給与支払いの新時代|分散型資産ストリーミングプロトコル「Sablier」の使い方

2024/02/09・

Henry

給与支払いの新時代|分散型資産ストリーミングプロトコル「Sablier」の使い方

– 著者:Henry(@HenryWells1837

ブロックチェーン技術や関連技術は日々進歩しており「給与支払い」に関しても新たなソリューションが誕生しています。

前回の記事では、昨今のワークスタイルの変化やグローバルで比較した際の日本の給与支払いに関する課題、そのソリューションとして分散型資産ストリーミングプロトコル「Sablier」の概要を解説しました。

本記事では、実際のSablierの使い方について紹介していきます。

Sablierの概要

画像引用元:https://sablier.com/

Sablierは、Ethereumベースの分散型資産ストリーミングプロトコルです。Sablierを活用することで、企業は給与のリアルタイム支払いを実現できます。

現在、SablierはEthereumをはじめ、Abitrum、Avalanche、Base、Binance Smart Chain、Gnosis、Optimism、Polygon、Scrollなど、多様なチェーンに対応。約2年前にはEthereumメインネットのみの対応でガス代が約$100になるなどの状況が発生していましたが、現在は複数チェーンへの対応により、より多くの企業がSablierを導入しやすくなっています。

今回は練習を兼ねて、テストネット(Sepolia)でのStream機能の使用方法をご紹介します。

Sablierの使い方

【ケーススタディ】

株式会社Xは、海外で活動しているフリーランスのコンサルタントBobさんと3ヶ月間の戦略アドバイザー契約を結びました。

報酬条件は、以下の通りです。

♢契約条件

  • 初日に500 $DAIの契約金が発生する。
  • 月々の契約料は3,500 $DAIで、毎月月末に支払う。
  • 契約金と初月の報酬振込みが確認でき次第、契約が開始する。
  • 初月に取り組みが難しいと判断された場合、またはアドバイザー側に何らかの不備や不正が発生した場合、Xは直ちに契約を終了できる。

事前準備

  • Sepolia ETH
  • Sepolia DAI

テストネットを利用するためには、事前にテストネットトークンを確保する必要があります。効率的な入手方法については、別のブログ記事を参照してください。無料のFaucet機能を利用してテストネットトークンを入手する方法もありますが、一度に入手できる数量は限られています。

また、Sepolia DAIは、直接Explorerからmintしましょう。

Sepolia $DAIのMint方法

  1. Sepolia Etherscan にアクセスします。
  2. 「Contract」⇒「Write Contract」⇒「Coneect to Web3」⇒ 「6.mint」と選択します。
  3. to ( address )に自信のアドレスを入力。amount ( uint256 )にミントしたい数量を入力します。
  4. 最後に「Write」でコントラクトを実行します。*ミントする際の数量は、uint256で入力するという点にご注意ください。

SablierでのStreamの作成

Sablierの公式サイトにアクセスし、ウォレットを接続した状態で「Create Streams」をクリックします。

「Group」(複数のアドレスに送信する場合)または「Single」(単一のアドレスに送信する場合)を選択します。今回は「Single」を選択しましょう。

次に必要な情報を入力します。それぞれの項目の内容は以下です:

  • Token – 配布したいトークンを選択(今回はDAI)
  • Cancelable – トランザクション実行後のキャンセル可否
  • Transferable – 受信者がストリームを譲渡できるかどうか
  • Amount – 配布数量
  • Recipient – 受取人アドレス
  • Duration – 配布期間

ケーススタディに沿った実施例

  • Token: DAI
  • Cancelable: 可能
  • Transferable: 可能
  • Amount: 3,500 と 500
  • Recipient: 指定アドレス
  • Duration: 30日間と1日

今回の契約条件には「初月に取り組みが難しいと判断された場合、またはアドバイザー側に何らかの不備や不正が発生した場合、Xは直ちに契約を終了することができる。」と盛り込まれているので、Cancelable可能にしました。これで、株式会社Xは「支払い損」が発生するリスクを回避できます。

また、TransferableはBob側の方で管理がしやすいように譲渡可能としました。

トランザクションを実行後、管理画面からストリーミングによる配布進捗を確認できます。

このトランザクションのURLを送付すれば、支払い完了となります。

受取人のBobは、トランザクションが実行された直後から、ストリーミングが反映され、Withdrawを通じて配布されたDAIを受け取ることができます。

まとめ

ブロックチェーン技術を用いたSablierを使った給与支払いは、企業が「リアルタイム」で「透明」かつ効率的に報酬を配布する新しい方法を提供します。

今回は給与支払いに焦点を当てましたが、USDCなどでの決済が日本でも日常化すれば、政治献金や寄付金、その他公的資金の使い方を透明化する上で、このサービスが役立つ可能性があります。

テストネットでの実践を通じてその便利さと効果を体験してみてはいかがでしょうか?

Sablier 公式リンク

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