IOST Co-Founder Terry氏による2020年の振り返りと2021年の計画を語り尽くしインタビュー
Yuya
IOST(アイオーエスティー)は、スケーラビリティとネットワークの非集権化に力を入れたブロックチェーンプラットフォームです。
これまでCRYPTO TIMESはIOSTを度々特集していますが、今回は二度目の登場となる最高技術責任者(CTO)のTerrence Wang氏にインタビューをし、IOSTの昨年の活動、そして今年の計画についてたくさん語ってもらいました。
【仮想通貨】IOST(アイオーエスティー)の特徴・将来性を徹底解説! – CRYPTO TIMES
目次
2020年のIOSTを振り返る
今回インタビューしたのは、IOSTプロジェクトの黎明期から最高技術責任者(CTO)を務めるTerrence Wang氏です。
DeFiは様々な分野をすべて網羅・NFTもインフラ整備から徹底
— 本日はインタビューに応じていただきありがとうございます。まずは、2020年から爆発的に流行しているDeFi(分散型金融)について、IOSTエコシステムではどのようなアプリケーションが出てきたのか教えてください。
Terrence Wang氏 (以下Terry): 2020年は、IOSTのエコシステム上でもレンディングやDEX(分散型取引所)、イールドファーミングといった様々なDeFiの種類を全てをカバーすることができました。
なかでも先日発表したRamp DeFiは「ステーキングでロックされている暗号資産を担保に他のアセットを借り入れられる」という着眼点の鋭いDeFiプラットフォームです。
ほかにも、IOST上でUniswap + MakerDAO的な役割を果たすXigua Finance (XG)やイールドファーミングのPumpkin DeFiなど、それぞれの分野で特徴的なプロジェクトが誕生しています。
また、イーサリアム(ETH)やポルカドット(DOT)などとお互いの技術を貢献し合えるようなクロスチェーンソリューションの開発にも注力しています。
Ramp DeFiインタビュー -ステーキングされた資産をアンロックし、流動性のある資産にする」ことを目標に-
— 昨年はNFT(非代替型トークン)もよりいっそう注目されましたが、IOST上ではどんな進展がありましたか?
Terry: IOST上ではブロックチェーンゲームデベロッパーのXPETが開発する「モンスターワールド」や「ドリームモンスター」がユーザー数やIOSTの取引量を着々と増やしています。
また、IOST上のNFTを取引できるプラットフォーム「XLOOT」も登場し、レア度の高いゲーム内アイテムをユーザーが売買できる環境も整いました。
コロナがチームに与えた影響は?
— 2020年はコロナによって生活や仕事の環境が大きく変わりました。IOSTチームはどんな影響を受けましたか?
Terry: 私たちはブロックチェーン技術を開発する「分散型」チームなので、働き方に関してはあまり大きな変化はありませんでした。
ですが、今まで盛んに行われていたオフラインミートアップやカンファレンスなどが一切なくなってしまっていました。ユーザーや他のプロジェクトと顔を合わせるというのはとても大切にしているので、寂しいですね。
これまでは日本にも毎年最低5回くらいは来ていましたが、昨年から一度も行けていない状況です。
ですが、例えばブロックチェーン分野の教育に関しては、スイス・チューリッヒ大学でサマースクールの講師をしたほか、日本や中国のデベロッパーを対象にしたオンラインハッカソンやワークショップも実施したりしたので、今の状況でもできることはたくさんやりました。
ブル市場はプロジェクト認知度アップに貢献
— コロナショックを機に、暗号資産は今までにない規模のブル市場を迎えましたね。これはIOSTにも良い影響を与えましたか?
Terry: IOSTプロジェクトの話ですか?それとも僕個人の話ですか?(笑)
— いえ、ここはIOSTプロジェクトの話でお願いします(笑)
Terry: そうですね、統計的に見てかなり認知度がアップしています。より多くの人々がクリプトに興味を持ち始めて、投資・トレードしながらプロジェクトのことを調べてもらえているのはとても嬉しいです。
イーサリアム(ETH)が私たちが資金調達した時の価格をゆうに超えていくのを見て、想像以上の「暗号資産のポテンシャル」に驚いています。
今回のブルマーケットがどのように落ち着くのかは誰にもわかりませんが、クリプトは大きな可能性を秘めているアセットなんだなと再認識しています。
2021年のIOSTの計画・展望
2020年は、オフラインイベントの開催・参加ができないといった問題はあったものの、エコシステム開発やオンライン教育では躍進を続けたというIOST。2021年はどのような計画を立てているのかも聞いてみました。
ステーブルコインにも焦点を当ててDeFiの環境整備へ
— 先ほどは昨年のDeFi関係の進展についてお聞きしましたが、今度はこれから同分野でどのようなことを計画してるのかも教えてください。
Terry: ステーブルコインの利便性を促進して、価値の保存をよりきちんと担保できるDeFiエコシステムを作っていきたいですね。
IOSTにはすでにIOST USD (iUSD)がありますが、今後もっと多くの種類のステーブルコインを開発・導入していく予定です。
こういうものも含め、レンディング、DEX、イールドファーミング、クロスチェーン機能など各分野のインフラを徹底的に整備して、IOST上のDeFiをより活発にしていきたいと考えています。
ゲームとの親和性に注目してNFTキラーアプリをつくる
— NFT関連はどうですか?個人的には、NFTと聞くと「アート」と「ゲーム内アイテム」の話ばかりで新鮮味がなくなってきてるようにも感じています。
Terry: それはわかります。ただ、私はやはり「ゲーム内アイテム」についてはレア度・コレクター精神といった概念との親和性がとても強いので、まだまだ注目すべきだと考えています。
なので2021年はこういったゲーム×NFTまたはDeFiの分野で大衆に知られる火付け役、つまり「キラーアプリ」を一発作ってやりたいと意気込んでいます。
NBA Top Shotsなどを見てるとわかりますが、こういう取り組みを行うにはIP(知的財産)周りの底固めがとても大事なので、その辺も注力していますね。
実際、今すでに日本の複数企業と協力してビッグなプロジェクトの開発にも取り組んでいる最中です。
あとは、昨年リリースしたIRC-721に加え、もっと色々なNFTのトークン規格も開発していきたいと考えています。
中国国内での規制や、CBDCの事情
— こうした技術を推進していくにおいて、米国を中心とする各国のコンプライアンス厳格化は追っていくのが大変だと思いますが、中国国内ではどうですか?
Terry: 中国はもうかれこれ2年ほど「ブロックチェーン技術はOK、トークンはNG」の一点張りで、相変わらず「グレーゾーン」のままですね。
まあこれはどこの国でも当たり前ですが、国内の技術者や学生向けのオンラインワークショップなどでもトークンや価格に関する話題は完全にご法度です。
— なるほど。ちなみに中国政府発行のCBDC(政府発行型通貨)ってどうなったんですか?確か仕組みの一部にブロックチェーンが使われるとかなんとか…
Terry: それが中国に住んでいる私たちでもまだよくわからないんです。昔は確かにブロックチェーン技術というワードにも触れていましたが、最近は全く出てこなくなっていて、ひとまずは単なる政府発行の電子通貨なんじゃないかと考えていますね。
今、国内の小さな都市を対象としてテスティングが行われている最中のはずです。本当の正体や仕組みはまだまだ謎のままですね。
まとめ
前回・2018年7月のインタビューから約2年半ぶりの再インタビューとなりましたが、今回はそれからIOSTエコシステムがどれだけ発展してきたかを語っていただきました。
Terry氏は最後に、IOSTの「新年の抱負3つ」を教えてくれました。
- DeFiとNFT分野への注力(インタビューの通り)
- 日本・韓国・中国だけでなく、米国、南アメリカ、ロシアなどでのコンプライアンスを徹底していく
- コロナがおさまり次第また対面でのミートアップやイベントに参加する
今後とも、IOST上でのエコシステム拡大や「キラーアプリ」の登場に期待です。