米規制当局、大手仮想通貨取引所「バイナンス」に民事訴訟を提起

米規制当局、大手仮想通貨取引所「バイナンス」に民事訴訟を提起

米国商品先物取引委員会(CFTC)は、大手仮想通貨取引所のバイナンス(Binance)、同社CEOのChangpeng Zhao氏(CZ)、および元最高コンプライアンス責任者(CCO)のSamuel Lim氏に対して民事訴訟を起こしました。CFTCは、CZ氏がLim氏の協力のもとでBinanceグループが商品取引法やCFTCの規制の多くに違反する戦略を立案・実行したと主張しています。

CFTCは「Binanceは、どの地域にも本社がなくどの法域の管轄にも服さないものとされているが、これは規制の適用を回避する意図的な試みである」と主張。また「このようなBinanceのアプローチは、CEA、CFTC規制、および世界中の多くの他の管轄権の規制と矛盾している」と述べています。

CFTCは、Binanceが複数の違反を犯していると主張し、訴状の中で主に以下の違反を指摘しています。

  1. CEA第4条(a,b)に違反:取引所外での商品先物取引に従事した。
  2. CEA第4条c(b)に違反:商品オプションにおける取引所外取引を可能にした。
  3. CEA第4条dに違反:先物取引業者として登録されることなく、商品先物、オプション、スワップ、小売商品取引の注文を勧誘・受理した。
  4. CEA第5条h(a)、(1)に違反:スワップ執行施設または指定契約市場として登録されずにスワップの取引と処理のための施設を運営した。
  5. CTFC規則1.6違反:*ドッド・フランク法で追加されたCEAのいかなる条項も故意に回避する、または回避しようとするために、米国外での活動を行っている。*ドッド・フランク法 = 2008年の米リーマン・ショックの再発防止を目的に導入された金融規制法

CZ氏はこれらの訴状に対して反論し、”訴状には不完全な事実の記載があり、訴状で主張されている多くの問題に同意できない”と述べています。

同氏によるとBinance.comでは、米国ユーザーをブロックするために、KYC、IP、モバイルキャリア、デバイスの指紋、銀行の入出金、ブロックチェーン上の入出金、クレジットカードの番号などを使用しているとしています。

また、Binanceのコンプライアンスチームには、現在法執行機関や規制機関の経験を持つ750人以上が在籍しており、これまでに55,000件以上の法執行機関のリクエストを処理。また、2022年だけで1億2500万ドル以上、2023年には1億6000万ドル以上の資金を凍結・押収するために米国法執行機関を支援しているとのことです。

CZは、Binanceが市場操作を行っていないことを強調しながら、時折フィアットまたは他の暗号通貨で経費を賄うために変換が必要であるとしています。また、同氏は個人的にBinance Card用と個人の暗号通貨の保有用にウォレットを2つ持っていると明かしました。

上記以外にも、

  • 従業員は90日間の取引禁止
  • 先物取引の禁止
  • リスティングやLaunchpadなどの詳細情報にアクセスできる人物には厳しいポリシーを設置

などのルールを設けており、CZ自身はBinance Launchpad、Earn、Margin、Futuresに参加したことがないと明言しています。

今回の件に関する完全な回答は”時期を見てから行う”と述べているBinance。先日、米大手仮想通貨取引所コインベースがSECからWells Noticeを受け取るなどの事例も発生しており、規制当局と仮想通貨事業者の今後の動向に注目が集まります。

記事ソース:CFTCBinance

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