銀行は終わる? ステーブルコインが伝統的金融機関にもたらす影響
Crypto Times 編集部

仮想通貨の世界で生まれた「ステーブルコイン」が、既存の金融システム、特に伝統的な銀行に大きな影響を与え始めています。一部の専門家からは「銀行は終わる」といった過激な意見も飛び出す中、その現状と未来を探ります。
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国境を越える送金を変える力
ステーブルコインは、米ドルなどの法定通貨と価値が連動するように設計された仮想通貨です。現在、USDCやUSDTといった主要なステーブルコインの市場規模は合計で2,000億ドル(約28兆円)を超え、無視できない存在感を示しています。これらのステーブルコインは国境を越える送金や決済の分野でも急速に利用が拡大しています。
ベンチャーキャピタルDragonflyのジェネラルパートナーであるロブ・ハディック氏は「ステーブルコインを使った実際のクロスボーダー決済額は現在おそらく月間500億ドル(約7.1兆円)規模に達しており、この15ヶ月ほどでゼロに近い状態から前月比20%から30%という驚異的なペースで成長しています」と指摘。これは、世界全体で年間200兆ドル(約2.8京円)とも言われるクロスボーダー決済市場のごく一部に過ぎませんが、その成長速度は驚異的です。
なぜステーブルコインがこれほど注目されるのでしょうか。Plasma創設者のポール・フェークス氏は「特に(規制などの)摩擦が大きい国や地域では、伝統的な銀行の仕組みを使うのは非常に面倒で費用も時間もかかります」と語ります。
専門家が警鐘「銀行の今後は厳しい」
このような状況に対し、Dragonflyのハディック氏は銀行の将来について非常に厳しい見方を示しています。「銀行は今後厳しくなると思います。彼らは動きが非常に遅く、イノベーションを起こさないでしょう。独自のステーブルコインを作るかもしれませんがそれは閉じたループのものになりうまくいかないでしょう」と述べています。銀行が時間をかけている間により速く安価なステーブルコインの仕組みが特に国際的な送金・決済市場を奪っていくという見立てです。
国内市場では銀行に勝機も?
一方でハディック氏は「国内送金においては、銀行は依然として素晴らしい仕事を続けるでしょう。リアルタイム決済ネットワークが整備されれば、国内の多くのユースケースではブロックチェーンの仕組みよりも速く安価になる可能性があります」とも指摘しており、国内市場においては銀行の優位性が当面続く可能性も示唆しています。
また、現在、ステーブルコインの市場規模は、世界の主要な法定通貨供給量(M2)の1%にも満たないとポール・フェークス氏は指摘しており、既存の金融システム全体をすぐに置き換える段階ではないことも事実です。現状では仮想通貨を法定通貨に換金するための銀行との接続点(オン・オフランプ)も依然として重要です。
世界的潮流もステーブルコインに追い風か
世界的に見れば保護主義的な動きが広がる中で、非効率な既存の国際銀行システムはさらに使いにくくなる可能性があります。ハディック氏は「もしそうなれば、クロスボーダー決済はすべてステーブルコインのレールに移っていくでしょう」と予測します。
Split Capital創設者のザヒール・エブティカー氏も既存の送金システムの非効率性を指摘し、「FedwireやACHのような既存の銀行レールを使わないデジタルな商取引の可能性は非常に大きい」と述べています。
ステーブルコインの台頭は、伝統的な銀行にとって特に国際的な分野において、その存在意義を揺るがしかねない大きな変化の波となる可能性があります。引き続き同分野の動向に注目が集まります。