先週の経済動向のおさらいと今週の注目イベントから考えるマーケット市場【2021年5月3週目】
Crypto Times 編集部
先週の米国市場動向と今週の注目イベントから、暗号資産市場への影響を考えていきます。
先週(5月2週目)の動向
4月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比4.2%上昇(予想値:3.6%)となり、2008年9月以来、12年7カ月ぶりの大幅な伸びを記録しました。これに市場が反応、インフレ懸念の高まりから、将来的に予定されている利上げ時期の前倒しを懸念してか、株価は軟調に推移しました。
上昇基調であった各株価指標はいずれも調整局面にあります。現在の市場の注目はインフレ、利上げに関する指標や発言に集中しています。
FRBなどの発言により火消しは図られますが、今回のようにあまりに指標が強いと株価の調整が起こりやすくなります。尚、あくまで「前月比」なので、前月の指標が弱ければ当月の伸びは当然強くなります。
今回はまさにそのパターンでしたが、12年ぶりと報道されると市場も無視できなかったということですね。
余談ですが、インフレは政府が主導するものという考え方があります。インフレは「起こる」のではなく、政府が「起こす」というものです。景気回復のための財政出動の原資は政府の借金なわけですから、政府とすればインフレを起こせば通貨の価値が落ち、実質的な借金が減るという仕組みです。
政府としてはメリットがありますが、市場としては受け入れがたいものですよね。お互いの妥協点がすなわち株価が安定する水準です。
今週の予定
5月20日(木):フィラデルフィア連銀製造業景気指数
米国の地区連邦銀行のひとつであるフィラデルフィア連邦銀行が、基本的に毎月第3木曜日に発表するペンシルベニア、ニュージャージー、デラウェア州の製造業の景況感を示す経済指標です。
景況指数はアンケート調査の結果を指数化したもので、なかでも製造業景況指数は今後の景気動向を占う「先行指標」とされています。
「0」を景況感の分岐点としており、プラスなら景況感が良く、マイナスならば景況感が悪化しているとされています。現在の市況でいえば、予想値の41.9から大幅に上振れて乖離すれば、インフレ懸念、株価下落となるでしょう。
5月21日(金):製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)
製造業やサービス業の購買担当者を調査対象にした、企業の景況感を示す景気指標のひとつです。購買担当者に、生産や新規受注、受注残、雇用、価格、購買数量などをアンケート調査し、結果に一定のウエートを掛けて指数化したものです。
なかでも製造業の購買担当者は、製品の需要動向や取引先の動向などを見極めて仕入れを行うため、製造業PMIは今後の景気動向を占う「先行指標」とされています。
PMIは、「50」を景況感の分岐点としており、これを下回れば景況感が悪く、これを上回れば景況感が良いとされています。予想値は60.2となっています。
暗号資産市場への影響
米国の株価指数の下落と反して、金の価格が上昇基調にあります。これは、代表的なインフレヘッジ資産である金が注目を集めているためと言われています。
景気の加熱が懸念される場合、株式市場から安全資産とされる国債などへマネーが回帰します。その中には金などのインフレヘッジ商品も含まれます。
先週から暗号資産市場はイーロン砲の影響などで乱高下していますが、インフレヘッジとしての機能に注目が集まれば、こうした状況下でも資金流入が見込めるのではないでしょうか。そういった意味では、近時の大手金融機関の暗号資産市場への参入は歓迎すべきことでしょう。