新たなハード・ドルペグ通貨「USD Coin」とは?類似通貨との違いも徹底解説!
   公開日 : 2018/05/19

新たなハード・ドルペグ通貨「USD Coin」とは?類似通貨との違いも徹底解説!

Yuya【CRYPTO TIMES公式ライター】

YuyaCRYPTO TIMES公式ライター

クリプト系金融ビジネス、Circleがトークン化型USドル「USD Coin」を発表しました。

今月15日にオフィシャルブログに投稿された内容によると、USD Coin(ティッカー: USDC)は米国の送金法に則った透明性の高いUSDペグ通貨で、開発にはCENTREと呼ばれるプロトコルが使用されているとのことです。

Circleは仮想通貨取引所世界的大手であるPoloniexを買収した事で注目を浴びた企業です。

今回のアナウンスでは、同社がビットコインマイニングやASICチップの開発で世界的に有名なBitmainとパートナーシップを結び、約1億ドルの出資を受けたことも発表されています。

そんな今注目のCircleが発表したUSD Coinとは一体何なのか、また、TetherやMakerDAOなどの他のステーブルコインとの違いなどを徹底解説します。

USD Coinとは?

USD Coin(USDC)とは「1USドル=1USDC」となっている、いわばトークン化されたUSドルです。

他の一般的な仮想通貨は投機やスペキュレーションの影響でボラティリティが非常に高いですが、USDCはUSドルをペグしたものであるため、理論上はUSドルの価格変位と連動します。

また、メリットは価格安定性だけではありません。USDCと他の仮想通貨の取引ペアを作ることにより、デジタル通貨のみでフィアット↔仮想通貨間の取引が可能にもなります。

類似通貨との比較

USDCのような、価格が安定する仕組みの施された通貨をステーブルコインと呼びます。

基本的にはコイン1単位=法定通貨1単位にすることがステーブルコインの目標ですが、これを実現する代表的な方法は二つあります。

法定通貨を裏付ける方法

USD Coinや、Tetherなどがこれにあたり、日本でも三菱UFJが1コイン=1円に相当する「MUFGコイン」の開発を進めています。

「法定通貨を裏付けにした」というのは、実在する法定通貨の所有権をデジタル上に表したものということです。ですから、コイン発行に際しそれを裏付ける法定通貨が必ず存在するということです。

このような通貨をハードペグ通貨と呼びます。

アルゴリズムで価格を調整する方法

このような通貨はソフトペグ通貨と呼ばれ、コイン1単位を法定通貨1単位に近づけるインセンティブが組み込まれています。代表的ものはMakerDAOのDaiでしょう。

例えばDaiでは、「TRFM」と呼ばれるメカニズムによって、Daiの価格を1USドルに近づける事で利益が得られるようになっています。

ちなみにですが、仮想通貨のハードペグ・ソフトペグは法定通貨のそれとは全く同じ意味ではないので注意が必要です。

USD Coin Vs. Tether

それでは、USD Coinは他のステーブルコインと比べてどのようなアドバンテージがあるのでしょうか。

まずは、同じハードペグのカテゴリに属するTetherと比べて見ましょう。

Circle公式によると、USDCの一番のアドバンテージはERC-20トークンであることと、米国の送金法に準じていることであるといいます。

USDCはERC-20トークンであるため、ビットコインベースのものと比べ統一性や決済速度が優れています

イーサリウムベースのためスマートコントラクトを使用することもできます。しかし、現段階ではUSD Coinが同技術を利用したサービスを展開するかどうかは発表されていません。

ベースのブロックチェーン信用性
USD Coinイーサリウム(ERC-20)金融大手のバッキング
Tetherビットコイン業界大手だが、監査面で議論あり

また、CircleはUSDCのコンプライアンスの良さも推しています。米国送金法に準じていることや、ゴールドマンサックス百度など大手企業からのサポートを受けていることなどが発表されています。

ベースのブロックチェーンだけを見る限りではUSD Coinの方がより汎用性が高いと考えられます。

コンプライアンスの面は、実際のサービス開始後それを維持できるかに関わってくると考えられます。Tetherでは関係機関の監査面やセキュリティなどをめぐって問題や議論が生じています

よって、Circleが同じようなスキャンダルを起こさずに運営できるかどうかで両者の優劣は明確になってくるでしょう。

ハードペグ通貨  Vs. ソフトペグ通貨

次に、USDCとDaiを比べてみましょう。こちらはこの2つの優劣、というよりかはハードペグとソフトペグの違いという形になります。

ソフトペグ通貨は、価格が大きくそれてしまうことがよくあります。

下のDaiのチャートでは、アービトラージが追いつかずに価格が上下しているのがわかります。

ソフトペグ通貨「Dai」のチャート。1 Dai = 1USDから大きくそれる時がある。

また、仮想通貨を担保に発行できるZen(ゼン)は「1Zen = 1円」のはずですが、昨年末には売り注文が追いつかず1Zenあたり5000円にまで跳ね上がっています。

Zaif発行のZen(ゼン)のチャート。

対してハードペグ通貨は法定通貨と紐付けされているため、価格の変位はかなり小さいと言えます。

ですから、単純に法定通貨を仮装通貨市場上で保管したい場合は、USDCのようなハードペグの方が仮想通貨市場の相場の影響を受けにくいといえるでしょう。


それでは、なぜソフトペグ通貨が存在するのでしょうか?これはプロダクトにより意義が異なりますが、Daiであればレバレッジを掛けられる点にあるでしょう。

MakerDAOでは、イーサリウムを担保にし、Daiを経由することによってETH/USDペアにレバレッジを掛ける事ができます。

より簡潔に言えば、USドルをDaiで借りる事ができ、それをマージン運用できるという事です。

よって、USDCとDaiはそもそも競合する通貨ではない事がわかります。

まとめ

USD Coinの特徴や類似通貨との違い、おわかりいただけたでしょうか。

USD Coinが今後どれくらいのスピードで開発が進むのか、また、Tetherとの信用獲得の競争は要注目です。

コンプライアンスの高さを長所として挙げるのはCircleだけに限らずどのプロジェクトでも同じです。

個人的な見解ですが、Circleにとって、今後USDCのサービス実施と共にいかに法整備・セキュリティ面での問題発生を防いでいくかがTetherに追いつくカギだと考えられます。

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