NEOハンズオン講師の二人から見たブロックチェーンの魅力とは?

NEOハンズオン講師の二人から見たブロックチェーンの魅力とは?

2019年2月、NEOの日本語文献としては初の開発指南書「Starting NEO」が公開。執筆は、NEOの日本人ディベロッパーコミュニティKeymakersのメンバーと複数の有志により行われた。

今回はStarting NEOの執筆者でもある、現役でIT企業でエンジニアを努めている太郎良さん、京都大学の3回生である南口圭吾さんより、ブロックチェーンに抱く思いと展望を語っていただいた。

本記事は2019年3月21日から23日にかけて開催される金沢工業大学主催・NEO Global Development協賛のブロックチェーンハッカソンの企画のもと実施しており、ハッカソンに参加する学生やエンジニアの方を対象に、先輩ブロックチェーンエンジニアの体験談などのリアルな話を届けていく。

Starting NEOについて

Starting NEOは、NEOの日本人ディベロッパーコミュニティKeymakersのメンバーと複数の有志により執筆された、日本語としては初のNEO開発指南書になっている。

執筆には先日CryptoTimesでも取材をさせていただいたBlockBase社の真木大樹さんなどが協力をするなど、多くの有志の手により完成した。

内容はNEOのコンセンサスアルゴリズムであるDBFTの解説から実際のスマートコントラクト開発まで網羅されており、NEOブロックチェーンを用いた開発にご興味のある方は是非ご一読いただきたい。

Starting NEO

Starting NEO執筆者の二人のプロフィール

今回お話を伺うのは、IT企業でエンジニアとして働く太郎良 梓(タロウラ アズサ)さんと京都大学三回生の南口 桂吾(ミナミグチ ケイゴ)さん。

二人は本業の傍ら、NEOのハンズオンコーディングの講師として活動しており、Starting NEOの執筆にも関わっている。

南口桂吾さん

太郎良梓さん

ブロックチェーンに携わるきっかけ

二人はブロックチェーンを専門として仕事をしている訳ではなく、コミュニティメンバーとしてNEOの活動を支えている。きっかけは共通しており、NEOが大阪で開催したハンズオンだという。

「初めて大阪でのNEOのハンズオンコーディングに参加したことがきっかけです。ブロックチェーン初心者が参加者のほとんどであった中で、参加者の皆さんが積極的に意見を交換し合いながら作業を進めている姿がおもしろいと思い、興味を持ちました。」

南口さんが、言うように、ブロックチェーンの技術は比較的新しい技術だからこそ参加者同士の意見交換は活発な印象が強い。一方で、太郎良さんはブロックチェーンプロジェクトのあり方に感銘を受けた。

「ブロックチェーンに興味を持ったきっかけは、NEOの葉山さんが会社のセミナーにお越しになった際に、ブロックチェーンプロジェクトの『コミュニティベース』という動きに感銘を受けたことです。それからブロックチェーンの様々なイベントに参加することになり、新しい技術を肌で感じることができるのが面白いと思っています。他の業界に比べて”世の中を変える”という雰囲気があり、業界の方々は興味深い人が多いです。どんどんブロックチェーン業界の人たちに引き寄せられて、その人達のビジョンを聞くのが楽しいです。」

ハンズオン講師をする二人

二人がブロックチェーンに足を踏み入れたキッカケは、NEOのハンズオンコーディングだったようだ。本業はメディア業だという南口さんは元々開発をメインに行なったことはなかったが、彼はブロックチェーンの思想に惹かれた。

「私の会社はメディア業なので、元々開発をメインにやっていたわけではありませんでした。しかし、今はコードを書く方も勉強しながら活動をしています。ブロックチェーンが世の中を変える未来がわかりやすく、自分でも納得しながら勉強を進めることができて非常に良いです。」

決して簡単とは言えないブロックチェーンプログラミング。自身で学習を進める南口さんは更にこう語る。

「ハッカソンなどに出てコードを書いているわけではないですが、コード書くために仕組みを理解しようと努力しています。コードを自分で調べていくことでNEOの技術書の執筆は非常に勉強になりました。複雑なものも理解しながら自分のものにできているのはとてもいい経験だと感じています。

一方で、新しい技術だからこそ苦労することが多い中、本業にもその学習が活きていると太郎良さん。

「ブロックチェーンはドキュメントや仕様のバージョンアップが頻繁にあり、それぞれの互換性が完全にはなかったりして困ることがしばしばあります。少し前動いていたものも少し後には使えなくなっているので、付いていくのには体力がいりますね(笑)。会社で自分の仕事だけやっているよりも新しい知識が入ってくるので、ブロックチェーンの学習が会社での仕事にも役立っています。また、私は海外エンジニアと話すのが好きで、言葉の壁を超え、コードを通して自分の思いを伝えられるのがおもしろいと思っています。」

ハンズオン講師としての思い

自力で学習を進め、今では自らがハンズオン講師として未来のブロックチェーンエンジニアたちを相手にする二人。

南口「コーディングをしていて動かないところが出てくるのは結構当たり前だと思っています。ただ、ブロックチェーン関連の人は皆で手探りでやっていることが多いので、参加者で一緒に触れる・楽しむ機会を得られればいいと思ってハンズオンに臨んでいます。また、わからない人がポツポツでてきたときに細かく対応できるよう心がけています。」

太郎良「やはり環境構築が大変だと感じています。Linuxでだいたいは動くので、Linuxのような環境を最短で作り上げることを意識しています。ハンズオンでは、参加者の人々と一緒に達成したとき非常にやりがいを感じています。」

講師として参加者の疑問を解決している立場として、一緒に楽しんでいく姿勢で学ぶことが大事であるという南口さん、ブロックチェーンの環境構築は一般より難しいと太郎良さんは語っている。

金沢工業大学でのハンズオンの様子

二人は今回のKITハッカソンを開催する金沢工業大学でもハンズオンを複数回実施している。自身も積極的にハッカソンに出場する太郎良さんは、

「ハッカソンでは、決められた時間内にチームを組んでモノを作るということが、とても良い経験だと思っています。ハッカソンが終わったあとは勉強不足を痛感することもありますが、その反省が次にいきていますね。成長のいい機会だと感じています。」

そして、KITハッカソン出場者に向けてこうも話した。

「やはり、何かモノを実際に作るという経験が大事で、手を動かした時間は非常にためになると思うので、積極的にチャレンジしていってほしいと思います。」

一方、ハッカソンの主催経験がある南口さんは「楽しむ」ことが大事だという。

「私は開発者として参加したことはありませんが、ハッカソンを運営したことがある経験から話すと、複数人で集まってなにかをする経験は非常にいいものだと思います。あまり良くわからないものに対して、試行錯誤しながら取り組むことは、ハッカソンだけに関わらず、どこに行っても大事な経験だと感じます。当日にできたものの出来も大事だと思うのですが、その時間を経験として楽しめるといいなと思います。」

NEOの技術書執筆のエピソード

二人はハンズオン講師として活躍しながらも、NEOの日本語文献「Starting NEO」の執筆にも参加。

南口「NEO JP BOOKの執筆では、自分一人で学ぶのではなく、自分よりも詳しい人からアドバイスがあったりして、技術書を複数人で一緒に書くのも面白いと思いました。実際に書くことで理解はとても深まります。最初は書けるか不安でしたが、英語の情報を自分で探していくなかで、自信がつきました。」

一方、複数人で一つの文献を作り上げるなかで、ブロックチェーンらしさを感じたという太郎良さん。

太郎良「ブロックチェーンの文献執筆をGitHubのプルリクベースで作成するのがモダンな感じがしました。私は日中仕事があったので夜や朝など空いた時間で調べていましたが、参考にするソースが少ないので、実際のソースコード読んだりして書いていきました。自分自身もまだまだ初心者なので、自分が理解できるように心がけて執筆を行いました。」

やはり参考にできる情報はまだまだ少なく苦労したようだ。その分、Starting NEOのような日本語文献はこれからブロックチェーンを始める人に確実に役に立つという意味で素晴らしい取り組みであることは間違いないだろう。

Starting Neo 表紙 (GitHubより)

Starting NEOを執筆することで、日本人のブロックチェーンプログラミングへの参加ハードルを下げたとも言える二人。未来のブロックチェーンエンジニアに南口さんは「きっかけ」が大事だという。

南口「実はブロックチェーンエンジニアのハードルはそこまで高くないのではないか、と思っています。本当に天才的で追いつけないブロックチェーン専門家のような方はまだほとんどいないと思っていて、皆が試行錯誤しながら触っている雰囲気は初心者からすると馴染みやすい環境だと思います。NEOのプラットフォームやブロックチェーンという、難しい概念について解説を書いていくのも一つの関わり方になると思いますし、ハンズオンや勉強会のような場にくると、スムーズに関わりをもてるようになるかなと思います。ブロックチェーンを触ろうという方々に面白い人達が多いのも魅力の一つかなと思います。」

太郎良さんも「きっかけ」が大事だと自身の経験を通じだという。

太郎良「もし興味を一度でも持ったら、それをきっかけにするのがいいと思います。自分がやりたいと思ったことはモチベーションが上がるので。自分はギターを弾くのですが、コードを覚えるよりも好きな曲を引いて見る方がいい感じで、同じようにとりあえず行動してみるのがいいと思います。毎日アップデートが行われているので、成長の過程を見れるのが良いと思います。」

興味をもったとき、そこがブロックチェーンへの入り口。既にブロックチェーンの門をくぐっている二人は、今後の展望について最後にこう話した。

南口「やはり手を動かしながら一通り作れるようになりたいです。ブロックチェーンは情報が公開されているので、それを分析したりDappが扱っているデータについて調べてみたいと思っています。もっと自分としても開発力を高めていきたいです。」

太郎良:「ブロックチェーンが本当に必要かどうか、がテーマです。ブロックチェーンが活躍していく部分を増やすという意味で貢献していきたいと思っています。開発ツールを豊富にして、少しでも貢献していきたいです。まだまだ大阪などには開発している人が少ないイメージなので、もっと仲間が増えるといいなと思っています。」

最後に

今回はNEOのコミュニティメンバーとして活躍する二人の姿が伝わってくるお話を伺った。

これからブロックチェーンを始めようと思っている方はぜひ二人の経験談を参考に一歩踏む出してみてはいかがだろうか。

今回、インタビュー中でも触れたKITハッカソンは、3月21〜23日にKIT(金沢工業大学)が主催しNEO Global Development協賛するブロックチェーンハッカソンだ。

「目に見えない資産をデジタルにどう伝えるか」をテーマとして開催され、事前学習としてNEOやIOST、Uniqys Kitのハンズオンも実施される。興味のある方は是非とも下記ページをご参照ください

ハッカソンの詳細はこちら

インタビュー : アラタ , 文字書き起こし : フジオカ

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