仮想通貨と他のアセットの相関関係をわかりやすく解説!
Yuya
この記事の3つのポイント
- 相関関係はリスク管理に置いてとても重要!
- 仮想通貨は他のアセットとの相関関係が極めて低い
- 投資機関の参入で今後相関関係が強まる可能性アリ
Cyrpto Times公式ライターのYuya(@yuyayuyayayu)です。
中長期のポートフォリオ構築において欠かせないのがアセット同士の相関関係(コリレーション)です。
まだまだ歴史の浅い仮想通貨というアセットですが、近頃は少しずつデータも整ってきました。
今回は仮想通貨が他の金融商品とどのような相関関係を持っているのかを解説したいと思います。
目次
アセットの相関関係とは?
統計学でいう相関関係(コリレーション)とは、2つの変数間の変化の関係のことをいいます。
相関関係は通常、-1から1の間で表されます。相関関係が正の数の場合、2つの変数は同じ方向に、負の数の場合は逆の方向に動くという意味になります。
この「変数」が金融ではアセットタイプー株式、債券、コモデティ、仮想通貨などーの価格を表します。
例えば、株式と債券の相関関係は負の数であることが多いです。これはつまり、株式の値段が上がるときは債券の値段が下がる、また株式が下がれば債券が上がる、ということになります。
リスク管理には相関関係が大事!
相関関係はポートフォリオのリスク分散を実践する上でとても大事になってきます。
例えば、軍資金1000万円で投資をするとしましょう。資金全てを株式に投資してしまうと、株式相場が下落した時にその損失を思い切りくらってしまいます。
ここで例えば株式に700万円、債券に300万円とすれば、株式市場が下落した時に債券は上昇するので、損失を少し抑えることができます。
つまり、資金を逆相関にあるアセットに分けて投資することで、「一発で全部持っていかれる」ことがないようにするわけです。
また、こういった投資法にはもう一つ利点があります。
仮に、株式100%のポートフォリオで10%のリターンを目指すとしましょう。これでは、先ほど説明した通り、株式市場に依存してしまうため高リスクなポートフォリオになってしまいます。
ここで、株式:債券:コモデティ=6:3:1で分散して10%のリターンを目指すとしましょう。この場合、リターンの期待値は同じですがひとつのアセットに依存しないため、比べてリスクは低くなります。
つまり、相関関係を踏まえた上で資金を分散することによって、あるアセットに100%投資した時に得られるリターンと同じだけのリターンをより低いリスクで獲得することができるわけです。
ちなみにこれをモダン・ポートフォリオ理論と呼びます。アメリカの経済学者Harry Markowitzが1952年に提唱した理論です。
仮想通貨と他のアセットの相関関係を把握しよう
それでは、仮想通貨市場は他のアセット市場とどのような相関関係があるのでしょうか?
Yue Qiu氏, Justina Lee氏とAdrian Leung氏の調査によると、仮想通貨と他のアセットの相関関係は極めて低い、という興味深い結果が出ています。
上の図では左の横列、上の縦列がアセットクラス(順に債券・株式・コモデティ・フィアット通貨・仮想通貨)を表しています。
また、それぞれのボックスは青に近いほど順相関(価格が同じ方向に動く)、赤に近いほど逆相関(価格が逆方向に動く)を表しています。
図の縦列一番左、仮想通貨と他のアセットの相関関係を見ると、仮想通貨は他のアセットとの相関関係がとても弱く(色が薄い)、また仮想通貨同士の順相関関係がとても強いことがよくわかります。
言い換えれば、仮想通貨の値段が上下しても他の市場にはあまり関係なく、その逆も同じであるということです。
また、仮想通貨同士は強く連動して価格が上下するということになります。これは、とても直感的なのではないでしょうか。
仮想通貨はなぜ他のアセットとの相関関係が低いのか
Qiu氏, Lee氏とLeung氏は、こういった相関関係は機関投資が増えるにつれ変わるかもしれないと考察しています。
銀行やファンドなどの機関はクライアントからの資金を預かって投資をしているため、常にリスク軽減を考えなければなりません。
したがって、投資機関が仮想通貨市場に参入した場合、市場の上下に応じて他のアセットに資金を移さなければならないケースが発生する可能性があり、それが他のアセットとの相関関係を強めるかもしれない、ということでしょう。
また、あくまで私個人の意見ですが、仮想通貨市場では市場内に既存の金融界のシミュレーション的な現象が起こっており、それが相関関係を弱めているのではないか、と踏んでいます。
一概に仮想通貨といっても、
- ネイティブトークン(BitcoinやEthereumなど)
- 株式のように配当が配られるトークン(FINOMやtZeroなど)
- フィアットとペグされたトークン(USDTetherやMaker Daiなど)
- コモデティで担保されたトークン(Digix GoldやCEDEXなど)
などと、既存の金融市場のアセットクラスをそれぞれ裏付けにしたコインが出ています。
つまり、あくまで現在の高ボラティリティ下ではあり得ない仮説ではありますが、理論上、仮想通貨市場内でアセット・マネジメントができてしまうのではないかと考えています。
ですから、仮想通貨市場はある種(考えてみれば当たり前ですが)バーチャル版・金融界のようであるため、仮想通貨は株式や債券等より更に複雑なアセットクラスなのではないかと思っています。
“仮想通貨の他のアセットの相関関係”まとめ
以上が仮想通貨と他のアセットの相関関係まとめおよび個人的な考察となります。
バーチャル版・金融界とは言いましたが、まだ生まれて間もなく、機関投資家の参入やインフラの整備も整っていませんから、これからの成長に要注目だと思います。