ct analysis

電縁、ブロックチェーンを活⽤した漁獲物トレーサビリティシステムの実現に向けた流通実態調査及び実証実験を東京⼤学と共同で⽔産庁から受託し、作業を開始

電縁、ブロックチェーンを活⽤した漁獲物トレーサビリティシステムの実現に向けた流通実態調査及び実証実験を東京⼤学と共同で⽔産庁から受託し、作業を開始

株式会社電縁が東京大学と共同で、漁獲物に漁獲証明を与え、⽔揚、加⼯、流通等の過程を追跡することのできるトレーサビリティシステムのブロックチェーン活⽤による実現に向けた国内3漁場における流通実態調査及び実証実験を、⽔産庁より受託し、4⽉1⽇から1年間の予定で実施することを発表しました。

漁獲物トレーサビリティを取り巻く状況

2018年12⽉に国会を通過した改正漁業法では、違反への罰則を強化したことが⽬⽟の⼀つになっており、この確実な実施のために漁獲物トレーサビリティシステムを信頼性の⾼い内容で構築することが重要となっています。

国内だけでなく、国際的にも、我が国の⽔産物を輸出する際に産地証明などが求められる状況も多く、これを効率的に発⾏できるようにすることも課題の⼀つとなっています。

産業保護の観点でも、世界で⾼く評価される⽇本産ブランドを保護し、価値を損なわずに流通させるための産地保証、正当な漁業者への公正な収益配分の保証も必要性の⾼い施策です。

加えて、国連のSDGs(持続可能な開発⽬標)にも違法・無報告・無規制(IUU)漁業への対策実施が謳われており、国際的な関⼼も⾼まっている中で、我が国が率先して先進的なシステムを構築することが、国際的なアピールにもつながると考えられます。

そのような中、漁獲証明等システムの的確なプロトタイプを開発し、将来の実展開に向けた有効性の⾼い実証を実施する必要性が⾼まっていることを受けて本事業が実施されます。

本事業の概要

本事業では、2020年4⽉から2021年3⽉までの期間で、北海道、東北、⻄⽇本の3漁場を対象として、漁獲物トレーサビリティシステムの実展開に向けて、現地への訪問を含む各漁場の⽔産物の流通の実態調査、漁獲物トレーサビリティシステムのプロトタイプ開発、プロトタイプシステムを各漁場の実業務に導⼊しての実証実験を実施します。

実施にあたっては、電縁と東京⼤学のチームが現地を訪問し、各漁場の漁業協同組合、⽣産者、加⼯業者、流通業者などの協⼒を得て、現場状況の調査、関係者へのヒアリング、プロトタイプシステムを使った業務などを実施いたします。

流通実態調査の実施内容

流通実態調査では、⽔揚、加⼯、流通の各過程で⽔産物がどのように取引され、どのように扱われ、どのように情報が管理されているのかを確認、把握します。

電縁には、⻑年にわたってビジネスコンサルティング、システム開発を多様な業種のお客様に提供してきた実績があり、流通実態調査を効率的、効果的に推進するノウハウを有しています。

また、東京⼤学は、⽔産業の技術、市場、実務などに⾼い知⾒を有し、調査対象となる機関、事業者とのネットワークを有しているため、独⾃性が⾼く、深層に及ぶ調査を実施することを可能にします。

システム実証実験の実施内容

システム実証実験では、プロトタイプシステムで実業務を実際に実施し、業務で使うことができるか、期待通りの改善効果を得られるかといったことについて検証します。

電縁では、過去に⾃社プロダクトも含むブロックチェーンシステム、アプリケーションを多数開発してきており、本事業の⽬的に適合するプロトタイプシステムを的確に開発することが可能です。

また、プロトタイプシステムはWebシステムとなる予定であり、現場で使⽤する⼊出⼒端末はスマートフォン等を使⽤することが可能ですが、事前に想定された業務状況を考慮して、ハンディターミナルを利⽤したシステム⼊出⼒の検証も併せて実施いたします。

電縁と東京⼤学が共同提案を⾏う意義

電縁は、国内企業ではかなり早い2016年よりブロックチェーン事業に参⼊して、システム開発、実証実験、講師などを受託して豊富な経験を積んでいます。

また、東京⼤学⼤学院 農学⽣命科学研究科 農学国際専攻 国際⽔産開発学研究室は、過去の研究活動を通じて、漁獲物の特性、⽔産業の市場環境や実務などに精通するほか、本事業に関係する機関や組織との間に強固な⼈的ネットワークを有しております。

本事業が両社の共同提案として実施されることで、ブロックチェーンを活⽤したトレーサビリティシステムとしての適切なあり⽅を押さえつつ、⽔産業の現場に現実的に導⼊することができ、⾼い有効性を発揮するシステムの構想を⾏うことが可能になります。

ブロックチェーンの活⽤

ブロックチェーンが有する下記の特性は、⽔産物の流通経緯を追跡するシステムを構築する⽤途に⾮常に適していると⾔えます。

  • 共有されるブロックチェーンデータはオープンで、誰でも常に全てを参照できるため、情報を隠蔽することが困難
  • 個⼈の不正によってデータを削除したり、書き換えたりすることが⾮常に困難であり、情報の改ざん防⽌に役⽴つ
  • 過去の履歴データが全て残る
  • ⼀部のノードでのダウン、データ喪失がブロックチェーンネットワーク全体に影響を与えないため、耐障害性、可⽤性が⾼い

また、ブロックチェーンを使⽤することで漁獲枠をトークン化することが容易になり、漁獲量管理の円滑化、密漁・産地偽装などの不正⾏為の検出の容易化を期待することができます。

ローコード開発ツール「ONEWEB」の利⽤

本事業で構築するプロトタイプシステムは、電縁が国内販売を⼿掛ける、タイAvalant社のローコード開発ツール「ONEWEB」を利⽤して開発します。

ローコード開発とは、通常のシステム開発ではプログラミング⾔語を使⽤してプログラムを記述しなくてはならないところを、視覚的な画⾯操作やパラメーター⼊⼒などによって多くの要素を開発できるようにしようというもので、プログラミングを⾏う技術を持たない⼈でもシステム開発を⾏うことができたり、プログラムを記述するのに⽐べて短時間に正確な開発を⾏うことができたりすることで、不具合の少ない⾼品質なシステムを通常より短期間に構築すると共に、実証実験⽤のプロトタイプシステムには頻繁に求められることが想定される、利⽤開始後の仕様変更に対してもより柔軟に対応することが可能となります。

注)ソフトバンクグループ株式会社の出資先である OneWeb LLC による⽶連邦破産法第11条に基づく会社更⽣⼿続の申請に関して報道がなされておりますが、本製品とは無関係であり、今後の ONEWEB の製品・サービスのご提供には⼀切影響ございません。

将来の展開

本事業実施後の展開としては、実業務に導⼊しての活⽤を⾒込んでいます。

実⽤化に際しては、対象⿂種・対象漁場・対象業種の拡⼤、⿂種の特性に応じたトレースのための識別票のバリエーションの拡⼤(QRコードに加えICタグ、画像認識などへの対応)が求められると考えられます。

加えて、電縁が持つブロックチェーンのビジネス活⽤に関する知⾒、東京⼤学が持つ⽔産業の課題意識や将来展望から、将来の実⽤化されるシステムの構想において、単に流通過程を追跡できるだけでなくブロックチェーン上のデータの解析による不正検出、⺠間企業等にブロックチェーン上のデータを開放しての情報活⽤など、漁業の幅広い分野に適⽤を広げていくご提案を⾏っていくことを考えています。

編集部のコメント

CRYPTO TIMES編集部では、今回の発表に対して、株式会社電縁のチームより下記のようなコメントをいただきました。

今回は、実証実験ではあるものの、将来的に海外からの照会にも漁獲証明書を示していけるようにすることも視野に入れた取り組みとなっています。ブロックチェーンにて実装するということだけでなく、技術と現場業務の折り合いを現実的なソリューションとして落とし込んでいけることが電縁の強みで、今回ご評価いただけた部分でもあると考えています。

トレーサビリティ分野におけるブロックチェーン活用というのは、色々な産業でも既にPoCが始まっています。

今回の漁獲証明における取り組みでは、トレーサビリティ分野としてはシンプルにブロックチェーンを活用しつつも、水揚-加工-流通といった全てに適応されるため、例えば、制限枠を超えた漁獲や密漁などを容易に検出する仕組み作りにブロックチェーンの特性を生かせると考えています。

この取組が採用されれば、適正な漁獲証明が行われ、漁獲物トレーサビリティシステムを信頼性の⾼い内容で構築することが可能になると考えられます。

ニュース/解説記事

Enable Notifications OK No thanks