【2021年4月】Ethereumのクジラの動向調査 – Covalent提供リサーチレポート

【2021年4月】Ethereumのクジラの動向調査 – Covalent提供リサーチレポート

本レポートはCryptoTimesがデータプロバイダであるCovalentよりデータ及びコンテンツの提供を受け配信しています。

第二回目となるのコラボレーションとなる今回の記事では、イーサリアム(ETH)のクジラのウォレットアドレス動向についてデータに基づいた分析・考察を紹介していきます。

Covalentとのコラボレーションによるこのレポートの初回では、NFTマーケットプレイスとして知られるOpenSea及びRaribleの分析を紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

Deep Diving With the Ethereum Whales

今回の分析では、最も多くのETHを保有するアドレスの中から、コントラクトアドレス及び既知のEOAアドレス(取引所等)を除外した特定されていないEOAアドレスにフィルタリングをかけて動向の調査を行った。

ETHの保有枚数のみに注目したフィルタリング

分析の結果、以下のような結果が現れた。

  • トップ10のアドレスのうちGenesisから保有を続けるアドレスは2アドレスのみに留まっており、残りのアドレスは後に参入したプレイヤーである
  • その中で最も多くETHを保有するアドレスは2019年から継続してその枚数を増やし続けているクジラであった。このアドレスは約128万ETH(22億USD)を保有しており、先月(2021年3月)には75,000ETH(約1.5億USD相当)の購入を完了していた。
  • Genesisの時点で560,000ETH(2015年当時の時価で40万USD相当)を受け取っているアドレスが存在したが、このアドレスからETHが動いた形跡は見当たらなかった

フィルタリングを行ったトップ10アドレスの(左)ETH保有枚数と(右)USD建て時価

トップ10のアドレスを全体として見ると、それらのアドレス合計でETHの総サプライの3.9%が管理されており、これは約95億USDに相当する。

個別のアドレスのETH残高に注目すると、この中でETHを売却した形跡は見当たらず、うち4/10のアドレスが過去1年以内にETHを購入し、保有枚数を増やしている。

さらに興味深いことに、このアドレスグループはERC20トークンやNFT(ERC721)といった類のトークンをほとんど保有しておらず、ETHのみを購入していることが分かった。

ETHとERC20トークンの資産価値によるフィリタリング

ETH枚数に注目したフィルタリングに続き、ETHとERC20トークンのUSD建ての資産価値に基づくアドレスのフィルタリングを行った。

  • 15の異なるアドレスが、10億USD以上の資産(ETH+ERC20)を保有している。
  • 最も資産価値が高いアドレスは前項トップのETHのみのアドレスであった。
  • トップ10のアドレスのうち残り9のアドレスは多くのERC20トークンを保有するアドレスであり、これらのアドレスには2017年からさまざまなトークンをアクティブに売買しているという特徴が見られた

の(黄)ETHのみを保有するアドレスと(青)ERC20+ETHを保有するトップアドレスのUSD建て時価

トップ20のERC20+ETHアドレスが最も多く保有する資産とその時価としては、$UNIが72億USD相当、$WBTCが45億USD相当、$BNBが同じく45億USD相当といった結果が現れた。

AMMにおける手数料効率

前項のERC20トークンのクジラのアドレス分析の後、一つの疑問が浮上した。それは、「最も大きな流動性を抱えるUniswapは、クジラにとって最適なAMMであるか?」という疑問である。

そこでトップクラスのDEXとそのアグリゲーター(1inch, Zerion, matcha, Argent, Sushiswap, Uniswapなど)を対象に分析を行った結果、2021年3月16日に正式にローンチされた1inch v3がガス手数料の観点で最も効率が優れていることが分かった。

1inch v3においては、ガス手数料の他にも状況により手数料が発生(場合により大きく異なる)するが、ユーザーが利用する際も約5~10%のレンジで手数料が安価であった。

2021年3月16日から30日までの各AMMのガス手数料推移

上記グラフは、トークン(今回の検証では便宜上WETH)をスワップする際に発生したガス手数料の推移(3月16日~30日)を示したものである。

この期間の間、1inch v3では30,000以上のスワップ、金額にして4.8億USDのスワップが完了し、そこで発生したガス手数料は約150万USD相当であった。

平均値を見ると、1度のスワップで約16,500USD相当が、ガス手数料約51.50USDのコストでスワップされている計算となる。

一方で、Uniswap v2に注目すると、同期間内にUniswap v2では約37億USD相当のスワップが完了、これに伴い発生したガス手数料は2960万USD相当であったことが分かった。

こちらも平均値を見ると、1度のスワップで約3,800USD相当が、ガス手数料約31USDのコストでスワップされている計算になった。

1USDあたりに伴うAMMにおけるスワップのガス手数料に注目すると、1inch v3は金額に対して0.3%であったのに対し、Uniswapでは0.8%程度の数字となったいた。

これは必ずしも1inch v3がUSD1単位あたりのスワップに伴う手数料が安価になるということを保証するわけではないが、先月Uniswapで1.5億USDのETHを購入したクジラは1inch v3を利用していれば、約60万USDの手数料を節約することができたということになる。

UniswapにおけるクジラのLP(流動性提供)状況と収益(vs HOLD)

続いて、Uniswapにおいてトータルの15%(約4900万USD)最も大きな*LPであるWBTC/ETHペアに注目する。果たしてこのペアで流動性を提供することに価値はあるのだろうか?

WBTC/ETHの(黄)Uniswao LPと(青)ホールドのポジション価値推移比較

答えはYESである。上記グラフは、2021年の頭から現在までのWBTC/ETHのLPポジションのプール価値推移とそれぞれを現物で保有していた場合のポジション価値の推移を示している。

この分析の結果、WBTC/ETHペアをUniswapに流動性として提供していた場合、現物を1.75%上回るパフォーマンスを見せていたことが分かった。

当該の期間、WBTC/ETHペアの取引高はそこまで高くなかったものの、全体の15%を占める最大規模のUniswapのLPであるETH/WETHの流動性提供を行うアドレスは(1月からLPのポジションを保有していると仮定すると)現物保有以上の含み益を抱えている状態であると推測できる。

全体として、それぞれの現物を保有していた場合のリターンは52%前後であったのに対し、LPポジションのリターンは約54%を記録している。

*FEI/ETHペアが現在は最大

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