Brave Browserが広告閲覧でBATを獲得できるプラットフォームをリリース、一足先に使ってみた感想は?

2019/04/26・

Yuya

Brave Browserが広告閲覧でBATを獲得できるプラットフォームをリリース、一足先に使ってみた感想は?

ウェブサイト上の広告や関連するデータ追跡などを自動で遮断するウェブブラウザ「Brave Browser」に、広告を閲覧することで報酬を得ることのできる機能が実装されました。

広告は任意で閲覧できるようになっており、報酬はベーシックアテンショントークン(BAT)と呼ばれる暗号通貨で毎月払い出されます。

獲得したBATはユーザーが訪れるウェブサイトへの寄付するか、お気に入りのコンテンツ製作者にチップ(投げ銭)として渡すことができるようになっています。

さらに今後のアップデートでは、BATをホテルの宿泊券レストランクーポンギフトカードなどと交換したり、提携している取引所を通して法定通貨(フィアット)に変換したりすることも可能になるようです。

Braveによれば、ユーザーの動向はデバイスごとにローカルで分析され、定期的に更新される広告カタログ内からもっとも最適な広告を表示するようになっているといいます。

当広告機能は現時点で米国、カナダ、フランス、ドイツ、英国の5ヶ国でリリースされており、日本ではまだ未対応ですが、今後さらに対応地域を増やしていく予定です。

こちらのページでは、筆者が対象地域に住んでいるため、この新たな広告プラットフォーム機能を一足先に試用し、具体的な使用方法どれくらいのBATが獲得できるのかなどを紹介していきます。

Brave Browserとは?

Brave BrowserはMozilla Firefoxの共同創設者が率いるチームが開発する、ウェブ広告産業の改革ユーザープライバシーに重点をおいたウェブブラウザです。

Braveは、ウェブ広告業界の主要プレイヤーである「ユーザー」「掲載者(ウェブサイト等)」「広告主」をフェイスブックやグーグルなどのミドルマンから解放することを目指しています。

また、ウェブ広告産業ではユーザーの知らぬ間に行動データが追跡・売買されていることが問題となっており、Brave Browserはそういったトラッキングを広告もろともシャットアウトする機能が標準装備されています。

Brave Browserの大きな魅力は暗号通貨BATを内蔵していることで、今回のアップデートを機に、ユーザーはBraveの審査を通った広告を閲覧することでBATを獲得できるようになりました。

Brave BrowserおよびBATについては以下の記事でより詳しく解説されているので、ぜひ目を通してみてください。

Braveの広告機能を実際に使ってみた

※当広告機能は現在アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、イギリスの5ヶ国でのみ利用可能となっています。

今回新たに実装された広告プラットフォームは、Braveが広告の掲載者として事前に審査を通過したパートナー広告をユーザー任意で表示するものです。

このパートナーの中にはeToroやMyCrypto、AirSwapなどの有名クリプト系プロジェクトや、Vice、Home Chefなどフィンテックとは直接関係のない企業も存在します。

広告機能を利用するにはまず、Brave Browserのアドレスバー横にあるボタンからRewards Settingsを開き、「Brave Rewards」と「Ads」をオンにします。

「Ads」のオン/オフスイッチの下にある設定ボタンからは、1時間にいくつの広告を表示するかを設定することができます。今回は欲張って最大の「1時間あたり5件」に設定してみます。

その後しばらく放置していると、画面の右上端から以下のような広告のプレビューが表示され、閲覧するかしないかを選択することができます(OSによって見え方は異なります)。

View(閲覧)を選択するとブラウザ上の新たなタブに広告が表示されます。広告の閲覧はViewボタンのクリック時にカウントされ、必ずしも広告に目を通さなければいけないということはないようです。

広告プレビューはブラウザをアクティブに利用している場合にのみ表示される仕組みになっています。

報酬は月ごとにブラウザ内蔵のBATウォレットに払い出され、現時点での推定報酬額は上記で紹介したRewards Settingsの「Ads」の項目に表示されます。

広告閲覧による報酬はどれくらい稼げる?

広告ひとつあたりの報酬は0.05BAT(この額は今後変更される可能性があります)となっており、この額は記事執筆時点のレートで換算すると約0.02ドルとなります。

したがって、BAT/USDが現レートで一定、かつ広告が1時間に必ず5つ出現すると仮定すると、1時間あたり0.25BAT(≒0.1ドル)が稼げる計算なります。

特別にブラウザに貼りついたりせずに5-6時間ほど作業をしていたところ、筆者は0.60BAT(推定0.25ドル相当、広告12件分)を稼ぐことができました。払い出し日は5月5日となっていることも確認できます。

実際のところ、Viewボタンを押せばその場で報酬が発生し、その広告タブを開かなくても良いので、毎時5件の設定でも特に面倒・邪魔と感じるようなことはありませんでした。しかし、この点は今後修正される可能性が高いでしょう。

現時点では「稼げる」というほどのものではないことは確かですが、今後BATの価格が大きく上昇すれば話が変わってくるかもしれません。

広告ひとつあたりのBAT報酬量はあくまで筆者が試用を通して確認したもので、広告の種類や利用環境によって異なる可能性があります。

また、広告閲覧で発生する報酬はユーザーに70%、掲載者であるBraveに30%配布されている点も覚えておくべきでしょう。

Brave Browserは新たな広告産業の切り口になるか?

Brave Browserは、Google Chromeなどの拡張機能で定番のアドブロック機能を標準搭載しています。

この機能はユーザーにとって邪魔な広告を取り除く便利なツールである一方、従来の広告収入に頼っているウェブサイト運営者にとって大切な収入源を潰してしまうものでもあります。

今回実装された広告機能はBraveを掲載者としたものであるため、得をするのはユーザー広告主の二大主要プレイヤーとBraveのみであると言えます。

ユーザーは今まで通りウェブ上の広告をブロックでき、さらに任意で広告を閲覧することでそのアテンションに対する報酬を獲得することができます。

広告主は「数撃ちゃ当る」戦法から、任意で広告を閲覧する、つまりそもそも興味を持って閲覧する消費者を対象とした広告を展開できます(事実、Braveで表示されるものは広告というよりプロダクトのウェブサイトに近いです)。

一方、現在提供開始となった当機能は、メディアやSNSなど広告収入に頼るプレイヤー「媒体主」と、広告を邪魔に感じる「ユーザー」間の利害の対立を改善するものではありません。

Braveはこの点を、ウェブサイトへの寄付、コンテンツクリエイターへの投げ銭で解決しようとしていますが、実際どれほどのユーザーが意図的にこのソリューションに乗ってくるのかは疑問でもあります。

また、掲載主にもユーザーのアテンションに基づいたリワードが入る仕組み(広告閲覧でBraveに入る報酬を30%から15%にして、掲載主へシェア)が2019年後半に導入されることも発表されています。

BraveはWeb3.0的なアプローチを利用した広告産業改革に取り組む一企業に過ぎず、他にも様々な広告モデルが考案されています。特に、SNSユーザーが主体となってフォロワーにオリジナル広告を配信するモデルなども出てきて、現在、注目を集め始めています。

まとめると、同社が今回実装した広告プラットフォームは産業形態的に見て、まだ完璧とは言えないでしょう。しかし、それ自体はBraveも承知の上であり、相応の対策を取ってくるのではないかと考えられ、今後のアプローチにも注目が集まります。


 

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