100万ドルのライセンス収入を得たと言われるKodakOneはなぜ成功したのか
Crypto Times 編集部
先日ライセンス収入が100万ドルを突破したと報じられ、再び話題になったKodakの著作権プラットフォーム、KodakOne(コダックワン)ですが、プロジェクトの概要やなぜ成功したのかという点をご存知の方は少ないのではないでしょうか?
今回の記事ではKodakOneの特徴をおさらいし、なぜ成功を納められたのかを分析していきます。
目次
KodakOne(コダックワン)とは?
そもそもKodakOneとはどんなサービスなのでしょうか?プロジェクトの名前にもなっており、コダックワンの運営元でもあるKodak(コダック)はかつては写真用品メーカーとして世界有数の企業でした。
当時は「コダック・モーメント」という単語が定着するほど名の知れた企業であり、誰でも知っているような大企業でした。しかし、Kodakはデジタル化などの時代の流れに取り残され、会社の規模を大幅に縮小せざるを得なくなってしまいました。
そんなKodakが巻き返しを図るべく、AIやビッグデータを得意とするWENN Degitalと提携して立ち上げたのがKodakOneというプロジェクトです。このプロジェクトの特徴としては以下の3つが挙げられます。
画像の著作権の管理
KodakOneの最大の目的は画像の著作権を適切に管理する事です。SNSやブログの普及により、画像の著作権に起因する問題は増加する一方です。
特にSNSなどでは簡単に写真をアップロードできる事から、利用者が罪の意識なしに不正にアップロードしている事が多く、写真を撮影した本人に正当な報酬が支払われないという事態が起きています。
そういった問題を解決するべくKodakが立ち上げたのがKodakOneというプラットフォームです。
カメラマンはKodakOneを利用する事で自身の写真の追跡が可能になり、適正な報酬も受け取る事ができます。
SECの規制に準じたICO
KodakOne上で利用されるKodakCoin(コダックコイン)のICOは非常に厳格なルールに沿って行われました。それもそのはずで、KodakはSEC(米証券取引委員会)が定めたガイドラインに沿ってICOを行ったとされています。
Kodakは自身が2012年に破産法を適用した事や近年流行しているICO詐欺を踏まえてこのような手段をとったと見られています。
さらに、ICOはFINRA(金融取引業規制機構)に登録済みのブローカーディーラー監督の元進められたという事もあり、透明性は十分だと言えるでしょう。
適正投資家のみに絞られたICO
厳格な規制に準拠して行われたとされるKodakCoinのICOですが、参加資格も非常に厳しく設定されていました。Kodakが投資家に求めた条件は資産100万ドル(約1.1億円)以上もしくは年収20万ドル(約2,200万円)以上となっており、多くの個人投資家はこの時点で弾かれてしまいました。
さらに、コインの購入方法にはSAFT(Simple Agreement for Future Tokens)というシステムが用いられており、1単位あたり1米ドルにて購入する事ができます。このシステムを採用するためには先述のSECの規制やKYC、マネーロンダリングの防止など多くのルールを遵守している必要があります。
Kodakは資金調達額は最大で5000万ドル(約54億円)と発表しており、ICOは成功に終わったようです。
KodakOne(コダックワン)のライセンス収入が100万ドルを突破したと報じられる
BreakerMagは1月8日にKodakOneのライセンス収入が100万ドル(約1.1億円)を突破したと報じました。
KodakOneの創業者であるCam Chell氏はプロのカメラマンでさえマーケットの2割程度のライセンス手数料しか得られていないとし、人間が介入する事によって発生するコストによってライセンス収入が圧迫されていると指摘しました。
Chell氏はKodakOneではブロックチェーンを使って作業を効率化する事で、残りの8割をカメラマンに還元すると話しています。
ICO実施時には成功しないだろうと予想されていただけに今回のニュースは市場関係者に大きな衝撃を与えたようです。
なぜKodakOneは成功を納められたのか?
KodakOne成功の背景には写真の著作権市場の小ささが挙げられるでしょう。
(画像引用元: JNEWS.com)
世界的に見て著作権ビジネスで最も成功を納めているのは音楽分野です。2018年には世界の著作権使用料がおよそ1.1兆円でしたが、音楽分野は9597億円と87%を占めています。対する絵画・彫刻・写真は232億円と全体のわずか2%に止まっています。
しかし、決して写真への需要が音楽に比べて格段に少ないという事ではなく、写真の著作権ビジネスにおいてうまくマネタイズできていなかったり、ビジネスモデルが確立されていない事が原因として挙げられます。
最近ではShutterstockなどのサービスが登場してきており、アマチュアのカメラマンでも撮影した写真からライセンス収入を得る事が簡単になってきています。
KodakOneではこの点に加え、作業をブロックチェーンおよびスマートコントラクトで効率化し、さらに収益性を高めている事からもプロジェクト開始当初からユーザーの心を掴んだのではないでしょうか。
まとめ
KodakOneのニュースが大々的に報道された一方で、ライセンス収入の不透明さを指摘する声も上がっています。
ICOでは非常に信頼性の高い方法を用いていただけに、今後も同プロジェクトには情報開示など、透明性を求める声が聞かれそうです。
記事ソース: KodakOne, JNEWS.com, BreakerMag