初期のメインネット移行段階ではバリデーターが 150 人しかいないため、短期的にはある程度の競争になるでしょう。
■Nodeの要件
CPU:16コアCPU
メモリ:32GBRAM
ストレージ:2TB NVMe SSD
帯域幅:100Mb/s
「MonadのDevnet段階でバリデータは稼働しますか?」
はい、ただし外部バリデータではありません。プライベート テストフェーズであるDevnetでは、Monadチームがバリデータを実行します。
「UniswapやAAVEのようなティア1 dAppsを誘致する予定はありますか?」
私たちのチームは、新しいチェーンに展開するために投票が必要なプロトコルのガバナンスプロセスに取り組み始めています。
まとめ
並列実行を採用するブロックチェーンはいくつかありますが、中でもMonadは分散性を維持する点が最大の強みと言えそうです。初期のバリデータは150に限定されるものの、最終的には数千までスケールする計画とのことでした。
セキュリティ・分散性・スケーラビリティの3つはブロックチェーンのトリレンマと呼ばれ、同時に解決することが非常に困難とされています。この実現に向けてEVM完全互換のレイヤー1として構築している点もまたユニークです。
2024年の第2四半期後半には公開テストネットのローンチも予定されているため、今後のアップデートも注目です。
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