【イベントレポート】2/14 THE BLOCKCHAIN NIGHT #OSAKA by IOST Japan
Crypto Times 編集部
2月14日、大阪・難波にて、IOST JapanによるイベントTHE BLOCKCHAIN NIGHTが開催されました。
当イベントでは、ブロックチェーンのビジネス応用に関する事例や技術等が紹介されました。
本記事は、当イベントで登壇されたIOSTの佐藤氏やエバーシステムの石田氏、合同会社長目の小川氏、そしてAcompanyの近藤氏による解説をレポートとしてまとめたものになります。
目次
IOST Japan Community Manager
最初に、IOSTの佐藤氏から、IOSTについての紹介がされました。
IOSTはシンガポールを拠点とし、次世代ブロックチェーンの開発を行う非営利財団で、同時にブロックチェーンアプリケーションでもあります。
IOSTには独自のコンセンサスアルゴリズムであるProof of Believability(PoB)が採用されており、これにより非中央集権的でスケーラビリティで高速に処理が可能な環境を開発しています。
2月25日には待望のメインネットのローンチが行われ、ノード選挙も3月10日まで実施中です。
IOSTのノード投票についてはこちら、プロジェクトの技術・仕組みについては以下の記事で詳しく解説されています。
【仮想通貨】IOST(アイオーエスティー)の特徴・将来性を徹底解説! – CRYPTO TIMES
エバーシステム株式会社 CEO
エバーシステムの石田氏からは、「ブロックチェーンの魅力やその使い道」「ブロックチェーンビジネスの注意点」について紹介されました。
ブロックチェーンの魅力
「インターネットが誕生して、画像や動画が瞬時に送れるようになったものの、価値そのものを送ることはできませんでした。しかし、2009年のサトシナカモトの論文が発表されたことにより、インターネット上で価値を送れるようになったのです。これが、ブロックチェーンおよび仮想通貨の画期的な部分です。」
続けて、ブロックチェーンの覚えておいてほしい以下の3つの特徴を紹介しました。
- データが分散して保存されることで、障害の耐性が高いこと
- 取引記録が改ざんされないため、二重支払いが起こらないこと
- 管理者がいなくても稼働すること
「デジタルデータでは、AさんがBさんに1万円渡しながらCさんにも同じ1万円を渡すといったような二重支払いが起こりえます。しかし、ブロックチェーンでは1度で所有権ごと移転するため、二重支払いがおこりません。これにより、資産が扱えるといわれているのです。」
「管理者がいなくても稼働するというのは、一見素晴らしい仕組みに聞こえますが、管理者がいないということは、責任者が不在です。そのため、一定数管理者のいる完全には非中央集権ではない仕組みも誕生しています。」
ブロックチェーンの使い道
次に、”ブロックチェーンの今後の使い道’’について以下のように述べました。
経済産業省がまとめた資料によると、ポイントや決済の分野においは1兆円、権利証発行の分野でも1兆円、シェアリングには13兆円、サプライチェーンには32兆円、取引の自動化(スマートコントラクト)には20兆円の経済規模があります。
「最近では、ゼネラルモーターズやジャスラックなどの国内外の大手企業がブロックチェーンを利用した様々な仕組みを構想しているというニュースも出てきており、いよいよ今年からブロックチェーンを用いた製品自体もどんどん出てくると思います。」
「IDC Japanのデータによると、2022年までに世界では12兆円、国内では545億円分のブロックチェーン関連の市場規模が予測されており、とりわけ2019年以降から急激に技術革新が進み、市場が成長していくと思います。」
「例えば、ブロックチェーンでゲーム内のアイテムを管理することによってそのアイテムに資産性を持たせることができます。そうすれば、いずれそのアイテムが取引される可能性が生まれます。近頃、今までのゲームに全くなかったこの要素に多くのゲーム会社が注目しており、ブロックチェーンゲームに積極的に投資を行っています。」
ブロックチェーンビジネスの注意点と取り組むメリット
次に、ブロックチェーンビジネスにはいくつかの注意点があることが紹介されました。
「ブロックチェーンで記録できるのはあくまで取引履歴です。データそのものを記録するわけではありません。取引履歴をどのように使うかをビジネスの際には考えなければなりません。また、デジタルデータを1社で管理するほうが良いビジネスには、ブロックチェーンはあまり効果を発揮しません。」
他にも、ブロックチェーン技術を社会に実装させるには政治力が必要であることが注意点として挙げられました。
次に、”今ブロックチェーンに取り組むべきメリット”について以下のように述べました。
「ブロックチェーンという新しい技術に取り組むということが現在まだニュース価値として高い状態です。これをうまく利用して広報活動に繋げるのがいいでしょう。また分散化によるコストダウンや、新技術に触れることによって感度が上がり、良好な経営判断にもつながります。」
他にも、今ブロックチェーンに取り組むことで将来的にコンサルタントのような立ち位置での支援が可能になり、個人のキャリアにもつながるというメリットも紹介されました。
ブロックチェーンビジネスは、早く取り組めば取り組むほど、有利だといいます。
合同会社長目 CEO
合同会社長目 CEOの小川氏からは、ブロックチェーン活用の見通しと、ブロックチェーンの仕組みについて解説が行われました。
ブロックチェーン活用の見通しについて
始めに、”ブロックチェーン活用の見通し”についてです。
「投資家は、新しい技術が将来使われるかを判断する際に、大手企業の買収動向を調べます。今月半ばに、FacebookがChainspaceというブロックチェーンのスマートコントラクトに関係する企業を買収したというニュースが出ています。このことからも、大企業がブロックチェーンを使おうとしていることが分かりますよね。」
Gartnerが出したレポートによると、2030年までに日本のGDPの約3分の2のにも及ぶビジネス価値がブロックチェーンよって生み出されるとされており、今後のブロックチェーン市場に大きな期待が寄せられていることがわかります。
ブロックチェーンの仕組みについて
次に、”ブロックチェーンの仕組み”についてです。
「ブロックチェーンは、データの入ったブロックがつながっているものです。データを一方向ハッシュ関数を用いてハッシュ化し、それを次のブロックに入れていきますす。関数を用いてハッシュ化することで、元々の値が似たようなものでも、全く異なるハッシュ番号に変わります。」
これにより、データの改ざんに気づくことが出来るというのです。
また、コンセンサスアルゴリズムに関しては以下のように解説しました。
- コンセンサスアルゴリズムとは?
- 中央集権的な管理者が存在しないP2Pネットワークにおいて、正しく合意が形成されるように生み出された仕組みのこと。
「P2Pネットワークでは、全員が同じデータを共有しますが、そのデータを作る際にコンセンサスアルゴリズムが関係しています。有名なのがビットコインに使わているPoWで、これは計算を早く解いた人が新しいブロックを作れるというメカニズムです。」
ただ、PoWでは計算力がものをいうため、ノードは電気を大量に消費します。これを受けて、地球にやさしい方法として、通貨を多く持つ人がブロックを承認する仕組みのPoSなどの新しいメカニズムが生まれ、さらにそこからDPoSやPoBなどの新しいコンセンサスアルゴリズムが生まれました。
【初心者向け】仮想通貨(ブロックチェーン)におけるコンセンサスアルゴリズムとは? – CRYPTO TIMES
この他にも、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題やブロックチェーン技術における企業の取り組みなどが紹介されました。
Acompany Inc. CTO
続いて、Acompany Inc.の近藤氏からは、ブロックチェーンの実用例についての簡単な紹介がなされました。
Acompanyは、ブロックチェーンの実社会での活用のための研究開発を行っているそうです。
紹介には、ALISやCryptoKitties、MyCryptoHeroes、Rippleなどが取り上げられました。
講演後の交流会
講演終了後は30分ほどですが、交流会が行われました。
バレンタインの日に開催されたため、会場ではお菓子とチョコレートワインが振舞われ、グラス片手にブロックチェーンに関する様々な話が交わされていました。
まとめ
今回は、大阪で行われたBLOCK CHAIN NIGHTの講演内容や様子をまとめてみました。
イベントには、ブロックチェーンに興味を持つ学生やエンジニアなど、20人ほどが参加していました。
イベント中には、ブロックチェーンについての質問を募集し、それについてブロックチェーン事業に携わる企業の方が答えるコーナーもあり、ブロックチェーンに関する理解を深める非常に良い機会でした。
ブロックチェーンに興味のある方は、ぜひご参加することをおすすめします。