BSC(BNB Chain)とは?バイナンス主導のブロックチェーンの特徴や注意点を解説

2023/03/18・

airutosena

BSC(BNB Chain)とは?バイナンス主導のブロックチェーンの特徴や注意点を解説

BSC(BNB Chain)は、EVM互換性のあるスマートコントラクトに対応したL1ブロックチェーンです。

DeFiにおいて50億ドル近くのTVLを持ち、周辺のエコシステムとの親和性の高いBNBの時価総額は500億ドルを超えています。

どちらの指標もETHに次いで大きな規模を持っており(時価総額はUSDTを除く)、代表的なプロジェクトであると言えるでしょう。

この記事では、そんなBSCについて以下のような観点から解説しています。

この記事のまとめ

・Binance主導のブロックチェーン
・一定程度の中央集権を許容しながら高い処理能力を持つ
・さまざまな面でETHに次ぐ規模を持つ
・デフレを期待できるバーンを積極的に行っている

BSCとは?Binance主導のブロックチェーン

BSC(BNB Chain)は、スマートコントラクトを扱えるL1のブロックチェーンです。

Defi Llamaのデータによると、BSCはトップ3に入るTVL(Total Value Locked)を記録しています。

これから、BSCの概要や特徴などについて、以下の観点から解説していきます。

・概要
・かんたんな特徴
・ビーコン・ZK・サイドチェーンなどとの違い
・BSCの現状

BSCの基本的なポイントをチェックしていきましょう。

BSC(BNB Chain)の概要

BSC(BNB Chain)は、スマートコントラクトを実装したL1のブロックチェーンです。

もともと、Binanceは高速で大量の取引を処理可能なBinance Chainの開発を行っていました。

しかし、DeFiにおけるイーサリアムの台頭などによって、さまざまなプロジェクトを構築可能なスマートコントラクトを実装したブロックチェーンを開発することになり、BSCが登場します。

Binance Chain・BSCともにガス代の支払いなどにBNBに用いるものの、ブロックチェーンが備えている機能には大きな違いがあります。

BSCは、スマートコントラクトを扱えることから、イーサリアムなどと同じようにさまざまなプロジェクトが構築されており、例えばDeFiではPancake Swapといった代表的なプロジェクトがBSCで運用されています。

かんたんな特徴

BSCはEVMと互換性があり、同じようなプロジェクトが構築されているという特性上、イーサリアムと基本的な要素は似通っています。

しかし、以下のようなポイントにBSCの特徴、イーサリアムとの違いが見られます。

  • 高速なファイナリティと高いTPS
  • 安いガス代
  • 四半期ごとの大規模なバーンイベント
  • 限定的なノード数

上記特徴をまとめると、BSCは限定的なノードで若干の中央集権的な側面を持ちながら高い処理能力を持ち、定期的に大規模なBNBのバーンを一定期間で実施しているプロジェクトです。

特に高い処理能力と安いガス代は、DeFiの流行によってイーサリアムにおいて諸問題が発生した際に、BSCの大きな魅力として多数の利用者を抱え込むきっかけの一つとなりました。

ビーコン・ZK・サイドチェーンなどとの違い

Binanceが主導しているプロジェクトは多岐にわたっており、BSCとの違いが分からない・・・という方もいるかもしれません。

そのため、BSCと他のブロックチェーンの違いをかんたんにチェックしていきましょう。

プロジェクト名BNB Beacon ChainZk BNBBSCBNB GreenField
概要L1ロールアップL1分散型ストレージ
特徴TendermintとCosmos SDKで構築より低コストで高い処理能力汎用性の高さ分散性の高いデータ管理
期待される用途BNBにおけるステーキング、
ガバナンスなど
高頻度のトランザクションが
要求されるプロジェクトなど
高い構成可能性・小規模プロジェクト分散型ストレージ、NFTなど

上記のプロジェクトをまとめて「BNB Chain(Build N Build Chain)」と言います。

Beacon Chainは、BNBにおけるステーキング・ガバナンスを担います。

Zk BNBは、BSCをベースにしたロールアップ(ガス代軽減などが期待できる)、BNB GreenFieldは分散型ストレージのプロジェクトです。

また、この他にもBNBサイドチェーンが展開されていたり、OPロールアップを利用したプロジェクトのローンチも示唆されているため、BSCと近しいプロジェクトはいくつか見られます。

BSCの現状

これから、いくつかBSCのブロックチェーンの利用状況や、DeFi市場における状況などについてチェックしていきます。

BSCには、2023年3月時点で2.6億以上のアドレスが存在しており、直近の数カ月はユニークなアドレスが毎日100万程度、アドレスは毎日20万~80万程度のスピードで増加傾向にあります。(タイミングにより増加具合は大きく上下します)

(引用元:BSC Scan)

これは、イーサリアム(合計アドレス:約2.2億)などの競合と比較しても大きな高い数値となっており、後発であることも踏まえるとBSCがアクティブに利用されているチェーンである事がわかるでしょう。

DeFiにおけるTVLは50億ドル程度でイーサリアムに次いで2位、その中でも最もTVLが大きいのはPancakeSwapで、BSC上TVLの約半分近くがPancakeSwapによってロックされています。

(引用元:DefiLlama)

その他のプロジェクトにおけるTVLでは、venus(約7億ドル)、Alpaca Finance(約4億ドル)、BiSWap(約2億ドル)、Coinwaid(約1.7億ドル)などが続いています。

BSCの注目したいポイント

これから、BSCが持つ注目ポイントについて以下の点から解説していきます。

・高い処理能力
・PoSAを採用するコンセンサス
・デフレを期待できる仕組み

BSCの特別なポイントにチェックしていきましょう。

高い処理能力

BSCはEVM互換性を持ち、イーサリアムと同じような利用方法ができるのに加えて、高い処理能力を持ちます。

2,000TPSを実現するポテンシャルを持ち(2023年には5,000TPSになる可能性も)、3秒間に1度ブロックが生成され、ファイナリティまでは30秒〜45秒程度です。

また、処理能力・ガス代ともにイーサリアムと比較すると優位性があり、低いコストでさまざまなブロックチェーン上のプロダクトに触れることができます。

今後も、さまざまな取組によって処理能力を向上させる方針のようなので、より快適な利用が可能になっていくかもしれません。

PoSAを採用するコンセンサス

BSCでは、DPoSとPoAを組み合わせた「PoSA」というコンセンサスを採用しています。

概ね、DPoSと似たもので、多くの投票力(BNB)を委任された主体がバリデーターとなります。

前提として、バリデーターの候補となるには10,000BNBをステークする必要があり、そのバリデーター候補にBNB保有者がBNBを委任していきます。(BNBの委任は一般の方でも気軽に可能)

BSCでは、一定時間内でもっともBNBを委任されたバリデーターをまとめて「バリデーターセット」となり、バリデーターセットが中心になってトランザクションを処理していきます。

2023年3月時点で、バリデーターセットには29のバリデーターが選ばれます。(詳しくは後述しますが、29の中にも選出方法に違いがあるバリデーターが含まれます。)

このバリデーターセットは、一定時間で交代する仕組みになっていて、再度一定時間が経つと委任されたBNBを元にバリデーターセットが選出されます。

記事執筆時点において、BSCには52のバリデーター(候補)が確認でき、この中からバリデーターセットになるバリデーターが選出されることになります。

(引用元:BNB CHAIN)

ただし、前述したとおり、基本的には上位のバリデーターが選出され、各バリデーターによってステータスも異なっているため、全てのバリデーターが常にネットワークに参加している状態ではありません。

また、他のPoSやDPoSを採用するブロックチェーンと同様に、バリデーターはトランザクションを処理すると、ガス代を原資にした報酬を受け取ります。

デフレを期待できる仕組み

BSCはもちろん、他のBNBチェーン全体の基盤となっているBNBには、バーンを用いた供給を絞る試みが実装されており、デフレを期待できる仕組みが存在しています。

(バーン = Burnは、仮想通貨を利用できない状態にすることで、間接的に市場の仮想通貨を無くしていくこと)

BNBは、約2億枚が発行されており、そのBNBが徐々に減少していく仕組みが実装されていることになります。

BNBには、主に2つのバーンが実装されており、1つ目が「ガス代を元にしたバーン」、2つ目が「四半期ごとのバーン」を元にしたバーンです

1つ目のガス代を元にしたバーンでは、ブロックチェーンの利用者によって支払われたガス代の1部をバーンすることによって、市場に流通するBNBを自動的に絞る仕組みです。

これまで、このバーンを通して15万枚以上がバーンされました。

次の四半期バーンは、価格と四半期ごとに生成されたブロックの数を参考にした計算式を元に、四半期ごとにBNBを大量にバーンしていくものです。

直近のバーンでは、200万枚以上がバーンされており、ガス代の取引手数料を元にしたバーンよりも非常に影響力が強いです。(1億枚を切るまで続く)

上記のような取り組みによって、これまで4,400万枚がバーンされており、20%程度の供給が減少していることになります。

BSC上の代表的なプロジェクト

前述したように多数の利用者が存在しているBSCには、さまざまなプロジェクトが構築されています。

代表的なプロジェクトには、以下のようなものが挙げられます。

イーサリアムほどではないものの、大規模なプロジェクトが複数展開されており、BSCの恩恵を受けて低いコストで利用可能です。

実際に利用するには、ウォレットの設定などが必要になるので、気になる方は以下をチェックしてみてください。

BSCの注意点・リスク

これから、BSCの注意点やリスクといった観点から、いくつか注目したいポイントをご紹介していきます。

・イーサリアムやビットコインよりも中央集権的
・Binanceの影響力によるリスク
・使用に伴う潜在的なリスク

BNBの購入やBSCの利用前に押さえておきたいポイントをまとめました。

EthereumやBitcoinよりも中央集権的

BSCは、EthereumやBitcoinなど、一般的に代表的なチェーンに向けられるイメージとは、少し特色が異なるポイントがあります。

それは、分散性を一定程度犠牲にしているという点です。

前述したとおり、BSCのバリデーター候補は50程度、その中でアクティブに取引を処理するバリデーターセットは29に限定されます。

どちらも特有の批判はあるものの、分散性の高さに定評のあるEthereumやBitcoinに対して一般的に想像される分散性とは異なります。

(29のバリデーターのうち、何らかの問題が発生した場合は、他のアクティブではないバリデーターが補完する仕組みなどはあります)

BSC特有の問題ではなく、似たような構造を持つブロックチェーンが同様に持つ問題ではあるものの、リスクの1つとして注視が必要でしょう。

ただし、徐々に分散性を上げていこうという取り組みも確認できます。というのも、元々BSCのバリデーターの数は現在よりも少なくなく、より中央集権的でした。

現在はアクティブになるバリデーターの数を拡大していることに加えて、これまでアクティブではなかったバリデーターも、バリデーターセットに加えられる余地が与えられました。

具体的には、バリデーター候補の中からランダムに選出する枠を設け、アクティブではないバリデーターにBNBを委任するインセンティブや、非常時にバックアップとなるバリデーターが品質を維持するインセンティブが期待できるようにしました。

(現在は29のうち、8が候補のバリデーターから選出されていますが、セキュリティ維持のためブロックを生成する機会は限定的です)

また、今後アクティブなバリデーターを29から100に拡大する計画も存在しており、より分散性が高く、安定性を保つブロックチェーンにするための開発が進んでいます。

Binanceの影響力によるリスク

BSCのエコシステムはコミュニティによってさまざまな開発が進んでいますが、さまざまな面でBinanceが大きな影響力を持っています。

仮にダイレクトにBSCに影響を与える問題でなかったとしても、Binanceに何らかの問題があった場合にレピュテーションリスクが発生する可能性は考えられるでしょう。

例えば、FTXが破綻した際にはSolanaが他の仮想通貨と比較して、SOL価格やDeFiのエコシステムにおいてよりネガティブな影響が及んだ事例がありました。

類似するようなリスクはBSCやBNB Chain関連のプロトコル・プロジェクトにも存在している可能性があります。

使用に伴う潜在的なリスク

BSCのエコシステムを利用したさまざまなユースケースには、DeFiやBSCが持つ潜在的なリスクを含んでいます。

DeFiを利用したさまざまなリスクはもちろん、BSCでは直近でブリッジのトラブルでブロックチェーンが停止するトラブルがありました。

致命的な被害はでなかったものの、今後も類似のトラブルが出てくる可能性はあるでしょう。

BSCに限らず、どの仮想通貨にも見られるリスクではありますが、常にバグやハッキングといった潜在的なリスクは警戒しておく必要があります。

BSCについてまとめ

この記事では、BSCについてさまざまなポイントから解説しました。

BSCはEthereumに次いで、規模が大きなブロックチェーンです。

それに加えて、業界最大手のBinanceが主導していることもあり、今後もさまざまな方面で影響を与える可能性が高いため、注視していきたいと言えるでしょう。

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