Astar/Shidenは、Polkadot上で異なるブロックチェーンのDAppハブとなるため、仮想マシンのEVMやWASMを導入し、レイヤー2ソリューションをサポートしています。
将来的に、複数の仮想マシンをサポートして、マルチチェーンのスマートコントラクトプラットフォームになるのが目標です。
本記事では、これらの内容をかみ砕いてAstar/Shidenの特徴をわかりやすく解説します。
速度やガス代の課題であるスケーラビリティ問題を解決し、開発者・ユーザー・Astar/Shiden自身にもメリットが循環する高度な技術を理解しておきましょう。
【日本発】Astar NetworkがPolkadotオークションで勝利。Parachainとして本格始動へ
目次
Astar/Shiden Networkの公式リンクまとめ
Webサイト | https://astar.network/ https://shiden.astar.network/ |
---|---|
プロダクト | Astar/Shiden App |
Astar/Shiden | |
Medium | https://medium.com/astar-network |
Discord | https://discord.com/Z3nC9U4 |
Telegram | Chat/Announcement |
github | https://github.com/PlasmNetwork/Astar |
フィッシングサイト/スキャムサイトに誘導されないためにも、公式リンクのブックマークやSNSアカウントのフォローをおすすめします。
Astar/Shidenの特徴・注目ポイントを解説
最初に、Astar/Shidenネットワークの主な特徴を解説します。
DAppハブの仕組みや、スマートコントラクトプラットフォームの目的を理解しておきましょう。
Astar/Shidenがこれまで構築・実装した技術や開発環境の整備により、他のプロジェクトやユーザーがPokadot上で活躍するチャンスが生まれると分かります。
- Astar/Shidenの特徴
マルチチェーンにおけるスマートコントラクトのハブを目指す
Astar/Shidenが目指すのは、複数のブロックチェーンで展開できる「マルチチェーン」にて、複数のスマートコントラクトをサポートするプラットフォームを構築することです。
仮想マシンであるイーサリアムバーチャルマシン(EVM)やWebAssembly(WASM)と、他のスマートコントラクトを共存させて、かつ相互運用を可能にすることで最適なブロックチェーンの環境が整います。
つまり、EthereumやCOSMOS、BSC、Solanaなどのブロックチェーンにあるスマートコントラクトは、Astar/Shidenを介してPolkadot上でも運用可能になるということです。
特に、Ethereumで分散型アプリ(DApps)を手掛ける開発者が多いですが、スケーラビリティ問題に頭を抱えることを考えると、Astar/ShidenのようなDAppハブを使ってPolkadotチェーンで展開すべきといえます。
ガス代や処理速度に悩まされず、開発者向けのステーキング報酬もあり魅力的です。
ユーザー目線はもちろんですが、開発者がDAppsを開発しやすい環境を構築するためにAstar/Shidenは多くのサポートをします。
レイヤー2ソリューションの実装でスケーラビリティ問題を解決
レイヤー2とは、主要のブロックチェーン(レイヤー1)と互換性があるセカンドレイヤーのチェーンです。
例えば、Ethereumブロックチェーンはレイヤー1、OptimisticやArbitrumなどがレイヤー2、PolygonやBSCはサイドチェーンです。
Astar/Shidenはレイヤー2で処理の統一を行うことで、レイヤー1の取引混雑やガス代高騰を回避します。
実際に、スマートコントラクトをサポートするためレイヤー2でロールアップを実装済みです。
ロールアップとは、大量のトランザクションをひとまとめにしてオフチェーンで処理することです。
レイヤー2ソリューションに関するCRYPTO TIMESの上記記事でも詳しく解説しているので参考にしてくださいね。
Astar/Shidenでは、セキュリティとプライバシーを守る「ZK-ロールアップ」と、無効なトランザクションを検証する期間がある「Optimisticロールアップ」を実装しています。
これらのレイヤー2ソリューションを実装したことで、レイヤー1のスケーラビリティ問題を解決します。
Astar/Shidenのエコシステムが成長するにあたり、レイヤー2ソリューションの強化は必須です。
X-VM技術によりEVMとWASMの相互作用を可能にする
Astar/ShidenはEVM互換性を持ち、さらにWASMも対応しているため開発環境の幅が広がります。
WASMとは、WebAssembly形式の仮想マシンのことで、高い計算精度が求められるアプリケーションの開発が可能です。
単なる言語を超えており、開発者の使いやすさや安全性、効率性、高い処理機能があるためブロックチェーン技術に利点を与えます。
Astar/Shidenでは、EVMとWASMの両方の環境がありますが、通常はこの2つに相互作用はありません。
そこで、X-VM(Cross Virtual Machine)という技術を開発・実装してAstar/Shidenは相互作用の実現に成功しました。
X-VMは、同じブロックチェーン内で、異なるスマートコントラクトとその開発言語から保存されたデータを読み取り、抽象化されたレイヤーを築き上げます。
つまり、X-VMにより、EVM用言語で開発されたのスマートコントラクトとWASM用言語で開発されたスマートコントラクトが相互に作用するということです。
EVMよりも開発言語の幅が広く開発者が扱いやすいWASMで、ますます多くのDAppsプロジェクトがAstar/Shidenを介して盛り上がるといえます。
開発者向けのDAppステーキングでトークン報酬を獲得できる
Astar/Shidenは、他のプロジェクトにはない「DAppステーキング」を展開します。
2022年4月時点で、すでにAstar/Shidenの両方でDAppステーキングが開始されており、Shidenでは、ユーザーが応援したいプロジェクトへステーキングできる状態です。
DAppステーキングとは、プロジェクトがAstar/Shidenで分散型アプリケーション(DApps)を構築しながら報酬としてトークンを受取ることができるシステムです。
ユーザーは、Astar/Shiden上のプロジェクトにステーキングして、プロジェクトが得た報酬の一部を受取ります。
報酬化までの流れについて、上の画像を参考に以下にまとめます。
- Astarの評価額が10億ドルとする
- 毎年総供給量の10%(1億ドル)が新規でトークン発行
- そのうち50%が開発者とステーカーへ
- 内訳は40%が開発者へ、10%がステーキングしたユーザーへ
- 報酬のためさらに開発者とDAppsが増えステーキングされるトークンも増加
- 結果的にAstarの評価額が上がり開発者へのインセンティブも増える
上記の流れを繰り返し、開発プロジェクトの報酬が上がることで優秀なDAppsや開発者がさらに増えると考えられます。
ユーザー報酬分も10%与えられるので、他へのステーキングやDeFiの利用へ繋がり流動性の確保が可能です。
開発者にもユーザーにもインセンティブ報酬が付与され、Astar/Shidenエコシステムの拡大にも重要な取組みといえます。
- ステーキング方法
- ShidenでDAppステーキングを行う場合、ポータルサイトにアクセスして「ストア」を選択します。支援するプロジェクトを選んで100SDN以上からステーキングできます。
日本マイクロソフト社がマーケティングやインフラ整備を支援
AstarとShidenの開発元であるStake Technologies社は、もともとMicrosoft for Startupsというスタートアップ支援プログラムに採択され、Microsoftに支援されていました。
さらに2021年9月、Microsoft JAPANはAstarとShidenのエコシステム構築について支援を発表しています。
支援内容は、プロジェクトのマーケティングやインフラ分野における幅広いサポートです。
上の画像のように、開発環境の支援や技術対応、プロモーションなども含まれます。
例えば、ネットワークのITインフラやブロックチェーン、データ分析などをクラウド上で提供する「Azure」、プログラムを共有できる開発プラットフォームの「GitHub」などにアクセスできます。
Astar/Shidenのビルダープログラムに参加する有望プロジェクトが上記Microsoftツールの利用が可能です。
ビルダープログラムはプロジェクトへの助成金や技術サポート、投資家の紹介などを行うAstar/Shidenの無料サービスです。
Stake Technologies社のCEOが日本人の渡辺創太氏であり、米Microsoftがスタートから支援するプロジェクトとあって、Microsoft JAPANもこのような支援に踏み出したと考えられます。
Astar/ShidenのTokenomics
Astar/Shidenの発行トークンの割り当てや、クラウドローンで配布されるASTR・SDNの権利確定について解説します。
ASTR・SDNトークンの分布割合で重点を置く部分がわかるので確認しておきましょう。
- Astar/ShidenのTokenomics
ASTRのトークン分布
ASTRのトークン分布割合です。
初期供給が70億枚であり、年間10%のインフレ率を目標とする発行上限のないトークン供給となります。
割合をみると、初期ユーザー(ロックドロップ参加者)への30%と、パラチェーンオークション分の20%が大きいですね。
その次に10%の割合を持つのは、プロトコル開発と初期金融支援者、将来のStake Technologies財団です。
ASTARメインネットローンチ時点でのASTRの初期循環量は全体の6%にあたる4.2億枚となります。(資料参考:AstarDocs)。
クラウドローン参加者の権利確定
パラチェーンオークションで配布されるASTRトークンは、初期供給の20%である14億ASTRです。
そのうち15%がクラウドローン分、5%はボーナスプール分として分けられます。
全員が、ロックしたDOTに対して決まった割合のASTRトークンを受取ることになり、22カ月間に渡って均等にアンロックされるので、その間にトランザクションを有効にすることで実際に確定開始です。
オークション終了後から1か月程度で権利確定期間に移行すると発表されています。
紹介や初期参加などのボーナストークンは、5%のボーナスプールから賄うと考えられますね。
- クラウドローンボーナスについて
- クラウドローンボーナスは、オークションの早期参加者や2020年のロックドロップ参加者、Shidenクラウドローン参加者などに10%~20%の割合で配布されます。
SDNのトークン分布
Shidenネットワークの「SDN」トークンの割り当てです。
初期供給量は7,000万枚となり、ASTRと同じく年間10%のインフレ率を目指す上限のないトークン供給となります。
割合をみると、ここでも以前行われていたETHのロックドロップ参加者への配布分、そしてクラウドローン報酬の配布分割り当てが大きいとわかりますね。
Kusamaクラウドローン参加者の権利確定
Shidenネットワークは2021年7月、Kusamaパラチェーンの3回目のオークションで勝利し、スロットを獲得しました。
138,000以上のKSMがロックされ、4,300人以上がクラウドローンに参加したと発表されています。
預けられたトークンは、11か月間の権利確定期間があり、11か月後には完全にロック解除となります。
Astar/Shidenのパートナー・提携情報まとめ
Astar/ShidenのDAppハブ構築に欠かせないパートナーやサポーターを紹介します。
エコシステムに参加するプロジェクトは、Polkadotベースの枠を超えて利用可能です。
インフラストラクチャーが重要だという点を認識しておきましょう。
- Astar/Shidenのパートナー
Astar/Shidenを構築するエコシステム紹介
上の画像は、Astar/Shidenのエコシステムに参加するプロジェクトやパートナー、サポーターです。
Ethereumとの互換性を持つことで、「METAMASK」や「TRUFFLE」のようなEthereum基盤のツールも利用できます。
ネットワークの基盤を支えるインフラのプロジェクトは特に多いです。
例えば、APIエンドポイント(プログラム同士を繋げる接続先)を提供するインフラプロバイダー「PINKNODE」「OnFinality」「BWARE LABS」などが挙げられます。
この提携により、Astar/ShidenのDAppプロジェクトだけでなく取引所やプロバイダー、分析会社などもエンドポイントを使ってプロジェクトの展開に繋げることが可能です。
また、図にあるレイヤー1ブロックチェーンにある、Polkadot、KUSAMA、Ethereum、COSMOSとは、クロスチェーンにより資産の送受信などのやり取りをすることができます。
- 最近の提携
- 2021年10月末、オンチェーンガバナンスやゼロ知識証明の開発に根強いCommonwealthLabsとその育成企業WebbTechnologiesがAstarのエコシステムに参加しました。これによりチーム規模が2倍になると公式Mediumで公表されています。
Astar/Shidenの後援者・サポーター
Astar/Shidenの後援者やサポーターです。
BackersはAstar/Shidenに出資する企業のことで、大手取引所BINANCEやHuobi、OKExのベンチャー部門が目立ちます。
ベンチャーキャピタルについては「出資VCや資金調達元まとめ」でも解説するので目を通してくださいね。
SupportersとしてWeb3財団を筆頭に、スタートアップ支援のMicrosoft、Substrate構築支援のビルダープログラム、ブロックチェーンプロジェクト育成Xceleratorといった各部門が揃っています。
Astar/Shidenの出資VCや資金調達元の情報まとめ
Astar/Shidenに出資するベンチャーキャピタルや過去の資金調達についてまとめます。
Astarは2021年6月にPlasmからリブランドしていますが、Plasm時代から大手企業に注目され巨額の出資を受けています。
最近ではAstar/Shidenのエコシステム成長のために、創設者の渡辺創太氏が33億円規模のファンドを立ち上げたと発表したことも話題です。
Astar/Shiden Networkが33億円規模のエコシステムファンド立ち上げを発表
プロジェクトの支援により、DAppハブの拡大を促進します。
今や支援する側でもあるAstar/Shidenが過去に調達した資金を把握しておきましょう。
- Astar/Shidenの資金調達まとめ
Binance主催ラウンドで240万ドルの資金調達
2021年2月、海外最大手の仮想通貨取引所Binanceのファンド部門「Binance Lads」を主導として、合計5社による資金調達が実施されました。
その他のラウンド参加企業は、HashKey、LongHash、Digital Finance Group、PAKAVenturesです。
出資金額は240万ドル(約2.5億円)となります。
PolkadotのエコシステムにBinanceが出資するのはAstar(当時はPlasm)/Shidenが初です。
この時期、PolkadotのテストネットRococoに初めてスマートコントラクトを展開しています。
ブロックチェーンプロジェクトに出資する大手VC達が、すでにAstar/Shidenの展望に注目していました。
Astar&Shidenで1,000万ドルの資金調達完了
2021年6月、Astar(当時Plasm)とShidenは、1000万ドルの資金調達を実施しました。
日本円で約11億円です。
上の画像のように、Fenbushi Capitalが主導して13もの企業と個人投資家が出資しています。
個人投資家として、元SONY会長の出井伸之氏、ホットリンク代表兼グループCEOの内山幸樹氏、慶應義塾大学教授の坂井豊貴氏も参加しており日本人からの注目度も高いです。
調達した資金はPolkadotとKUSAMAのパラチェーンオークションの戦略材料として活用すると発表されています。
この時期はKUSAMAでオークションが開催されており、Shidenは3番目にスロットを獲得しました。
Polychain主導で2200万ドルの資金調達
2022年1月28日、AstarがPolychain主導で2200万ドル(約25億円)の資金調達を実施しました。
出資にはPolychainのほかに、Alameda Research、Crypto.com Capital、Digital Finance Group、GSRといった豪華VCが出資に参加。
さらに、Ethereum共同創設者兼Polkadotの生みの親であるギャビン・ウッド氏も個人でエンジェル投資家として出資に参加しています。
日本からも元サッカー日本代表で、実業家としても活躍する本田圭佑氏も参加したことで話題となりました。
Coinbaseから資金調達(金額非公開)
2022年3月7日、Astarは米国最大の暗号通貨取引所Coinbaseが運営するCoinbase Venturesから出資を受けました。
Coinbase Venturesは、米国のトップ投資家として知られています。
具体的な調達額は明かされていませんが、この資金調達により「今後数年間の開発費用を確保できた。」とAstar側はコメントしており、Coinbase Venturesの規模も含めて出資額はある程度の額であったことが推察されます。
このニュースと同時期に、Microsoftが『Astar Incubation Program』のサポートを発表するなど、各方面からのバックアップを受けていることが明らかとなりました。
Astar/Shidenのコアメンバーを紹介
Astar/Shidenの創設や開発にあたる日本と海外のコアメンバーを紹介します。
公式サイトでは社員紹介をしておらず、アドバイザーなどの詳細は公表していません。
ここでは、創設から現在のメインネットローンチに向けた活動をするための重要人物を解説するので、チェックしておきましょう。
- Astar/Shidenのコアメンバー紹介
Stake Technologies創設の日本人メンバー
AsrarとShidenの創立メンバーであり、Stake Technologiesを立ち上げた3人の日本人を最初に紹介します。
主に情報発信をしている渡辺創太氏を筆頭に、優秀なメンバーがStake Technologiesの創設に関わったと分かります。
渡辺 創太氏
渡辺創太氏は、Stake TechnologiesのCEOであり、AstarとShidenの創設者です。
慶應義塾大学出身で、アメリカや中国など各国のインターンシップ活動の後、ハイテク企業の聖地であるシリコンバレーでChronicledに就職します。
Chronicledはブロックチェーン企業であり、分散型ネットワークとP2Pネットワークを組み合わせてビジネス取引に特化したネットワークを提供しています。
帰国後は東京大学大学院のブロックチェーン寄付講座共同研究員を経て、Stake Technologiesを立ち上げました。
Astar/Shidenの情報発信は渡辺創太氏が積極的に行っており、日本人のSNSフォロワーも多く、海外を拠点に働く渡辺氏を多くの日本人が応援しています。
山下 琢巳氏
山下 琢巳氏は、Stake TechnologiesのCTO(技術関連の最高責任者)です。
会津大学卒業後、東京大学大学院情報理工学系研究科へ、その後経済産業省の認定クリエータとしてパブリックブロックチェーンの開発と実装を行いました。
プログラミングコンテストで世界大会に出場するスーパー技術者であり、コンセンサスアルゴリズムをシームレスに変更できるブロックチェーン基盤「Proskenion」の開発を行った実績などがあります。
渡辺氏とともにStake Technologiesを創立した山下氏については、CRYPTOTIMESで過去にインタビューを行っているので以下記事も参考に見てみてください。
「Plasm Networkを通じて、自由で公平で透明な世界の創造へ」- Stake Technologies CEO 渡辺創太 x CTO 山下琢巳
宇野 雅晴氏
宇野氏はStake TechnologiesのCOO(業務執行責任者)です。
神戸大学卒業後、博報堂プロダクツを経て決済サービスであるOmiseに参画した実績があります。
その後、Stake Technologiesの創立メンバーとして携わり、金融とブロックチェーンのコンセプト実証などで導入を進め、現在はStake Technologiesを離れて起業しています。
Stake Technologiesの海外メンバー
Astar/Shidenを成長させる海外の重要人物を2名紹介します。
世界中に開発者が分散していますが、Astar公式の発表などに携わるメンバーなので把握しておきましょう。
Aleksandr Krupenkin
Aleksandr Krupenkinは、ロシアのITMO大学出身でStake Technologiesの技術開発・エンジニアの中心人物です。
これまでソフトウェアのエンジニアとして活躍しており、現在はロシアのAiralabでスマートコントラクトの開発も兼任しています。
エンジニアが公開用プログラムを共有するGitHubでは、AstarやPolkadot{.js}の作成プログラムを公開しています。
Astar/Shidenのネットワーク開発の重要な存在であり、Mediumではテストネットの操作方法など多くの記事を投稿しているのでチェックしてみてくださいね。
Maarten Henskens
Maarten Henskensは、Stake TechnologiesのVP of Growth(成長部門主任)として貢献しています。
自動車ショップのCEOを兼任しており、ブロックチェーン業界以外でも好きな仕事を楽しむ印象です。
PolkadotベースのBifrostでも働いた経験があります。
Mediumではクラウドローンの詳細発表など重要な記事を担当しています。
Astar/Shidenのロードマップ(2021年11月時点)を解説
Astar/Shidenは正式なロードマップを公開しておらず、大まかなタイムラインとして発表しています。
2020年9月時点、Polkadotのパラチェーンに接続するまでの流れや成長過程の予定がMediumで公開されました。
この情報を元に、実際の達成・未達成の記録を解説していきます。
- Astar/Shidenのロードマップ
1. 全てのETHロックドロップの終了
Astarにリブランドする前のPlasm時代に、ETHなどのトークンをロックしてPLMトークンを獲得できるロックドロップを実施しました。
全3回の予定で行われていましたが、第3回目だけ実行されていません。
第1回・第2回のロックドロップは終了済みです。
第3回について、ETHは対象外としてDOTのみ使用して行うと発表されていましたが、実際には実行されずパラチェーンオークションを迎えます。
オークションでクラウドローンに参加すると、DOT・KSMを預けてAstar/Shidenを支援することになり、ボーナスでASTR・SDNを受取るので、3回目のロックドロップを並走させる必要はないともいえますね。
もともとETHのロックドロップは終了予定だったので、この第1段階は完了したと考えてOKです。
2. コミュニティリワード開始とレイヤー2プロトコルの実装
コミュニティリワードとは、Plasm時代に、エコシステムで高いパフォーマンスのDAppを構築したプロジェクトに対して報酬を配る機能として紹介されました。
コミュニティ管理の助成金として開始する準備を整えており、当初のイメージ図が以下の画像です。
これを見ると、DAppステーキングとほとんど同じ構造です。
ブロック報酬の40%がコミュニティ貢献者(開発プロジェクト)へ、10%がトークンホルダーへ付与されています。
つまり、Astar/Shidenのコミュニティリワードは、DAppステーキングに名前を変えて実現しているので、予定通り完了したと考えてOKです。
もう一つ、レイヤー2プロトコルの実装について、まずはOVM(Optimistic VirtualMachine)を実装するのが目標だと語っていたのが2020年9月です。
2021年4月にはレイヤー2プロトコルのサポートとしてOVMとZKRollupsの実装が発表されており、こちらも完了しているとわかります。
3. PLM通貨単位の変換
Plasmで2回開催されたロックドロップにて、80,000ETH以上がロックされました。
予想以上の数量により供給するPLMトークンがかなり必要で、価値に影響はなくとも価格相当が1PLMあたり$0.0000000…1となり見栄えが悪いです。
そこでリデノミネーション(通貨単位の変更で新通貨を導入する仕組み)が必要となります。
解決策の一つとしてPlasmがAstarにリブランドしたことで、通貨名もPLMからASTRに変わりました。
Astarの総供給量は、2021年11月に70億枚と発表されています。
PLMとASTRのトークン比率は、数量ではなく供給量の割合で価値が決まり、PLMの価値毀損はありません。
リデノミネーションが課題であると公表されていたので、トークンの価値はASTRとなり変わりますが、PLMトークンの価値が落ちることはないので、この目標も達成したといえます。
4. ネイティブトークンの上場
ネイティブトークンASTR・SDNの上場は、パラチェーンオークション勝利後になります。
すでにKUSAMAオークションで勝利したShidenのSDNは、海外取引所に続々と上場しました。
Shiden Networkが発行する $SDN がKuCoin、gate、MEXCなどの取引所へ上場
ASTRの上場は予定上の課題の一つですが、マーケティングよりも技術的な進歩やインフラの開発・実装に重きを置いています。
その上で、パラチェーンスロット獲得後はASTR上場が確実となるので、この目標達成は遠くないでしょう。
5. Polkadotパラチェーンスロット獲得
2021年のAstarの大きな目標はPolkadotのパラチェーンオークションの勝利です。
スロット獲得後は、DAppの中心となりスマートコントラクトプラットフォームを築いて、Polkadotとその他ネットワークとの相互運用性の機会を広げます。
こちらは、2021年にパラチェーンオークションのために成果達成した内容です。
主に技術的成果となるので以下にまとめます。
- 最初のPolkadotテストネットのパラチェーン接続
- テストネットで最初にWASMスマートコントラクトを配置
- Acalaのテストネットパラチェーンとクロスチェーン機能により取引成功
- テストネットパラチェーンに互換性EVMが追加
これらの成果により、Astar/Shidenはパラチェーンオークション勝利と目標達成に大きく近づいたといえます。
Astar/ShidenがPolkadotで進める今後の展望に注目しましょう!
Astar/Shidenの競合・類似プロジェクトと徹底比較
Astar/Shiden | Acala/Karura | Moonbeam/Moonriver | |
---|---|---|---|
コンセプト | PolkadotでDAppsの中心となる スマートコントラクトプラットフォーム | Polkadot上でDeFiサービスのハブとなる | Polkadot上でイーサリアム完全互換の開発環境を提供 |
仮想マシン | X-VM(EVM&WASM) | Acala-EVM | EVM |
仮想マシン比較 | WASMによりプログラムに最適な開発環境、 EVMでL2ソリューション開発とスケーラビリティ問題解決 | Web3プロバイダー模擬プログラム導入で Polkadot拡張機能とEthereumDAppを併用可能 | Ethereum L1と完全互換性、Web3RPC(遠隔手続き)で ETHのツール利用や移動も容易 |
トータル供給(Polkadot) | 70億枚 | 10億枚 | 10億枚 |
トータル供給(Kusama) | 7,000万枚 | 1億枚 | 1,000万枚 |
Web3助成金 | 7回受領 | 3回受領 | 2回受領 |
Backers | Binance Labs、HashKey、LongHash、 FenbushiCapital、Hypersphere Venturesなど | Coinbase ventures、PanteraCapital、Plychain、 CoinFund、DigitalCurrencyGroupなど | Binance Labs、Coinbase ventures、IOSG Ventures、 Fenbushi Capital、Hypersphere Venturesなど |
Astar/Shidenの類似プロジェクトとして、Acala/KaruraとMoonbeam/Moonriverを比較しています。
すべてスマートコントラクトを実装していますが、Astar/ShidenはWASMを取り込んでいますし、Acala/Karuraは独自のEVMを開発しているといった違いが一目瞭然です。
また、Astar/ShidenはWeb3財団からの助成金受取回数が最多であり、さらにPolkadot系で初めてBinanceが出資したプロジェクトでもあります。
各方面でAstar/Shidenのプロジェクトに支援する動きが大きいですね。
トークンの総供給はAstarが大きく上回る70億枚となっていますが、長期的な利益をもたらすと予想して判断した発行量です。
3つのプロジェクトすべてがパラチェーンオークションの有力候補であり、最先端の開発をしているチームなので違いを把握しておきましょう。
Astar/Shidenのまとめ
この記事では、Astar/Shidenの特徴やプロジェクト全体の情報について解説しました。
マルチチェーンスマートコントラクトのプラットフォームを目指し、異なるブロックチェーンや複数の仮想マシン(EVMなど)をサポートするとわかりましたね。
もう一度、Astar/Shidenの重要ポイントをまとめます。
- この記事のまとめ
- DAppハブとなり、他のブロックチェーンプロジェクトのPolkadotへ移動・開発が可能になる
- レイヤー2プロトコルでZK-ロールアップとOptimisticを実装
- スマートコントラクトはEVMとWASMの開発環境にあり相互作用する
- ASTRトークンはクラウドローン参加者へ総供給の20%が配布される
- DAppステーキングで開発者とステーカー両方に報酬が付与される
Astar/Shidenを立ち上げたStake Technologies社のCEOは日本人の渡辺創太氏です。
日本語対応のTwitterやTelegram、Discordがあるので、Astar/Shidenについて聞きたいことがあれば日本語で質問できますよ。
異なるブロックチェーンのDAppがAstar/Shidenの技術でスケーラビリティ問題を解決し、開発者サポートで良プロジェクトが増えると、Astar/Shidenの人気にも反映すると予想できます。
パラチェーンオークションの注目度を見ると、今後ASTR・SDNトークンの価値にも期待できそうですね。
一般ユーザーが報酬獲得できるクラウドローンやDAppステーキング、さらに将来始まるCrowdステーキングを利用するなら、Astar/Shidenネットワークの情報をしっかり理解しておきましょう!
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