Arbitrum、約2100億円規模の大型エアドロップを振り返る|今後の獲得戦略も解説

2023/04/11・

Henry

Arbitrum、約2100億円規模の大型エアドロップを振り返る|今後の獲得戦略も解説

2023年3月下旬、記事公開時点で約2100億円分のArbitrum/$ARBトークンの大型エアドロップが行われました。

一般ユーザーに配布されたのは、初期供給量のうち12.75%にあたる12.75億枚のArbitrum/$ARBトークンで、下記がその概要となります。

・最小配布数量:625 $ARBトークン
・最大配布数量:10,250 $ARBトークン

今回のエアドロップは、2023年2月6日以前にArbitrumプラットフォームを使用したユーザーと、Arbitrum上でアプリを開発するDAOが配布対象でした。

本記事ではArbitrumでのエアドロップの事例を振り返り、今後のエアドロップ獲得における戦略を考えるうえで参考となる情報を解説していきます。

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Arbitrum/$ARBトークンの概要

Arbitrum(Arbitrum OneとArbitru Nova)とは、OptimismやPolygonと同じくLayer 2というカテゴリに含まれるEthereumのロールアップチェーンの1つです。

Arbitrum RollupとArbitrum AnyTrustという2つのプロトコルの実装により、Ethereumよりも一回あたりのトランザクションのガス代を低く抑え、かつ高速で安全な取引を実現しています。

$ARBトークンは、Arbitrum Oneロールアップチェーンで使用されるERC-20トークンで、Arbitrum Oneでのオンチェーントークンの取引を促進するために設計されています。また、同トークンは、Arbitrum Oneロールアップチェーン上でのみMint(生成)およびClaim(請求)が可能であり、Ethereum L1へのブリッジも可能です。

トークンの割り当て

割合配布数量配布先
42.78 %42.78 億①Arbitrum DAO Treasury
26.94 %26.94 億②Offchain Labs Team and Future Team + Advisors
17.53 %17.53 億③Offchain Labs投資家
11.62 %11.62 億④Arbitrum プラットフォームのユーザー(ユーザーのウォレットアドレスにエアドロップで配布)
1.13 %1.13 億⑤Arbitrum上でアプリを構築するDAO(DAOトレジャリーアドレスにエアドロップで配布)

3月下旬に実施された$ARBトークンのエアドロップでは上記の割合で配布されました。

一般ユーザーに関するエアドロップは④と⑤で、冒頭で紹介した「12.75%」という数字は上記表の11.62 % + 1.13 %の合算値です。

Optimism/$OPトークンと異なり、Arbitrumでは今回のエアドロップでユーザー割当分の全てのトークン配布が完了しました。

トークンのユーテリティー

$ARBトークンは「ガバナンストークン」という括りに含まれ、トークンの保有によりガバナンス投票への参加が可能となります。

それ以外のユーテリティーは未定ですが、今後、

  • レンディングプラットフォームでの担保
  • Layer 2で実行されるトランザクションのガス代としてETHの代わりに使用

など、様々な可能性が考えられます。

エアドロップの対象者と獲得トークン数の詳細

初期供給枠100億
インフレーション最大年2%
Minting/burningメカニズムL2スマートコントラクト
Ethereum L1とのブリッジあり
トークンのローンチ先Arbitrum One
オンチェーンガバナンスArbitrum One上
エアドロップスナップショットArbitrum One上のブロック58642080 = 2023年2月6日
クレーム開始日Ethereum Mainnet上のブロック16890400 = 2023年3月23日より開始
クレーム終了日Ethereum Mainnet上のブロック18208000 = 2023年9月23日(予定日)

概要

今回、Arbitrumで配布されたトークンの数量は「ポイント制」を用いて決定されました。

ポイント付与の判断基準は主にArbitrum Oneでの利用に焦点を当てており、Arbitrum Novaに関する活動にも最大で4ポイントが適用されました。

全体で獲得できる最大ポイントスコアは15で、エアドロップの獲得対象になるために3ポイント以上のスコア獲得が必要であり、獲得したポイントをトークンに換算した場合、650 から最大で10,250の$ARBを獲得が可能でした。

* $ARB 辺りの価格を $1.25USD / 為替レートを¥132と仮定した場合、¥107,250 ~ ¥1,691,250を今回のエアドロップで獲得できたと算出できます。

早期参加することによるメリット

また、押さえておきたいポイントとして、今回、Arbitrum Novaがローンチする前に参加したユーザーには、獲得ポイントが2倍になるメリットがありました。

例えば、アリスとボブがお互いにArbitrum Oneローンチ前後でそれぞれ4ポイントを獲得したとします。

  • アリス = Arbitrum Novaローンチ”前”に4ポイント獲得
  • ボブ = Arbitrum Novaローンチ”後”に4ポイント獲得

この場合のエアドロップ時における獲得数量は、下記のようになります。

  • アリス = 8ポイント獲得により4,250 $ARBを獲得
  • ボブ = 4ポイント獲得により1,750 $ARBを獲得

この通り、早期に参加するのとしないのでは、獲得数量に大きな差が発生したのです。

獲得ポイント毎の$ARB配布数量

次に獲得したポイント毎の$ARB配布数量を見ていきましょう。

下記の配布数量は、公式ドキュメントの内容に一部情報を追加したものです。

獲得ポイント$ARB 配布数量前ポイントとの差異
31,250 (625)0
41,750+500
52,250+500
63,250+1,000
73,750+500
84,250+500
96250+2,000
106,750+500
117,250+500
12 ~10,250+3,000

上記表を見る際に、気をつけていただきたいのが1点。

Arbitrum Nitroローンチ前に、3ポイントを獲得していたユーザーは6ポイント扱いとなり配布数量が3,250 $ARBとなります。

一方で、Arbitrum Nitro後に獲得したポイントがスナップショットの日までに3ポイントだった場合は、1250/2 = 625 $ARBが配布数量になります。

また、Nitroローンチ後に4ポイント獲得した場合は、1,750 $ARBです。

Nitroローンチ前後による獲得ポイントの変動、特定の条件に該当することでのポイント減算などによって最終配布数量が決定しましたので、ぜひ上記を参考にしながらどこでポイントを獲得したのかなど振り返ってみてください。

Arbitrum One でのポイント獲得条件

Arbitrum Oneでのポイント獲得方法は、以下の14通りでした。

  1. Arbitrum Oneに資金をブリッジする
  2. 2つの異なる月に取引を行う
  3. 6つの異なる月に取引を行う
  4. 9か月間取引を行う
  5. 4回以上の取引を行うか、4つ以上の異なるスマートコントラクトとやり取りする
  6. 10回以上の取引を行うか、10つ以上の異なるスマートコントラクトとやり取りする
  7. 25回以上の取引を行うか、25つ以上の異なるスマートコントラクトとやり取りする
  8. 100回以上の取引を行うか、100以上の異なるスマートコントラクトとやり取りする
  9. 合計で10,000ドルを超える取引を行う
  10. 合計で50,000ドルを超える取引を行う
  11. 合計で250,000ドルを超える取引を行う
  12. 10,000ドル以上の資産をArbitrum Oneにブリッジする
  13. 50,000ドル以上の資産をArbitrum Oneにブリッジする
  14. 250,000ドル以上の資産をArbitrum Oneにブリッジする

配布条件を満たすためのポイントを獲得するためには、複数の月に渡って取引を行うか、あるいは数ヶ月間取引を継続することが必要であったことがわかります。

8ポイント獲得までは、金額による足切りが無かったのも特徴的な点と言えるでしょう。

Arbitrum Novaでのポイント獲得条件

Arbitrum Novaでは、最大4ポイント獲得することができました。以下が、その条件になります。

  1. Arbitrum Novaへのブリッジ
  2. 3回以上の取引を行う
  3. 5回以上の取引を行う
  4. 10回以上の取引を行う

こちらも金額による足切りが無かったのが特徴的です。

ガス代含め約$10をAbitrum Novaにブリッジして10回以上スワップしておくと、1,750 $ARB が獲得できたのは、初めてクリプトを触ってみるという人に対しても非常に優しい条件だったと言えます。

シビル判定による対象者除外

公平性とbotなどによるトークン配布の偏りを防ぐために、今回は下記に該当するウォレットアカウントはポイントの減算もしくはエアドロップの対象外になりました。

今後エアドロップを狙う方も、是非下記を参考に該当ウォレットが対象外にならないよう注意しましょう。

  • エアドロップ受領者のウォレットの取引が全て48時間以内に行われている場合、1ポイントが減点
  • エアドロップ受領者のウォレット残高が0.005 ETH未満で、ウォレットが複数のスマートコントラクトとやり取りしていない場合、1ポイントが減点
  • エアドロップ受領者のウォレットアドレスが、Hopプロトコルのバウンティプログラムでシビルアドレスとして特定されている場合、受領者は失格

最もコスパ良く10,250 $ARBを獲得する戦略

結果論ではありますが今回のエアドロップでは、Arbitrum Nitroローンチ前に4ポイント(= 8ポイント)を獲得して、その後、Arbitrum Novaで4ポイントを獲得するのが最善の策でした。(前述の内容をもう一度見返してみて、アクションと獲得ポイント、獲得トークン数などを照らし合わせてみましょう)

そのための最善の動きの一つとして下記が良かったのではないでしょうか。

  1. Arbitrum Oneに資金をブリッジする
  2. 2つの異なる月に取引を行う ( 月末と月初に行う )
  3. 4回以上の取引を行うか、4つ以上の異なるスマートコントラクトとやり取りする ( ステーブルスワップ )
  4. 10回以上の取引を行うか、10つ以上の異なるスマートコントラクトとやり取りする ( ステーブルスワップ )

上記の条件を$100未満で実行。その上で、下記の条件を満たします。

  1. Arbitrum Novaへのブリッジ
  2. 3回以上の取引を行う
  3. 5回以上の取引を行う
  4. 10回以上の取引を行う

これで、理論上は12ポイント獲得で10,250 $ARBの獲得に。記事公開時点で1 $ARB = 163円なので、約167万円分のエアドロップ報酬が配布されたことになります。

ぜひ皆さんも、今回解説してきた内容を元に次回以降の他チェーンでのエアドロップ獲得の戦略を考えてみてください。

Q&A

「いくらあれば、エアドロップを獲得できましたか?」

今回のArbitrumエアドロップでは、獲得できるポイントに基づいてトークンが配布されました。

そのため、特定の金額が必要というわけではなく、Arbitrum Oneおよび/またはArbitrum Novaでのアクションを通じて獲得したポイントに依存しています。具体的な金額を挙げるのは難しいですが、配布対象の3ポイントを獲得するには$10も必要なかったのは事例の一つとして確認できております。

「今後、同様のエアドロップが開催されると予測されますか?」

今後も同様のエアドロップが開催される可能性はありますが、具体的な予定や開催されるかどうかは確定的には言えません。

プロジェクト側がコミュニティの成長やユーザー獲得を促進するためにエアドロップを行うことが一般的です。エアドロップに関する情報は、各プロジェクトの公式アナウンスメントや公式ウェブサイトで確認できます。

今後のエアドロップ情報を逃さないように、関連プロジェクトの公式チャンネルやソーシャルメディアをフォローし、最新情報をチェックすることが重要です。また、ブロックチェーン業界全体の動向にも注目しておくと良いでしょう。

「Optimismの$OPと同様にデリゲートすることで、追加のエアドロップを獲得できると思いますか?」

今回のエアドロップにより、エアドロップとしてのトークン割り当て分は全て使用しました。

そのため、追加のエアドロップがあるかを予測するのは難しいですが、コミュニティ形成の過程においてトークンのデリゲートは非常に重要な要素の一つです。そのため、違った角度から異なるエアドロップが実行されるかもしれません。

「今後もLayer 2のチェーンが開発されていくに当たり、エアドロップが発生すると考えますが、どのようなことをしておくと良いでしょうか?」

エアドロップの対象となるアクションには、ブリッジを介して資金を移動させる、異なる期間や回数でトランザクションを実行する、特定の金額を超える取引を行うなどが含まれる可能性が高いです。

まとめ

昨年のOptimismに続いて、Layer 2で二度目の大規模なエアドロップとなったArbitrumの事例では、ポイント制の導入で利用金額に基づく制限を排除し、多くのユーザーが$ARBトークンを獲得するチャンスが得られました。

今回のエアドロップを逃してしまった方は、ぜひ次回のチャンスを狙ってください。

次回のエアドロップ獲得に向けて「①他チェーンからのブリッジ」と「②トランザクションの実行」という2つの要素に重点を置き、獲得を目指してみてはいかがでしょうか。

また、CRYPTO TIMES公式コミュニティ「boarding bridge」では、エアドロップについて日々最新の情報が発信されているので、是非こちらもご参加ください。

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*注意点:

  • エアドロップに参加する前に、投資や暗号資産のリスクについて十分に理解し、適切な投資戦略を立てることが重要です。
  • エアドロップ対象の方は、2023年9月23日にまでにClaimを完了させて下さい。

参考:

  • https://docs.arbitrum.foundation/airdrop-eligibility-distribution
  • https://dune.com/0xroll/arbitrum-airdrop

免責事項

・本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
・本記事に掲載された情報や意見は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性、完全性、目的適合性、最新性、真実性等を保証するものではありません。
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