12月8日深夜に控えるEthereum(イーサリアム)の次期アップデート「イスタンブール」の概要
Shota
Ethereum(イーサリアム)では、12月8日AM4:00頃に予定の9,069,000ブロックでネットワークのアップデート「イスタンブール」が予定されています。
このアップデートはEthereumのロードマップで8番目のアップデートに該当し、今年2月末に行われた「コンスタンティノープル」の次のものに該当します。
本記事では、明後日に予定されるイスタンブールの具体的なアップデートの内容を見ていきます。
※内容はEthereumのwikiを参考にしています。内容に間違い等ある可能性がございますがその際は、ご指摘ください。
目次
イスタンブールでのアップデート内容
Ethereumのアップデートは、EIP (Ethereum Improvement Proposal)と呼ばれる新規の改善案をベースに行われていきます。
これには、プロトコルのコア技術の仕様やクライアントのAPI, コントラクトの規格などが明記されています。
以下は、今回のイスタンブールで実装が予定されているEIPになります。一つずつ見ていきましょう。
EIP-1679 イスタンブール
このEIPには、イスタンブールのハードフォークに伴うプロトコルの変更に関するリストが記載されています。
イスタンブールにおける主な変更点は以下の4つになります;
- 計算コストやDoS攻撃への耐性に基づいた、いくつかのOpCodesのGas消費量の見直し
- SNARKs, STARKsの技術を利用したレイヤー2(オフチェーン処理)のスケーリング改善
- EthereumとZCashのインターオペラビリティ
- コントラクトにより多くの機能を追加
EIP-152:ZCashとのインターオペラビリティ
Ethereumの一つのコントラクト内でEqualhash PoWの検証が完結する。これによりZCashとの相互運用性が生まれる。
詳細:https://github.com/ethereum/EIPs/pull/2129
EIP-1108:zk-SNARKs
zk-SNARKsのガス消費がより安価に。安価でスケールし、プライバシーの保護もできるアプリケーション開発が可能に。
例:Matter Labs, Aztec, Rollup, Zether
詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-1108
EIP-1344:コントラクトの正当チェーン追跡
コントラクトが正しいチェーンを追跡できるように。特にハードフォーク時に、レイヤー2(ステートチャネルやPlasma)が正しいレイヤー1のチェーンを追跡できるように。
詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-1344
EIP-1884:EVMのOpCodes, ガス消費量の調整
トランザクションのスパムを防ぎブロックの均一化を図るため、いくつかのEVMのOpCodesのガス消費量を調整。Ethereumのネットワークで発生する手数料が計算コストに基づいたものに。
現在、安価なOpCodesも計算コストに比例して割高に。
詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-1884
EIP-2028:データ呼び出しコストの下方修正
トランザクションにおけるデータ呼び出しのコストを下げることで、zk-SNARKs, zk-STARKsを安価に。これによりレイヤー2のスケーリングにおけるスループットが改善。
詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-2028
EIP-2200:EVMストレージコストの計算方法見直し
EVMにおけるストレージコストの計算方法変更, 同一のコントラクトに対するmulti-send(複数回送信)などの新たな機能追加。
詳細:https://eips.ethereum.org/EIPS/eip-2200
まとめ
残り数日に迫るEthereumの次期アップデート, イスタンブールについてこの変更点をまとめました。
このアップデートでは、特にプライバシーとレイヤー2(オフチェーン)におけるスケーリングが大幅に改善されると考えられます。