海外取引所のサービス停止は日本におけるDEX(分散型取引所)普及の成長痛

海外取引所のサービス停止は日本におけるDEX(分散型取引所)普及の成長痛

こんにちわ、五月雨まくら(@samidare_makura)です。

この記事では、DEX(分散型取引所)の日本での今後の普及について考察します。

日本居住者は海外取引所を利用できなくなるのか?

ここ最近、海外の取引所が相次いで日本居住者向けサービスを停止するとアナウンスしています。これは年初に起きたコインチェック事件以来の金融庁の仮想通貨に対する引き締め強化の影響だと考えられます。

具体的には次の海外取引所が日本居住者向けサービスを停止しています。

  • HUOBI
  • HITBIT
  • KuCoin
  • Kraken
  • BigOne
  • Gate.io

日本の取引所ではホワイトリストに記載されている仮想通貨しか上場することが出来ず、その数は海外の取引所と比べて圧倒的に少ないです。

日本人はボラティリティの高い仮想通貨を好んで投資する傾向がありますので、当然国内の取引所が持つペアだけでは満足できないでしょう。

さらに現在のところ、実質的に新しい通貨をホワイトリストに加えることが難しいため、解決策が必要になるわけです。そして五月雨が思うに、この解決策の一つとなるのはDEX(分散型取引所)だと考えています。

次の戦場がDEX(分散型取引所)となる理由

従来の取引所はユーザ間の取引を仲介するため中央管理者(ミドルマン)を必要としました。一方DEX(分散型取引所)は、中央管理者を必要とせずスマートコントラクトを用いて自律的にユーザ間が直接的に取引することを可能にします。

DEX(分散型取引所)が普及する理由としては、従来の取引所におけるカウンターパーティーリスクを回避するためという主張もあります。

しかしセキュリティに対してリテラシーの高いユーザの数は限定的なため、DEX(分散型取引所)がマスアダプションする決定打にはなり得ないでしょう。

もっと重要なことは、DEX(分散型取引所)を利用すれば、日本に居住していても数多くのアルトコインを規制されることなく、取引することができるということです。もし金融庁がDEX(分散型取引所)を規制したいと考えても、DEX(分散型取引所)には中央管理者が存在しないため、それは叶わないでしょう。

DEX(分散型取引所)が乗り越えるべき最大の課題

ここまでDEX(分散型取引所)について述べてきた内容を考えると、日本に居住する投資家がDEX(分散型取引所)を利用しない手はないように思えます。

しかしながら現在のDEX(分散型取引所)にはいくつか課題があり、それらを乗り越えないと利用者は増えないと想定できます。

現在のDEX(分散型取引所)が抱える最大の課題は、クロスチェーン取引が行えないことです。例えば、イーサリアム系のDEXであればイーサリアムネットワーク上のコインしか取引が行えません。クロスチェーン技術はCosmosやPolladotsなどのプロジェクトが取り組んでいますが、実用化にはまだまだ時間が必要だと考えられます。

他にも、取引量が少なく流動性が低いことやユーザインタフェースがイケていない、など課題はいくつかありますが、新しく登場してきているTotleKyber Networkを初めとするプロジェクトがこれらの課題を解決しつつあります。

0x Protocol – 五月雨イチ推しのDEXプロジェクト

0x ProtocolはDEX(分散型取引所)そのものではなく、DEXを作るためのプロトコルとなるプロジェクトです。イメージとしては、DEX(分散型取引所)を作成するためのモジュールを他のDEX(分散型取引所)に提供して、0xプラットフォーム上でさまざまなDEX(分散型取引所)アプリケーションが走ると考えてください。

0x Protocolを利用すると板注文をオフチェーンで約定させ、最終的な取引の結果のみをブロックチェーンに刻むことにより、今までのDEX(分散型取引所)よりも安く早く、取引を行うことができます。これを可能にするのが、リレイヤー(Relayer)の存在です。

リレイヤーは取引を実行するのではなく、リレイヤー間でメッセージの交換を行い、オフチェーンで注文をマッチングさせます。リレイヤーのインセンティブは、ユーザの取引手数料としてZRXトークンを受け取ることです。ちなみに手数料の価格はリレイヤーが決めます。

さらに個人的に大きな魅力だと感じる0x Protocolの役割は、今までDApss(分散型アプリケーション)を利用するには専用のトークンを使う必要がありましたが、0x Protocolを活用することによってETHでDAppsの支払いを行うことができることです。

これによってDEX(分散型取引所)だけではなくDAppsの相互運用性を向上させ、エコシステム全体の活性化をはかることができます。

五月雨の結論と考察

この記事では金融庁の引き締めによる日本居住者向け海外取引所サービスの停止の逆風の中で、どのように投資家がさまざまなアルトコインに投資をすることができるか考え、DEX(分散が型取引所)の利用が現実的なシナリオである理由を提示しました。

本文で述べたように課題はいくつかありますが、0x Protocolなど有望なプロジェクトが台頭しつつある現状を鑑みて、将来的にDEX(分散型取引所)が一気に普及する可能性は高いのではないかと考えています。

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